ポーの話

  • 新潮社
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本棚登録 : 591
レビュー : 113
  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104363018

感想・レビュー・書評

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  • どんどん読めました。
    雰囲気がとてもすき。

  •  うなぎ女から生まれたポーが、多くの人々と出会い、多くの事を学び、わずかな事を与えてあげる。<br><br>

     みんな愛してる!と地球上のすべての生けとし生けるものへ叫びたくなりました。なんて切ない気持ちにさせてくれるんだ、いしいしんじ。<br>
     残酷でシュールな展開に、もうこの話はどう転んでも報われないんじゃないか、と不安になった。しかし、最後はキレイさっぱり悲しくも明るい気持ちになれる、という素敵なお話に仕上がっていて、改めていしいしんじは神か、と確信しました。<br><br>

     P.305に「BGM レイ・ハラカミ『RED CURB』」という書き込みが。図書館の本に落書きするのは非常識ですが、他の人にも知って欲しいという落書き主の気持ちも分かるような気がするし、なかなかロマンチックな気もする。早速、ネットで探して聴いてみた。おもしろい雰囲気の曲だったし、物語にあってないこともないが、ちょっと未来っぽくないか?作品からレトロな風味を感じとった私には、しっくりきませんでした。<br>
     落書きは消さないでおおいてあげました。<br><br>

     装画が良い。中表紙に至るまでの色紙のブルーも綺麗だし、中表紙の絵も好き。ハードカバーの厚ぼったさもないし。カバーを取ったら(図書館の本は、カバーと本体が厳重に透明なシールでくっつけてあるからこういう時困る)、いい具合なイラストが描かれてるみたいだし。今まで見て来た本のなかで、最高の形だと思う。

  • 相変わらず、キャラクターの造形が凄い。ただ相変わらず「天災的なカタルシス→大団円」てのがなー。

  • はじめてのいしい作品。予想以上の世界観に入り込むのが大変でした。どこがいい?と聞かれれば、具体的には挙げることが出来ない。でも漠然と何か「素晴らしい」と思える作品。ポーの台詞一つひとつが好き。

  • うなぎ女。ひまし油とメリーゴーランド。
    色んな読み方ができてよい。

  • まだ読んでいない方はこの感想を読まないで下さい。シュールないしいしんじの世界。スフスフ、スフスフ。泥の中の気泡が湧き上がるようにいしいしんじの世界は胸の奥に入り込んでくる。第一部混沌とした泥の川に棲むうなぎ女から生まれたポー。純粋な母の愛に包まれて育ったポーは無垢の存在。うなぎ女たちの言葉にならない言葉から川での暮らし方を学んだポー。ただ母親たちの言葉のなかにも解らないものがある。手に触れず、見えも聞こえもしないもの、「たいせつなもの」成長したポーは下流に出かけそこでメリーゴーランドやその妹ひまし油と出会い、川の外、陸の生活を知る。「罪悪感」を知り、「つぐない」を知る。500年に一度の大洪水に町は泥の川の中に飲み込まれる。ポーは母親たちと別れ下流へと旅立っていく。洪水でおぼれた人々を助けこの世のバランスを守ったうなぎ女たちは上流へと帰っていく。この泥川はポーに繋がっている。同じ空を見ている。ポーの幸せを願いながら去っていく母親たち。何か象徴的。そこには成長していく子どもが親離れしていくのを見送る母親がいる。ああ、メリーゴーランド、昼間は女たらしの電車運転手、夜は泥棒のメリーゴーランド。彼が盗むものは一度限りベットを共にした女たちの記憶がカラーから白黒に変るころその女たちが大切にしている思い出の品を一つ。これも何か象徴しているよう。メリーゴーランドの記憶が消えていくときにそれまで大切にしてきた記憶をとどめる品物を盗んでいくなんて。彼は淋しがり屋で優しい男、「こんばんわ奥さん」私の耳元でもささやいて言ったらしい。第二部天気売りと一緒に下流に流されてきたポーは犬じじと出会う。「ひとがなにかをつぐなおうって頭で思うとき、それはだいたい、自分のこころを慰めるためにやっているんじゃないか。・・・つぐないようのないことがこの世にはいくらでもある。」そんな猟師の犬じじは黒犬子どもの目で猟をする。犬じじの孫の少年はどの鳥にもそれぞれぴったりのその鳥らしい巣箱を作っている。罪悪感の塊のような女ぬすっと、その死から死者を大切に扱うことをポーは教えられる。犬じじと女ぬすっとと孫の間にある過去が想像されその死を乗り越えた少年の成長が感じられる。さらに川を下り出会う埋め屋の夫婦、天気売りの才能が生かされる。天気売りはここではそれぞれの頭の上にある空はばらばらだと感じる。おなじ空を分かち合っているからこそ空を通じ繋がっていたはずなのにばらばらの空の下では何が間違って何が正しいのかもわからなくなってくる。火事の中天気売りは「たいせつなもの」をとりに火の中に入っていく。そして投げたのはポーの女人形。天気売りのたいせつなものはポーだったという事か。第三部とうとう海に流れ出たポー。老人たちの暮らす浜辺にたどり着く。老婆もまた母であり、老人たちが海の息子と娘たちであることを知る。ことを知る。毒の吹き出る洞窟に棲むウミウシ娘たち。ポーの辛い選択。一番こころが震える。ポーはずっと奥の深いところにもぐりこの世とあの世の境を知ったのか。大うなぎはポーの内側に入ることでポーを救ったのか、失ったのか。「たいせつなもの」それはポーにとってなんだったのか。かなしくてたいせつなものをしったポー。だがもう手に触れず、見えも聞こえもしない大切なものが何なのかポーにはわかっている。三部のどれものクライマックスにキュンとなる。それはひまし油の大切なもの(人)だったり天気売りのたいせつなものだったりポーのたいせつなものだったり。そして最後にそれぞれのその後とうなぎ女たちが返って来た泥の川に新たなポーが生まれ、新たな物語が始まる予感で終わる辺り、川の水は流れ海にたどり着きやがて空に上り雨となってまた戻ってくるそんな循環を思い出させる。ストーリーに惹かれ大急ぎで読んでしまい、しまったと思いもう一度読み返してしまった。なのに2度目も新鮮という事は以下にあわてて読んでいるかという事か。反省。07・4・26

  • 2007年10月29日読了。泥川で生まれ、うなぎ女に育てられ、泳ぐこととうなぎを捕まえる事以外は何も知らなかったポー。彼が生まれ育った故郷から巣立ち、様々な人との交流を経て成長をしていく物語。

  • 最初から最後までぼんやりとした世界の中でのお話。不思議なことばかりなのになんだか全部が当たり前に見えます。分厚いけど気がついたら読み終わってるかんじ。

  • スフスフ、スフスフ。
    今までのいしい作品とはなんだか違う感じ。読むと、それぞれのエピソードに込められたものが滲み出してくる。メリーゴーランドが好き。

  • 善人らしい善人は出てこない。悪人らしい悪人もでてこない。
    残酷なような気がする。優しいような気もする。
    全体を貫くのは水のイメージ。

    如何とも形容しがたい。しかしなんとかオススメしたい。
    童話でもなく寓話でもなく、ひんやりと温かい泥の温度。の、ようなお話。

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著者プロフィール

いしいしんじ
1966年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。
2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、
16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。
そのほか『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『四とそれ以上の国』『海と山のピアノ』など著書多数。
趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2019年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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