脊梁山脈

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 200
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104393053

作品紹介・あらすじ

23歳の終戦、いかに生き直すか。直木賞受賞作『生きる』から十年、著者初の現代小説。福島県費生として上海の東亜同文書院に学び、現地入営した矢田部信幸。七年ぶりに戻った祖国は灰燼に帰していた。復員列車で助けられた男をたずね、深山を巡るうち、木工に魅せられ、その源流とこの国のなりたち、暮らしのありようを辿ってゆく。戦争の爪痕、男女の機微、歴史観……重さと艶が違う、第一級の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 三浦しをんさんの書評を読んで以来、ずっと読みたかったのだが、なかなか手が着けられず何度も図書館で借り直したこの本をやっと読みました。
    戦後の引き上げ列車でお世話になった人を捜すというストーリーだが、その捜し当てるまでが長く、話が脇へ逸れまくって途中で本当に再会するのだろうかと不思議に思うような内容だった。主人公が終戦直後こそ畑を耕し貧困に苦しんだが、その後叔父からの遺産により働きもせず、自己満足な目録を作るために母親を放り出して旅行に行きまくってる姿はなんだかなぁ…。でも、不真面目とか怠惰な印象はなかったので(^_^;)
    私は以前宝塚で蘇我入鹿のお芝居を上演してから、入鹿有能説推進派なのだが、この主人公の解釈はなかなか斬新で面白かった。

  • 素晴らしい。
    物語、人物、文章、どれもこれも言うこと無し。

    戦後の痛み、木地師の世界、山の描写、男女の悲哀、古代史への考察、
    これらがしっとりと重なり合い、ゆっくりと進みながらも、
    要所要所で心乱され、どんどん惹き込まれていく。

    佳江と多希子、そして母、
    女は強く、痛々しく、現実を受け入れ、生きていく。
    それに比べて信幸の何と甘いことか。
    男ってなんでこう夢想の中で生きていけるのか。
    しかし、そこからこそ生まれるものもある。

    蘇我氏王家説は、面白かった。
    歴史は改変される。結局真実は分からない。
    それでも、人はそれを求めずにはいられないのだと思う。

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  • 木地師の歴史は韓国渡来人ではないか、という説の探求でもある小説。説の探求にしても、小説の出来としても、実に中途半端。

  • 福島県費生として上海に学び、その地で入営した矢田部信幸が、大陸からの復員列車で助けられた男・小椋康造を探し深山を巡るうち木工に魅せられ、木地師の源流を探す旅を始める。それは、23歳で終戦を迎え、世の中に放り出された男が生きるということを見つめなおす、再生の旅でっあった。

    「ロゴスの市」でその文章の美しさにひかれた乙川さんが大佛次郎賞を受賞した話題作ということで手に取った。
    信幸、信幸の母、画家の佳江、芸妓の多希子、それぞれの戦後は女は強くたくましく、男は・・・。
    期せずして伯父の遺産を引き継ぎ、戦後の苦労も知らず働かずして生きていける信幸の人生が定まらないことには鼻白む思いもあったが、木地師の源流を明らかにする10余年にわたる旅は生活の心配がない人間にしか出来なかった仕業で、それはそれなりに価値があったのかなとも思う。

    途中、大化の改新あたりの史実とされている説に大胆に異論を呈するあたりは、本作における壮大な寄り道ととって、読み飛ばしたりしたけれど、歴史好きにはたまらない部分であるかもしれない。

    近江を起点に、良木を求め深山を転々としていく流浪の民、木地師が各地に流れ着いた歴史のくだりは胸を打つものがあり、一本の木に対する敬意や木目へのこだわりなど、お仕事小説の面も併せ持ち、木工品への見る目が変わったように思う。

    戦後15年を経ても未だ終戦はこないという康造。彼は決して稀有な存在ではないのだろう。

    ーー自ら作りえなかった民主国家を謳い、発展に酔い、戦争を忘れていくのは国で、その実態は権力欲と利己心に冒された野心家の群れであろう。・・・康造のような人は大勢いて、彼らは戦地の惨劇を自身の過ちとして悩み続けるーー

    美しい言葉で多くのものを盛り込んだ壮大な物語でした。

  • 復員列車で世話になった小椋という男を捜す主人公が、やがて木地師の世界にのめり込み、信州、近江、東北を訪ね歩く壮大な物語。
    お金と時間があり余り、左団扇の主人公は妙に老成。まるで浮き世離れしたご隠居さんのようでした。これで、20~30代とは…。一方で、戦後を精一杯生きる女性たちのたくましさが目を引きます。
    古代史の記述が異様に長~い。そのためか、最終章は駆け足です。海外に渡った佳江のその後が気になりました。

  • 品のある小説なのはわかるけど、なんとも重くて続きませんでした。

  • みうらしおん氏絶賛。

    読みづらい内容・文体・ことばなのに
    なぜか惹かれてしまう内容。

    人生観・歴史観・恋愛観・芸術観など多岐にわたって影響をうけた。

    この内容が面白いと思うのは、私が年を取ってきた証拠かもしれないと思うと少し悲しい。

    硬派な小説なので、時間を空けてもう一度読んでみたい。

  • 大佛次郎賞,という感じ。私には難しかったけど,理解できるところがあるのが有り難かった。読後感も良い。
    こんな風にして生活していける人がいるんだなぁと嫌みじゃなく思いながら読んだけど,最後,そういう人に存在してもらうことも重要なんだろうなと思った。

  • 大陸からの復員列車での出会いが信幸の人生に大きな影響を与えていく。
    本地師を探し深山を巡り木工に魅せられ、そしてこの国の成り立ちを紐解いてゆく。

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著者プロフィール

1953年東京都生れ。96年「藪燕」でオール讀物新人賞を受賞氏デビュー。97年「霧の橋」で時代小説大賞、2001年「五年の梅」で山本周五郎賞、02年「生きる」で直木三十五賞、04年「武家用心集」で中山義秀文学賞、13年初の現代小説「脊梁山脈」で大佛次郎賞を受賞。16年「太陽は気を失う」で芸術選奨文部科学大臣賞を、17年「ロゴスの市」で島清恋愛文学賞を受賞。著書に「トワイライト・シャッフル」「R.S.ヴィラセニョール」など。

「2018年 『ある日 失わずにすむもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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