風が強く吹いている

著者 :
  • 新潮社
4.42
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本棚登録 : 6209
感想 : 1386
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104541041

作品紹介・あらすじ

箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。

感想・レビュー・書評

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  • /_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 
     たぶん、この本を読んでいて、レース中でもなく、そこに向かっていく、やりとりの時点で、ジワリジワリと涙が溢れそうになるのは私ぐらいだと思います(T_T)

     主人公清瀬の熱く冷静な姿勢が、すごい心に響くんですよね。何度読んでも、泣けてくると同時に、勇気をもらっています。

     私は、この本の文庫を持っていますが、今回は、図書館で単行本を見つけて、手にしました。漫画好きで、勉強より運動に生きてきた人間なら、この作品には必ずハマると思います。私は、マンガばかり読んでいましたが、小説を定期的に読むようになったのは、この作品がきっかけだったかもしれません。


     たどりつきたい場所がある人を見ると、とてもうらやましく思います。私は無理やりたどりつきたい場所を探しているような気持ちがあり、人生の後半にさしかかっても、いまだにたどりつきたい場所が見えていないです。この物語はどこへ向かっていくのかを、とても意識させられます。「物理的に同じ道を走っても、たどりつく場所はひとつではない」、、そんな言葉がでてきますが、走るお話の中で、いろいろなことを考えさせてくれます。


     それと私は、子どもの頃から、風が好きでした。強風はNGですけど(╥_╥)
     風が吹きぬけていく感覚を味わうとこの作品を思い出します。いいんですよね、登場人物の「走(かける)」が走るときに、疾走感が…
     読んでいて、すごいイイ感じになります。この本を読んで、ほんと、いい感じです。がんばろうという気持ちになります。


     ど~でもいいことですけど、先日、10/29に手賀沼ハーフマラソン(千葉県)に参加して、2時間12分のタイムで走り切りました。この物語で登場する人物と比較すると、とてつもなく遅いですが、個人タイムとしては、早くなってきています。
     私は長距離大嫌いで、マラソン大会は歩いて先生に怒られるタイプでしたが、凡人の私がどこまで成長していくことができるのかを、楽しみにしています。

     強くなるためには、走らないとダメですね。


    /_/ あらすじ _/_/_/_/_/_/
     マラソンが強いわけでも、伝統があるわけでもない、寛政大学。その寛政大学近くのボロアポートの竹青荘に集う10名がマラソンに挑戦します。竹青荘は9部屋しかないけど、たまたま双子が1部屋に住んでいるので、10名がこのアポートに住んでいます。

     マラソンといっても、目指すのは箱根駅伝。走る素質のある10名が、厳しい練習を積んで、そこに挑んでいきます。竹青荘のメンバーは練習初日の夕方の5キロランで9名が19分以内で走っています。まともに練習していない状態でこのタイムだから、なかなかすごい猛者が集まっています。

     箱根駅伝に出場するようなトップレベルの大学は、5キロを14分台前半で走るということなので、ほんと、おばけレベルです。


    /_/ 主な登場人物 _/_/_/_/_/_/ 
    【寛政大学 竹青荘(ちくせいそう)】
    @清瀬灰ニ キャプテン、ハイジ、島根出身、とにかくかっこいい、大学4年、101号室
    @蔵原走 くらはらかける、1年、学生トップレベルのランナー
    @城太郎 双子兄、ジョータ、元気、1年、201号室
    @城次郎 双子弟、ジョージ、元気、1年、201号室
    @平田彰宏 ニコちゃん、ヘビースモーカー、104号室、ハイジより歳上の3年、5年目+2浪、25歳
    @岩倉雪彦 ユキ、頭がいい、司法試験合格、ヒョロっとしてメガネ、4年、102号室
    @ムサ・カマラ 留学生、2年、203号室
    @坂口洋平 キング、クイズ王、4年、202号室
    @杉山高志 神童、3年、205号室
    @柏崎茜 王子、2年、204号室

    【大家・マネージャー】
    @田崎源一郎 矍鑠とした老人
    @勝田葉菜子 はなこ、八百屋の娘、1年

    【ライバル】
    @榊浩介 さかき、東体大、走過去のチームメイト、1年
    @藤岡一真 六道大キャプテン、4年、ハイジ高校のチームメイト

    【記者】
    @佐貫信吾 月刊陸上マガジン
    @布田政樹 読売新聞

    • Manideさん
      aoiさん、コメントありがとうございます(^^)

      いいですよね〜、この本は。

      風を意識すると、なんか、いいですよね。
      この小説を読むと、...
      aoiさん、コメントありがとうございます(^^)

      いいですよね〜、この本は。

      風を意識すると、なんか、いいですよね。
      この小説を読むと、「強く」という捉え方が、少し違ってきます。
      強く、、、新たな一歩を踏み出して行けるように、頑張りましょう♪
      2023/11/22
    • Sintolaさん
      Manideさん、ハーフマラソン、ナイスラン!
      ベストタイム、おめでとうございます。
      この本がManideさんのバイブルだったのですね(...
      Manideさん、ハーフマラソン、ナイスラン!
      ベストタイム、おめでとうございます。
      この本がManideさんのバイブルだったのですね(^.^)

      木枯らしが吹き始めてきたので、皇居ラン行くのが億劫でした。
      けれども、Manideさんのレビューを読んで、出走するモチベーションが湧きました!
      明日の仕事上がり、へなちょこジョギング、行ってまいります。
      2023/11/30
    • Manideさん
      Sintolaさん、こんばんは〜

      そうなんですよ〜
      こういう、漫画のような話に、燃えちゃうんですよね。

      足が遠のくの、すごいよくわかりま...
      Sintolaさん、こんばんは〜

      そうなんですよ〜
      こういう、漫画のような話に、燃えちゃうんですよね。

      足が遠のくの、すごいよくわかります。
      私も寒くなって行くのを躊躇するようになってます。

      今は溜池山王からドコモのチャリでジョグリスまで行ってるんですよね。電動自転車にのるのが楽しくて、それで少し気持ちを高めています(^^)

      頑張りましょうね。私は今週日曜日も10マイルマラソン行ってきます。これも、昨年の記録を5分以上塗り替えるのを目標にしているのでがんばります。

      皇居を走っているとき、Sintolaさんも、はしってるのかな〜と、思う時があります。同じように頑張っている人がいることを知っているだけでも励みになりますよね(^^)感謝です。
      2023/11/30
  • R4.1.22 読了。

     箱根駅伝にかけた青春スポコン小説。大学に入るまで陸上をしたこともない個性的なメンバー達や陸上経験したメンバーが箱根路を駆け抜ける。
     何故、走るのか?それぞれが自分の内面に問いかける。
     襷リレーの場面で何故だか、うるっときてしまった。頑張っている人たちからたくさんの勇気をもらいました。来年からの箱根駅伝の見方が変わりそうです。

