杏奈は春待岬に

  • 新潮社 (2016年3月22日発売)
3.11
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784104402052

作品紹介・あらすじ

初恋=最後の恋。この恋だけは、時空を超えると、信じている――。春待岬に建つ洋館。そこに住む少女にぼくは恋をした。でも、会えるのは桜の咲いている間だけ。なぜなら彼女は、時の檻の中に閉じ込められているから。彼女を救い出すためには、クロノスを――。オールタイムベスト級の感涙作「美亜へ贈る真珠」から45年。タイムトラベル・ロマンスの帝王が満を持して放つ、究極の恋物語。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公が人生をかけて、春待岬に住む、秘密を抱えた少女を守り、色々な人と協力して少女の願いを叶える物語だった。
    表紙のイラストや色合いが好きで、また、たった50ページでこの本の設定や本題に入る前に伝えたいことが全て書かれてあり、とても分かりやすく読みやすかったが、後半になればなるほど恋愛よりもSF要素が多くなり、読みづらかった。
    また、変な終わり方をしており、結局この本は何を伝えたかったのだろうかと少し思った。

  • 「つばき、時跳び」の元のタイトルが「つばきは百椿庵に」だったというので、似た雰囲気の物語を想像して読み始めたのだが、生涯をかけた初恋をした、初恋に一生を捧げた男の、あまりに一途な姿には、春と桜と海(岬)という風景とは真逆の影の空気を感じさせられる。

    さて、杏奈のことばかりが語られ、家族やまわりの人物との関係はまるで背景かのように味気なくしか触れられれず、特に梓との関係、梓の思いが男に(読者にも)明確に伝わってこないのは、時の間に閉じ込められた少女を待ち続け、流れ続ける時の中で時を止めてしまった男
    にとっては、周りの人間との時間の流れに差ができて、
    梓に限らず、自分を取り囲む人や世界は、まるで早送りのように流れ去って行ってしまっていた、のではないのか。
    そういった想像も踏まえると、ある重大で皮肉な秘密が隠されていて、男が時を止めてしまっているようで、時の速度差、老い、限りある人生という現実も容赦なくのしかかっていた男にとって、ラストはある意味での約束の成就、つまりは自分の人生からの一つの解放、であったのではないか。

    時の流れるスピードが異なる男女の姿は「美亜に贈る真珠」も思い起こさせる。あと「ジェニーの肖像」も。
    クロノスをジョウントできる(ようになる)人物が登場するのはちょっとしたご愛敬か。

  • 岬の洋館に桜の咲いている時期だけ現れる、時の檻に囚われた少女に恋した少年。
    彼女を救い出すべく、洋館に隠された壊れた"クロノス"をなんとか修理しようとするが……

    大好きだったカジシンのタイムトラベルものなのですが、ずーっと違和感抱えたまま読み終わってしまった。

    主人公がとにかく杏奈のことしか考えてなくて一生捧げてるのですが、その執念にちょっと引く。
    杏奈自体出現するのがほんのひとときな上、特にアクションのない展開で、一緒にいるのに謎の遠い美少女感をずっと漂わせているのであんまり感情移入も出来ないし。
    主人公のことを子供のころから好きだった医者の娘も、それやっちゃうかーだし。
    彼女の息子が病院から薬勝手に持ち出す展開とかありえないわーとか、ちょっとしたことが積み重なって楽しめなかった。
    カジシンってこんなのだったっけ……

    装画 / サカイ ノビー
    装幀 / 新潮社装幀室

  • カジシンらしいと言えばらしいのだが、終盤のあまりの辻褄合わせ的なご都合主義は物語として如何なものかと思った。

  • 初恋=最後の恋
    この恋だけは、時空を超えると信じているー。

    白瀬健志小学四年生の10歳。
    祖父母の住む天草の西にある海辺の町で春休みを過ごすことになる。
    町の人々が春待岬と呼ぶ美しい桜並木が見える岬の、
    突端部分に洋館が一軒だけ建っていた。
    そこに住む美しい年上の少女に僕は一目惚れした。
    でも、その時は知らなかった。会えるのが桜の咲いている間だけなんて…。
    それが彼の人生を変えてしまう。
    彼女は17歳の杏奈。彼女が明彦兄さんと呼んでいる人は老人だった。
    数年を経て明かされた真実。
    杏奈と兄の明彦は遥か未来からクロノスで逃げて来た。
    しかし、杏奈だけ時間の狭間に捉えられてしまった。
    時の檻の中に閉じ込められて桜の咲いている間しかいられない…。

