古道具 中野商店

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104412044

感想・レビュー・書評

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  • 古道具屋の中野商店で働く(集まる?)4人の男女のお話。
    川上さんの言葉の選び方が、好きだなぁって思う。『文鎮』とか『男の子』とか。これをそういう表現のために使うんだなぁと。
    あと、ひとみが『もう仲よくないの、わたしたち?』というシーンと、マサヨさんが、『世界で一番愛してる』というシーンが好き。これらの一言でも、劇的な盛り上がりがないところがいい。
    まぁ、つまり、私は川上さんの小説が好きなんだなぁと再認識した、ということ。

  • 不器用な登場人物達が愛おしかった。
    読んでいて、居心地のよい気分になる。
    主人公のヒトミの心が落ち着かないとき、
    自分の気持ちもザワザワした。
    こんな場所にいたらホッとするのに。
    甘酸っぱい恋にも一喜一憂するのに。
    ありそうでない場所が、とても素敵だった。

  • 感想
    古道具を通じて他人と付き合う。どうしたら良いか考えすぎてしまうのは自分が傷つきやすいからか。理解できないことがあっても受け入れて歩む。

  • メモ書き:
    ・何処にでもありそうな?無さそうな、日常的な設定でダラダラと普通に進む。
    ・普通の人の日々の生活って、こんなもんじゃないだろうか。という温度感がいい感じ。
    ・大人の恋愛関係も、さくっと描かれていて重くない。感覚的。こういうのも有りか。
    ・読後感は、「読み終えたー!」って感じではないが、読んで損した気分とは違う。

  • レビューを見ると、『センセイの鞄』と並ぶ傑作として評されていることが多いよう。つまり、川上作品としてはわかりやすいほうの作品です。

    古道具屋(あくまで骨董屋ではない)の中野商店を舞台に、そこでアルバイトするヒトミが語り手となり
    ・女にだらしのない店主の中野ハルオ
    ・その姉でゲイジュツカのマサヨさん
    ・同じくアルバイトで無口な桐生タケオ
    とその客人や恋人・愛人たちで話が紡がれた連作短編集のような長編です。
    ぬるま湯みたいに心地よくてゆるやかな時の流れには、永遠につづかない、日常のようで日常ではない感じがただよっています。

    ヒトミとタケオが再会してうれしかったけど、たしかにタケオはタケオじゃなくなっている気がして、わたしはさびしかったな〜。でも、おっさんになってもあのままだったらそれはそれできもちわるいのか。

    読みやすくて、おもしろかったです。

  • 劇的な展開はないが
    川上弘美さんらしいほんわかとした物語
    登場人物がどこかずれてて楽しい
    でも前へ進んでいく
    《 下町の ただ不用品 古道具 》

  • 不思議な雰囲気の本だった。
    最後は変わったものと変わらないものがあって、寂しいような懐かしいような気分になった。

  • 不思議な読後感。
    ありきたりな日常が描かれているようで、実は深い意味が隠されているようないないような……。

  • 久しぶりに川上弘美。

    うんうん。好きだ。
    タイミングが好きだ。
    立ち止まるタイミング、思い出すタイミング、すっとくる。

    切ないなぁ。

  • タケオの「ヒトミさん」って呼びかける(というか、口からこぼれ出てくる)感じが好きだった。


    タケオの周りの静かさ、人が苦手そうな感じ、不器用な感じ、不安な感じ。
    よかった。


    『ヒトミさん、おれ、なんか下手で、すいません。タケオが小さな声で言った。
    下手って、なにが。
    なにもかも。』


    いい。

  • 出来事としてはなんでもないけど、とても良かった。

    読みやすいので一気に読めました。
    まるで自分の知人とその周りの人々の話でもあるかのように
    いきいきと心に残ります。

  • 大きな事件もなく、何も起こりません。
    起伏がなく平坦とした物語。
    それがこの物語のよいところかなと思います。

    舞台となる中野商店は骨董品などは扱わず、ガラクタのようなものを扱う古道具店。ほんの少しだけ非日常であり、異空間であり、懐かしい感じもします。そこで働く人々を中心に日常をゆったりと描いてます。
    不倫だったり、熟年恋愛だったり、職場恋愛?だったりと恋愛話もありますが、ドロドロした感じが全くないです。
    最初はつまらないかなぁ~と思いながらも、徐々に文章を味わうように読み、最後は終わってしまうのがちょっとさみしい感じがしてしまいました。
    起伏のなさで苦手な人もいるかとは思いますが、川上さんの文章や表現はとても素敵で、暖かい気持ちになり、居心地のよさを感じます。
    最後の終わり方もよかったです。

  • 古道具屋で起こる話は面白い。
    何だかちょっと素敵な人がでてくるなー。

  • 骨董じゃなくて、古道具屋。

    中野さん、姉のマサヨさん、バイトの私ことヒトミ、タケオ。

    なんてことない古道具屋で働く4人の日々と、
    そこで出会うたくさんの人との関わりがのんびり書かれている。

    ほんとにのんびり書かれているから読むのものんびりしてしまう。

    人も物も、時が経てば変わっていくもの。
    長い時間の中で唯一変わらなかった気持ちと思い。

    タケオのキャラがシン君ぽかった)^o^(

  • 古道具屋「中野商店」に集まるひとびとの、人間模様というには少しふわふわとしたものがたり。
    「ぽかんとした表情」「ぽかんとした口調」と語られるアルバイトのタケオのように、ものがたり全体もなんとなくぽかん、としている。

    個人的に主人公の性格はあまり好きではないけれど、要所要所の言葉遣いにはっとさせられる。

  • 大人になるのも悪くないなあ、と思えました。

    中野さんが経営する古道具屋「中野商店」。
    そこに登場する人たちは、力みすぎていない、かといって諦めてもいない、ちょうどいい力加減の、(いい年した)大人たちです。

