著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 90
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104310036

作品紹介・あらすじ

ビとは何か? うつくしいとはどういうことか? 注目の美術家による最新エッセイ集。唐突に何かに出会った瞬間、意味を超えた音が鳴り、制作衝動がガッと湧く。封筒ののりしろ、からっぽの駐車場、トイレの壁、鉄工所の廃棄鉄片……。従来の「美」の定義では捉えきれないうつくしさを日常の中に感じ、作品へと昇華する日々。直島からヴェネツィアへ、世界が注目する美術家が綴る、思索と創作と旅の軌跡。

感想・レビュー・書評

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  • 美術家が何事かを語る。折に触れて読みたくなる。
    本書を読んで実感されるのは、イメージによる思考というものがあるのだなということ。言葉ありきではなく。
    言葉はそこへ近づくためのツールでしかない。だからこそ、美術家の語る言葉に耳を傾けてみたくなる。言葉の限界がよくわかるから。同時に、イメージの限界がよくわかるから。

  •  先日の東京国立美術館の展示も最高だった大竹伸朗のエッセイ。彼のアートはもちろんのこと、文章も好きなので過去の作品を少しずつ読み進めている。本作もその流れで読んだのだけど、いつも通り朴訥に芸術について考察しておりめちゃくちゃ興味深かった。あと読み終わったあとに気づく装丁のデザインにもグッときた。
     2008〜2013年のエッセイの連載をまとめた1冊となっている。一定期間、同じ場所に滞在してそこで制作するケースが多かったようで、有名な直島関連もこの時期の作品。どうやってあれだけ巨大な作品を作っているのか見るたびに疑問に思うけど、その一端を知ることができた。特にドイツでの制作における現地のスタッフとのやりとりは胸が熱くなる系の話で良かった。今回読んで改めて感じたのは思い出語りがとても上手いということ。過去と現在をシームレスになおかつ叙情的に語りながら過去に耽溺せずに未来へと向かっていく感じがとても好きだ。そして本著を読むと若いときに海外へ行って異文化に触れることはやっぱり大事だなと改めて思う。日本を相対的に見ることで良いところも悪いところも見えてくるし、何気ない風景の中でも実はプレシャスな瞬間やものがそこにあると気付けるようになるから。
     また時間に関する考察が多いのも特徴的で、この頃はちょうどSNSやYoutubeによる情報の加速度的増加が進み始めた頃であり著者なりの思うところが多分にあったのだろうなと直接的な言及がないにせよ伝わってきた。弩級のパンチライナーなので、あとは刺さったラインの引用。

    *人はその一生の時間を費やして、物事が思い通りになるように必死に努めるが、終わりに近づくにつれ本能的に「思い通りにならない」事柄に引き寄せられていくのかもしれない*

    *「何かが起きない正しいアドヴァイス」は「無」に等しい。逆に間違っているが何かが起きた結果、出来上がってしまう絵というのもあり、なかなかやっかいだ。*

    *心底興味深いものに行き着く唯一の道、それは大ハズレ覚悟でどれだけ億劫がらず前向きに「?地点」を淡々と追い求めるかにかかっている。*

    *パリの磨り減った石畳が「芸術的骨董」なら、日本のローカル国道沿いのパチンコ屋はどうにも救いようのない「ガラクタ的ゴミ」でしかないのか?*

  • ざっくり読み。作品の写真があれば良かったのに…。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784104310036

  • 大竹さんが何に「美」を感じて、どういうものやことに創作意欲を刺激されているのか、がよくわかる。

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著者プロフィール

大竹伸朗(おおたけ・しんろう)
画家。1955年東京生まれ。74年~80年にかけて北海道、英国、香港に滞在。79年初作品発表。82年以降、東京、香川、広島、ソウル、ロンドン、シンガポールにて個展。瀬戸内国際芸術祭、光州ビエンナーレ、ドクメンタ、ヴェネチア・ビエンナーレ、横浜トリエンナーレ、アジア・パシフィック・トリエンナーレ、ハワイ・トリエンナーレなど国内外の企画展に参加。著書に、『既にそこにあるもの』『ネオンと絵具箱』(ちくま文庫)、『ビ』『ナニカトナニカ』(新潮社)ほか多数。2022年11月に東京国立近代美術館で回顧展を予定。

「2022年 『見えない音、聴こえない絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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