    健志は小学生から一途にずっと杏奈だけを想って過ごして来た。
    その健志を一途にずっと想ってた梓…。
    梓の想いも切なかったなぁ。
    健志は桜の時期のその数日間があるからこそ生きていけた。
    そして大人になって、杏奈を救うために杏奈と結ばれることを願い
    クロノスの修理に全力を注ぐ。
    だが願い果たされぬまま時間は流れ自分だけ老人になって行く。
    杏奈との年齢にドンドン差が出来る事への焦り、諦め…切なかったなぁ。
    春待岬の屋敷で過ごす事によって、実年齢より数倍の速さでの老化。
    明彦・健志・梓・浩志・杏奈…それぞれの想いが切なかった。
    でも、健志の一生は無駄じゃなかった。
    とっても幸せな人生だったんじゃないかって思った。
    タイムトラベル…SFと純愛。余りにも無垢な純愛。
    切ないけど素敵なお話でした♪

  • これをハッピーエンドととらえるかは、人それぞれ、誰に一番感情移入したかとかでかわるのかなぁと思いました. 健志が年老いていってしまう悲しさ、少しでもなにかあれば梓と健志か結ばれる未来があったのではと思う虚しさ.健志は少しでも違っていれば浩志の立場になれたのではという気持ちと、この結果の為に健志はあの時杏奈に出会ったのだという気持ちが渦巻きました.

  • 中高年の根源的な少女愛と、年をとった者にしか書けない恋愛感情の変遷と、愛がいかに呪いへ、約束がいかに束縛へと変質するかを感じた。
    袋小路の状況をいかにラストまでにまとめ上げるのか、ただそれだけが気になって読み進めた。最後の20ページほどは食傷抱えながら根性で読了した。
    SFにしては終盤に緻密さが欠け、仮説と博打にすぎないものが知らぬ間に確実な唯一解となり、科学ではなく愛のパワーでどうにかなりましたといったような大味感。
    現在の彼らはそれでいいかもしれんけど、当たり屋か山賊めいたやり方でアレを奪取されるアッチのことはどうでもいいのかよ…
    記念となるこの夜に化粧を施したら素顔を凌駕するまばゆいばかりの美しさ、というのも、おっさんドリーム炸裂な蛇足に思えてゲンナリした。
    まあ、たった一人永遠に忘れられないファム・ファタールを心に飼っている中年以上の男性には共感、感動できる話なのかもしれない。

  • 数奇な運命の少女杏奈。
    杏奈にどうしようもなく惹かれる幼い少年健志。
    幼さゆえに純粋な健志の想いが杏奈の運命を動かしていく。
    そんな健志を見る梓の心は切なかった。
    健志の心は杏奈でいっぱいで、梓には一瞥も与えようとはしないから。残酷なまでに正直な。
    時の流れも残酷。
    あがいてもあがいても、解決策が見えないまま時だけが過ぎていく。
    浩志、そうでないかと思ってたとおりだった。
    あれでよかった、んだよね。
    ちょっと切ないけど、きっと。

  • 150もうこういうファンタジーは読むのがしんどいなぁ。

  • ほんわか
    ふんわりの
    ソフトSF?
    誰かのベスト3でした
    好みは違うんだよねー

  • 「黄泉がえり」の作者による、これまたロマンチックなストーリーでした。

  • 初恋で純愛。見守られて、見守って、この後人生が本当に幸せでありますように。

  •  タイムトラベルロマンスの第一人者である著者が、満を持して放った久々の『リリカル・ファンタジー・ロマンス小説』である。なんと本作を書き下ろしたのは、著者が70歳を目前とした2016年だ。それにしてもよくこの年齢で、こんな純情な恋愛物語を紡ぐことが出来るものだと感心してしまった。きっと著者はいつまでも若く、澄んだ心の持ち主なのであろう。