    30代の、50代の恋愛模様もふんわり描かれていて、これもまたいい感じ。

  • 中野さんがいたら、わたしもほれるかもしれないな(笑)
    マサヨさんみたいな魅力的な50代にわたしはなっていたい(望
    ヒトミちゃんがタケオにぐるぐるしているような感じをいままさに踏んでいるわたし(痛

    ・・・という感じでそれぞれの登場人物がうまーく描かれていて、またどっぷりと読みふけってしまう。わたしの中ではずれなし、川上弘美作品。

  • 地味に恋の行方が気になる。
    特になんとも思ってなかった同僚とと、2人だけでデートするようになり、関係をちょっと持ち、ゴタゴタあって、そんなに好きじゃなかったはずなのに相手のことばかり考えてしまう。
    早く仲直りして、と読んでて思うのだけど、なかなかうまくいかない。
    だから最後まで気になってしまいました。
    あと個人的に離れたり失ってしまったりとかが苦手なので、最後の方結構しんみりしてしまった。
    中野商店の閉店や、サチ子さんと中野さんの終わりとかも。
    なんとなく心に残る一冊。

  • "丼"と"林檎"がすき。

  • 面白かった。
    登場人物4人の関係性がゆるくて、話している内容もぐたぐだな感じが好きでした。映画を見てるような本でした。

  • まずタイトルがすごく好きです。
    文章も読みやすくて、大好きな雰囲気の一冊でした。
    みんながさみしくて、暖かい人達で。
    「タケオがきらい」だと繰り返すところが好きです。
    「きらい」と思うたびにヒロミの心にヒビが入っていくような
    痛々しい感じ。

  • こんなおとこつきあいたくねえーと思ったけども。
    たけお最後りっぱになってておどろいた。

  • 骨董屋とまではかしこまらない古道具を扱う店・中野商店。
    店主の中野さんは「だからさぁ」が口癖の飄々とした人物でついでに女癖も悪い。
    あまり人付き合いの上手でないアルバイトのヒトミとタケオ、
    そしていつも晴れ晴れとした声で話す中野さんの姉・マサヨさんを巡る12編の連作短編集。

    川上さんならではの「天然系」の人たちが沢山出てきては不思議な言葉をつむぎ出すこの感じ。
    読んでいてなんだか癒される。まぁところどころ「ぬる~~い」感じはあるのだけれど(・_・;)
    4人の登場人物のマイペースな掛け合いがなんとも言えない。
    的を射ているのかとんちんかんなのか、会話が成立しているようなしていないような、そんなこともさして気にしないキャラクターばかり。
    一方で人と上手く関われないヒトミとタケオの恋の行方はじれったいほどにゆっくりと進展するし、
    ちょっとした言動で互いが傷ついてぎくしゃくしたり・・・という繊細さが逆にリアリティを加えているようで印象深い。
    不透明な空気の中で物語が進んでいるように見えるのだけども
    ラストには何か明るい色合いの雰囲気に感じられて和める。マサヨさんの恋愛には私も憧れる。

  • 去年は、男性作家の本をよく読んでいた。男性作家特有の、四角い、無駄のない文体が心地よくて、逆に、女性作家の遠まわしな表現がいやで避けていた。
    今年は、女性作家にもどってみようかな、うん。

    このお話、派手な事件なんてなにもないけど、でも一冊を通して読んでみるとストーリーの奇抜さに驚く。
    一見、なんの変哲もないただの古道具屋に集うひとたちのお話なのに、表現のうまさでこんなに奇麗なお話になるのか、そんなかんじ。
    また、言葉の選び方、書き表し方がすごいよ。感情を文字で表現するってすごく難しいはずなのに、どうしてこの人はこんなに簡単に書いてのけるのかな。

    ほんのり、しっかり、しみました。

  • 古道具屋、中野商店で働く「わたし」と周りの人との小さい日常が描かれています。

    なにか特別な出来事があるわけでもないのに、淡々とおもしろい1冊でした。

  • とても久しぶりの川上弘美。
    この人の書く登場人物と古道具屋がマッチしすぎ。
    再会を喜ぶラストの話がいちばんよい。

  • 不器用な感じとか、好きになるとどうしようもなくなっちゃう感じとか。
    いいなー。すごいわかる。

    ふんわり静か。
    登場人物達に味がある。

    ほっこり。
    ちょっと切ないような、あったかいような、そんな感じ。

  • ほわわんとした空気。

  • 古いちゃぶ台から小鉢、扇風機、灯りなんか、アンティークではない、昭和半ば以降の道具を扱う商店が舞台。
    店主の中野さん、中野さんのお姉さん、バイトのわたし、同じくバイトのタケオが主な登場人物。

    どの人も不思議で、ちょっとだけずれてるんだけど、なんだかいとおしい。
    わたしとタケオが恋愛関係スレスレのところを歩いていて、その距離感ももどかしいの。

    川上弘美の作品に共通してる、ほんのちょっとだけ変わった人たちの日常。
    いそうでいない、でもほんとはすぐ隣りで息づかいが聞こえそうな場所にいるんじゃないかな、って思わせる普通の場所が舞台。
    いたってふつうに思ってるけど、もしかしたら、わたしもまわりからはちょっと変わって見えるのかも、って彼女の作品を読むと、ついついほほえましくなってしまうのです。

  • 読み終えるのに一ヶ月は要しただろうか。絶つことなく読み進められたのは、登場人物たちのアバウトのいっぽうの飾らなさだったのか。タケオのストイックさ、中野さんの筋の通ったいい加減さなど魅力的だったのは確かだ。

著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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