    ・「たとえ俺が一位になったとしても、自分に負けたと感じれば、それは勝利ではない。タイムや順位など、試合ごとにめまぐるしく入れ替わるんだ。世界で一番だと、だれが決める。そんなものではなく、変わらない理想や目標が自分のなかにあるからこそ、俺たちは走りつづけるんじゃないのか。」
    ・「個人で出走するレースだとしても、駅伝だとしても、走りにおける強さの本質は変わらない。苦しくてもまえに進む力。自分との戦いに挑みつづける勇気。目に見える記録ではなく、自分の限界をさらに超えていくための粘り。」
    ・「意味とか無意味とかじゃない。自分たちがしてきたことの証しと誇りのために、いまできるかぎりの走りを見せる。」

  • 三浦しおんさんの有名な作品。
    10人ギリギリの素人同然のメンバーたちであの箱根駅伝を目指して走る青春もの。
    多くのブグ友さんの髙評価を受け、涙腺を崩壊させてきたといわれる本作。

    これはもう鉄板でしょーーと、舐めてかかったのが良くなかったのかもしれない。

    ダメでした。
    ダメダメでした(/。\)
    もう……自分には心というものがないのか、って心配になるレベルで何も響かなかった。

    敗因は、出だしだったかなぁ?

    菓子パンを万引きして走って逃げる主人公の蔵原走(カケル)を、寛政大学の四年生の清瀬灰二(ハイジ)が自転車で追いかけるところから物語は始まる。
    カケルは、上京したての寛政大学の一年生。
    賭け麻雀で親からもらったアパートの入居費まで使い果たし、食費にまで事欠いての犯行だった。

    う~ん。
    まあ、そういうことも若いときにはあるよねぇ……って、あるかっ! そんなこと(ノ`Д´)ノ彡┻━┻

    最初は仲間内での麻雀の話しなのかと思ったら、フリーで雀荘に行ったらしい。
    そこで一気に有り金を搾り取られ、アパートの入居費まで取られ、野宿しながら大学に通っているとのこと。

    ま、まぁ、若い男子だし、そういうあやまちもときには……って、だからねえよ!(ノ`Д´)ノ彡┻━┻

    地元ならまだともかく、地方から上京したての知り合いも友だちもいない18くらいの男が、いきなり雀荘に入って、有り金使い果たしてスッテンテンになるって……。
    いやいや、こいつかなりヤバいよ。
    中毒レベルの破滅的なギャンブラーじゃん( `д´)

    それで腹へって万引きって。
    しかも当人、なんの反省もありません。コワッ。
    そんなヤバいヤツを逃げて走るその姿が美しいフォームだからといって、自分の住んでいるボロアパートの竹青荘に招き入れるセイジもどうかしている。

    ハア? の連続でまったく共感できない。
    読み進めてもその万引きはどうなったのか記述がない。
    弁償はしたのか?
    謝罪はしたのか?
    なにも触れられていない。
    それでいて竹青荘のカケルとセイジを含めた10人は、箱根駅伝を目指して商店街からの支援を受ける。
    その商店街の店から万引きしといて、だろうか?
    葉菜ちゃんという商店街の八百屋の娘でマドンナっぽい女の子も出てくるが、その子はカケルが万引き犯だと知っているのだろうか?

    まったく物語の本筋ではない。
    しかし気になってしまったこちらの敗けだ。
    ずっと引っ掛かって感動どころではなくなってしまった。

    これは邪推だが、おそらく作者はボロアパート10人で箱根駅伝を目指す青春物語を書きたかったのだろう。
    そのためには実質的にアパートを管理しているセイジにカケルを勧誘させねばならない。
    そのためにはセイジの前でカケルを走らせねばならない。金に困っていて住むところもない状態で。
    ということでギャンブルで金を使い果たして万引きをして走る、ということになったのだろう。
    う~ん……てきとうというか、いろいろと都合良すぎないだろうか?

    カケル以外の竹青荘のメンバーたちも多少の抵抗は見せるものの、実質的にアパートを仕切っているセイジには逆らえずに陸上を始める。そして走ることが好きになっていく。
    部屋中マンガで埋め尽くされた未経験者も、経験者でありながら今はかなりのスモーカーになっていた男もあっさりと禁煙して駅伝にのめり込む。
    それで選考会まで突破して……。

    いやいや、ほかの大学のチームはなにしとんじゃーい(°Д°)
    都合良すぎない?
    でも、おそらくこの話しにノレないわたしの方が心がねじ曲がっているんだろうなぁ~。
    そんなふうに思った( o´ェ`o)

    • みんみんさん
      レビューは思う存分好きな事を書いていいんですよ
      ね⁇土瓶さん‹‹\(´ω` )/››
      レビューは思う存分好きな事を書いていいんですよ
      ね⁇土瓶さん‹‹\(´ω` )/››
      2023/08/23
    • aoi-soraさん
      そうそう
      だって、自分はどう思ったか?
      って感想だもんね(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)
      楽しみましょう♪

      しかし、アールグレイさんの
      「ハイジ...
      そうそう
      だって、自分はどう思ったか?
      って感想だもんね(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)
      楽しみましょう♪

      しかし、アールグレイさんの
      「ハイジがカケルを謝罪させる」
      っての、ナイスです(≧∇≦)
      2023/08/23
    • 土瓶さん
      アールグレイさん、こんばんは~^^

      みんみんさん、あおいさんの言う通りです。
      思う存分に心の丈をぶっぱなしてください!
      どんどんお...
      アールグレイさん、こんばんは~^^

      みんみんさん、あおいさんの言う通りです。
      思う存分に心の丈をぶっぱなしてください!
      どんどんお願いします!!

