清く貧しく美しく

  • 新潮社 (2019年12月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784104595075

作品紹介・あらすじ

この冷たい世界に怯みそうになっても、二人でいれば大丈夫。だけど、荒れ狂う嵐の夜は、ある日突然にやってくる。30歳・ネット通販大手の倉庫で働く非正規のぼくと、スーパーでパートをする28歳の彼女。自分がいかにダメな人間か、いつも思い知らされている。それでもぼくたち二人は、お互いをちゃんとほめあい、守り合って生きていこうと決めた。そんな日々がずっと続くと信じていた――。恋愛小説の名手が描く、現代の切実な恋の行方。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの恋愛もの、昨日読んだのがゾンビだったということもあり、かわいらしい2人とギャップがすごい!とわくわく読み進めましたが、個人的には前半だけでよかったかなと思ってしまいました。
    お互いを褒め合う2人、助け合う隣人、実際にはなかなか難しいと思われることですが、フィクションだから、結論なしのきれいな小さな世界の物語だけで良かったです。あくまで個人的にはです。

  • 揺さぶりをかけられて、崖っぷちで選択肢をつきつけられて、人ははじめて「自分」という人間と真に向き合えるのかもしれない。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    立原堅志(たちはらけんじ)、30歳。
    大手のネット通販会社で非正規雇用の枠で、ピックアップの作業をしている。

    スーパーでパートをしている恋人の保木日菜子(やすきひなこ)28歳と同棲し、小さくも穏やかな日々を過ごしていた。

    そんな堅志のもとに、ネット通販会社の正社員登用の話が持ち上がってくる。
    同時に、やってみたかった書評の仕事の話も、友人から持ち込まれる。
    そして、昔の恋人との思いがけない再開…

    一方の日菜子も、書店員の板垣との出会いがあり…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    堅志目線7割、日菜子目線3割で物語は進んでいくのですが、とにかく日菜子の劣等感がさごすぎて、なかなかイライラしました。
    日菜子のパートにくると、堅志と自分の立ち位置を比べて、「自分と堅志は住む世界が本当はちがう、堅志は優秀な人間なんだ」「自分なんて、ダメな人間」というモノローグがはじまり、とてもしんどかったです。
    日菜子がそんな考え方をするようになった経緯も、さらっとですが書かれてはいるものの、それを踏まえても「そこまで自分で自分を卑下しなくても…」と思ってしまい、かなりもやもやしました。
    こうした「悲劇のヒロイン(と自分で無意識に思いこんでいる)」人ほど厄介なものはありません。

    この日菜子という人物は、辻村深月さんの小説「傲慢と善良」のヒロインと通じるものがあります。
    こちらの「清く貧しく美しく」を読んで、日菜子にイライラしたけど、その理由をうまく説明できずにもやもやしている方は、辻村深月さんの「傲慢と善良」を読まれてみると、そのモヤモヤを言葉として形にできると思います。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    正社員・高収入に好待遇、しかもエリートコースというわかりやすい選択肢。
    かたや、それ一本では暮らしていけないけれど、自分が心から好きだと思える仕事。
    その2つを突きつけられた堅志は、果たしてどんなこたえを出すのでしょうか?
    これくらいの崖っぷちに立たされてこそ、自分の真の姿は見えてくるもの…かもしれないですね。

    堅志の出したこたえは正直、予想はつきましたが、読み終えて思ったのは誉められたとき、認められたときには「そんなことはない」と謙遜するのではなく、「ありがとうございます」とにこやかに言える人間でありたい、ということでした。

  • 女心は分からない。
    堅志が何をそんなに恐れるのかも分からない。
    一つだけ分かるのは、単純な「勝ち組」「負け組」で人生の幸せは計れないって事。
    闇雲に上を目指して精神を病んだから、そこは痛いほどよく分かる。
    ハッピーエンドで良かった。
    現実はそんなに甘くないが。

  • 読んで良かったなと思える本。続編があるようには思えないけど読んでみたい。心がすさまない2人が羨ましい。

  • 自分の生き方に葛藤しながら30歳にして自分の生き方を見つける。まさに30にして立つ。
    日菜ちゃんがライフワークを見つけたことで、ケンちゃんも自分の大切なものを見つけて、清く貧しくだけど、ホントにこれでいいの?と思うのは、私だけでしょうか

  • 非正規カップルのお話。ラストは結局そうなりますか?って思った作品でした。

  • 丸く収まるラストは嫌いじゃないけど。
    日菜子の言う「けんちゃんは強くなくても立派でなくていい、弱いところがけんちゃんの良さだから」というのが、非正規雇用のままでいい、と言ってるわけではないんだろうけど、、、、
    そのくせ「けんちゃんはこのままで終わる人じゃない、必ず何かをやり遂げる人」的な事をいってみたり。板垣に惹かれたのも、人柄はもとより安定した仕事の上でこそなりたつ将来像が大きかったのではないのか?
    迷ったり揺れたり、の末の選択と思えばいいのかも知れないが、そんなモヤモヤが若干残った。
    でも、相手を褒めあうってのは良いな。
    良いところに目を向ける、って事だから。
    意識しよっと。

