俺俺

著者 :
  • 新潮社
3.08
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本棚登録 : 823
感想 : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104372034

作品紹介・あらすじ

マクドナルで隣り合わせた男の携帯電話を手に入れてしまった俺は、なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった。そして俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺でない俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎてもう何が何だかわからない。電源オフだ、オフ。壊ちまうす。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて-。孤独と絶望に満ちたこの時代に、人間が信頼し合うとはどういうことか、読む者に問いかける問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 石田徹也さんのイラストと、謎なタイトルにひかれて読み始める。
    マックで隣合わせた男のミスで、ひょんなことから携帯を盗んでしまった俺。その携帯の持ち主に電話をかけてきた母。
    魔が差した俺は、息子に成り済まし借金があると話し母親にお金を振り込ませてしまった。
    翌日、家に帰ると知らないおばさんが部屋に入りこんでいた。
    どうやら、おばさんは俺のことを携帯の持ち主の息子だと思いこんでいるらしい。
    その日を境に、俺が増えはじめる。
    不安になって、自分の実家に帰省してみたら、別の俺が住んでいた。
    俺と俺と俺と俺と俺。まわりは全部俺だらけ。
    思考が追い付かないまま、終盤へ。
    いつのまにか、俺をとりまく壮大なストーリーになっていた。
    不思議な読後感であり、理解しがたい後味の悪さが癖になりそうな作家さんだ。

    • ゆうママさん
      こんにちは!
      ----俺、俺、俺、俺?
      不思議な本を見つけましたね。
      頭がこんがらがってしまいそうです。
      実家に他の俺なんて、「どけ!ここは...
      こんにちは!
      ----俺、俺、俺、俺?
      不思議な本を見つけましたね。
      頭がこんがらがってしまいそうです。
      実家に他の俺なんて、「どけ!ここは俺ン家だ」といいそうです。
      次の本も楽しんで下さいね!
      (*^.^*)
      2021/06/29
    • 奏悟さん
      ゆうママさん

      初作家さんでしたが、すごく不思議な本でした。
      他の作品も読んでみようと思ってます( ´∀` )b
      ゆうママさん

      初作家さんでしたが、すごく不思議な本でした。
      他の作品も読んでみようと思ってます( ´∀` )b
      2021/07/01
  • 上手いなあー
    テンポもちょうどいい。楽しく疲れず勢いづいて読める。面白い。長さも最適。

  •  「他者のいない楽園」への欲望とその崩壊を描く。「氷河期世代」以降の人びとの抱える孤独感やアイデンティティの危機、弱肉強食的社会の矛盾、ナショナリズムの現況と予想される末路をうまく戯画化している。作中太字で表記される「俺」「俺たち」を「日本人」と読み替えるとこの作品が理解しやすくなる。

  • 【515】

    アイデンティティの喪失がテーマだと思われ。
    中盤までの3人でわいわいやってるとこまでは、面白かった。ミステリーでもなんでも解決しそうな展開だった。

    でも削除っていう、バトロワシステムに入ってからはなんだろう。解決するわけでもなく、解決しないわけでもなく終わってしまった。

    全体的には嫌いじゃない。

  • 出来心から俺俺詐欺をしてしまった”俺”は、奇妙な日常に突入する。”俺”に出会ってしまう、そして”俺”は増殖し、”俺”達は殺し合いを始める…。
    という話。

    シュール…。シュールすぎて意味が分からなかったけれど、なんとなく言いたいが分かるような気がした。
    他人と自分の境界線、時々なくなってしまうような気持ちなることがある。
    そういう部分を強調した作品だろう。

  • 最初は他の「俺」といると安らげたのに次第に恐怖や憎悪を抱いていくさまに引き込まれあっという間に読み終えてしまった。最後にこちらに語りかける口調になって怖かった。映画化をキッカケに出逢えた本。亀梨和也くんに感謝。どんな映像になるのか楽しみ。

  •  オレオレ詐欺が真に恐ろしいのは、両親が電話の主が自分の子どもかどうかわからないことだ。両親が自分の子どもを区別できないなら、自分が自分であることを区別できる人間がどこにいるというのだろうか。オレオレ詐欺は、現代人のアイデンティティーに深刻な疑念を投げつける。

     「俺俺」は、「俺」が増殖していくSF小説だ。実家に行くとそこには「俺」がおり、コミュニケーションの障害に悩んでいた「俺」は、「俺」との交流に満足を感じるが、やがて「俺」との間でも不協和音が生じ、無数の「俺」が出現するに至って、事態は急速に破綻へと向かっていく。

     この小説を読んでいると、読んでいる方もアイデンティティーの揺らぎを感じることにならざるをえないだろう。というのも、自分の意志が明確でなく、「場」に染まりやすいとか、コンプレックスの塊であり、自己卑下的で、しかしそれとは裏腹の高いプライドも持っているとかいった「俺」の性格は、読者の「俺」のものでもあるに違いのだから。この小説は、語り手の「俺」と読者の「俺」が混線していくことも明らかに狙いとして持っている。