      今後ともよろしくです~(^O^)/
      2023/08/23
  • ありえない・・・

    舞台にどれだけ僕の気持ちを載せて運んでくれるか

    それが僕にとっての小説の醍醐味。

    特に読んでいて楽しかったのは、

    ・ハイジの他の9人への気の配り方
    ・竹青荘の住人たちの飲み会
    ・レースが始まってからの10人の心理描写

    この3つ。

    特にレース中の心理描写は、それまでハイジと走以外は薄ぼんやりとしていた心の中を照らし出してくれた。

    秀逸。

    三浦しをんさんの作品、『舟を編む』を超える僕にとっての作品は現れないかなと思っていたが、

    甲乙つけ難い。

    フォロワーさんに薦めてもらい、本当にラッキーでした。

    ありがとうございました。

    • Manideさん
      shukawabestさん、こんにちは。

      走るテーマ作品好きなんですね〜

      私は今日S4というアシックスの靴を買っちゃいました。
      最近走る...
      shukawabestさん、こんにちは。

      走るテーマ作品好きなんですね〜

      私は今日S4というアシックスの靴を買っちゃいました。
      最近走る頻度が高くなったので、フルマラソン走れることを目指して頑張ります。
      この物語みたいに、何かに挑んでいくのは、いくつになっても必要ですよね〜(^^)
      2023/07/08
    • shukawabestさん
      Manideさん、ありがとうございます。
      僕は走るのがかなり苦手で、だから却って走ることに憧れているのかもしれません。マンガ「スプリンター」...
      Manideさん、ありがとうございます。
      僕は走るのがかなり苦手で、だから却って走ることに憧れているのかもしれません。マンガ「スプリンター」(小山ゆう)、映画「奈緒子」(主演 三浦春馬)、ドラマ・小説「陸王」。どれも大好きな作品です。Manideさんがおっしゃるように何かにチャレンジする姿勢はとても大切ですね。僕は、ここ2、3年、何かにチャレンジができていないので、靴は買いませんが、足の筋力トレーニングはやって行こうと思っています。
      今後もよろしくお願いします。
      2023/07/09
    • Manideさん
      いいですね〜
      私も陸王好きでした。
      奈緒子、今度観てみます(^^)

      筋トレ大切てますよね、私はなかなか続かなくて、苦戦してます。
      こちらこ...
      いいですね〜
      私も陸王好きでした。
      奈緒子、今度観てみます(^^)

      筋トレ大切てますよね、私はなかなか続かなくて、苦戦してます。
      こちらこそ、よろしくお願いします。
      2023/07/09
  • 今年最後であろう作品に、このタイミングで、出合えたことは幸運だったかもしれない。

    寛政大学近くにある今にも崩れ落ちそうな安普請の木造二階建て竹青荘。住人全員(陸上初心者ばかりの素人を寄せ集めた10人のチーム)で、箱根駅伝を目指すというストーリー。

    箱根を目指すことが、陸上をやる人にとってどんなものか、全くの門外漢だったので、競技そのものを知ることができた。また、駅伝のコースが地名とともに景色として立ち上がってくるような感覚で、一区から十区まで、一人ひとりの個性も描かれる。

    本気で箱根を目指している方からすれば、設定やストーリーが出来すぎで納得がいかないという見方もあるかもしれないけれど、
    小説だからこそ、この世界を擬似体験させてもらえたような気がする。

    箱根駅伝にあまり馴染みのない人に
    これから何かと戦わなくてはならない人に
    そして、希望を見いだせなくなってしまった人にも、熱い何かを感じさせてくれるかもしれません。
    おすすめです。

  • お正月のテレビといえば箱根駅伝。
    お茶の間でみかんを食べながらのんびり見ていたものが、小説を読んだ後では全く違った見方になった。

    選手たちのプレッシャーや緊張感、箱根にくるまでの血のにじむ努力を知って、これから駅伝を見るときはもっと真剣に応援したいと思った。

    ————-

    竹青荘に住む学生が、たった10人で箱根に挑むという挑戦は、一見無茶なものに見える。
    しかし彼らの努力と根性が、ほんとうに夢を叶えてしまう熱量があるのだからすごい。

    ————-


    名前の通り走ることが生きがいな走(かける)と、この箱根駅伝出場の発案者ハイジ。
    この2名以外は、ほぼ陸上初心者だ。

    以前サッカーをやっていた双子のジョージとジョータ。高校で陸上部だったが、今はヘビースモーカーなニコチャン。剣道をやっていたユキ。留学生のムサ。実家が山にある神童。そしてクイズ番組好きなキングと、運動が苦手で漫画が大好きな王子、という個性豊かなメンバーが集う。


    過酷なトレーニングにくらいつき、時には喧嘩しながらも、箱根への出場を決めた時には感動した。
    地元の商店街のみんなも応援に駆けつけてくれ、みんな愛されてるなぁと感じて、ほっこりする。

    この10人で襷を繋ぐことに意味があった箱根駅伝。
    きっと彼らが大人になっても、語り継がれるかけがえのないものなったに違いない。


    今年のお正月の箱根駅伝は、応援に熱が入りそうだ。
    箱根のドラマがこの一冊に詰まっている。

  • 心は、一緒に駆け抜けた!
    大手町から芦ノ湖へ。そして、芦ノ湖からみんなの待つ大手町へ。

    すごいなぁ!どうがんばっても体育の通信簿は3で
    校内マラソン大会が怖ろしくてたまらなかったこの私に
    竹青荘のみんなと一緒なら(特に、ハイジが一緒なら♪)
    走ってもいいかなぁ。。。と思わせてしまう、この感動!

    「つきあわせてすまなかった」ではなく「ここまで一緒に来てくれて、ありがとう」と
    心をこめて訂正するハイジに「合格」とつぶやく王子も

    練習では、個性的すぎてともすればぶつかりがちなメンバーを穏やかに宥め
    花の二区を7人抜きでしなやかに駆け抜けたムサも

    これまでずっとお互いがお互いの目標だった双子の弟が
    走ることで新たに見出した世界を、一縷の淋しさを抱えながら応援したいと願うジョータも

    よりによって襷を渡された瞬間に、葉菜ちゃんの気持ちを知って
    「好きなら走れ!」という走からの伝言そのままにハイテンションで走るジョージも

    ムサと共に穏やかにチームを支える存在であったのに、本番で体調を崩し
    高熱と頭痛で意識も朦朧とする中、山登りのきつい5区を走りぬいた神童も

    再婚した母と、その夫と、半分だけ血のつながった幼い妹の予期せぬ応援に
    それまで抱いていたわだかまりを解いて雪道を跳ぶように駈けるユキも

    禁煙し、ダイエットに励み、自分の体質に絶望して一度はやめた陸上に再び挑む中
    勝つことではなく、信頼とつながりのために走ることの喜びを知ったニコチャンも

    無駄に高いプライドに邪魔されて、誰とも深く交われない自分が
    駅伝という夢を一緒に追い、仲間と濃密な時間を過ごせたことに感謝して走るキングも

    「俺にとっての最高のランナーは、きみしかいない」というハイジからの言葉を胸に
    淋しく孤独な走りから解き放たれ、自分以外のだれかを恃む尊さに心震わせながら
    藤岡が出した区間新記録を1秒でも塗り替えてハイジに襷を渡すために駈ける走も

    竹青荘の10人目を辛抱強く待ち続け、あらゆる努力を払って準備を整え
    ほとんど素人同然のメンバーひとりひとりの心に寄り添い、練習に心を配って
    完治していない古傷を抱えながら最後の10区を魂を込めて走り切ったハイジも

