ヒナギクのお茶の場合

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  • 新潮社 (2000年3月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784104361014

みんなの感想まとめ

独特な文体と幻想的な描写が織り成す短編小説集で、読者を現実から解放し、非現実的な体験へと誘います。主人公たちの個性的なキャラクターが、日常の中に潜む異質な世界を描き出し、時にはカフカや高橋源一郎の作品...

感想・レビュー・書評

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  • 多和田さんの自由な文体が相変わらず面白い。
    「電車に乗っていると、どうして電車なんかに乗っているのだろうと思ってしまう」
    出だしから笑った。
    静かなトーンの話からクスッと笑える軽快な話、と多和田さんの引き出しの多さが伺える短編集。
    「枕から枕へ、今夜見る夢から明日の夜見る夢へ」とあるように、多和田さんに夢の世界に誘われたかのようにふわふわした余韻が漂う。

    特に『目星の花ちろめいて』『所有者のパスワード』が好き。
    『目星…』は多和田さんの紡ぐ詩のような言葉遊びが心地好く、続きが気になる終わり方でもっと読んでいたくなる。
    『所有者の…』の姫子が夢中で読んでいた「ボクトーキタン」(永井荷風の『濹東綺譚』らしい)が気になる。何度もニヤリとなった。

  • 泉鏡花文学賞受賞作。独特なイメージの奔流、だが、読みにくいわけではなく、描写が独特で読まされてしまう。実際、一日で読了してしまった。たた、なかなか個性的。
    「枕木」作家らしい主人公の女性が電車に乗って移動するんだが、まるでカフカの「審判」みたいに超現実的なシーンの連続で普通のリアリディとは無縁の小説。高橋源一郎の「さよならギャングたち」みたい。
    「雲を拾う女」も「あるものの中のそれとは別のものの音」を録音することに執着するコウモリと呼ばれる女の話。語り部の私も何故か哺乳瓶の乳首に変身して彼女のと同行。ファストよろしくかつて靴がらみの契約を悪魔と交わして身体を無くしたらしい。
    「ヒナギクのお茶の場合」
    小説家の主人公とハンナという舞台作成の女との話。
    ハンナは使用済みのティーバックで紙を染める作業を延々してる、四十半ばでパンクな女。
    「目星の花ちらめいて」
    四つの擬古文めいた文体の小品からなる連作。
    「所有者のパスワード」
    活字中毒みたいな女子高生の読書を追い求める話。
    文字を追うという読書のシンプルな体験がかつてないほどまんまに描写されてるありそうでなかった作品でお気に入り。

  • 意味が分からない。変なの…と思いながらやめられない。妙におかしかったりする。

  • バラエティに富んだ5作品を収録した作品集。
    「枕木」は何と言っていいのか感想に困ってしまうが、絶えず焦点をずらされ横滑りしていくような感覚。
    「雲を拾う女」何なの?哺乳ビンの乳首になってしまう(わたし)。火を吹き、鏡に映らないコウモリと呼ばれる女。寓話や幻想とは違う。あまりにも輪郭がはっきりとし過ぎていて。意味とか脈絡とかそんなのよく分からないままに、ひたすら読まされてしまう。
    「ヒナギクのお茶の場合」語の反復とか文体のリズムとか、読んでいて楽しい作品。友人ハンナへの語り手の好感が滲んでいる。
    「所有者のパスワード」多和田さんにこんな作品あるんだ、と意外性に驚く。ラノベの恋愛モノ読んでコマ割りまで脳内で漫画に変換したり、難しい漢字の意味も分からず字面に官能性を感じたりする語り手。パロディーというか遊び心を感じる作品。

  • 短編小説が集まったものである。アメリカ風のものが出てくる。タイトルのものは、本人の友人である女性が、舞台美術を仕事としており、疲労のあまり、赤いペンキの上に突っ伏して眠り、それを見た友人が、死亡したと勘違いして自分に連絡してきたという話である。

  • わりと定番だけど悪夢的な「枕木」と、悪魔の出てくる「雲を拾う女」がとても好きだった。とくに「雲を拾う女」は、肉体を持たない括弧入りの(わたし)が、ふいに哺乳瓶の乳首に変身してしまって、白いコートの女=コウモリに拾われ、なんだかよくわからない事態に巻き込まれながら悪魔との取引を思い出すあたりとか、はちゃめちゃなんだけど整合性はあって、悪魔が出てくるだけでブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』みたいでワクワクしてしまった。

