遥かな夏に

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  • 新潮社 (2025年1月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784104555130

作品紹介・あらすじ

目の前の女性はまっすぐ裕也に訊いた――あなたは、わたしの祖父ですか? 祖父を探していると女性は言った。祖母は安西早智子といい、未婚のまま出産、何も語らずに亡くなった。裕也はその名を知っていた。古い記憶が甦る。一九七六年ベルリン国際映画祭、祝祭の夏。あのとき彼女に何があったのか。祖父とは誰か。探索の果て裕也が辿りついた真実とは。過去と現在が交錯する人生探しのミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • あなたの青春は何ですか? 過ぎ去った遠い夏を感じながら、忘れてきた思い出を探す物語 #遥かな夏に

    ■あらすじ
    すでに会社を定年退職していた本庄裕也のもとに、若い駆け出しの舞台女優の大宮真紀が訪ねてくる。彼女は祖父が誰であるか探しているらしいのだ。

    かつて本庄は1976年のベルリン国際映画祭で宣伝部として映画制作に参加していた。その映画祭には祖母である歌手の安西早智子も参加しており、真紀はその場にいた関係者から祖父を探しまわっていたのだ。

    あの夏、早智子には何があったのか、そして真紀の祖父は誰なのか。本庄はかつての関係者を巡ることになり…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    人それぞれに生き方があり、夢があり、仕事があり、生活があり、親子、友人、恋人などの人間関係がある。楽しいことから辛いことまで、人生丸ごといろいろあって年齢を重ねていく。そんな至極当たり前の人間模様を描いた物語です。

    本庄裕也のもとに、かつての仕事仲間の孫娘である大宮真紀が訪ねてくる。「あなたは、わたしの祖父ですか?」いい始まりですよね…

    同じように年齢を重ねてきた人が読んだら、きっと一気に世界観に引き込まれてしまうでしょう。そう、これは自らの青春時代を振り返る物語なんですよ。

    ストーリーとしては本庄が真紀の祖父を探すために、かつての映画仲間、映画監督、原作者、俳優、ミュージシャンたちを訪ねていくという筋だて。

    50年も前の出来事なんて忘れていることも多いのですが、関係者に少しずつ昔話を聞いていくうちに徐々に記憶がよみがえってくる。そして当然若かりし頃の思い出も生き返ってくるんです。

    まさしく命をかけて映画をつくった人の横顔が見えてくるんすよねー、カッコいいなぁ。私も脚本家になりたいと思った時期もあったけど、とてもじゃないが熱意が足りませんでしたね。でも、夢を追いかける青春っていいですよね。

    また本作では映画作品がたくさん登場します。実はほとんど見れてなくて『ひまわり』や『愛のコリーダ』は見ておきたいんだけどな。しかしこういった名画に心臓を打ち抜かれた当時の映画狂いたちは幸せだったでしょうね。

    物語も終盤に近付くと、徐々に当時の秘密が明らかになってくる。そこにあるのは1970年代の時代を切り取ったもので、未来ある若者たちに背負わせるには、あまりにも重過ぎですよ。よく頑張った、うんうん。

    今でも若い世代には経済的に生きづらいかもしれないけど、きっと未来には希望があるから頑張って欲しい。きっと人生を振り返るときには、大切な人と寄り添って微笑んでいられるから。

    ■私とこの物語の対話
    タイトルのとおり本書は1970年代の遥かな夏の物語。過ぎ去った遠い夏を感じながら、人生で忘れてきた大切なものを思い出していくお話なんです。

    本作の主人公である本庄裕也は確かに映画は大好きなんだけども、映画の世界に飛び込むことはしない。多少映画に関わることはあるが、むしろ真面目な会社員として人生を全うするんですよね。

    この選択… 私としてはすごくよくわかるんです。「夢と現実の狭間」ってやつで、私も「現実」を選んできた人間なんですよね。

    私にも若かりし頃は、色んな選択肢がありました。脚本家を目指していたり、探偵に誘われたり、法律家として独立開業しようとしたり、友人と上京しようとしたり。結局どれも選ばず、無難に会社員として就職したのですが、あの頃違う選択をしていたら今はどうなっていたんだろうか…

    エモーショナルな感情に浸れる一冊でしたね。ぜひウイスキーでも飲みながら、じっくりと読んでください。

  • 本庄は、50年近く前の1976年夏、ベルリン国際映画祭に企業側の担当者として参加していた。
    スポンサー側からの派遣なので裏方に徹していたが、その映画に出演していた若いシンガー・ソングライターが祖母であり、未婚のまま母を産み育てたが亡くなり、母でさえ父が誰か知らないというので探してほしいと若い女性から言われる。

    当時の参加者たちを辿っていくうちに見えてきたものとは…。

    過去を振り返るうちに蘇ってくることのすべてが映画に絡んでくる。
    ついに真実が見えてきたが、それもある映画の内容が実在のことなのでは…と感じたからで。
    そこから辿り、すべてが明らかになる。

    そこには確かな愛があり、苦渋の思いで決断したことだったのだろう。
    今更、誰を恨むというのも違う気がするが、当時の社会情勢や差別がそうさせたのか?と思うとなんとも複雑である。

