平凡

著者 :
  • 新潮社
3.42
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104346066

作品紹介・あらすじ

つい想像してしまう。もしかしたら、私の人生、ぜんぜん違ったんじゃないかって―― 。もし、あの人と別れていなければ。結婚していなければ。子どもが出来ていなければ。仕事を辞めていなければ。仕事を辞めていれば……。もしかしたら私の「もう一つの人生」があったのかな。どこに行ったって絶対、選ばなかった方のことを想像してしまう。あなたもきっと思い当たるはず、6人の「もしかしたら」を描く作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 角田さんの作品を読んでいると心がざわざわと落ち着きがなくなる。
    それは自分の居場所の心もとなさを見透かされているような気持ちになるからだと思う。
    日常のふとしたはずみに感じるなんで私はここにいるんだろうとか、どうして私はこんなことをしているんだろうかとか、そんな気持ち。
    いくらあがいたって私の居場所はここにしかないことは分かっているけれど、考えずにはいられないここではないどこか。

    この本は主人公たちの「もう一つの人生」をめぐる物語を集めた短編集。
    もしあの時ああしていればと思いをめぐらせ、今とは違う人生があったのではないかと夢想する。
    自分の居場所を心から受け入れられない気持ちは角田さんの作品の根底にあるテーマだと思う。
    でも今回ちょっと違うのは、最終的に今いる場所を肯定していること。
    もう一つの人生を生きる私に「そっちも大変そうね」と言える余裕。
    角田さんも年齢を重ねたってことなのか。
    自分探しの旅も一段落して、今いる場所も捨てたもんじゃないって気付いたのかな。
    なんだかね、もうジーンときちゃって。
    どの話を読んでも今の自分の気持ちにするりと入りこむ感覚というか。
    こういうのってなかなか他の作家さんじゃ味わえないなとつくづく思う。

    特に二番目の作品「月が笑う」が良かった。
    最後の最後の主人公の台詞にもうグッと来ちゃった。
    主人公の母の人生もたまたま乗ったタクシー運転手の人生の描き方も絡んできて。
    短編も長編も角田さんはホント巧いよなー。
    それから三番目の「こともなし」に出てくる母親の気持ち。
    母性とは泣きたくなるような気持ちって描写があって。
    ふとした時に遠くから我が子を見つめた時に湧き上がってくる泣きたくなるような気持ち。
    角田さん、子供いないのにどうしてこんなこと分かるの?
    すごいなー。

    良かったです、最高に。
    読書スランプに陥っていた私もこの本のおかげですっかり元に戻れそうです。
    ありがとう、角田さん。

    • vilureefさん
      takanatsuさん、こんにちは♪
      コメント嬉しいですv(≧∀≦)v

      ええ、ええ、是非読んでください。
      角田ファンとしてはこれも...
      takanatsuさん、こんにちは♪
      コメント嬉しいですv(≧∀≦)v

      ええ、ええ、是非読んでください。
      角田ファンとしてはこれも絶対に外せない作品間違いなしですよ~。

      >角田さんの小説って、登場人物のことを他人事にしておけない力があるなと思っていて、それゆえにとても消耗するんですが、だからこそ物語の終わりには自分の心も変わったと確信できるというか。

      うん、うん、わかりますよ。
      独特の粘着質な表現が苦手な方も多いようですが、なぜか登場人物の台詞にシンクロしてしまう自分がいるんですよね。
      確かに消耗するかもしれませんね(^_^;)
      takanatsuさんのレビュー、楽しみにしていますね!

      ところで話は変わりますが、「空の拳」の続編、「拳の先」が連載中らしいです(*^_^*)
      またあのタイガー達に会えるのかと思うと今から楽しみで楽しみで・・・。
      2014/06/24
    • takanatsuさん
      vilureefさん
      度々お邪魔します。お返事ありがとうございます。
      「ところで話は変わりますが、「空の拳」の続編、「拳の先」が連載中...
      vilureefさん
      度々お邪魔します。お返事ありがとうございます。
      「ところで話は変わりますが、「空の拳」の続編、「拳の先」が連載中らしいです(*^_^*)
      またあのタイガー達に会えるのかと思うと今から楽しみで楽しみで・・・。」
      な、な、なんと!!
      素敵情報ありがとうございます!
      読みたいですーーーー!
      と、1人モニターの前で大興奮です。
      顔には出していないつもり…ですが。