    みんなみんな、あきれるほどひたむきで、美しい。

    ハイジ♪ 竹青荘のみんなと一緒に、私にも頂点が見えたよ!
    そして、きっちりシード権を獲って、
    次の世代にまで襷をつないだ10人に、乾杯♪

    • まろんさん
      kwosaさん☆

      新年から素敵なコメントをありがとうございます!
      体育がずうっと3で、運動会の前にはいつも自家中毒で寝込んでいたひ弱な私で...
      kwosaさん☆

      新年から素敵なコメントをありがとうございます!
      体育がずうっと3で、運動会の前にはいつも自家中毒で寝込んでいたひ弱な私ですが
      kwosaさんをはじめ、ブクログ仲間さんたちの温かいコメントのおかげで
      すっかり元気になりました♪

      新年一冊目に、『風が強く吹いている』。。。なんて素敵な選択でしょう!
      一年の締めくくりにこの本を読んでよかった、
      新年にはやはりこの本、と、心を込めて本を選ぶところに
      kwosaさんらしい、本への敬意が表れていて、すばらしいなぁ、と思います。

      そして、「座右の積ん読」! 素敵です♪
      座右の銘より、もっと積極的に、生きるちからにつながりそうです(*'-')フフ♪
      kwosaさんの「座右の積ん読」と私の本棚のどの本が被っていたのか
      想像すると楽しくて、私もわくわくしています!
      2013/01/06
    • shuwachoさん
      こちらこそはじめまして。コメントってこんな風に使えるんだ!@@!とビックリしています。
      まろんさんのこのレビューは「風が強く」のみんなが走...
      こちらこそはじめまして。コメントってこんな風に使えるんだ!@@!とビックリしています。
      まろんさんのこのレビューは「風が強く」のみんなが走馬灯のように蘇って、何度読んでもジンワリとゴールの感動が蘇ります。みんな大好き~!ありがとう~!
      まろんさんが選ぶ本とレビュー、楽しみにしています。これからもどうぞよろしくお願いします!
      2013/02/27
    • まろんさん
      shuwachoさん☆

      コメントありがとうございます。うれしいです♪
      家族も本を読まないし、近所の友人にもあまり本を読む人がいなくて
      本に...
      shuwachoさん☆

      コメントありがとうございます。うれしいです♪
      家族も本を読まないし、近所の友人にもあまり本を読む人がいなくて
      本について語り合える環境にないので、ブクログのコメント欄で
      ブクログ仲間さんと語り合えることがうれしくてたまらない私です(*'-')フフ♪

      竹青荘のみんな、私も大好きです!
      どんなに汗臭くても、どろんこでも、かいがいしくお世話してあげるからおいで~♪
      と、言いたくなっちゃいますよね(笑)

      お時間があれば、またコメントで本についておしゃべりさせてください!
      これからもよろしくお願いします♪
      2013/02/27
  • 今にも崩れ落ちそうなアパート、"竹青荘"に住む10人で箱根駅伝を目指す物語。
    駅伝どころか、運動経験すらほぼないような初心者も含め、10人ジャストのメンバーで1年で箱根駅伝に出場し、シード権まで獲得する。

    各人が色々な思いを抱え、こんなに苦しいのになぜ走るのか自問しながらも、練習や日々の交流を通して、それぞれに成長し、過去の傷みを克服したり、互いを思いやり団結したりしていく。
    箱根駅伝当日の10人の走りや心情を描いた後半は、読みながら涙ボロボロ。
    今後、箱根駅伝の見方が変わりそうだな。(笑)

    それにしても、皆を巻き込んだ(?)張本人、清瀬は監督兼マネージャー兼、メンバー内ではナンバーツーの選手。メンバーそれぞれの性格や身体能力を把握し、各人の練習メニューを決めたり、駅伝当日のみんなへの気配りなど、スゴイ!の一言。

  • ブク友さんのレビューで、「あと少し、もう少し」「一瞬の風になれ」と並ぶ陸上三部作と知り、この本を手に取った
    中学、高校、大学の陸上部つながりだそう 

    新年の国民的行事の箱根駅伝は、我が家でも毎年欠かさず見ている。全国の長距離の精鋭がこの箱根路を走ることを夢見て、大学に入り鍛錬し、この日に臨む

    竹青荘というオンボロアパートのたった10人だけで箱根駅伝をめざそうなんて、何と無謀で無茶な思いつきかと半ば呆れ気味に読んでいたが、これはもしかしたら、もしかするかも・・・と先が知りたくて、ページを捲る手が止まらなかった

    こんなことは実際は、あるはずがないとは分かっていても夢中になり、沿道で旗を振り応援したり、テレビにかじりついて感動のもらい泣きする一観客になって、胸を熱くしながら読んでいた

    個性豊かな10人のここに至るまでの経緯や心情も丁寧に描かれていて、10人それぞれの青年を好ましく思った

    また、私にとってはただしんどいことでしかない『走る』ことを追求するハイジと走(かける)の姿は、今まで知らなかった世界を私に見せてくれた

    大学の名誉をかけて1本の襷を繋いでいくことの重みは、テレビを見ていても十分感じるが、、この本では、母校の名誉や伝統というよりも、「走る」ことの楽しさや共に苦しい練習を乗り切ってきた友に襷を繋げていくことを中心に描いているので、より共感できる

    ※弱小部でも、素人でも、地力と情熱があれば走ることができる。だれかの言いなりにならなくても、二本の脚でどこまでも走っていける。俺は箱根駅伝でこのことを証明したいと思った

    ※10人だけで挑んだ戦いになんらかの形ではっきりとケリをつけたいからだ。意味とか無意味とかじゃない。自分たちがしてきたことの証しと誇りのために、今できる限りの走りを見せる

    ※俺はずっと忘れていた。忘れたふりをしてきた。こうして走ることの切なさと歓喜を。思い出させてくれたのは、再び味わえる場に導いてくれたのは、竹青荘の住人たちだ

    物理的に同じ道を走っても、たどり着く場所はそれぞれ違う。どこかにある自分のためのゴール地点を探して走る姿は、この上もなく尊く美しかった

    そして10人それぞれが何かを見つけたことが、走り終わった姿から伺え、読み終わった後もしみじみと温かいものが残った

    いくつになっても、誰かが何かにひたむきに打ち込む姿というのは、感動するものだなと思ったし、感動できる自分が嬉しかった

  •  昨日図書館で借りたこの本を読み終わって、気づいたら本屋でこの本を買っていた。
     多分、この作品は私にとっての2012年上半期ベスト本になると思う・・・

     箱根駅伝って、陸上のエリート中のエリートの、そのまた選ばれたエリートが走る場所だと思ってた。才能あふれるアスリート大学生がちょろっと努力して、そんでもってプレイしてる、そんなイメージだった。でも、そんな彼らだって、この10人のように、血を吐くくらいの努力をして辿りついた地なんだろうな。私は今まで間違った認識を持っていた。それに気づかされた。

