フィンガーボウルの話のつづき

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104491018

感想・レビュー・書評

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  • 空を見て
    自分はこんなにも清々しい気持ちになっているのに
    それをどう伝えればいい?

    何にも言葉は出なくって
    誰も責めなんてしないのに、
    自分だけ、自分だけ
    頭を撫でてもらっていながら

    「ありがとう」の言葉ひとつ言えやしない。

    本当になんと情けない気持ちなのだろう…

    ほんの数ページの間に
    初めて出会った男の人が、自分の叔父さんになり

    つまらない事、
    興味深い話、
    一生忘れられっこないような話。

    苦い珈琲を飲んで、固いビスケットをかじって
    ジョン・レノンにサインをしてもらった白いレコードのエピソード聞いて
    (この人が叔父さんで、良かったなぁ~!)と、思えた途端にそのひとは。

    まるでつむじ風が去っていく様に死んでしまった。

    後から後から泣けてきて
    活字を読んだだけなのに、
    何故こんなに泣けてくるのか解せなくて
    なかなか続きを開けなかった。

    だから私はここに叔父さんの事を記して、またいつか読むからね。と気持ちに区切りをつけて
    フィンガーボウルの話のつづきを聞く事にしたのだ。

  • つかみどころが判らなくて、正体不明なのに、居心地が悪くない。
    近くなり、遠くなりながら、ゆらりゆらりと光が反射する水面のように、
    不思議なお話が続く。

  • 開いたり閉じたり、ゆっくり好きなように読みたくなる話のあつまり。
    とてもあっさりした文章なのに、少しも読み逃したくなくて、一行一行じっくり読んでしまいました。些細なことが残る、そんな気がしてなりません。

  • 本屋で注文したら絶版だと言われ悲しく思ってたところに、古本屋さんでみつけて買いました。
    ビートルズのアルバムにそって話がすすむからか、この小説は音楽が感じられます。
    大好きな吉田さんの作品のひとつです。

    静かな午後にコーヒーと音楽とともに読みすすめていきたい大切な本です。

  • おもしろかった!
    ピザを水平に持って帰った日
    が、かわいすぎて好きで何回でもよみたいと思った

  • 私たち読者も、小さな冬の博物館のドアノブを回して扉の向こうに広がる物語の世界に誘われるかのごとく、一瞬でいろんな世界を体験できる物語の連続だった。

  • アンデルセンの絵のない絵本のフィンガーボウル版。ビートルズのホワイトアルバムに沿って。

    C0093

  • 作家である主人公は、かねてより構想している物語を書こうとするが、どうにも書き出せず途方に暮れている。そんなとき、ジュールズ・バーンという消息不明の作家の存在を知り、彼が残したメモからビートルズの「ホワイト・アルバム」を連想して<物語のしっぽ>を掴む。
    主人公の現実と小説が折り重なる短編連作。

    短編連作という一言では表現しきれない小説。
    静かだし、大きな事件も起きないけれど、好きな雰囲気。美しい言葉選び。
    吉田篤弘は初期の作品のほうが好きだと実感した。

  • 小説の中の小説を書くまでが個人的には面白くて、書かれだした小説部分は決まりすぎてる感じがして、あまり楽しめなかったなぁ・・・。ビートルズの「ホワイト・アルバム」がモチーフになっているあたりも、少しありがちな印象を受けたかも。

  • 2015/09/17 読了
    秋が始まる雨の日に読み進めました。
    吉田篤弘作品は雨が似合うなぁと思います。
    ビートルズはくわしくないけど、そこは関係なくつながるようでつながらなくてふわふわしていて悲しいようで悲しくなくて幸せでもなく好きだ。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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