- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104509027
感想・レビュー・書評
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淡々とした文体にどろりとしたような奇妙な感覚を覚える作品でした。タタドとはどういう意味なのか、読んでも明かされなかったので気になります。
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小池さん初読。
詩人という顔の方がメインの著者だけど、小説がやたら話題になっていたので、最初のを読んでみたというわけです。
うん、悪くないし、嫌いでもない。(…って、相変わらず、この手の小説の感想にこういう表現しかできない自分が何だかなぁ(^^;)ゞ、ですわ。)
これには、短編が3編入ってるのだけど、最後の「45文字」という作品は、この人の詩ってどんなだろう、ってちょっと興味持ちました。 -
ストーリーはこれといって重大な事件が起こる訳でもなく、眈々としているが、人物の描写が丁寧で臨場感溢れる作品。
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お世話になった建築家の先生から紹介してもらった本。
読んどる途中はなんだか、もんもん。
読み終わったらびっくりするくらい、さらさら。
別になにかが劇的に変化した訳でも、
解決した訳でもないのに、
不思議な爽快感。
たぶんもう一回読み直したら、
また印象が変わると思う。不思議。 -
著者の小池昌代さんは、知的で上品で素敵な女性だ。全く同年代の私は、BSNHK週刊ブックレビューの常連書評ゲストの彼女を見ていつもそう思う。同じ意味合いで川上弘美さんも魅力的だと思う。
実生活ではこういう聡明な才女には出会ったことはない。勤め先はもちろんウチの大学には極端なお嬢様しか女子学生はいなかったし、バイトやサークル活動で交流のあったワセダあたりの子は揃って、「総理、ソーリ」の辻本みたいな猛女ばかりだった。小池さんは津田塾、川上さんはお茶大なんだと。そもそもこの2校の出身者と言葉を交わしたこともない。なんか人生損したかなあ。
わき道はそれぐらいにして、コレ、小池さんが川端康成文学賞を受賞した作品。著者の人柄そのままに、一切の無用な緊張感なく実にホワンと破綻なく物語りは始まる。
なぜ『タタド』なのか。表題作の中でも一切説明はない。そもそもこの本、前書きも後書きも解説もない。ホワンと始まりホワンと終わっている(本当は終わり方はそうではないのだが)。
でも、私には解っちゃいました。伊豆半島の南端、下田の「多々戸」浜でしょ。「都心から四時間半」とだけ書かれたこの短編の舞台は、「ほんとうにすっぱい」夏蜜柑が自生してるってことは、南伊豆のサマーオレンジに違いないし、間違いない。
地場サーファーが「タタドビーチ」と呼ぶこの浜、普段は人っ子一人いなくて、さながらプライベートビーチ。「バイ・ザ・シー」っていう頗るお洒落なコンドミニアムが確か一軒だけ近くにあった。
勝手にタネ明かしをしちゃうと、ここが著者のイメージ上の舞台であることは確実でしょう。
小池さんにお逢いすることなんかがあれば(あるわけないケド)、「ね、そうなんでしょ」と聞いてみてみたいですね。
この浜、人気がなくて綺麗なのが好きで3、4回行ったことがある。で、一度だけ心底たまげた経験をした。
見てしまったのです。あろうことか、人がいないのをいいことに、AVの撮影してました。ホントびっくりしました。
で、また本題にもどります。
この短編、著者の人柄そのままにとても知的に上品に話はすすむのだけれども、最後の最後は、私の「たまげた」体験同様、オイオイな終わり方です。どうオイオイなのかは内緒です。
小池さんにせよ川上さんにせよ、知的な才女なだけじゃなく大人だねえ。やっぱり。
県立図書館の「今月の新着本」の一冊でした。 -
タイトル、タタドを含む短編。それぞれの大人の夫婦のあり方、みたいな内容です。嵐の前の静けさ、のような独特な文体が魅力的です。大人な世界だなぁ。
ええと。若い方よりも中年以上の方が読むと良い本かと。 -
素っ気ないようでいて、ふいに濃密に香る文章。理由のわからない不安と、不思議な快感の間を行ったり来たりしました。好きです。
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最初、?と思ったけれど、読み進めるうちに、その流れにはまった。
丁寧で、読ませる。 -
表題作を読んだとき、中高年の官能、という言葉が浮かんだ。
まだ自分にはわからない、不惑、あるいはそれをさらに過ぎてからの、激しさや速度よりも濃度や深度が高まっていくような。
短編が三つ、収められている。
いずれにも自分の経験したことのない茫洋とした不安のようなものが存在する。経験したことはない。でも、知っている気がする。 -
三つの短編を収録。どれも静かな物語だった。なかでは「45文字」が好きだなと思った。ふだんエンタメ系の小説を中心に読んでいるので、たまにこういった作品に触れると、なんか心がざわざわしますね。作品を分かったかと聞かれれば、分からなかったと言うのが正直な所ですが、なにかを感じたとは言えますね。