既にそこにあるもの

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 75
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104310012

作品紹介・あらすじ

路上のゴミ、描きかけの看板、イスタンブールの光の匂い、現像ミス・プリント、夢の記憶、牧場からの出発、ノイズ・ミュージック、便所の壁、不良印刷物、6000頁のスクラップ・ブック、廃船、秘宝館、へなへなの日本景…。創造への無謀な情熱-現代美術の袋小路を破壊し、新しい価値観を示し続ける例外の画家、大竹伸朗の20年間に及ぶ闘争の軌跡。

感想・レビュー・書評

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  • 型や版、複数同じものを生み出す能力を持つオリジナルのほうが
    僕には価値があると思うのだが、
    芸術でも造船でも型や版は不遇な状況に置かれたままだ。(P44)

    本能的、直観的に一切の論理性を排除したところでつくられた結果が、
    たとえばどこにでもある描きかけの看板の趣気を帯びなければ嫌なのだ。(P53)

    既にそこにあるものとの共同作業
     面白い夢を見ると自分の内側に様々な形が積もりだす。
     その一つ一つの曖昧な形も、考えに考え抜いて出てくるものではなく、
     すでにあった形が夢を触媒に表面化するような感覚を覚える。

    別海
     高校卒業間際に音楽雑誌の記事を見て、
     飯とフトンのみの(無給)条件で働かせてもらうハガキを出した。
     今までの全てをチャラにしたく、補欠合格した美大を離れ、2か月後に別海に。
     朝4時から、牛の糞だし、柵の木の皮むき、子守り。

    ホックニー
     絵を好きなとき、好きなところで、好きなモノを好きなように描く
     

  • NOTE記録
    https://note.com/nabechoo/n/nc0a29d25bcfb

    好きなアーティスト大竹伸朗さん。コラージュや立体作品なんかがめっちゃ好みなんだけど、文章もまた独特で魅力的で惹き込まれる。単純に面白いし、創造性を刺激してくれる。

    一編一編は短く、テンポよく読み進められる。話の内容は様々で、毎回どんな表現に出会えるか楽しみでワクワクする。読むたびに、何か新しい気づきがありそうな雰囲気。

    何より好きなアーティストさんの思考や感性の一端が垣間見れて嬉しい。読後は作品の見え方・捉え方が変わりそう。手元に置いておいて、たびたびページを開いて、大竹ワールドに浸りたくなる。

  • 2018/12/09

  • とにかく、この人の目の付け所とか、気持ちの表現の仕方とか、感性が大好きだ。
    自分も何となく感じたことのあるモヤモヤを上手に言葉にしてくれてる。
    近くに大竹伸朗さんがいたら、ものすごくベタ惚れしていると思う。

  • 1.UWAJIMA美術ノート
    2.別海発、倫敦経由、新宿着
    3.既にそこにあるもの
    あとがき
    (目次より)

  • どうも私はピカレスク小説、成長小説の類いが好きなようで、大竹伸朗の20年の軌跡。文体が好きである。そっけない、しかしサービスもある。通過儀礼の必要さを至極感じる。衝動だけでない論理性がある。北海道時代の回想風景が寒そうで、はっきり澄んでいそうでぐったり濁っていそうで。

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著者プロフィール

大竹伸朗(おおたけ・しんろう)
画家。1955年東京生まれ。74年~80年にかけて北海道、英国、香港に滞在。79年初作品発表。82年以降、東京、香川、広島、ソウル、ロンドン、シンガポールにて個展。瀬戸内国際芸術祭、光州ビエンナーレ、ドクメンタ、ヴェネチア・ビエンナーレ、横浜トリエンナーレ、アジア・パシフィック・トリエンナーレ、ハワイ・トリエンナーレなど国内外の企画展に参加。著書に、『既にそこにあるもの』『ネオンと絵具箱』(ちくま文庫)、『ビ』『ナニカトナニカ』(新潮社)ほか多数。2022年11月に東京国立近代美術館で回顧展を予定。

「2022年 『見えない音、聴こえない絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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