冬虫夏草

著者 :
  • 新潮社
4.07
  • (191)
  • (211)
  • (127)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 1874
レビュー : 249
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104299096

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 今年の読み始めにと選んだのは大好きな「家守奇譚」の続編、さてその仕上がりは…? 前作では家を預かり「来るものは拒まず」の境地にあった綿貫が今回はゴローを捜し「行くもの」となって鈴鹿の山懐へと旅をするロードノベル。植物の名前をそれぞれに冠した物語はまさに梨木さんでしか描けない幻想的な世界観。しかしながらこのなんとも儚い読後感はなんだろう…それは豊かな山の暮らしで河童やイワナ、そしてゴローたちが守ろうとしていたものがすべて失われてしまったことを100年後に存在する私たちが知ってしまっているからに他ならない。私が暮らす三重の地から見上げればそんな悲しい事実を抱いた鈴鹿の山々がまるで何事もなかったが如く今日も悠然とした姿で佇んでいる

  • 犬のゴローは鈴鹿の山奥で一体何をしていたのか?とか、高堂が示唆した将来の村々に襲いかかる悲劇は現実になるのか?とかの疑問を残したまま終わってしまった。という事は、この続編も出るのでしょうか。犬のゴローが不在である事で、ゴローに思いを馳せつらつら考える文章や、竜宮城で出される料理に関する考察が面白かった。各章のタイトルになっている植物のイラストなり写真なり付いていたらいいのにな。

  • 一気に読んでしまうのが勿体なくて、ゆっくり・じっくり読んでいたら凄く時間がかかってしまいました。
    あの不思議だけとどこか懐かしく感じる世界にずっと浸っていたかった……。

    綿貫征四郎の冒険、ホント綿貫さんらしくて楽しかったです。いつの間にあんなにゴローが大好きになってたんだ(笑)
    ここにあるものを受け入れて日々営むという心の有り様、最近忘れてました。
    綿貫さんの何でも受け入れちゃうスキルは、ある意味最強です。

    次が出るなら(出てほしい)、高堂との絡み多目でお願いしたい!

  • 主人公の征四郎に梨木さん自身の姿を感じた。そのまなざしから見えるものを、私たち読者にも見せてくれている。
    作家が書くものはもちろん皆そうなのだろうけど、それにしても、もっともっとこの世界に浸っていたい、読み進めるのが勿体無いとこんなにも感じられた本はほかにない。

  • 『家守綺譚』の続編です。
    梨木さんの作品で、大好きなものなのでとっても嬉しかったです。
    飄々としていて、サルスベリに愛されちゃう征四郎さん、
    今回は鈴鹿まで旅に出ます。
    愛犬ゴローを追って…  

    自然と暮らす人々の、どこか達観した生き方に感銘を受けます。
    イワナ夫妻の営む民宿…、想像しにくいですが、
    あっても不思議じゃなく思えてきます。

    ラストの征四郎の一言が優しさに溢れていてウルッときます。

    これからも、このシリーズが続いて欲しいです。

  • 待望の続編。
    待ってました。待ってましたとも。
    じっくりと一文一文を味わい、至福のひとときでした。
    締切の迫る原稿を放って、帰ってこないゴローを探しに鈴鹿山中へと遁走した綿貫。
    お馴染みの高堂の家での風雅な日々も大好きなのですが、旅の道中で面妖な出会いを重ねる今作もとても良かったです。
    梨木さんの言葉の紡ぎ方は本当に素敵です。
    ラストは思わず涙してしまいました。
    念願のイワナの宿にも無事に辿り着けて良かった。
    そしてアマゴの宿とは。
    南川氏の恋の行方は如何に。
    更なる続編が読める事を祈りつつ、大切に読んでいきたいと思います。

  • 12月11日読了。図書館。のんびり旅したくなりました。

  • 「家守綺譚」の続編。待っていた甲斐があった一冊。
    綿貫氏の身の回りで起きる出来事が中心だった前作に比べ、今作は家に帰ってこない愛犬・ゴロー探しを主軸に、行動範囲が拡大。綿貫氏が出会う出来事・人々・草花も多様化したうえに、お馴染みの人物に加えて、新登場の人物もみな魅力的で読み応えがたっぷりでした。

    南川氏が元のモデル(南方熊楠?)からくる性格なのか、なかなかにユニークで、綿貫氏とのやり取りが、面白かったです。
    最後のゴロ―との友情(?)には、ぐっと胸に詰まるものがありました。

    前作同様、一文一文、一語一語を丁寧にゆっくりと読みたくなる、静かで穏やかな時間が流れる世界にひたることができました。
    丁寧な自然の描写の中に、不意打ちのように現れる、神、妖怪、動植物の気配に自然のあらゆるものに神・あやかしなどを見出してきた日本の根源を感じ、時折どきりとします。その「どきり」が、前作同様たまらなく好きで、読後も気持ちが良いです。

    個々の話としては、「キキョウ」「マツムシソウ」「ハマゴウ」「茅」が印象的で良かったです。

  • 『家守奇譚』の続編ということで期待して手に取ってみたが、うーん?あれ?
    正直クライマックスまで何だか退屈で、あまり面白いと感じなかった。作品世界に流れる雰囲気はたぶん前作と同じだと思うので、おそらく自分の好みが変わってしまったのだろう。残念だが、またこういう作風に心ひかれるようになったら戻ってこよう。

  • よかった…今回もとても好きだ…。真面目なのにおかしくて、癒されて、ふっと切ない。
    よく分からない「彼ら」の事情も、綿貫と一緒にまあいいか、色々あるのだな、となんだか尊い気持ちになれる。
    家で収束していた前作から外へ。綿貫の歩く速度で淡々と進む景色、交流、お話がよかった。
    「手に負えぬ煩いは放っておけ。」ゴロー、健気で誠実で、かわいい。

全249件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

梨木香歩の作品

ツイートする