暴雪圏

著者 :
  • 新潮社
3.59
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本棚登録 : 401
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104555079

作品紹介・あらすじ

最大瞬間風速32メートル。十勝平野が十年ぶりの超大型爆弾低気圧に覆われた日の午後、帯広近郊の小さな町・志茂別ではいくつかの悪意が蠢いていた。暴力団組長宅襲撃犯、不倫の清算を決意した人妻、冴えない人生の終着点で職場の金を持ち出すサラリーマン…。それぞれの事情を隠した逃亡者たちが辿りついたペンション・グリーンルーフで、恐怖の一夜の幕が開く。すべての交通が遮断された町に、警察官は川久保篤巡査部長のほかいない-。超弩級の警察小説。

感想・レビュー・書評

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  •  『制服捜査』は、本当に印象に残る短編集であった。帯広の駐在所に飛ばされた元道警捜査一課のやり手刑事。道警裏金問題によって失われた権威と信頼を取り戻すため、警察は無理矢理なローテンションを現場警官たちに強いた。その影響下で思いもかけぬ道東の片田舎に追いやられ制服警官となった川久保巡査は、十勝の四季の中で稀に起こる犯罪やトラブルに対処してゆく。そのローカルな生活感や、この風土ならではの独特の事件性が目を引く作品集だった。

     本書はその川久保巡査を主人公にした初の長編作品である。大いに期待したのだが、実際の読後感はその期待感をある意味で裏切る。それというのも、川久保巡査が思ったより活躍してくれないのだ。この『暴雪圏』の主人公は、吼え猛ける風であり、降りつのる雪であり、広大な原野であり、何よりも十勝の冬である。災害小説とも取れるような最大級の嵐に見舞われた十勝の大地に沸き起こる事件の数々と、人間たちの運命の絡み合い、そうした群像小説という形にもってきたのが、この作品。

     シリーズ的な楽しみはある意味奪われた感があるものの、別の独立長編としてのインフェルノ小説的楽しみが逆に満喫できるあたりが、曲者である。雪に閉ざされたペンション人質篭城事件などは、まるで別の小説のように思えるのだが、こういう風にまとめずに、できればモジュラー型ミステリーの楽しみのまま、川久保巡査にもっと活躍して頂きたかったというのが、わがままな読者としてのないものねだり。

     それにしても除雪車の出動順序によって道路が開通するという設定のあたりは北海道小説としては楽しいものがある。おかげで、ラストシーンは川久保巡査の西部劇みたいな活躍のシーンが用意されている。さすがに北海道開拓時代のガンマン小説(ぼくは勝手に蝦夷地ウエスタンと名づけているが)を書いている作家である。

  • 面白いのは面白かったが評価に悩む。何に重きを置いて読書するかによって評価が大きく分かれるのだろうが、謎解きを重要視する私は完全に拍子抜けした。社会派の警察ミステリと割り切っていても、やはり不完全燃焼という感は強く残る。
    暴雪に襲われ密室状態になった町、不穏な事情を抱えながら集まってくるキャラクターたち──このあたりのディテールが良かっただけに、全体のバランス不足が残念で仕方ない。プロローグと呼ぶには余りにも長すぎ、メインストーリーと捉えるにはさすがに中途半端。それでもそこそこの満腹感を味わえるのが不思議。いろいろなドラマが作中で展開するが、本作品の主人公はまぎれもなく暴雪。

  • 500ページほどあったけど長く感じない。面白かったけど最後突然おわった。

  • 猛吹雪で道路が遮断された。
    行き場を失った訳ありの人々がペンションに避難してくる。
    出会い系で知り合った不倫相手との関係を清算しようとした主婦。会社の金を持ち出した男。義父の虐待に耐え兼ね家を飛び出した少女。そして暴力団組長の屋敷を襲った強盗。
    TVで強盗殺人のニュースを見た避難者たちに緊張が走る。
    村でただひとり、警官として対処する川久保。
    そして暴風雪が終息した後の訳ありの人々の今後は読者の想像に託される。

  • 終わり方が惜しい。

  • 制服捜査は良かったのになあ
    佐々木譲は長編が多い
    自身も長編が得意と思っているようだが
    短編のほうがむいているのでは?

  • 地域特性と派出所巡査の存在感に読み応えあり。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/13389450.html

  • 北海道警察広尾署志茂別駐在所・川久保巡査部長の話。猛吹雪が巻き起こる日、様々な事件が繋がっていき、あるペンションに結集していく。吹雪の為に次々と計画が崩れていく犯人たち。自然の前に人間の思惑など、全く無力であり、太刀打ちできない様子がうまく描かれている。が、ラストはこれでお仕舞いなのだろうか。余りにも淡白すぎるのではないか。それに他の事件は・・・少し不満が残ります。

  • 三月末、北海道東部を強烈な吹雪が襲った。
    不倫関係の清算を願う主婦。
    組長の妻をはずみで殺してしまった強盗犯たち。
    義父を憎み、家出した女子高生。
    事務所から大金を持ち逃げした会社員。
    人びとの運命はやがて、自然の猛威の中で結ばれてゆく。
    そして、雪に鎖された地域に残された唯一の警察官・川久保篤巡査部長は、大きな決断を迫られることに。

  • 北海道の厳しさを今更のように感じた。それぞれの人がこの後どうなったのか気になるところではあるが、想像をさせて終わらせるところが良かったのかも•••。
    2014年12月20日

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