くまちゃん

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 263
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104346042

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。前のお話でふった人が、次のお話ではふられる、連作短編集でした。
    恋って、その最中では一生懸命ですが、終わってみたらこんなものか、となるのかも。ふったり、ふられたり、わたしもありましたが、今はすっかり離れました。幸せも確かにあったけど、辛く歪な心にもなりました。
    終わってすぐはとても辛くても、きっとまた恋をするのだろうなと思います。いつになるかはわかりませんが、もうしばらくかかるかな…。
    私のつまんなさは私のものだし、私は私以上にはなれない、という最終話の台詞が残りました。
    今、読めて良かったです。皆、幸せになれたらいいです。

  • まさに私と同じ年代、もしくは少しお兄さん、お姉さんたちのお話。
    いい意味で活気があったあの頃。
    自分の心の引き出しに閉まっていた微笑ましい過去や小っ恥ずかしい過去がページをめくるたびに溢れ出てきた。
    懐かしくもあり、切なくもあり。
    あなたもどうですか。
    少しだけタイムスリップして、過去と向き合ってみませんか。

  • たまには恋バナも良かった。短篇の登場人物が絡み合い、時間軸も年単位で進む。現実的な気もする反面、三十過ぎて恋だの言ってると仕事も子育ても出来ない。こんな暮らしが当たり前なのだろうか?そうなら少子化の原因はコレだ。

  • 主人公が変わっていく、7編の恋愛小説(しかも、いずれもうまくいかない恋愛)なのですが、全体を通して、(人生の)成功ってなんだろうとか、「やりたいことやる」ってどういうことだろうとか、年をとるってどういうことだろうか、といったことを考えさせられる内容で、興味深く読みました。

    1つのお話に登場していた人物が、次のお話の主人公になっていたり、別のお話に再登場したりして、面白い趣向も取り入れられています。

  • うまくいかない恋愛がどんどん数珠つなぎになっていくお話。
    でも、ひとつの恋愛が終わってもこうやって繋がっていくんだなぁと思わせてくれるのが角田さんらしい。

  • あとがきに「ふられ小説を書きたかった」とあるように、ふられ話の短編集なんですが、必ずふった人が次の話の主人公になり(つまり次話でふられる)、世の中の『上手くいかない感』を上手に演出していってます。しかも1話でふられた女と6話でふった?男がなんだかな鞘に納まるという...短編でありながら、恋愛の時間的変化を実にリアルに描いていると思う。あっそっか、ハッピーエンドなんて、そこからは落ちるだけなんだよね、みたいな。

  • 感想
    好きな気持ちだけ。純粋な恋愛なんてない。お金をいくら稼いでいるか、社会からどれだけ認められているか。それがなくては一緒にいられない。

  • 太陽と毒グモ?っていう強烈な題名の作品から始まって、何冊目かの読書です。綺麗な色合いの表紙を手に取ると角田さんの作品でした。
    失恋って言葉をキーワードに、しりとりでグル〜っと回るような楽しい作品でした。なんだかワタシの中でも角田作品が一回りして今度の作品からは2週目のように感じます。
    よく練られた完成された良い作品でした。

  • くまちゃんと呼んだ彼との恋。彼のその後の恋、その恋人の…と続く恋愛短編集。

    恋愛の形は人それぞれで当たり前。
    気持ちの有り様も温度も、自分と相手でまるっきり違うこともあるんだよな…

  • ふった側の人間が、次の作品ではふられる側になる連作小説。
    「この人には感情移入できないなぁ」と思っていても、次の作品ではその人視点で物語が進み、その人の心情が理解できる。つまり、前作で「ふった」心理もわかるというしかけ。
    なにより、角田光代の筆力が圧倒的。どんな人間の心理も「わかった」という気持ちにさせられる。

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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