楽隊のうさぎ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104377015

感想・レビュー・書評

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  • 文章が読みにくくて何だか苦痛…
    視点がコロコロ変わるくせに、その対象が明記されてないから分かりにくい。
    場面の展開も唐突ですぐには分からない。
    何となく、この著者の文は私に合わないかも…。

  • 芸術の秋特集で図書館に飾られていた表紙に惹かれて内容も知らずに読みはじめてみたら、中学校の吹奏楽部が舞台。入部するまで楽器に触ったことも無かった主人公の少年が合奏を創り上げる過程でみるみる成長していく様には胸が熱くなり、コンクール直前の緊張感から曲が始まり演奏を終えるまでの高揚感、達成感には思わずブラヴォー!拍手喝采‼︎
    (保護者として)ばっちり管弦楽部に関わった身には感動もひとしおの読後感。

  • 悩みを一人胸のうちに抱え込むことに慣れてしまった少年が
    中学校進学後、吹奏楽部の打楽器奏者として
    周りのメンバーたちと交流していくなかで、
    心の成長を遂げていく物語。
    ストーリーは吹奏楽部の練習を中心に、これまでの交遊関係の変遷とか、親との関わり方の変化とか、主人公の言動を変えるきっかけが少しずつ散りばめられつつ進んでいく。

    物語最初の方は、視点の入れ替わりが少しわかりにくかった。

    主人公がコンクール本番に上履きを履いてきたり、マレットをすっ飛ばしたり、
    練習で暴走集団となる生徒たちの演奏をベンちゃん(顧問)が必死になって抑え込んだりするエピソードの所など、随所で笑わせてもらい、

    最終章、全ての力を注ぎこんで全国大会の本番に臨み、今持てる力を出し切って演奏を終わるシーンでの爽快感のあるフィナーレだったが、
    欲を言えば、もう一つ二つ、エピローグ的な話を読みたかった気がする。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「家族・人間関係」で紹介された本。

  • 「君、吹奏楽部に入らないか?」「エ、スイソウガク!?」―学校にいる時間をなるべく短くしたい、引っ込み思案の中学生・克久は、入学後、ブラスバンド部に入部する。先輩や友人、教師に囲まれ、全国大会を目指す毎日。やがて大会の日を迎え…。感動の物語。

    紹介文より

  • 克久が入浴前にパンツ一枚で洗濯機をスティックで叩いていたら、それを見た母が一言、「ねえ、こんど、トランクス、買ってあげる。」このお母さん好きです。

  • 最後にうさぎはどこかへ行ってしまっていたけど、うさぎの応援?とともに成長していったカッチンこと克久のどこかユーモラスな語り口と共に繰り広げられる中学生活、特に吹奏楽部のあれこれが、シリアスでもあり楽しくもあり、みんなそれぞれ生きてるなあってしみじみ思えた。ベンちゃんが指揮台に立って晴れがましいうれしそうな顔をした時、こちらまで感動した。

  •  小学校ではいじめられっ子だった克久は、心を閉ざし、塗り固めるのが上手な少年になっていた。
     中学校では、学校にいる時間を出来るだけ少なくするため、部活に入らないつもりでいた。しかし、花の木公園で不思議なうさぎを見たこと、吹奏楽部の男子3人の先輩の勧誘を受け、花の木中学校のなかでも、もっとも練習時間の長い吹奏楽部に入ることになる。

     パーカッション(打楽器)パートの克久が、練習に打ち込むなか、なにかをつかんでいく姿、個性的な吹奏楽部の顧問で指揮者でもある森先生や、仲間と音楽をつくりあげていく過程で、それぞれ成長していく姿がかかれている。

     ところどころに出てくるうさぎが、ファンタジー感を出しています。

  • ブログ「袖ケ浦在住非破壊検査屋」2013/5/16の投稿  (「中沢けい「楽隊のうさぎ」読了 →  hhttp://niwatadumi.at.webry.info/201305/article_4.html )

    小説家・中沢けい さんは高校の先輩なのだけれど、処女作「海を感じる時」の後の作品は読んでいなかったのです。いや、「野ぶどうを摘む」は読んだ気がするけど内容が思い出せません…。10年以上前の作品である「楽隊のうさぎ」を今になって手にしたのは、この小説が楽器の街・浜松(あ、バイクじゃないんだ…)を舞台に映画化されると耳にしたから。動機は単なるミーハーなのでした。



    さて読み終えてまず感じたことですが、文壇デビューから20年以上経て書かれた作品はやっぱり処女作とは違いますね。文章に険がなく、文脈に内包された信じているものへのこだわりや、それらの押しつけは「純文学」だけにうっすらと感じられるけれど、終始穏やかに滑らかに綴られていました。と、読む方も同様に昔とは感じ方が異なりますからね。
    お互いにいろいろな人生経験を経て、知らず変わったところもあるのでしょう。
    読書の良いところは自分の成長につれ感じ方捉え方が進化するところだな。



    それはそれとしてこの作品、極めて日本映画らしい映画になりそうな気がします。

    僕はアメリカのSFやサスペンス、冒険ものといった、深く考えなくていい映画が好みで、逆に観る側に思考を要求する邦画の傲慢さが好きではありません。アタマが良くなきゃ鑑賞できない映画なんて、というのは単なるヒガミかもしれませんけど。



    というわけで、小説自体は読後感爽やかで、重苦しくなくて良かったです。部活動でブラスバンドをやってなくても、クラシック音楽を聴く習慣がなくても、中学時代を経験した人ならば読んでみて何か胸に残るはず。僕は続編も読もうと思います。
    映画は…どうかな、家内はともかく、ムスメは主人公と同じ中学生ながら「俺妹」や「レールガン」だからなぁ…。



    なお、読書感想文みたいな日記をタイピングしていたら、三十数年前、木造校舎の片隅にあったウナギの寝床のような文芸部の部室を思い出しました。先日はニセアカシア並木でした。次は何を思い出すかな…。

  • 装画 / 鍋倉孝二郎『春惜』油彩/板絵/1991年(所蔵 石井美樹子)
    装幀 / 新潮社装幀室
    初出 / 北海道新聞・東京新聞・中日新聞・西日本新聞・河北新報・神戸新聞に1999年8月〜2000年2月連載。

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著者プロフィール

中沢けい(監修)
1959年神奈川県横浜市生まれ。小説家。法政大学文学部日本文学科教授。一般社団法人K-BOOK 振興会代表理事。明治大学政治経済学部卒業。1978年第21回群像新人賞を『海を感じる時』で受賞。1985年第7回野間新人賞を『水平線上にて』で受賞。
代表作に『女ともだち』『楽隊のうさぎ』『月の桂』などがある。

「2021年 『茶をうたう 朝鮮半島のお茶文化千年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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