家守綺譚

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 619
  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299034

感想・レビュー・書評

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  • ↓こんなすてきなサイトがあります。
    http://mothergoose-0510jp.cocolog-nifty.com/photos/nashikikahoshokubutsu/index.html


    いつも「してやられたな」と思うのだ。この作者の本を読むと。

    少しコミカルで、ほっとするような日常を描いておきながら、「すっ」と不思議を差し込ませるのが本当に上手い。

    舞台は庭付き一戸建ての家(友人宅に故あって家守をしている)。

    庭に疏水が流れ込んできていて、縁側から鮎が釣れる。木々が生え、季節の花々が咲く、実に羨ましい家だ。

    ただこの家は少々変わっていて、その植物たちをMEDIUM(媒介)として、河童だの小鬼だの人魚だのなくなった友人だの、ぞろぞろ出てくるのだ。

    確かに、そうなのかもしれない。植物って人と同じ生き物ではあるけど動かないし、「自然」の一部だし、庭だって半分は人が生きる場所ではあるものの、「自然」の一部でもある。この「人間(人為)」と「自然」の二項対立が本作を形作るスキームだ。

    この話で言う「奇譚」や「不思議」は、人間側ではない「自然」がふっと現れてくるときのかたちなんだろうなと思う。

    だんだん書いててよく分かんなくなってきたが、とにかく面白く、庭が欲しくなり、犬を飼いたくなる本である。

  • 早世した学友の実家に住み、家守をする,駆け出しの物書き主人公の話。

    ・・・すいぶん昔の・・・「それはついこのあいだ、ほんの100年すこし前」の小説を読んでいる気分になりました。
    作風、物語の中に出てくるサルスベリ、犬のゴロー。
    好きです。

  • 庭の植物や色々な生き物たち、たまに幽霊が話しかけてくる。彼らには個性的な性格があって、とても好ましい存在。静かで雰囲気のある家屋の庭に抜けると、もしかしたらあの百日紅はざわざわと自分で葉を揺らしてるんじゃないか、とわくわくしてしまうような、静かだけど素敵なファンタジー。

  • 明治時代、自然と気とモノノケと…不思議な世界が描かれているのに妙にまったりしてしっくりしてしまう。
    今市子の漫画が好きな人なら絶対はまります。(漱石好きな人もはまるのではないか?)
    誰も傷つかないし平和で不可思議な世界です。
    お休み前に一篇ずつお読みください。良い夢が見れますよ。

  • 時代感じる語り口と、次々現れる不思議・不思議・不思議…
    その中に、ときどき現実がピシリと突き刺さる

  • 万物に神様が宿っていた時代。
    何の前触れもなく、ただそこにいるものとして出てくる者たち。
    雨の日、掛け軸から舟にのってやってきた亡くなった友人。
    さるすべりに恋され、たぬきに化けられ、河童の衣を取り戻しに河童の少女が訪れる。
    何が起こっても、そんなものかと受け入れる主人公。
    そんなちょっと不思議な日常を、四季の移り変わりとともにつづった一冊。

    とにかく無駄というものがなく、ひとつひとつの話が一幅の画のようで美しい。
    またゆっくりとお茶を飲みながら読みたい。

  • 個人的に、庭の木陰の薄暗さ、湖の底の静けさが全体的に漂っている小説。それでいて主人公と友人の飄々としたやりとりが肩肘張ってなくて素敵なのです。読み終わるのがもったいなかった・・・!とんとん読める小説です。

  • 初の梨木作品。
    硬質な、昭和初期の文豪みたいな文体で綴られる極上の奇譚。
    水と泥と、濃い緑の匂いがする。
    梨木香歩といえば、本屋さんでよく見かける装丁と雰囲気でガーリーなイメージだったのが、良い方向に裏切られた感じ。
    図書館で借りて読んでいたけど半分まで読んだところで手元に置く決心をして本屋さんにいきました。
    文庫しかなかったけど書下ろしが入っていたので購入。
    でもハードカバーの装丁が素晴らしいので出来たらそちらも欲しい。

  • 死んだ友人の家守をしている青年が、
    その周辺の、人や人でないものとの交感の日々を綴った記録。

    異種交流譚はいくつか読みますが、これはその中でも、殊更に世界が柔らかいと感じました。
    この紀を綴った綿貫青年は、一際モノの境界を感じにくい性質だということもあるでしょうが〈家守を頼まれた家の庭先でサルスベリ―いじらしくて、とても可愛らしい―に惚れられ、日々本を読み聞かせるような方です〉。

    それにしても、ここに描かれている世界では、
    人も植物も狐狸も、境無く同じ密度で他者に溶け込んでいる様な気がしました。
    何と言うか全体がとらえどころがなくて、そのうようよとした感覚がとても心地よかったです。
    それでいて、季節・風物によりあらわれる様々なものたちには、
    その背後にちゃんと彼らの生活が垣間見え、
    出会いが多くなるにつれ、彼らの生きている、人の観念とは違う方向にある膨大な世界が立ち上ってきます。
    その、見えるような見えないような世界を想像するのも、楽しかったです。

  • この世とあの世を結ぶお話を草木を主題に綴られた本。あの世はずっと身近に感じるものと語られている。そして人々はそのことを大事に守っている。美しい日本語で読量感は嘆息する。新潮社の文学雑誌「yom yom」に続きが書かれています。

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著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

家守綺譚のその他の作品

家守綺譚 (新潮文庫) 文庫 家守綺譚 (新潮文庫) 梨木香歩

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