    ラストが美しい。
    やはり、問いかけは始まりと同じだった。





  • あなたは、私の祖父ですか・・・
    女性の祖母は、未婚のまま出産し、何も語らずに亡くなる・・・
    1976年のベルリン国際映画祭での真実とは・・・

    昔の映画好きの方には面白い作品なのですかね。
    昔の映画が詳しくないので話に入るのにかなり苦戦しました。
    また、時代は背景もあんまりしっくりこなかったです。

    それでも人それぞれの生き方があると感じる作品でした。
    もう少し大人になったら読み返してみたら違う視点で読めるのでしょうか?
    僕には早い作品だった気がします。

  • 関係者たちの反応や記憶の曖昧さもあったので、実は私が祖父だった的などんでん返しを期待してしまった。やっぱり刑事モノの方が作者の本領発揮される気がする。

  • 警察モノとは違う国籍や時代を十分に感じる重みのある作品。導入は結構荒唐無稽と思ったけど、時代背景を考えるとそういう事情もあったかも、と思う。これらの事象を丁寧で破綻なく描き切れる作者に拍手です。

  • 1976年のベルリン国際映画祭が舞台なので、この時代を知っている世代(今の50・60代以上か)か、よほど映画好きでないと全く面白くないと思われる作品。私は当時小学4年生で、時代の雰囲気が何となくわかる程度だが、そこそこ映画は観てるので、70年代の映画事情もそれなりに理解できたし、面白かった。ただ、ストーリは結構ありきたりだし、登場人物もいけ好かないヤツらばかりで、結局映画オタクの自慰行為を読まされている雰囲気ではある。あまりオススメはできないな。。

  • 映画好きの団塊世代には、たまらなく楽しい物語なのかなぁ。延々と続く堂々巡りの「誰が祖父か」の推理、退屈。振り返れば、今も続く韓国の混迷の政治は戦後ずっと。それに翻弄されて来た個人の人生、やりきれない思い残った。佐々木さんも幕下ろそうとしているのかなぁ。道警シリーズだけでいいか。

  • 何十年か前のベルリン国際映画祭に出した映画の出演者の孫が自分の祖父を探してもらう物語。主人公(孫ではない)が関係者と会って当時を思い出しながら、当時と自身の過去を振り返って、祖父を探し出す。推理小説ではないので、まさかのっと言う展開を期待してはダメなんだろうが、ついつい期待値が上がってしまった。

  • ん〜本筋の話と無関係は思い出話とかが多くて最後に何か関係してくるのかな?と思ったけど、、、、。
    ん〜真相もなんかもうひとつ好きになれなかった。

  • 古い映画が何にも分からないので、ストーリーの中に入れず、、、
    映画好きには面白いかも、、、

  • あなたは、わたしの祖父ですか? 
    祖父を探している女性。
    祖母は安西早智子で、未婚のまま出産、祖父の事は何も語らず亡くなった。
    裕也はその名を聞き、古い記憶が甦る。
    一九七六年ベルリン国際映画祭で、彼女に何があったのか。
    祖父は誰か。
    一緒に祖父を探すことになった裕也が辿りついた真実は。
    現代と過去が交錯する先には、当時の情勢が絡む、複雑な事情がありました。
    ぐいぐいと引っ張っていくストーリー展開です。

  • ミステリーの雰囲気も含んだ作品でした。

  • 40年前の映画祭に関わる謎解き。
    しかし緊張感なく謎が次々に解けていくので期待とは少し違った。

  • 自分が現役だった頃のベルリン映画祭で起こったある出会い。
    そしてそれが実はどうしようもない理由によって離れ離れになってしまった。
    1970年代の政治的、国際的に難しい出来事に翻弄された二人の過去が周りの人の過去と共に甦る。

    最後がハッピーエンドで良かった。

  • 裕也を訪ねてきた女性は祖父を探していた。祖母は未婚のまま出産、何も語らずに亡くなった。裕也はその名を知っていた。1976年ベルリン国際映画祭、あのとき彼女に何があったのか。

    50年前の世相、映画(名画)の話…私にはピンとこない内容だった。これは読む人、世代を選ぶ作品だと思った。
    (D)

  • 1人の女性が祖父を探す物語。
    祖父を探して探して…最後どんなドラマが待っているのかと思ったら、普通に?見つけた。

  • 読んでいて心が揺さぶられない、平坦な話だった。作者の映画好きなところは伝わってきたけど、それだけ。

  • 佐々木譲なんだけど…。
    まぁ緊急事態でもない人探しにどれほど魅力を持たせる事ができるか?
    残念ながらどうでもいいって感じの物語。

    老人の懐かしく絶頂期でもあったベルリン映画祭と、映画大好きを吹聴するような老人作家が自慢げに語る現代から乖離した昔の映画の話と人探し。
    想像の話のはずかいつの間にか韓国民主化運動と人探しを強引に結び付ける荒業。
    おじいさんは昔の恋バナも思い出したりして、ジイさんのノスタルジー満載。
    この年齢の作家は売れたいという願望よりも、自分勝手に好きなように書きたいようで、読者は置き去りにされる感がある。
    嗚呼、佐々木譲なのになぁ。

  • テーマが見えませんでした。読み進む程に?

  • 帯には〈人生探し〉の傑作ミステリーとあるが、人生探しはともかく果たしてミステリと言っていいものかどうか? 俳優の奥田瑛治は「感情移入して涙が止まらなかった」そうだが、全くそうはならなかった俺はやっぱり感性が鈍いのだろう。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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