     個人的には、復路のユキ、ニコチャン、キングのくだりが一番泣けた。彼らはこの箱根駅伝を最後に長距離をおしまいにする。理由はそれぞれだけど、彼らは走りながらハイジや走や青竹荘の面々に感謝の意を表す。もう、そのくだりが泣けて泣けて・・・今思い出しても泣けるくらい・・・

    ユキ(第6走者 山くだり区間)「走、お前はずいぶん、さびしい場所にいるんだね。今日でおしまい。だけど最初で最後にこのスピードを味わえてよかった。」
    ニコチャン「走のように、選ばれ祝福されたランナーになりたいものだと、ニコチャンは心から願ったが、それは果たされるべくもない望みだ。でも、まあいいじゃねえか、とニコチャンは思う。選ばれなくても、走りを愛することはできる。抑えがたく愛しいと感じる心のありようは、走るという行為がはらむ孤独と自由に似て、ニコチャンの内に燦然と輝く。それを手に入れられたのだから。」
    キング「俺は、こんなに、だれかと濃密に過ごせたと思ったことはなかった。一緒に、心から笑ったり怒ったりしたことはなかった。たぶんこれからもないだろう。ずっとあとになって、俺はきっと、この一年を懐かしく思い返す」
     
     うつくしくきらきらした彼らと寄り添えて、私は本当に幸福だった。こんな私も、きらきらと永遠に輝く、とても大切なものを少しだけもらえたと思う。彼らと同じような思いを味わえるなら、それがたとえつらく苦しい日々であったとしても、耐えて乗り越える価値はあるのだと思える。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「やはりこれは群を抜いています。」
      三浦しをんの作品は、エッセイと小説を交互に読んでいるのですが、何を読むかは、その時適当に手に取ったモノに...
      「やはりこれは群を抜いています。」
      三浦しをんの作品は、エッセイと小説を交互に読んでいるのですが、何を読むかは、その時適当に手に取ったモノにしていて「風が強く吹いている」は後になっちゃってます。。。今手元にある三浦しをん積読はコレと「格闘する者に○」なので、多分次ぎに読みます(あっアンソロジー「シティ・マラソンズ」もあった)。
      2013/04/08
    • HNGSKさん
      にゃんこさん>>読んでください!!
      にゃんこさん>>読んでください!!
      2013/04/08
    • 風太郎さん
      こんにちは。風太郎です。
      コメントありがとうございます。
      この作品のように素敵な本と出会える喜びを分かち合えて嬉しかったです。
      こんにちは。風太郎です。
      コメントありがとうございます。
      この作品のように素敵な本と出会える喜びを分かち合えて嬉しかったです。
      2013/11/20
  • 2年前にやってたアニメがとてもすきでした。

    原作読んでいなかったと手を伸ばし読んだ原作も、
    素晴らしかったです。

    競技である以上
    孤独でもあり苦しさもある。
    でもなぜ走るのか
    速いだけではなく強いということを表す部分は涙が流れました。
    キャラクターそれぞれを掘り起こす
    箱根駅伝当日は特に自分もニコチャンや、キングのように、この時が永遠につつけばいいのに。そう思いながら読んでいました。贅沢な時間を過ごせたな。

    アニメとは設定に違いがあります。
    原作はさらに青春の透明感が強かった

    作者の三浦しをんさんが登場人物の名前はキャラクターのイメージや人柄が入ってるというインタビューを見て、清瀬灰二という名前も、蔵原走という名前も改めてピッタリで愛おしさが増しました。また3年後とかに読みたい。

  • 長距離という、永遠に独り孤独な道を走っていく。
    目的は、人それぞれの思いを秘めて。


    箱根駅伝に対する気持ちが、だいぶ変わってきた。

    走るとは何か・・・それを追求し、愉快な仲間と夢の箱根を目指す!!
    努力は、無駄ではない。実る!ことを、実感させられた。

    ハイジさんと、走(カケル)とのコンビが素敵です♪

    図書館で借りた本なので、人生で迷った時悩んだ時に再読したいため購入を検討中(笑)


    -追記-
    思い切って、買ってしまいましたヽ(^o^)丿

    • しをん。さん
      kwosaさん

      はじめまして(^^♪
      こちらこそ、ご丁寧にありがとうございますヽ(^o^)丿

      私もお正月にこの単行本の方を購入してみまし...
      kwosaさん

      はじめまして(^^♪
      こちらこそ、ご丁寧にありがとうございますヽ(^o^)丿

      私もお正月にこの単行本の方を購入してみました♪
      どうしても、内容が忘れられなくて…。

      フォローありがとうございます(●^o^●)
      これからも、よろしくおねがいします
      2013/01/23
    • HNGSKさん
      紫苑さん、おひさしぶりです。
      私もこの本大好きです。
      私も、図書館で借りて、そしてたまらずに買ってしまいました。
      紫苑さん、おひさしぶりです。
      私もこの本大好きです。
      私も、図書館で借りて、そしてたまらずに買ってしまいました。
      2013/01/23
    • しをん。さん
      ayakoo80000さん
      お久しぶりですヽ(^o^)丿

      一緒ですね♪
      図書の本で借りると、内容が忘れられなくて
      本を購入…。
      それだけ、...
      ayakoo80000さん
      お久しぶりですヽ(^o^)丿

      一緒ですね♪
      図書の本で借りると、内容が忘れられなくて
      本を購入…。
      それだけ、魅力のある本ということなのですが(笑)
      2013/01/24
  • 図書館で借りて読んだが、手元に置いておきたい一冊となった。

    他の方の書評を読んだ(Amazonなど)が、辛口の評価も少なくない。その大半が「リアリティのなさ」であった。

    確かに寄せ集めの集団、しかも多くは素人。
    で予選会を通過し、最終的には信じられないような結果を残すのだが、そんなに箱根は甘くない、作者は箱根駅伝をなめている、愚弄すらしている。
    そんな強烈な批判を述べる方もいる。

    それもまた一理。

    確かに“カンタン”に本選出場を決めたような印象があるし、五区の選手なんか、本当にそんな状況だったら走れるわけがない、といった「突っ込みどころ」はままある。

    しかし、だからといって、箱根を軽視しているか、愚弄しているかというと、答えは「NO」である。
    そんなに安易に本選出場できるほど、箱根は甘くないと思うからだ。これを読んで、「なんだ、箱根って案外楽に出れるんじゃん。」などと思う人はいないと思う。10人の走る様を読めば読むほど、自分の全てを賭けて挑戦する価値のある、尊いものだ、と思えてくる。

    この作品はドキュメンタリーではない。箱根駅伝という素材を通して、一つのことに賭けることの意味や値打ち、走ることの意味、仲間との連帯感などといった、青年期だからこそ味わえる感動や瑞々しさを表現する作品なのだと思う。

    僕はむしろ、本物の箱根駅伝でテレビに映らない下位の大学の走りやその裏にあるドラマにもっと触れたくなった。来年の箱根駅伝を早く見たいと思った。そして、走ることの喜びをあまり感じないまま終わった僕の高校時代に戻りたいと思った。

  • 間違いなく生きてはいるのだけれど。

    実際に、
    「今、生きている」事を実感している意識って、
    私の場合、特に無いな。と感じてしまった。

    無意識に繰り返す呼吸。
    規則正しく、心臓に負担かける事もなく、
    穏やかに、
    心地よく、
    まるで、息をしている事を忘れなさい、なんて
    暗示をかけられているか、のごとく。

    だから、
    彼らの走りを傍観していて、
    いろんな意味で胸が苦しくなった。
    いつもの呼吸が激しく乱れた。

    走る事に何の意味がある?

