トワイライト・シャッフル

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 148
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104393060

作品紹介・あらすじ

歓楽の灯りが海辺を染める頃、ありえたかもしれない自分を想う。『脊梁山脈』で「戦後」を描き、大佛賞に輝いた著者の「現代」小説。宝石のような時間もあった。窮屈な現実にも追われた。まだ思い出に生きる齢でもないが、やり直せないところまで来てしまったのか。房総半島の街で自己を見失いかけ、時に夢を見、あがく、元海女、落魄したジャズピアニスト、旅行者、女性郵便配達人、異国の女……「これぞ短篇」「珠玉」としか言いようのない滋味あふれる13篇。

感想・レビュー・書評

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  • 短編小説13篇、心地良く進む物語がどれも文量の程が良い。

    なかなか馴染めないと言うものがいくつかはあるものだが、この短編集はどれもそんな人達が…と心に染みを作っていくようだった。

    最初のインザ・ムーンライトは、引退した海女の話だが「えーそれは墓場まで持ってって!」なんてちょっとイラッとしたものだから筆者の勝ちだわね。
    どれも房総の海にまつわるお話しだけど、自分を律して行けそうだと感じるものが多く、次のお話を読むのが楽しみでならなかった。
    病気をした女性の話では、仕切り直して女に戻ってから次を考えらば良いと思えたのも私には学びになった。

  •  乙川優三郎「トワイライト・シャッフル」、2014.6発行、短編13話。いずれも房総(外房)が舞台、漁師町であり、別荘地であり、観光地でも。月の砂漠もあるとしたら、御宿でしょうか。短編の内容自体はあまり好みではなかったです。海女の生き方を描いた第1話「イン・ザ・ムーンライト」が良かったです。

  • 短篇集で読みやすかった。
    どの作品も正直で、気取ったところがなくて、すごく良かった。
    女性が靭く、男性が最低なところも良い(苦笑)
    乙川さんの小説はトーンが好き。
    ☀︎
    乙川作品によく出てくる千葉県の御宿町は幼少から大学生まで頻繁に訪れていた場所で、海の家も手伝っていたし、人も場所も言葉も私にとっては馴染み深く、読んでいて変な気持ちになります。

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  • 老いた海女、亡き夫を偲び続ける未亡人、落魄のピアニスト・・・外房の小さな漁港の町を舞台に、人生の半ばを過ぎて来し方を振り返り、行く末を案じ、何かを見つけあるいは何かに別れを告げようとしている男と女の13の物語。

    「ロゴスの市」でも舞台であった外房の町。太平洋を見渡す解放感のあるロケーションにありながら、登場人物たちは一様に今の生活に閉塞感を感じている。
    海沿いに立つホテルやジャスを聞かせるバーというシチュエーションが海外小説を読んでいるかのような空気感を醸し出す。廃れた漁港の町の高台にできたアメリカ西海岸を彷彿とさせる別荘地の庭造り一つをとってもそれぞれの人生が投影される。女たちは潔く、男たちはどこか未練がましい。

    乙川さんの文体が好きだ。さらりと乾いた風のようにどこか遠くへと誘ってくれる。だからこそ、暗く、重い状況にある登場人物たちを描いていてもじめじめとしない。
    人生の終焉を迎えた女たちのそれぞれの決着のつけ方に自分の未来を重ね合わせ、しんとした気持ちで読み終えた。

  • 千葉県房総半島を舞台にした、綺麗に言えば大人の、悪く言えば年配者の生き方を描いた短編13掌を収録。
    作品ごとに出来不出来の差も激しく、例えば表題作なんかは「なんで表題に?」っと思うくらい凡庸なのだが、何篇かはすごくいい深い小説になっている。作者特有のキザな表現が上っ面か深みを増すか、どっちに作用するかが出来不出来の指標になっている感じ。

    冒頭作の海女さんの話、造園業者の話、休みを読書で過ごす女性の話、最後に収録された社長秘書の話…あたりは雰囲気印象も良くて、短編読みの醍醐味を堪能できた。

    男ってのはなんとも情けないなぁと思う短編多し。乙川さんの筆にかかるからなのかも知れないが…いや、自分を振り返っても、情けないことがどこか根底にあるのが、一つの男の特徴なのかも知れない。

  • 作者は時代ものから、現代恋愛ものに切り替えたが、私は成功したとは思えない。少し理屈っぽい。

  • 短編集。大人の男と女のあれこれ。バーでお酒を片手に語られているような、濃密な夜の雰囲気。どんな話だったかすでにほとんど覚えていないけど、読んでいる時は文章が綺麗で引き込まれた。静かな余韻が心地よい。

  • 最初の話が良かったなぁ。人生って年を取っても戦うって気力が大事やなと思った。
    そこで終わるの?っていう話もあって、余韻を感じたい部分もあった。まぁ、人生ってことについて考えさせるな。

  • ある者は夫のいない時間に「知らずにすんだかもしれない凡庸な人生」を目にし、またある者は「熱く生きて死ぬだけ」という当初の信条が急速にしぼみ、年々小さくなる自らの器を嘆く。「やり直せないところまで生きてしまった」と薄く笑う男や、休日は読書にひたすら没頭することで重たい現実を軽くし、生きている空間を色づかせる女など。房総半島のある小さな街を舞台にした連作で、いずれの短編も、奔放な夢や希望に満ちた足どりが、たそがれには目の前の地面だけを見つめ、その影に年齢以上の歳を感じるような重々しい歩みに変わるようで切ない。

    乙川の端正で簡潔な文体は相変わらずで、中には一段落ですべてを了解させる短編もある。「ひとりの失業者となった今も威風にこだわり、見栄を張る男は頼り甲斐のない夫に堕ちてしまったらしい。失った肩書きに代わるものを欲しているとしても、海辺の小さな街にそんなものは落ちていない。あと十年の人生かもしれないというときになって方向感覚を失い、足下を見つめ直すこともしない。そうして干涸らびてゆく男のために女は食事を作り、掃除をし、草取りをし、買物にゆき、隣人に無愛想を詫び、好きでもないロードスターを運転する」たまらないな。

    心に残った文をいくつか。「剥き出しのコンクリートは生活音を跳ね返して、かわりに柔和な感情まで冷やしてしまう」「夏がゆき、海の色の深くなるころ、馬渕光一の絵が完成して、宵のアトリエの空気を優しいものにした」「都会の夜の街にはそんな関係がどろどろしていて、痛みを伴う密やかな恋愛や不埒なりに抑制した情といったものはどこかへ追いやられてしまった。そこでは美しい嘘もつけない」「彼らの愉しみは優雅な旅行を語り、進行中の充足を美化することで、未亡人の過去を知ることではなかった。それはすぐに分かった」

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著者プロフィール

1953年 東京都生れ。96年「藪燕」でオール讀物新人賞を受賞。97年「霧の橋」で時代小説大賞、2001年「五年の梅」で山本周五郎賞、02年「生きる」で直木三十五賞、04年「武家用心集」で中山義秀文学賞、13年「脊梁山脈」で大佛次郎賞、16年「太陽は気を失う」で芸術選奨文部科学大臣賞、17年「ロゴスの市」で島清恋愛文学賞を受賞。

「2022年 『地先』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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