俺俺

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 191
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104372034

感想・レビュー・書評

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  • 今、まさに、俺俺時代なのかもしれない。
    私だって、自分以外の他人に会えば、電源をオンにしなくちゃならない。

    自分と他人の境目あってないようなものなのか。

    でも、自分には結婚とかできないんだよな。

  • 他者とは結局は分かり合えない、
    とはいえ、意外と同じことを考えていたりするもの。

    自分は他人とは違う、唯一無二の存在である、
    という自我は誰もが多かれ少なかれ持っていて、
    その自我を守りたいがために誰かを傷つけてしまったり、
    自我が傷つけられたことで自分そのものを亡きものにしてしまったり。

    でも「自我」なんて本当はたいしたことなくて、
    特別だとおもっている「自分」と同じことをしている人なんて、
    ゴマンといるのだ。

    著者が込めた思いはもっと色々あるだろうけど、
    わたしに残ったのは以上のことで、
    自分の思い上がりとか、ぐちぐちと無駄に悩んでしまう
    「自我」について、たしなめられたように思う。

  •  ふとしたはずみで「俺俺詐欺」に手をそめた「俺」は、みるみるうちに存在の確かさを失っていく。文字通り、誰とでも入れ替え可能な自分。星野智幸、今まであまりいいと思ったことがなかったけど、この発想には度肝を抜かれた。
     アイデンティティの喪失という、くりかえし書かれてきた陳腐なテーマに陥りかねないように見えながら、「どうせ他人とはわかりあえない」という絶望と、「自分を完全にわかってくれる誰か」を求める甘さは、たしかに、今この社会にある空気を映し出している。
     何も説明する必要がない、完全にわかりあえる「俺」たちのユートピアは、その瞬間から、妙にリアリティのある悪夢へと転じていく。殺人事件の記事が数行の死亡告知のように羅列されている新聞など、すでに存在していそうで怖い。固有の名前がどんどん意味を失う一方で「マック」などのブランド名が頻出するのも面白い。
     誰もが自分、だからこそ信用できない。ここに映し出されている他者の否定と鏡合わせになった自己否定は、何か大きいものに抱きすくめられることを望みながら、外国人やホームレスを襲撃するひとたちが抱えているものに通じている気がしてならない。
    これほど巧みに、今の社会の底にうごめいている気分を描き出した作品なだけに、最後の終わり方はいささか蛇足では。物語を「今」から切り離すことで、もしかしたら作者は、戦前のファシズムといった歴史を意図的に想起させようとしているのかとも見えるが、それはあえて必要のないことではなかったか。この奇妙な寓話の意味は、もうしばらく「俺」たちの脳内でぐるぐるさせておいた方がよいだろう。

  • ものすごくナンセンスな話かと思いきや、均一化された人間への警鐘とも取れる意外と深い話ですよコレ。「人は人と無意識の領域で繋がっている」とか倫理で昔習ったような気がするんですけども、そんなことを思い出しました。俺らの見た目は全然違う、となってましたが、ついつい同じ顔の大群を想像してしまって、立派にホラーだなぁと思った^^; にしても、1日に2回もマクドとか絶対無理!(笑)

  • なんだこれは・・・と思いながら、気づくと夢中で一気読み。

    だんだんと‘俺’が蔓延していく(まわりが‘俺’ばかりだと気づかされる)感じとか、微妙にズレていく感じとかがおもしろかった。

    終わり方も悪くなかった。

  • いちいち、おもしろかった!

  • 生きていく中で、自我というのは絶対的だと錯覚している。
    小さなきっかけから俺が他人になっていき、俺の前に俺が現れる。
    唯一絶対的である「俺」が、いとも簡単にずれていく。

    読んでいて、俺と一緒にいつの間にか視点がズレていくのが面白いと思った。
    とにかく設定が良い。でも途中でふろしきを広げ過ぎてついていけなかったのが残念。

  • 俺が違う俺に出会う話

    さくっとよめた
    後半はぐだった

  •  去年の話題作。
     ある日、俺が「俺」でなくなっていることに気づく。さらに赤の他人が「俺」として現れたかと思うと、周りにどんどん「俺」が増殖し始める。他人の中に自己を投影しては同一化していく「俺ら」は、意思を持たない魚の群れのようにもたれ合い、やがて同調できない者を排除し始める。そして、ついに「俺」同士で命を奪い合うようになり、社会は崩壊する。

     何げない日常の中で、俺がいつの間にか他人に変容していくところから、すとんと世界が転回するところは非常にシュールだった。
     一個の集合体となりながらも自分のアイデンティティにしがみついて生き延びようとする「俺」、人の役に立ってはじめて自分の価値に気づく「俺」の姿は、ありきたりだけど、作者のメッセージとして象徴的だった。

  • 凄い展開。冒頭のシーンであまりの有り得なさに読むのを止めようかと思ったが、最後まで読んで良かった。

著者プロフィール

星野智幸(ほしの ともゆき)
1965年ロサンゼルス生まれ。東京都立戸山高等学校、早稲田大学第一文学部文芸専修をそれぞれ卒業後、産経新聞社記者に。1991年産経新聞社を退職、1991年から1992年、1994年から1995年の間、メキシコに留学。1996年から2000年まで、字幕翻訳を手がけていた。
1997年「最後の吐息」で文藝賞を受賞しデビュー。『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、『俺俺』で大江健三郎賞、『夜は終わらない』で読売文学賞、『焰』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞している。

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俺俺 Kindle版 俺俺 星野智幸
俺俺 (新潮文庫) 文庫 俺俺 (新潮文庫) 星野智幸

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