     そのことを考え合わせると、「俺俺」が読者参加型のリレー小説というツイッター企画の素材として提供されたこともおもしろい。読者が書き手となり、「俺」となって、無数の「俺」を書き継いでいったということなのだから。ここでは、「主体の揺らぎ」についての幾重もの実験がある。

     「俺」という主体の自己同一性の不確かさを小説において展開した意欲的な実験作と言えるだろう。

  • クロマニョン人の夜明けみたい

  • 中3の女子が面白いから読んでみてよというので、読むことに。今の中学生ってこんなのが面白いのかと思いつつ読み始めるが、いつまでたっても話に入り込めない。電車で読んでいてもすぐに眠くなるし、ダラダラと時間がかかってやっと読了。

    カメラマンを目指していたが諦めて今はカメラ売り場で正社員として働いている永野均は、成り行きで携帯電話を盗んだ。そしてそれを使ってオレオレ詐欺をはたらいて、100万を携帯電話の持ち主の大樹の母親から振り込ませる。
    でも、気づいたら俺、均は母親にとって大樹になっていた。そして、自分の永野の実家に行くと別の永野均がいて、母親は自分のことが分からなかった。それがきっかけで俺は別の俺の均と大学生の俺に出会い、自分故に分かり合える3人で楽しく過ごす。でもやがてそこら中に俺がいて、俺の嫌な部分を別の俺に見せられる。
    やがて、俺ばかりで埋め尽くされてお互いに削除しし合うようになる。

    大人のせいか、この話の意味とかいろいろ考えてしまう。
    自分を受け入れられない、自分を信じられない、だから、人も信じられないのかとか。でも、結局分からない。意味はないのかも。

    最後に殺し合わなくなるところは、人類が誕生して社会を最初に作った人たちのようだ。
    表紙は不気味で面白い絵が使われている。この本の内容にぴったり。
    不思議で不気味で、だるい。

  • あるところで『安部公房が好きな人」にオススメです』という紹介文を目にして読んでみました。
    確かにね。
    しかし悩ましい作品です。読了しても整理がつかず、他の人がどう感じたのかネットで検索してみました。そうしたらこれもバラバラですね。色んな人が色んな受け止め方をしている。

    "俺"の周りの人間が次々に"俺"に変わり、"俺"は他の"俺"になり、記憶でさえ混線する。増殖し続け"俺"だらけになった果てに"俺"同士の殺し合いが始まる。と言うのが粗筋。なにせ主人公の永野均が檜山大樹と言う別人に変わり、会社の同僚達おろか自分の記憶さえすり替わって行く。一方では別の永野均が現れ、さらにまた別の永野均を名乗る学生が出てきて・・・・。書けば書くほど読んでる人には判んなくなる(笑)。

    安部さんがその作品の中で、名刺に自己を奪われたり、マスクをかぶることで人格が変わったり、コンピューター上に自己の複製を作ったりして「人間の存在の不確かさ」をテーマにしたように、この小説も他者との混和による「アイデンティティの崩壊」を描いて居て、そういう意味ではよく似ています。星野さん自身が影響を受けた作家の一人に安部さんの名前を挙げてますし。ただ、安部さんが何処か内面に深く沈み込んでいくような物語なのに対し、この作品はやや外向的で毒々しくスラップスティック感があります。

    でもそれだけでは無く別の要素もありそうな気がします(これが頭の整理がつかない原因)。
    では、それが(何せ世の中が"俺"だらけになる物語なので)「画一化・均質化する大衆批判」かといえば、どうもそれについての批判や分析的なものは見られず、突っ込んでいません。むしろその先にある「同族嫌悪(=自分の嫌な部分を他者に見出し、激しく攻撃する)」なのかなと思えます。実際、物語の前半では3人の"俺達"が仲間意識で強く結びつくのですが、次第に嫌な部分を見つけ、"俺達だらけ"の中で無意味な殺し合いが始まり、終盤ではカニバリズムまで出てきちゃう、相当なものです。
    ただ、それについては割にシンプルかつ直接的に原因や結論が書かれていて、ならばこれほどの長編では無く、短編から中編でも十分だったのではないかと思ってしまいます。エンディングに描かかれるディストピアからの脱出もやや安直な気もします。

    しかし、この小説、映画化されてるんですね。そりゃ無茶でしょう。誰が誰なのか混然とし、頭がグチャクチャになり、しばしば前を読み返さざるを得ないような話ですから、映像化したらさらに混乱。それともスラップスティック・コメディ化したのかな。

    色々書きましたが、他に無い不思議な面白さを持った話で、最後まで緊張感を持ったまま読ませて貰いました。

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著者プロフィール

星野智幸

一九六五年(昭和四〇)、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、新聞記者を経て、作家活動を始める。九七年「最後の吐息」で文藝賞を受賞。二〇〇〇年「目覚めよと人魚は歌う」で三島由紀夫賞、〇三年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、一一年『俺俺』で大江健三郎賞、一五年『夜は終わらない』で読売文学賞、一八年『焔』で谷崎潤一郎賞を受賞。その他の小説に『ファンタジスタ』『植物診断室』、エッセイ集に『のこった もう、相撲ファンを引退しない』、自選作品集『星野智幸コレクション』(全四巻)などがある。

「2020年 『だまされ屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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