      角田さんの本は読みたいものがたくさんあるのですが、全然追いつけません…(涙)
      でも、『拳の先』は絶対読みます!
      あ、もちろん『平凡』も。
      ありがとうございました!
      2014/06/25
    • vilureefさん
      takanatsuさん、再訪大歓迎☆

      キャー、共感していただいて嬉しいです!
      空也はまたボクシング雑誌の編集に戻るのかなとか一人妄想...
      takanatsuさん、再訪大歓迎☆

      キャー、共感していただいて嬉しいです!
      空也はまたボクシング雑誌の編集に戻るのかなとか一人妄想中です♪

      私も角田さんの初期の作品は抜け落ちてるものも多いです。
      エッセイもほとんど手つかずだし・・・。
      とりあえず「ポケットに物語を入れて」を予約中です。
      これもまた楽しみです♪
      2014/06/25
  • 6つの短編集。
    あの時こうしていれば…という後悔と、こうしていれば今こうだったかも…とふとよぎる瞬間はある。主に人との関係なんだろうな。
    それは共感できた。その描写は見事だと思った。

    表題作の「平凡」はよく分からなかった。
    「(過去に関わったその人と)無関係になると、その後は"平凡"でいてほしいと願う」???
    ーーもう相手とは無関係なんだと割り切ることができた。そうしたら恨んだり羨んだりする気持ちも無くなった。相手の人生は波乱万丈であって欲しいのではなく、どうかただただ平凡(な人生)でいてくださいと願えた…ってこと?ーー(←4/4追記)
    展開からして、主人公が清々しい気持ちになって終わるのもよく分からなかった。

    全体的に登場人物にいい印象が持てなかった^^;
    すっきりとしない読後感。

  • 後悔していることは無数にあり
    切実にやり直したいことも沢山あり
    気を抜くと痛かった場面に立ち戻ってしまう。

    そんなこんなの心持ちを角田さんの言葉で
    そっと気付かせてくれる短編6篇。

    私が意識して選択しなかったもう一方の私を
    考えないようにしているのは、
    こういうことだったのかもしれないなぁと
    何度も何度もうなずきました。

    角田さんは何気ないけどひっかかる心模様を
    的確な表現で描いてくれますね。

    この本を読みはじめてから、
    生活のちょっとした選択を、躊躇しました。
    欲張りな私は、後悔を最小限にしたいからです。

    どんなに考えても、何かを選べば、
    選ばれなかったものが消えてなくなる。
    そこに後悔が生まれれば、
    そこから何か新しいものが始まり新しい場所に連なっていく。

    後悔したって、後戻りしたっていいんじゃないか。
    傷を負って血を流して痛かったことを何度も思い出すことでわかることもある。
    選んだものが連れて行ってくれる場所を
    もっと信じて生きていきたい。

    本を読み終える頃、そんな風に思えてきました。

    角田さん、久しぶりに読みました。
    やっぱり、好きだなぁと思った一冊です。

    • vilureefさん
      こんにちは。
      いつも花丸ありがとうございます♪

      うわー、素敵なレビュー。
      こんな風にレビュー書けるっていいなぁ(*^_^*)
      角...
      こんにちは。
      いつも花丸ありがとうございます♪

      うわー、素敵なレビュー。
      こんな風にレビュー書けるっていいなぁ(*^_^*)
      角田さん、心の隅っこにある気持ちを掘り起こすのが巧いですよね~。
      それが時には励ましになったり、逆に痛みになったり。いつ読んでも手ごわい相手です(笑)
      2014/10/20
    • なにぬねのんさん
      vilureefさん、こんばんは。
      花丸&コメントをありがとうございます。

      こんなレビューを褒めていただき恐縮です…。
      いつも夜中...
      vilureefさん、こんばんは。
      花丸&コメントをありがとうございます。

      こんなレビューを褒めていただき恐縮です…。
      いつも夜中のテンションで一気に書き上げ
      後悔しないうちにポチッと投稿してチマチマ直してます。(誤字など)

      …どんなに手直ししても感じてることの半分も表現できてなく…日本語の難しさを痛感してます。

      vilureefさんの『平凡』のレビューを読んで
      そうそう、それだ!と膝を打ちました。
      角田さんの作品は『自分の居場所を心から受け入れられない気持ちがテーマ』だったから、そこに惹かれて私は本を手に取ってたんですね。

      わかってスッキリしました。
      私はまだ読みが浅いですからね。
      レビューからも発見があるブクログってすごいです。これからもレビューで色々教えてください!!
      2014/10/23
    • vilureefさん
      こんにちは♪

      レビュー書くのって難しいですよね(^_^;)
      誰かにこの気持ちを伝えたいって思っても全然言葉が浮かんでこなかったり・・...
      こんにちは♪

      レビュー書くのって難しいですよね(^_^;)
      誰かにこの気持ちを伝えたいって思っても全然言葉が浮かんでこなかったり・・・。
      そう考えると作家ってすごい!