    チームの為に、死力を尽くさなければならない理由とは何?

    走らなくても
    人は生きていけるのに、

    何故、彼らは10人がそれぞれの区間に、
    何もかもを注ぎ、次のランナーへと托す襷に全てをかける事が出来たのか?

    「俺は知りたいんだ。走るってどういう事か。」

    心が体をどうしようもなく、突き動かす事がある。
    それは、一体何故だろう?
    どこから沸いてくる思いだろう?

    人によって、心にふつふつと芽生えるそれは
    全く異なるとは、思うけれど。

    疑わず、その芽を摘まず、
    心の赴くまま、目の前に現れた「道」を
    ひたすら突っ走ってみよう、と、決めた彼らのほうから、
    強く風が吹いてくる様な気がした。

    それは、間違いなく「生きている」事を実感させてくれる風であった。

  • 新春1冊目。明日からの箱根駅伝前に読み終えようと、一気に読了。面白かった!!なるほど、10人分を一人ずつ丁寧に描ける「駅伝」ってかなり特殊だけど面白い題材だ。

    山口晃が描く表紙絵が秀悦過ぎる。山口晃節で描かれる登場人物たち。細かく見ると、この物語を一言で表していて、読了後に見るとまた面白いです。文庫本は残念ながら(絵が小さくなりすぎて分からないから!?)、表示絵が違うので要注意。

    なんとなく、コースも頭に残っているうち、明日からの箱根駅伝は楽しく見れそう♪。

  • 長距離走は、両脚を交互に前に出して、決められた距離を淡々と進むだけ。
    誉め言葉は「速い」でなく「強い」。
    ところで強さとは、何?
    本気で取り組む。走り続ける。
    だが、努力ですべてがなんとかなると思うのは、傲慢だということだ。
    強くなるには時間がかかる、あせらなくていい。

  • もう一度読みたくて、単行本で購入。
    やっぱり素晴らしかった。
    話を知っていても、涙が込み上げる。
    どうなるかという話の結末以上に、作者の言葉の力が素晴らしい。光、匂い、風の冷たさ。
    終わりに近づくと、もったいなくて、先が目に入らないよう、しっかり一言一言、走やハイジの言葉を追った。

    走とハイジは1年生と4年生。大学で3年の差は結構大きいと思うんだけど、先輩後輩を超えた、お互いにとって特別な存在。信頼関係も超えた、なんだろう、愛って言葉も違う気がする。

    ハイジの言葉遣いは(「きみ」と呼ぶ)結構独特だと思うんだけど、私は映画版も見てからは完全に俳優さんのイメージで再生されている。とても説得力のある、素晴らしいキャスティング。(その後にいろいろあって残念だが)

  • 箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。
    「BOOK」データベース

    青春とはこういうことなのだなぁ.
    よくもここまで細かな心理描写ができるものだと思う.作者は箱根駅伝どころかマラソンもしないだろうに、下調べやインタビューなどからここまで書けるのだろうか.筆者の妄想力に脱帽する.
    メンバーの中に素晴らしい才能の持ち主がいたとはいえ、走り始めて1年足らずの素人が箱根駅伝で大活躍するなんて夢物語かもしれない.でも、この本を読んでいると、途中から単なる夢物語で終わらない予感のようなものを感じるようになるのだ.
    もしかして、もしかして.時にぶつかりながらも絆を深めていく10人に、いつしか期待を膨らませている自分を発見する.

    • kwosaさん
      ecottさん

      フォローありがとうございます。

      『風が強く吹いている』で三浦しをんさんデビューを果たし、少しずつ追いかけています。
      そろ...
      ecottさん

      フォローありがとうございます。

      『風が強く吹いている』で三浦しをんさんデビューを果たし、少しずつ追いかけています。
      そろそろ有川浩さんデビューもしようかと思っているので、ecottさんの本棚を参考にさせて頂きます。
      そして大量にあるタイ語の本!
      とっても気になります。

      プロフィールを拝見しました。
      「珈琲好き」「JAZZ」のタグに心引かれます。
      どうぞこれからもよろしくお願いします。
      2013/05/02
    • ecottさん
      kwosaさん
      コメントありがとうございます^ ^
      三浦しをんさんも有川浩さんも大好きな作家さんです.つたない感想しか書いてないですが、ご参...
      kwosaさん
      コメントありがとうございます^ ^
      三浦しをんさんも有川浩さんも大好きな作家さんです.つたない感想しか書いてないですが、ご参考になれば幸いです☆
      こちらこそ、どうぞよろしくお願いします!
      2013/05/02
  • とても感動した。
    走のように美しく走りたい。
    ハイジのように賢く冷静で、強く走りたい。
    神童のようなタフさがほしい。
    藤岡のような超然とした精神と肉体が欲しい。
    なんて魅力的なランナーたちなんだ。
    すぐにでも走りに行きたい気分になる。
    走る、ということの魅力が、余すことなく描かれていた。

    それにしても、竹青荘の住人たちは、走りだしから速いなあ。
    ・・・それは言いっこなしかな。

  • 映画DVDを見てから感想を書きたかった。
    子供に勧められて手にとった本。
    今年読んだ一押しの作品のように思える程、感動した。
    一人一人の性格や情景や息遣いまでを感じられる素敵な作品でした。
    以前は走る事が大好きだったが、今は走れない体となったけど、読んでいて一緒に走ってる感じを受け頑張る力を頂いたような気がする。
    お正月の箱根駅伝の見方も変わるだろうな!きっと「ガンバレ!」と声援おくることだろう。
    来年も素敵な本に出会えますように・・・。そして、ありがとう!