    表題作は、ハンナという見た目パンキッシュな舞台制作者との友情(?)の話で、何か不条理なことや悲惨なことが起こるのかと思いきや、意外にもほのぼのしたままで終わってホッとした。

    ※収録作品
    「枕木」「雲を拾う女」「ヒナギクのお茶の場合」「目星の花ちろめいて(あやめびと/むかしびと/わたりびと/ほかひびと)」「所有者のパスワード」

  •  全体的にどこか抽象的で掴み所がなくて、でもとても引き込まれた作品。私は「目星の花ちろめいて」と「所有者のパスワード」の摩訶不思議感が好き。特に「所有者~」は本の虫の姫子が本ばかり読んでるがゆえに無知であることで危ない目に遭ったり現実とごちゃごちゃになったりしつつ、本ばかり読んでるがゆえに難を逃れる様が滑稽ですごく面白かった。

  • 見ると1990年代に書かれた話ばかりなのに、全く古さを感じさせない。
    目星の花ちろめいてのあやめびとの話は他の作品でも使われていたモチーフだったけど、印象がまた違くてよかった。
    20131221

  • 目星の花ちろめいての「あやめびと」の話を膨らませたのだと知った、あの本。

    現実を注意深く写実しているのに知らないうちに・・・エアーポケット吸い込まれたように、違う次元に入り込みそこがどこだか読んでいてわからない。わからないんだけど現実感はいやに濃厚でつまさきちょっと浮いた感じの読書。古語のような日本語と外国の固有名詞が組み合わさって確実にエイリアン的な自分がそこにいる。こういった境界・こういった環境で書く人を知らなかったから興味深く、もう少し知りたいと思う作家です。

  • 昨日読了

    作者の日常がそのまま
    得体の知れぬ世界に溶け込んでいく、
    「いと怪しく稀有な」短編集。
    著者が内田百閒「冥途」の解説を担当しているのは、
    なるほど、うなづける。

    掌編『目星の花ちろめいて』
    における自由な文体にくらくら眩暈。

  • お茶を飲みながら、本を読めば、快い気持ちになるのよ。ほっこりする。

  • 肌に合う文章だなぁ

  • ドイツ在住の芥川賞作家、多和田葉子。
    いま個人的に一番気になる人。彼女のエッセーは読んだけど、文学作品を読むのは初めて。

    どの短篇も独特の不思議世界が構築されてます。
    この世界観と言葉の感覚かなり好きです。
    クセがあるので好みは別れそうだけれど。

  • 2009/9/4購入

  • 「雲を拾う女」が最も面白い。次に表題作。見れば前者は95年に後者は96年に発表されたもので、そのほかの作品(「所有者のパスワード」「枕木」「目星の花ちろめいて」)は2000年前後に書かれている。これらは多和田文学におけることばあそび(言葉の語感から喚起されるイメージで小説を展開していくスタイル)への習作といったイメージ。「光とゼラチンのライプチッヒ」の、音とことばに執拗にこだわる独特な世界観と、これらの作品は近いと思う。
    「雲を拾う女」では、所有や主体や存在に対して直接的な説明が随所に織り込まれている。ここでは主体はものである(わたし)であり、その視点から外側にアプローチをかけているのだが、語り手としてものを選び、冷静に行き交う人々の所作を描くというのはなかなか考えつかないなあ、と。実験的かつ哲学的な要素を多分に含んだ短編。

  • 緑の髪の舞台美術家と小説家のわたしの交友を描いてえもいわれぬ
    可笑しみを湛えた表題作、恋愛小説ぐるいの少女が“ボクトーキタン”
    を追体験する「所有者のパスワード」ほか全8篇。日本語小説の閾を
    見据えたスリリングな最新短篇集。 第28回泉鏡花文学賞。

  • 息継ぎのないような文章に挫折。

  • 正直、よくわからなかったです。自分とは感覚が合わない。

  • ボクトーキタン!
    そうだよね、高等遊民なんてニートだよね。

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著者プロフィール

多和田葉子(たわだ・ようこ)
小説家、詩人、戯曲家。1960年東京都生まれ。1982年よりドイツ在住。日本語とドイツ語で作品を発表。「かかとを失くして」で群像新人文学賞、「犬婿入り」で芥川賞、ドイツでゲーテ・メダル、クライスト賞を受賞。著書に『容疑者の夜行列車』(谷崎賞)『雪の練習生』(野間文芸賞)『献灯使』(全米図書賞翻訳部門)『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』ほか多数。

「2021年 『オオカミ県』 で使われていた紹介文から引用しています。」

多和田葉子の作品

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