      なにぬねのんさんのレビュー、好きですよ。
      夜中に書いているのですね、フフフ。
      畑野さんも気になる作家さんなのですが、なにぬねのんさんのレビュー読んだら益々読みたくなりました。

      実生活だとレビューを語り合える友人がほとんどいないので、ブクログって楽しいですよね♪
      またおしゃべりさせてくださいね(^_-)-☆
      2014/10/24
  • もしもあのとき、違うほうを選んでいたら?
    そんな思いを抱えた女性たちの人生に、何が‥
    リアルにありがちな悩みを、いくつかのケースで、面白く読ませます。

    「もうひとつ」
    夫婦のギリシャ旅行に、もう一組の友人カップルが同行することに。
    いい顔をしなかった夫の予想も間違いではなかった‥
    問題の二人は不倫のカップルで、しかも途中で結婚式を挙げたいと(仮の、ですが)言い出すのだ‥?!

    「月が笑う」
    結婚6年の平穏な生活。
    突然、妻に離婚して欲しいと言われた夫が思い出したのは‥

    「こともなし」
    別れた恋人が幸せになっていて欲しいか、不幸になっていて欲しいか。
    友達とそんな話をしたのは8年前、婚約者にふられた頃。
    なりゆきで結婚したが今はまずまず幸せな主婦で、5年前からブログをやっている。
    なんのために、とふと考える‥

    「いつかの一歩」
    若い頃に付き合っていた彼女が店を出したと聞いて、行ってみる男。
    本当は結婚したほうが良かったのではといまさら思ったりするが‥

    「平凡」
    高校時代の友人で今は人気の料理研究家になっている春花。
    主婦で土産物屋のパートをしている紀美子は、ツイッターでまた連絡をとるようになり、春花が来ると知って機嫌が良くなる。
    春花の目的とは‥
    別れた相手の不幸を願うわけではない、平凡でいればいいという思い。それは呪いというよりも願いかもしれない。
    どちらにせよ、それぞれは他人の気持ちなどは入りようもない強固な人生を生きているのだ。

    「どこかべつなところで」
    貼り紙を見たという人からの電話が入る。
    猫のぴょん吉が窓から逃げて、行方不明になっているのだ。
    離婚後すぐに飼い始めた猫。
    見かけたという人のところへ行き、話し込むことに‥
    幼い息子の事故という重い話題だが、もしもあのとき、という思いを重ねることに、不思議な安らぎが。

    もしもあのと時‥というのは、誰しも考えたことがあるでしょう。
    でも、いつまでもそんな気持ちでいるばかりでは、どうしようもない。
    読んでいても、なんだかな‥という気分になるけど、情けなくてもそれが人間らしいのかも。
    それぞれに方向転換していくところが、良かったです☆

  • はい、私も考えました、違う選択をしていたら…の人生を。
    女はなぜ結婚が人生の分岐点になってしまうのだろう。最近の事情でいくと、男も少なからずそうなのだろうけれど…。
    女にとっての結婚は、出産も絡めばその先に続く人生、自分の時間というものが大きく変わる。
    でもしかし、たられば、はないのだけれど。