  • 連続で石田衣良さん!^_^
    面白い。
    毎度石田さんの小説の題材は私の好みに驚くほどハマってますが今作は特にドストライクです。
    キーワードは資本主義、正規雇用、非正規雇用、キャリア、男女、自己肯定感というところでしょうか。
    社会人の今常に考えさせられてることばかりです。
    高校生くらいまでは考えてもよくわからなかったけれど、大人になった(?)今は現代社会の現実と向き合う日々です。
    この世の中大昔見たく生まれた家柄で決まる身分格差ほど大きな格差はなく、資本主義社会、良くも悪くも自分次第です。それを痛感させられました。
    上流階級と下流階級の壁、とても共感します。
    そこは越えようとしても越えられない壁が存在するし、越えたとしても今まで下流で生きてた人にとっては行きにくさを感じる世界。映画『パラサイト』を連想させました。
    それでも資本主義の世の中は賛成です。
    けれどこの資本主義の本質を小さい頃からどれほど理解していたかといったら私はあまりしていませんでした。自分の歩む人生はそのまだ幼き学生時代の判断だいたい決まるということに今になって気づいています。
    この本をもっと若い時に読めてたら現代社会への理解が深まっただろうなと思います。

    この本に共感できない人はきっと「強い」ところで生きてきたのだと思いました。私は「弱さ」を自覚しそれが主人公のように障壁になったことが何度もあるので共感できました、奇しくも。
    子どもができたら「強さ」を感じながら生きる環境と免疫を与えたいなと思いました。自分が反面教師です。

  • 幸せや価値観は、人それぞれ。
    目標に向かい、頑張るのも素晴らしいし、何気ない日常に幸せを感じるのもいい。失くして分かることもある。
    じわじわきてます。

  • 27歳と30歳。
    同年代のわたしは、あれもこれも欲しい。
    けど、本当に必要なものではないのかもしれない。

    でもヒナちゃんと堅志は、自分に本当に必要なものが分かってて選択して生活している。

    タイトルの意味をこんな風に汲み取って読んでみました。素敵な言葉だと思います。

  • う~ん、なんだろうなぁ。

    本当に石田さんが書いたのか?
    と疑ってしまうくらい
    女の子がうざい。

  • 穏やかなひっそりと丁寧な暮らしをしている
    カップルの暮らしを描いているのに読み進めている間
    ずっとドキドキしていた。
    良くも悪くも自分の核を見つけた人が真の強さを
    身に着けているのではなかろうか。
    読了後、清々しさで満たされる。

  • 2人で成り立つ世界。

    自分にとって何が、大切なのか必要か。
    お互いにそれぞれを思いながら成り立たない現実。

    それぞれに不安定な現実と未来。
    お互いに本当に大切な事。

    互いに褒めて褒められるユートピア的家庭。反面デストピアな仕事の歪み。

    一歩先にある未来に選択肢があるとすればやはり彼らの様に自分に正直にならるのだろうか。

  • このカップルが結婚すれば一生穏やかに幸せに離婚せずに行ける気がする。
    1番強いのは日菜子。
    この2人の結婚生活に問題が起きるとしたら、それこそ興味津々、読んでみたい

  • 学校を出てから10年、アルバイトで生活をしていた堅志が正社員に登用されるかもしれない。二人でつましく暮らしていた同棲相手の日菜子。お互いに褒め合おうと約束している。“少々甘くても馬鹿みたいでもいい。そうやって夜の道に迷った時の遠い街の灯のように、荒れ狂う嵐の夜に見つけた灯台のひと筋の光のように、おたがいを頼りに生きていこう。若いふたりはそう単純に決心したのだ”

  • 就職氷河期に就活に失敗した堅志は自信を失ったままアルバイト生活を送る。同棲相手の日菜子も自己評価は低くパート勤務。恥ずかしがらずにお互いを褒め合っていこうというのが二人の約束。本当に微笑ましい。真面目な二人はそれぞれに評価され正社員になれるチャンスがきても「自分なんて」という気持ちに憑りつかれてしまい手離してしまう。まさにタイトル通りの二人。

  • よかった!
    同世代なので共感できる。優しくて弱くて少しずるいのがいい人間なのかもしれないと思います。
    日菜子の新しい男に揺れる心はアラサーなら皆経験するだろうな…リアルです。
    でも日菜子みたいに自分の弱さや内気加減を自覚してる人が子供3人ほしいとか言うかなぁ?そこだけは変だと思った。それが体だけは丈夫な人の考えなのか?
    良かったところ引用↓
    『一枚の天然木でできた扉のように広い背中にもたれているのが日菜子には心地よかった』…う、すてきな表現です…石田衣良さんさすが。
    『すぐ近くにいる人が、自分のことを尊敬してくれて、日々いいね、素敵だねと言ってくれる。それが社会の暗い陰でなく、太陽を向いて生きていくためにどれだけのちからになってくれることか。
    人を憎み、批判するときはあれほどの熱量を浪費するくせに、ともに暮らし愛する人を褒めるときには、一言の表現さえ節約するのが、今という時代なのだ』
    『世の中には勝つために生きている人がいる。得をするために生きている人もいる。けれど日菜子は負けるために生きていた。いや、それは正確ではない。負けても堂々と胸を張れる人生を生きたいと願っていた。
    それが勝ち負けと損得の世界の外側に自然に立つことになると、自分では理解していなかった。けれどこの世界の決まりごとからはずれて、日菜子は静かに生きたかった』

  • 夜に自転車でふたり乗りした〜いぃ!!!

  • 石田衣良さんの優しい小説。人生の選択は難しく、どれが正解かは判らない。でも、その時は、決断しないといけないのが人生。

  • 一回読んだかなぁ…
    と思うということは、違和感がない、逆に言えば新鮮味はない。安定感をとるか意外性を取るか。
    なんかとりあえず読みたいときにはいいかな。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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