ニシノユキヒコの恋と冒険

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 243
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104412037

感想・レビュー・書評

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  • 2014.2 井口奈巳監督の映画が公開されるので、その前に原作を読む。

    猫のような、水のような、風のような、ふとんのような、子供のような、ニシノユキヒコと10人の女の話。

    女は、このひとをほんとうは好きではないのかもしれない、とおもう。


    ニシノさんに、みなみちゃん、て呼ばれると、てのひらに濃い色の油絵の具がついて、洗っても洗っても落とせなくなったときみたいな気分になったわよ。

    ニシノ君とのキスは、さみしかった。
    今まで知った どんなさみしい瞬間よりも。


    苦くて甘くさみしいにおいが、去っていったそのあとも残る男性は、キライ。どうしようもなく惹かれるから。

    井口監督の映画たのしみだな。
    スクリーンの前でうすあかくなるんだろうな。

    2014.01.27

  • しばらく積んだままだったものを映画化されるというニュースに接して慌てて読み始めたのが失敗だった。
    ニシノユキヒコをイメージするときに必ず竹野内豊の顔が浮かんでしまう。
    先入観なしで読みたかったものだと思う反面、読み進むにつれて彼以上にピッタリのキャストはないと思ってしまう。

    多くの女性に愛されるニシノ。
    でも必ず女性の方から去っていくニシノ。
    結局は女性を愛せないニシノ。

    おかしくて、やがて悲しい男の物語。

  • ニシノユキヒコ

    魅力的だけど
    かわいそうなひと。

    女の人の方が
    冷静な恋愛ものって
    珍しい。

    掴めそうで掴めない
    ニシノユキヒコ。

    2014.1.18

  • 【小説】ニシノユキヒコの恋と冒険 恋とは何ぞやと思いながら、川上弘美の世界に引き込まれてて一気に読みました。

  • 川上さんの小説の中でいちばん好き
    謎の疾走感があった

  • ・ニシノさんには、贈り物を選ぶ才があった。わたしにも、ニシノさんは一度だけプレゼントをくれたことがある。小さな、銀の鈴だった。手に持って揺すると、りん、と澄んだ音がした。
    これからはいつも、身につけていて。笑いながらニシノさんは言った。夏美さんがどこにいるか、すぐにわかるから。わかったら、どうするの。わたしは聞いたのだったか。わかったら、逃げるの?猫に鈴をつけようとしたねずみみたいに。違うよ。夏美さんをつかまえるんだよ、夏美さんが逃げないように、いつも居場所がわかるように、僕からのがれられないように。


    ・「よく来てくれたわね」ニシノさんに近づき、ニシノさんの頬に自分の頬を寄せながら、わたしは言った。
    「来たよ、約束だもの」
    「そんなに律儀なひとだったかしら」
    「からだは律儀じゃないけれど、心の中はいつでも律儀」


    ・ぜんぶ、欲しい。

    ・「ニシノくんって、なんだかまちがってる」と私が言うと、ニシノくんは真面目な顔で頷いた。「僕がまちがってることは、僕が一番よく知っている」
    いつも人をくったようなニシノくんが、あのときはひどく真剣に、言ったのだった。「じゃあ、これからは正しい道をゆきなさい」私が言うと、ニシノくんは私の顔をみあげ、ため息をついた。
    「正しい道へ踏みこむのは、怖い」ナウそっくりの表情で、ニシノくんは言った。「どうして怖いの」「だって、正しい人生を送ってしまいそうだから」「正しい人生は、いやなの」「いやなんじゃなくて、怖い」


    ・「西野さんは、愛のどこがいいの」自然な話の続きのように、菊美ちゃんが聞いた。
    「ああ、僕もそれを誰かに教えてほしいんだよ」西野さんは静かに答えた。自然な話の続きのように。
    「僕はおそらく今、これまでの一生の中で、いちばん常軌を逸した状態にあるよ」常軌を逸しているひとにしては冷静に、西野さんは言った。

    ・明日、明日こそ、帰ろう。何回めになるだろう、あたしは頭の中で決心する。明日になっても帰らないことを、でも、あたしは知っている。あたしは西野さんの家の中で、小さな冬眠中の虫のように、じっと丸まっているばかりなのだ。

    ・そうなんです。三千万年後には、このあたりは、暗闇のない世界になるんですよ。いったいどうしたらいいんでしょう、あたしは。ねえ、どうしたらいいんでしょう。


    ・「カノコちゃん」は、わたしの声の調子に、緊張をゆるめた。
    女の子どうしの、ひそやかな、けれど国家の外交にも似た、このような「精神的な力の均衡関係」を、男の子はいったいどう感じているのだろう、とわしはときどき思う。たぶんおおかたの男の子は、何も感じていないのだろう。それどころか、そんなものが存在することすら、想像もしていないことだろう。

    ・「宇宙って、広がりつづけてるの」西野くんは目をみひらいて、聞いた。
    そういうふうに、いわれているよ。
    「じゃ、広がっていく宇宙の、そのもっと外側には、何があるの」
    外側?
    「そう。広がってるいちばん先っぽの、もっと先の、まだ宇宙になってないところ」わたしは言葉につまった。そんなこと、考えたこともなかった。この世界の外側の虚の空間にあるもの?それは空虚?でもこの世界の外側って、ほんとうに空虚なのだろうか?空虚って、それに、具体的には何なの?
    「外側には、きっと、なにもないんだよ」やっとのことで、私は答えた。
    外側には、なにもナシ。とにもかくにも、ナシ。心の底から真剣に念じながら、わたしは西野くんに向かい合った。気持ちのはりつめている五歳の幼児の相手をするには、同じように気持ちをはりつめさせなければ、負けてしまう。
    そうか。とりとめがないのは、外側に何もないから、なのか。
    ややあってから、西野くんは静かに言った。

  • ニシノユキヒコは現代の光源氏みたいだった。

  • ニシノユキヒコって,さいごまでニシノユキヒコだった。

    何となく分かるような気がする。

  • 結局私はこういうひとに惹かれてしまうのだ。仕方ない。

  • とんでもない男だ( ̄^ ̄)

    こんなやつに、だまされてはダメだー

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著者プロフィール

川上弘美(かわかみ・ひろみ)
一九五八年東京都生まれ。一九九四年「神様」でパスカル短篇文学新人賞を受賞しデビュー。一九九六年「蛇を踏む」で芥川賞、一九九九年『神様』で紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、二〇〇〇年『溺レる』で伊藤整文学賞、女流文学賞、二〇〇一年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、二〇〇七年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞、二〇一五年『水声』で読売文学賞、二〇一六年『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞を受賞。二〇一九年紫綬褒章受章。

「2019年 『掌篇歳時記 秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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