     春休みのことである。ぼくは祖父母が暮らす天草西の海沿いにある小さな町を訪れた。その町の外れにある『春待岬』には、町の人々との交流を拒絶するかのように、ひっそりと洋館が佇んでいた。
     だがその洋館には、大きな瞳に長く黒い睫毛をたたえた美しく優雅な、まるで妖精のような少女が住んでいたのである。
     ぼくは息を飲み、あっという間に彼女の瞳に吸い込まれそうになった。これがぼくの初恋、いや永遠の恋の始まりだったのである。
     だがその少女と逢えるのは、桜の咲いている間だけであり、さらに彼女はほとんど年を取らなかった。ぼくは時の檻に閉じ込められている彼女を、なんとしても救い出そうと必死に努力したのだが…。

     こんな感じでストーリーは進んで行き、一体これからどうなるのかと、するすると頁をめくり続けあっという間に読了してしまった。だが少女は年を取らないのに、ぼくだけがどんどん老けて行くのである。なんとも淋しくて切なくて、とうにもやり切れない。終盤のどんでん返しは用意されてはいるものの、やはり哀しい気分は晴れなかった。

  • 思ったよりSF。

  • 図書館の福袋本。

    切ない・感涙などと福袋には書いてあったのですが、読んで涙を流すことはありませんでした。
    恋愛小説が苦手だからでしょうか、小学生の頃の初恋に、捕らわれ続ける男(健志・浩志)も、女(梓)も、理解しがたいものがありました。

    特に、主人公の健志の、親や祖父母に対する感情が、杏奈との関係に、どう利用できるかという事のみにあるようで、読んでいて不快でした。

    祖父の店を継ごうとしたのも、杏奈の近くに居たいが為。
    祖父が亡くなって、店の切り盛りをするのかと思いきや、手伝いはするものの、祖母にまかせて勝手気まま。
    祖母も亡くなり、父も亡くなり・・・
    店を閉めても、母の元に戻って暮らすのではなく、春待岬の屋敷で暮らし杏奈の帰りを待ち続ける。

    杏奈以外の人に対する無情さを見ていると、感涙などどうやっても起きない。

    なぜ未来からタイムトラベルしなければならなかったのか。
    クロノスの故障を知ってからの高塚と秋彦など。
    SF要素が、もっと詳しく盛り込まれていたら、もう少し楽しめたかも知れません。

    杏奈に会えた日々と、会えない間の無気力な日々の繰り返しを読むだけで、たいした盛り上がりも無く、正直読むのが苦痛でした。

  • 桜の咲く時期にだけ現れる少女杏奈を一途に思い続ける健志。隣にいるのが自分ではなくなっても、ただ杏奈のためだけを思う・・・。確かに、究極の恋物語。切ない。

  • ラストが切なすぎる…私には耐えきれないくらい切ない( TДT)


    自分の人生にとって、何が大事か?
    人生が充実してるって何?


    って事が考えさせられるお話でした。

    所々説明っぽい感じがあって、ちょっとすっ飛ばし読みましたが(ごめんなさい(。>д<))、SFはあんまり読んだことがなかったので興味深かったです。


    でもでも切なくて、ちょっと本当に耐えられない笑

  • 健志さんが気の毒過ぎます…

  • 【ネタバレ】久々のタイムトラベル・ラブロマンス。タイムトラベルについてはちょっと理解できなかったし、ラブロマンスとしては余りに切なすぎてやりきれません。

  • 少年の恋物語だと思っていたのですが(確かに長い恋物語ではあるが)、ちょっと違いますね。
    恋する少年は強い。

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著者プロフィール

熊本県生まれ。「美亜へ贈る真珠」でデビュー。代表作に『地球はプレイン・ヨーグルト』『怨讐星域』「あしびきデイドリーム」(星雲賞)『未踏惑星キー・ラーゴ』(熊日文学賞)『サラマンダー殲滅』(日本SF大賞)、そして映画化した『黄泉がえり』や、舞台・映画化した『クロノス・ジョウンターの伝説』など。

「2022年 『未来のおもいで 白鳥山奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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