  • 「もしあのとき、…していれば」。そういう思いに捉われる人が多いから、そんな「もし」を題材にした小説やドラマ、映画、歌なんかがあるのだろう。ある意味そう珍しくはない「もし」を角田さんがどう描くのかと、非常に楽しみに読んだ。(装丁もユニーク。)
    全六話、主人公は勿論のこと、脇役達もそれぞれに己の選択に対し迷い、悩む。「恋人と別れる」といった大きな決断、「離婚を切り出される」という相手からの申し出を受け入れざるを得ない結果、あるいは「窓を開けなければ」「おにぎりを握らなければ」といった些細なことがきっかけで大きく変わってしまった運命。まるであみだくじのように、様々な選択を経て人生は意外な方向に進んでいったりもする。それが望まない結果となり、ついつい後ろ向きな気持ちになってしまったことは誰にでもあるのではないだろうか。
    そんな、後ろ向きな気持ちに憑りつかれた人物たちの、時に醜い心理描写のうまさといったら角田さん…!それが傷口に塩を塗るような行為でも、その愚かさから目が離せない。後ろを振り返らず歩める人なんているのだろうか。時には未練たらしく、あり得たはずの別の未来に思いを馳せたって、いいじゃないか。たまには立ち止まって、己の気持ちに折り合いを付けて、歩んでいくものなんじゃないかと。
    ところで、この短編6話は2008年から2013年に渡って「小説新潮」の一月号に掲載されている。毎号とか隔月とかではなく、年1回ペースというのが面白いと思った。どうりで…第一話を読んだとき、作風がちょっと前っぽいなと感じたのだった。その年その年の角田さんが描く「もし…」の人生というわけか。どの話も好きだけれど、敢えてあげるならば、ずしりと考えさせられる最終話の「どこかべつのところで」かな。
    自分の心の中にある無数の「もし」。今現在の私も、本当に他愛のない「もし」に苛まれてくよくよしている最中だが、その後悔が消えなくても、心と体の回復を信じていずれ一歩を踏み出さなければ。どう選んでも、自分の人生なのだもの。

  • 選ばれなかった、もう1つの人生。
    年を重ねるということは、人生の岐路、とも呼べるものを通り過ぎて生きてきた、ということなのかもしれない。
    だからふと、もし、〇〇だったら・・・と、別の生き方に想いを馳せてみたりする。
    選ばれなかった無数の道があっただろうけれど、特に思い出されるのは別れた恋人とのその先の人生であったり、苦い後悔が残るような不完全燃焼な日々のこと。あの時、もっとこうしていれば、違う人生もあったのかも、と。

    ただそれは、今の人生が嫌でやり直したい、というものではなく、本当にふと、頭をよぎることがあるくらい。
    6つの短編からなる本書ですが、「もう1つの人生」をいろんな角度から切り取っていて、とてもおもしろい。
    自分にとって選ばれなかったもう1つの人生は、同時に相手にとっても幻の人生。1人で生きているわけではないから、他者と関連しあいながら、たくさんの分岐を経て、今の生き方がある、ということが、なんだかすごく不思議で、おもしろく感じます。

    「別れた恋人が別れたのちに不幸になってほしいか、幸福になってほしいか」と始まる「こともなし」という短編が一番好きでした。
    もう1つの人生に想いを馳せるとき、私も、考えたことがある。どこかで、相手の不幸を願ってしまう自分がいた。
    その根底にあるのは、今の自分の人生を肯定したい、これでよかったんだと思いたい、との思い。
    そして、そう思わせたいし、認めさせたい。それは、別れた恋人に対して、だと思っていたけれど、実際のところは、もう1つの人生にいる自分自身に対してだったのかもしれない。

    選ばれなかった人生について常日頃考えているわけではないし、今私が生きているのはこの人生なのだけれど、たまにシャボン玉のように浮かんでくるもう1つの人生をぼんやり眺めながら今を大切に生きるのも悪くないな、と思うのでした。

  • 「こともなし」と「どこかべつのところで」が好きだった。
    「こともなし」は娘への愛情の気持ちが泣きたくなると表現してたところ。
    実際私もそうだ。今一緒にいないから尚更なのだが子供の事を思うと泣きそうに胸が締め付けられる。

    同じように「どこかべつのところで」の依田さんの気持ちも痛いほどわかる。
    1秒や1分じゃないけど、あの時あ~していたらと思い悩む日々。

    角田さん、やっぱりうまいな。好きだな~

  • 角田さんの小説を読むといつも、そうなんだよなぁと思う。
    何が?何に対して?と聞かれても答えられないのだけど、ただただ深く納得する瞬間が必ずある。
    『平凡』には6編の物語が収録されていて、全てに「そうだよなぁ」があった。
    「もうひとつ」の夢の話。
    「月が笑う」の許す瞬間。
    「こともなし」の破局。
    「いつかの一歩」の失踪。
    「平凡」の高揚と幻滅。
    「どこかべつのところで」のおにぎり。

