- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104491049
作品紹介・あらすじ
拍手もほとんどない中、その二人組は登場した。ひとりはギターを弾きながら歌い、もうひとりは黙々とダブル・ベースを弾きつづけた。二人とも男の子みたいな女の子だった。彼女たちの音楽は1986年のあの冬の中にあった――。消えゆくものと、冬の音楽をめぐる長篇小説。
感想・レビュー・書評
-
すごくいい。
すごく好き。
出来ることなら★を100こ並べたい。
ものすごく優しいお話。
でも、ちょっと寂しい。
そして、じんわりと温かい。
「おれ」は探し物をしている。
いや、「おれ」だけじゃなく、みんなが探し物をしている。
探し始めた時には自分が何を探しているのか正確なところは分からない。
だんだんと見えてくる。
そうすると最初にイメージしていたものとは違うものだったことが分かってくる。
いよいよ探し当てたと思い、「そうだったのか」と納得しようとすると、また新たな探し物が始まっている。
気付かないうちに。
「この物語はこういう物語です。」と言い切れません。
ただ、とても美しい物語です。
とても美しいものが描かれていると思います。 -
雨の様に降り注ぐ
幾千もの言葉を
日々、ぼんやり目にしつつも
思わず(はっ!)と、手で受け止めたくなる様な
キラリに出会う事がある。
それは自分だけに光るキラリ。
音楽好きの彼が
パラパラ捲っていた雑誌に掲載されていた
ほんの小さなコラム。
その記事がキラリと光った。
(誰?聞いた事もないアーティスト…)
それがソラシド。
どうやら女性2人のデュオらしい。
彼女達のコメントや弾いている楽器も気になる…
早速NETで調べてはみたものの、
彼女達は派手な活動をしていなかったらしく、
全く手がかりがつかめない。
でも、
何故か追っかけずにはいられないし、
そうせざるを得ない事情も出来た。
それから
彼がソラシドの足取りを巡る物語は
まるで何千枚ものレコードを並べ(勝手に思い描いております。)
一枚、一枚、のんびり視聴でもしている旅の様な展開となった。
活字を追っているだけなのに、
頭の中ではゆるいメロディーが勝手に流れ出す。
ザ、ザザザ…時折味のある雑音まで混じりながら。
なかなか出会えないソラシドだが、
キラリ光った時点で、もう会っていたのではないだろうか… -
耳元で心地いい音楽を聴いた後のような、すごく素敵な気持ちで読み終えた本でした。
全体的に落ち着いたトーンで、コーヒーの茶色から始まり、ニューヨークのグレイ、冬の吐息の白、と浮かび上がるシーンが美しくて、なんとも言えない不思議な世界に迷い込んだようです。
過去と現在、現実と空想が入り混じった世界は、映像がとにもかくにも美しい。古着屋とバー、世界の果てのような白い荒野、ダブル・ベース「エレファント」、1つ1つのシーンがにくいくらいに素敵で、とにかくうっとり。これは、映画化してほしい。
美しいシーンも然ることながら、本書に登場する音楽を聴いてみたい。
音楽には疎い私ですが、とある場面では鳥肌が立つくらい全身ぞわっとしました。読み進めるうちに、本当に耳元に音楽が聴こえる気がしてきます。
冬を切り取ったような冷たさと一緒に、じんわりとした温かさが同時に楽しめることも魅力的だし、音楽で震える空気感も病みつきになります。
装丁もすごく素敵で何度も眺めてしまいます。冬に読むのにお勧めな1冊でした。 -
吉田篤弘先生の長編初めて読んだな・・・
おおまかなエッセンスはいつもの吉田ワールドだけど、大筋のある長編だとこんな風になるんだな・・・ -
謎の女性デュオ・「ソラシド」。
1986年と現在をリンクしながら、彼女達の足跡をたどる主人公ヤマシタと、腹違いの妹・”オー”。
レコード、不味いコーヒー、ダブルベース、小さな映画館…。
雑多なものは淘汰され、洗練されつくされたように一見見えても、実はひっそりと息づいていたりする。あの頃の冬の空気と共に…。
路地裏の雑貨屋のような、独特の空気感が漂う物語です。 -
レコードを蒐集することだけにすべてを費やしている主人公は、1960年代にごく一部で話題になっていた女性デュオ、ソラシドの現在を追うことになる。主人公には、親子ほどに歳の離れた異母妹がおり、二人で探し始める。
音楽の話かと思いきや、二つの家族の絆の話だった。とても個性的な家族だが、読後は優しい気持ちになる。
-
もう まだるっこしいなぁ
と 思うか
いいねぇ このまったり感
と 思えるか
もちろん 後者になれる人は
独特の浮遊感が
なかなか たまりませんでしょうねぇ
小説の筋というよりは
そこに描かれている雰囲気を楽しむ
そこが
この 小説を楽しむコツでしょうか
それにしても
表紙の レコード は
どんな 音楽 なのだろう と
ずいぶん 気になってしまいます -
2023年8月30日読了
この小説は本当にオススメです!
機会がありましたら是非お読みください♪
この小説は本当にオススメです!
機会がありましたら是非お読みください♪
こちらのレビューを読んで本書を読みました。素敵レビュー過ぎて、読み終わった後に見返すと書かれていることが改めてよくわかる気...
こちらのレビューを読んで本書を読みました。素敵レビュー過ぎて、読み終わった後に見返すと書かれていることが改めてよくわかる気がします。
静かで少し寂しげなんですが、心地いい音色もあり温かさもあり、美しくもいい小説でしたね。
素敵なレビューありがとうございます^^
この本の好きなところを言葉にするのが難しくて、なんだかよく分からなくなってしまったな…と思っ...
この本の好きなところを言葉にするのが難しくて、なんだかよく分からなくなってしまったな…と思っていたのですが、わかる気がすると言って頂けて本当に嬉しいです。
yocoさんのレビュも読ませて頂きました。
この本の空気が伝わってくるレビュでとても好きです。
そうそう、そうなんですよね!と頷きながら読みました。
映画になったら私も絶対観たいなと思います。
でも本が好き過ぎて、これ以上には好きになれないかも…とも思いますが…(^^;)