    • まろんさん
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      この本で2012年の読書を締めくくり、お正月の箱根駅伝を見る。。...
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      この本で2012年の読書を締めくくり、お正月の箱根駅伝を見る。。。
      なんて素敵な年末年始の過ごし方でしょう!
      襷が渡されるたびに積み上げられていく10人の思いが胸に迫って
      運動音痴を絵に描いたような私でも、一緒に走っているような気持ちになってしまう本でした。

      映画は、私が勝手に脳内キャスティングしていた俳優さんは一人もいませんでしたが
      原作の良さをちゃんと伝えていて、本を読まない娘も、
      感極まってしゃくりあげながら観ていました。

      本を愛する気持ちがストレートに伝わってくるhappykyoさんのレビューを
      これからも楽しみにしていますので
      どうぞよろしくお願いします(*^_^*)
      2013/01/16
    • happykyoさん
      まろんさんへ

      初めまして。
      早速のフォローとコメントありがとうございました。
      まろんさんのレビュー見させて頂き、
      再度文中の場面...
      まろんさんへ

      初めまして。
      早速のフォローとコメントありがとうございました。
      まろんさんのレビュー見させて頂き、
      再度文中の場面を思い出させて頂き、更に感動致しました。ありがとう。

      実際のお正月の箱根駅伝もTV観戦しながら、あーここが花の2区なのね!とか、ゴール地点では熱があるのに頑張った区間ね!と確認しながら楽しめました。

      私は若い頃は、愛読家どころか本をあまり読まなく運動ばかりしていました。そのせいか
      つたないレビューでお恥ずかしい限りです。
      このような本を手にでき、感動と感謝でいっぱいなのですが、旨く表現ができず著者に対しても失礼な想いいっぱいです。

      まろんさんのようなレビューが書けるようになりたいな。
      そして また、本選びの参考にさせて下さいね!
      こちらこそ、宜しくお願いします。
      2013/01/16
  • 素晴らしい!!
    10人の登場人物が生き生きと描かれ、10人だけで箱根駅伝に挑戦する姿に深い感銘を受けた。
    チーム結成から練習、記録会、予選会までの中盤はユーモアのある描写で、サクサク読め、それぞれの人物に感情移入も出来る。
    駅伝本番を描いた中盤以降は、ページをめくるたびに涙が頬を伝った。本を読みながら涙を流すことは稀なのだが、大げさでなく本書ではページをめくるごとに涙が出てきた。
    読後感もいうことなし!!

    誰かにお薦めの本を訊かれたら、迷わず本書を挙げたい。
    遠く何年も前に置き去ってきた「輝き」のようなものを思い出させてくれる一冊である。

    • maiさん
      思わずコメントしました!
      いや、ほんとにほんとにその通りだなーと思って。笑
      とても、いい本でしたよね。
      素晴らしい!
      私も、だーだー...
      思わずコメントしました!
      いや、ほんとにほんとにその通りだなーと思って。笑
      とても、いい本でしたよね。
      素晴らしい!
      私も、だーだー泣きました。笑
      2012/12/15
    • uraraさん
      昨年読んだ本の中で、私も一押しの本です。
      新年の箱根駅伝も、この本を読んだ後では見方が違ったように思います。
      昨年読んだ本の中で、私も一押しの本です。
      新年の箱根駅伝も、この本を読んだ後では見方が違ったように思います。
      2013/01/07
  • 今年も箱根駅伝を見て、思わず涙があふれました。いつも「なんで駅伝を見ると心がざわざわと揺り動かされ涙があふれるのか?」と思っていたのですが、この本を読んで「あぁ、選手の走りがきれいだからか。」と納得しました。

    清瀬くんがいいセリフを吐きまくってます(笑。弱小の陸上部が箱根駅伝出場を目指す話で、表紙や裏表紙をよく見ると、話の内容の情景がうっすらと書かれていてぐっとなりました。

    いいなぁ~こんな青春。たった1年の激走でしたが、ページをめくる手を止められませんでした。駅伝をいつも見てる人にも、見たことない人にもお勧めしたいです。

  • 小・中・高と、学生の時は
    陸上部に入っている人の気持ちが
    分かりませんでした。

    「一人で走ったり跳んだり投げたり
    して楽しいのかな。」
    そんな感じで運動場の横をみてました。

    10人で箱根駅伝を目指す物語です。
    非現実的な感じもしますが、
    走ることの楽しさ・苦しさ・奥深さを
    感じさせてくれる小説だと思います。

    速く走るのではなく強く走る。
    そんな感じで書かれている文章が
    印象的でした。

  • おもしろかった。ほんっとおもしろかった。
    私は駅伝なんて全く興味が無く、
    正月の箱根駅伝でさえチャンネルを変えてしまう。
    走るのも素人、走るのを見るのも素人やからこそ楽しめたのかも。アオタケの人達同様ゼロからのスタートやったから。
    三浦しをん=BLっていうイメージがあるので、
    所々これって…?って勘ぐりたくなる部分もあるけど、
    それもまたひとつの楽しみ方なんかな。
    予選会で泣かされ、箱根では最後まで泣かされっぱなし。
    ゴールしてほしいけどゴールしたら終わってしまう。
    読み終わりたくないと感じた本は久しぶりやった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「箱根では最後まで泣かされっぱなし。」
      三浦しをんの、頑張る話と言うか、極める話は、とっても素敵です。。。
      「箱根では最後まで泣かされっぱなし。」
      三浦しをんの、頑張る話と言うか、極める話は、とっても素敵です。。。
      2013/09/19
  • 前々から名作との評判を聞いてはいたのだが、箱根駅伝の話ということでいまいち興が乗らないこともあって読む機会がなかったのを突然読了。期待していなかったためもあってかたいそう面白かった。
    何しろ装丁がいい。たまたまこの前に読んだ本(小澤征爾×村上春樹)と同じく新潮社装幀室の手掛けた本だったわけだが、ほんと素晴らしいですね新潮社装幀室。表紙挿画が出色で、一目見て箱根駅伝の話とわかるだけでなく、各区走者の一言を添えたイラストでワクワク感が高まる。箱根駅伝が大嫌いな私でも俄然読みたくなった。
    ということで話が始まれば三浦しをんの文章力の独壇場である。主要登場人物二人が知り合うきっかけが万引き(しかも常習犯なのに未解決)というモヤモヤも吹っ飛ぶほどの怒涛の登場人物紹介の巧みさ(他の走者8人分がほぼ一筆書きで一気に出てくるのにこんがらがらない)にたまげ、駅伝参加がなし崩しに決まる強引な展開を押し切る筆力に圧倒されて読み進めるうちに、気がつけば予選会を通過していた。すごい。
    文章が上手いというか、なんとなく漫画を想起させる描写力のような気もするが、三浦しをんって漫画好きなのかなあ、絵が描ければ実は漫画家になりたかったというようなタイプ?など考えているうちに本は残り3分の1、いよいよ箱根駅伝当日である。
    5区の神童に風邪を引かせて大ブレーキをかけさせる展開がだいぶ不満だったのだが、これは先頭から10分以上遅れの繰り上げスタートにしておかないと後の展開とシード権争いのドラマチックさが減じるからであろう。何しろ9区に控えているカケルが速過ぎる。そして最後の最後にハイジの膝を完全にぶっ壊すという飛び道具が用意されていた。何それ。ハイジの膝が「ぱきり」といった瞬間、私の気持ちはスーッと冷めていった。ここまで、部活動の根性論や管理主義、勝利至上主義、それに伴う陰湿な人間関係などにノーを提示していると思って読んできたのに、ここにきて滅私奉公的頑張りを美化して描くの? そんな派手な故障をしたまま頑張って走っちゃったら、選手生命が終わっちゃうじゃん。典型的な箱根での燃え尽きを、是として描くの?そのためにここまで引っ張って読ませてきたの??
    フィクションなのでもちろん小説家がお話を作っているのはわかっているのだが、なんというか、駅伝当日の展開はそれまでに比べても作者の作為が強く感じられすぎた。神童とハイジには悪いけど、お話のために犠牲になってね、って神童の風邪を拗らせハイジの骨を剥がす神(作者)の見えざる手がちょっと見えちゃったのです(個人的にはね)。
    しかしそれでも私は最後までそれなりに楽しんでこの話を読んだ。私の頭の中のリアル箱根駅伝を嫌う部分が完全拒否モードになったのに、それでも最後まで読ませられる文章力というのはいっそ悪魔的ですらある。冒頭から思い返せばほとんどの部分で楽しい読書であり、普通なら文句なく星5つに値するものだった。
    しかしハイジの失われた競技人生を悼んで、星は1つ減じることとした。

