古道具 中野商店

著者 :
  • 新潮社
3.47
  • (100)
  • (201)
  • (451)
  • (22)
  • (7)
本棚登録 : 1292
感想 : 228
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104412044

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読み終えるのに一ヶ月は要しただろうか。絶つことなく読み進められたのは、登場人物たちのアバウトのいっぽうの飾らなさだったのか。タケオのストイックさ、中野さんの筋の通ったいい加減さなど魅力的だったのは確かだ。

  • 古道具屋を舞台に繰り広げられる、ちょっと風変わりな人達の物語。

    どこかズレてる妙なテンポのゆるーい会話。
    そしてヒトミとタケオの、くっつきそうでくっつかない微妙な距離感。好きだな、こういうの。

    淡々とした文章の中に見え隠れする切なさが、押し付けがましくなく、さらりとしていて心地良い。

    最後の章でいきなり2年後になってて「えー!?」と思ったけど、とても良い方向に流れていって、思わずニヤニヤしてしまう幸せなラストにも満足。

  • なぜ古道具屋を舞台にした物語が数多くあるのか。それは、ちょっとだけ特異な場所だから、だと思う。不思議なものに、不思議な値段。それに集まる人も不思議。もうそれだけで物語。でもそこに焦点を当てないところがポイント。
    本作は、その要素を活かして、実に淡白。だから、ちょっとした表現がグッとリアルに感じます。

  • 古道具屋でアバイトしているヒトミとタケオ。恋人なのか友達なのか、に揺れるヒトミの気持ち。人間不信のタケオはどこまでヒトミの気持ちを受け止められるのか。古道具屋の中年の店主、そして姉の恋愛の話を交えつつ、それぞれの不安定な気持ちが描かれている。お店の解散をキッカケにお互いの成長、恋愛の結末が見える。うーん、ほのぼの、と言えばそうだけど、ぼわっと感がする作品でした。

  • 2005年8月16日読了。

  • 2005.09.28. まず1番ビックリしたこと。ひとつめの「角形2号」が2000年掲載なのね。それからぽちぽち書いてて、中野焦点の雰囲気が変わってない。5年も経ってるのに。こんな店ありそう。入りにくそうだけど。すごく情景が浮かぶ。サキ子さんみたいにスッパリしないと。とか、タケオは未だよくわからんとか。キャラクターに味がある。さすが川上さん!

  • 久しぶりの川上さんです。割と借りては見るのですが途中でやめてしまうことが多いので借りないようにしていました。でもこの本はアマゾンでも人気のある本として紹介されていたので予約してみました。結構待ちましたよ。目が離せない内容ではないのでのんびり読んだのですが最後まで読み終わりました。登場する人が心優しいので読んでいてどの人にも会ってみたいなーと思いました。でも読み終わったら少し物足りないなーなんて思ってしまったけど。

  • (2005.04.11読了)(2005.04.03購入)
    これは、ハッピイエンドの物語。読み終わったとき主人公と一緒にとっても幸せな気持ちになれる。
    舞台は、古道具屋・中野商店。中野商店のご主人は、中野ハルオさん。
    「中野さんの店は、文字通り古道具で埋まっている。ちゃぶ台から古い扇風機からエアコンから皿小鉢まで、昭和半ば以降の家庭の標準的な道具が、店の中に所狭しと並んでいる。」
    中野商店に手伝いに来るのは、中野さんの姉のマサヨさん。マサヨさんが店番をすると物がよく売れる。マサヨさんは、人形作家でもある。
    中野さんは、買取、引取りがあるので、よく出かける。買い取り引取りの助手をしているのがタケオくん。時には一人で引き取りに出かけてゆくこともある。
    「引取りとは、お客の家から荷物を引き取ることである。一番多いのは、当主が亡くなって家財道具を始末する場合である。形見分けにもできない物品やら服やらを、一括して中野さんの店が引き取る。」
    店番をしているのは、主人公のヒトミちゃん。
    「中野さんは数年前に三回目の結婚をした。最初の奥さんとの間に大学生になる息子がいて、二番目の奥さんとの間に小学生の娘がいて、三番目の奥さんとの間には生後半年の息子がいる。その上になお女がいる。」
    女が物語に登場してくるけど、奥さんは出てこない。こどもたちも出てこない。
    タケオくんとヒトミちゃんは付き合い始めるけど、ヒトミちゃんのヌードをタケオくんが描いて、店に飾ったことから険悪な仲となり、うまくいかなくなった。
    しばらくして、中野さんが店をたたむことになり、失職した。
    ヒトミちゃんは、人材派遣に登録して、派遣の事務員を始めた。専門学校に通って、簿記検定の二級も取得した。コンピュータも使えるようになり、エクセルだってできる。
    新しく派遣で行ったコンピュータ関連の会社で、なんとタケオとばったり出くわした。
    ウエブデザイナーをやっているのだと言う。中野商店をやめてから、専門学校に通ったのだと言う。
    と言うことで、めでたしめでたし。
    センセイの鞄と同様、はなしは平凡な日常として運ばれる。
    ゆったりとした気分で、物語世界に漂えるのがいいのかもしれない。

    ☆川上弘美さんの本(既読)
    「センセイの鞄」川上弘美著、平凡社、2001.06.25
    「神様」川上弘美著、中公文庫、2001.10.25
    「ゆっくりさよならをとなえる」川上弘美著、新潮社、2001.11.20
    「パレード」川上弘美著、平凡社、2002.05.05
    「龍宮」川上弘美著、文芸春秋、2002.06.30
    「溺レる」川上弘美著、文春文庫、2002.09.10
    「光ってみえるもの、あれは」川上弘美著、中央公論新社、2003.09.07
    「ニシノユキヒコの恋と冒険」川上弘美著、新潮社、2003.11.25

    (「BOOK」データベースより)amazon
    東京の西の近郊の小さな古道具屋でアルバイトをする「わたし」。ダメ男感漂う店主・中野さん。きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。わたしと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。どこかあやしい常連たち…。不器用でスケールちいさく、けれど奥の深い人々と、懐かしくもチープな品々。中野商店を舞台に繰り広げられるなんともじれったい恋、世代をこえた友情。幸福感あふれる最新長篇。

  • みんなぐずぐずして、煮え切らない。

    けど、登場人物すべてが愛おしい。

  • 2010/01/08 同じ世界のいろんな人たちが出てくる連作も好きだが、これは同じ人物がずっと出てくる連作短編。表紙重視だったが好きな感じだった。

全228件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川上弘美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×