    たぶん人は常に何かに縛られていて、それは自分が作ったルールや目標や夢だったり、誰かとの関係だったり、いろいろなのだけど、常に何らかの不自由を感じて生きている。
    私は家族、仕事、友人、その他諸々の関係の中で存在していて、それらが私を生かしてくれてもいる。
    私にとって必要なものだ。
    でもその関係の中にある以上100%の自由がないのも確かで、実感では自由なんてせいぜい10%くらいのものではなかろうかと思う。
    たまにあの時ああしてたら…なんて想いを馳せることもあるけれど、それはその時には選択可能な選択肢でなかったなんてことも多々ある。

    『平凡』の中に登場する人達にもそれぞれ想いを馳せる「あの時」がある。
    何かの拍子に別の選択をしていた「私」のことを想像する。
    その想いに共感する。
    100%の自由がないのと同じように100%の満足もあり得ないのだと思う。
    でも、もし「あの時」、違う選択をしていたとしてもやはり同じようにまた違う「私」を想像していたんだろう。
    そちらの「私」から見れば今の「私」がそれにあたるのかもしれない。
    ぐるぐるとそういうことを考える。
    無意味だなぁと思う。
    それでも繰り返し繰り返し想像する。
    そんな自分ととても似た人が登場して、同じように無意味な想像を繰り返し、答えなんて見つけられないまま日々を生きている。
    私はその人達に共感して、自分を振り返り、やはり答えなんてないままに本を閉じて日々を生きていく。
    でも、読む前よりたぶんほんの少しだけ元気になっている。
    それは物語の中で出会ったいくつもの「そうだよなぁ」がじんわりと私にしみこんで、意味なんてなくていいと感じさせてくれたからかもしれない。
    それとももっと単純に小説が面白かったからかもしれない。
    どちらにしてもこの本を読んで「あの時」に戻れなくていいという気持ちになれている。
    今の「私」を肯定してくれた。『平凡』は私にとってそういう本だった。

    • takanatsuさん
      vilureefさん、コメントありがとうございます!
      私の方こそ今年もよろしくお願い致します!

      「派手さはない短編集なのに、角田さん...
      vilureefさん、コメントありがとうございます!
      私の方こそ今年もよろしくお願い致します!

      「派手さはない短編集なのに、角田さんの言葉って心に沁みますよね。」

      はい。今回はじんわりと沁みました。
      特に最近うだうだと悩んでいたりしていて、まさに私のことだよ!という感じで、今読めてよかったなと思います。

      「ところで、昨年放送されたゴロウデラックスに角田さんが搭乗された回ご覧になりましたか?」
      …!!?
      全く知りませんでした。
      検索してみたところ番組の予告映像は見つかりました…(>_<)!
      うわぁ!見たかったです!
      いったいどんな話を…!?

      2015/01/19
    • vilureefさん
      またまたお邪魔します。

      ゴロウデラックス、私も実は見逃してしまったのです。
      ネットの動画サイトで見つけて後で見ました(^_^;)
      ...
      またまたお邪魔します。

      ゴロウデラックス、私も実は見逃してしまったのです。
      ネットの動画サイトで見つけて後で見ました(^_^;)
      「紙の月」のお話が多かったですが、角田さんの人柄が伝わってきて良かったです♪
      是非ご覧になってください。
      2015/01/20
    • takanatsuさん
      「ネットの動画サイトで見つけて後で見ました(^_^;)」
      そうなのですね。探してみます!
      教えて頂きありがとうございます!
      「ネットの動画サイトで見つけて後で見ました(^_^;)」
      そうなのですね。探してみます!
      教えて頂きありがとうございます!
      2015/01/21
  • 人は人生の中で、幾度となく岐路に立たされる。
    もしかしたら別の人生があったのでは、とつい思うことがあるはず。
    そんな別の人生について考える短編集。

    ふとしたきっかけで、別の人生を思い描いてしまう。
    気分が良い時はそんなこと思い描くこともないのに、何もかも上手くいかず、気持ちが沈んだ途端今の人生を後悔してしまいがち。
    もし、なんて考えず、今いるこの人生を真っ直ぐ見るといい、と角田さんに背中を押された気がした。

    最後の短編の「おにぎり」の話には泣けた。
    これから子供におにぎりを作る時、つい思い出して切なくなりそうだ。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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