  • 長距離を走るのは苦手だし、共感できることは少ないけど、歳を重ねてマラソンとか駅伝見れるようになったように、読む度に引き込まれていった。

    物語はテンポよく進むけど、挫折とかなくて上手く進みすぎな感じが・・・

    恋の行方も知りたかったな

    走る小説で「走」って名前はいただけない
    読みづらい(--;)

  • 今更?と思われるしれないけど、私にとっては今読むべき本だった!!むかーし小出くんと林くんの映画を見た。その頃若手俳優の沼に片足突っ込んでいた私は、今でこそ著名駅伝俳優の和田まーくんが、舞台をやっていたのも知っていた。

    時は流れて大学駅伝ファンになって早一年。ハーフマラソンや10kmのタイム、関東インカレ、各大学記録会、予選会。そして箱根駅伝の大手町から芦ノ湖、芦ノ湖から大手町への景色。このイメージができたから、何も知らずに映画を観たあのころの私よりもずっとずっと楽しめた。
    駅伝は「観戦」するものだと当然思っていた。20kmを超える距離を走る彼らは、1時間もの間何を観て、何を考え走っているのだろうか。そんなことも垣間見れたような気持ちになった。

    これが書かれた2007年と、現在の箱根駅伝は大きく違う。携帯電話はスマートフォンになり、インターネット上で生配信がされる。ラジオはradikoで聞けばいいし、Twitterの情報はすごく早い。当日の選手変更も、選手たちの意気込みも、ぜんぶスマホひとつ。沿道で応援する人たちは目の前を選手たちが走り抜けるその瞬間の、その前の後ろのドラマをリアルに応援できるのだ。
    葉菜ちゃん、2019年にきて一緒に応援しようよ!ってかんじ。

  • たった10人の弱小陸上部がお正月の箱根駅伝を目指す。

    設定としては、ちょっと有り得ないかも、と思いながらも、夢中で読みました。

    およそ走ることには縁遠かったその他の竹青荘の面々、過去に問題があり、箱根常連校に進まず寛政大に進んだ走とハイジ。
    厳しい練習をつみ、濃い1年をすごした結果のラストシーンは感涙でした。
    ハイジを心から信頼する走と、走の走りに心底惚れ込むハイジ。
    二人の関係性にグッときます。

    表紙がいい。
    読み終えてから眺めると、更にいい。
    針金人形ってああいう形状だったのですね~

    年明けの箱根駅伝が、今回も更に楽しみになりました。

  • 装丁がすごくよかった!本を読みながら何度も見てしまった!初めは江戸時代的な装丁だなぁ…とあまりよく思っていなかったのに(笑)

    一人一人のキャラがたっていて、現実的にはまぁありえないことだと思いつつ、すごくリアルに感じられたのは、描き方が繊細で一人一人の心情が伝わったからかなぁ。
    何の分野でも秀でた人への羨望や嫉妬、自分の劣等感は出てくるし、そこから純粋に頑張ることができるかどうかって、いくつになっても難しいなぁと思ってしまう自分にとって、学ぶことも多かったなぁ。
    そして走のように走りたい!という衝動に刈られる!

  • 瀬尾まいこさんの「あと少し、もう少し」を読んだら、無性にこれも読みたくなって、ずいぶん久しぶりの再読。駅伝チームがどうなるか知ってるのに、最後までハラハラしながら一気に読んでしまった。

    思えばこれでしをんちゃんにはまったのだった。今読むと、しをんちゃんがすごーく楽しんで書いたんだろうなあと思える。いや、もちろんこれだけの疾走感を持った陸上小説を書くには大変な苦労があったんだろうけど、それとは別に、一人一人のキャラクターを作っていくのなんか、きっとウヒウヒ楽しんだに違いない!それぞれの味わいがあってとてもいい。私は神童が結構好き。

    それはそうと…、最初にこれを読んでからしばらく熱心に箱根駅伝を見てたのだけど、ここのところちょっと見るのがつらくなってきた。過熱ぶりについていけない。あんなに選手をスター扱いしなくても…とか、余計なことを色々考えてしまう。ま、結局見て、目頭を熱くしてるんで、えらそうなことは言えませんが。

    • じゅんさん
      >>選手をスター扱いしなくても
      わかります、わかります!

      襷をつなげるために走っている選手はみんな偉い、それはもちろんなんですよ。
      でも、...
      >>選手をスター扱いしなくても
      わかります、わかります!

      襷をつなげるために走っている選手はみんな偉い、それはもちろんなんですよ。
      でも、なんか方向が違うんじゃないか、と感じることが。
      とは言え、襷を渡して倒れこ選手の姿にはもう涙・涙なんですけどね。
      2013/02/13
    • たまもひさん
      そうなんですよ。何にも演出しなくてもそのものが感動的なんだから、妙に煽らないでほしい!実況が熱くなると気持ちは冷めていくという、まあひねくれ...
      そうなんですよ。何にも演出しなくてもそのものが感動的なんだから、妙に煽らないでほしい!実況が熱くなると気持ちは冷めていくという、まあひねくれ者と言われればそうなんですが、そういう人って結構いるんじゃないかなあ。
      2013/02/14
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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

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