重力ピエロ

著者 : 伊坂幸太郎
  • 新潮社 (2003年4月1日発売)
3.83
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  • 1589レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104596010

作品紹介

連続放火事件の現場に残された謎のグラフィティアート。無意味な言葉の羅列に見える落書きは、一体何を意味するのか?キーワードは、放火と落書きと遺伝子のルール。とある兄弟の物語。

重力ピエロの感想・レビュー・書評

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  • ■書名

    書名:重力ピエロ
    著者:伊坂 幸太郎

    ■概要

    半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母
    親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断
    などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町の
    あちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場
    近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていること
    に気づく。連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪
    を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危
    うさは、やがて交錯し…。
    (From amazon)

    ■感想

    不思議な感覚の小説でした。
    テーマは物凄く重いもの(レイプで生まれた人間が、レイプした人間
    (つまり自分の父親)に復讐する物語)のはずなのに、非常に軽いタッチ
    で読ませていきます。
    勿論、軽いタッチで読ませるといのは、それだけ、軽い言葉で物語を
    紡いでいるという事ですので、非常に読みやすいです。

    ミステリーのようですが、どちらかというと家族物語という感じが
    します。

    「復讐の正当化」については、私自身は、良いと思います。
    「やられたらやり返す」を批判する人間は、大抵無責任な人間です。
    自分がその立場に立って考えられない人間の言う事など聞く必要
    は無いですし、むしろ、復讐の正当化をするべきだとも思います。
    まあ、そうなれば、負の連鎖を生むでしょうけどね。。。

    倫理観としては、既に答えが出ているポイントについて、改めて
    問いかけている小説ですね。
    好き嫌いが分かれる作品だと思います。

    ミステリーとしては、少し弱い気がしましたが、家族物語としては
    結構楽しめました。

  • 永遠のスタート地点。
    私の「読むこと」は、ここから始まりました。

  • 悲しい気持ちになるはずなのに読んだ後爽やかな気持ちになる。

  • 本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ

    っていい。すごくそう思う
    伊坂幸太郎との出会い。

  • 伊坂幸太郎が「家族愛」を描くとこうなる、という作品。
    誰1人作中人物は泣いたりしないし、自分を不幸と思っている人間もいない。
    相変わらず軽快なストーリー運びと機智にあふれる会話。
    なのに、どうしても泣ける箇所がいくつもあるのです。
    伊坂さんって、案外アツイ人なのかもしれませんね。
    タイトルの「重力ピエロ」は、空中ブランコを飛ぶピエロが一瞬だけ重力を忘れることが出来るように、どんな困難なことであっても必ず乗り越えられるという信念のようなものの例え。
    さて、主人公たちの「困難」とは何なのでしょう?
    どんな風に乗り越えたのでしょう?それが読ませどころです。
    話は「私」と言う一人称で語られます。

    「私」には「春」という名の弟がいる。
    春は、母親がレイプされた時に身ごもった子供。
    そして兄の私は遺伝子技術を扱う会社で働いている。
    ある日、その会社が何物かに放火され,春は町のあちこちに描かれた落書きと放火との関連性に気が付く。
    落書き消しの仕事をしながら、犯人を追う春と私。
    父親も参加する謎解きのなかで、関連性の秘密が明るみに出て来る。
    それは自分の出生の忌まわしさを否定しなければ生きていけない春の、危うい心の彷徨でもあった…

    この「春」というキャラクターの何と魅力的なこと。
    これまで読んだどの小説にも、こういうキャラは存在しませんでした。
    そして、兄「私」との仲には、読者でありながら嫉妬するほど。
    何よりも二人の父親の存在は、作品中の言葉を借りれば「賞賛に
    値します」。
    春を産むことを決定し、待ち望み、歓迎した父。
    自分を哀れむでもなく、ナルシストでもなく、穏やかに春を慈しんだ父。
    終盤、何もかも春の仕業と分かっていて、なお手を差し伸べ握りしめて言います。
    「お前は俺に似て嘘が下手だ」。
    「遺伝子なんか何だ、血の繋がりが何だ」と、歓喜の声をあげたくなる感動の場面です。
    春の取った行動には賛否両論あるでしょうが、あくまでも小説ですから、その結論を導くまでの過程を楽しめればいいかな。
    罪と罰を扱う重いテーマでありながら、一貫して明るく前向きな筆致
    は見事と言えます。

    作品中に膨大な量の知識が詰め込まれていますが、場面展開も早
    く、何より主役キャラの魅力で飽きずに読み進められます。
    例によって、他の伊坂作品とリンクします。今回は「オーデュポンの
    祈り」。順番に読んで来て良かった。

  • 初めての伊坂幸太郎だったが、テンポがよく読みやすい。一緒になって謎解きにハマってしまった。

  • 「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」
    という台詞がでてくるが、伊坂さんの小説の書き方もこれに即していると思う。

    深刻なことがユーモアに包まれて文章にされる。わたしは伊坂さんの文章のそこがすきだなー。

  • 春が二階から落ちてきた。

    冒頭で心惹かれた人は多いのではないだろうか。初めて読んでから十年経つが、あの時の感動は未だ色あせず覚えている。今でこそエンターテイナーとして多くの人に読まれている伊坂幸太郎の代表作とも云える今作は、当時私は一番好きだった。読了した時に改めて、春が二階から落ちてきた、とそれを読むと鳥肌が立った。とりつかれたように伊坂さんが好きになったきっかけでもある。
    父と兄と、母がレイプされて生まれた弟の、ミステリを交えた家族の物語と聞くと重たいようなイメージを持つが、そこは伊坂幸太郎の筆で実に軽快にそれこそ春のように爽やかに描かれる。論じていることは重たい議題のはずが、兄の視線によって描かれるそこには何よりも信じられる家族の形がある。むしろこの家族を信じられるからこそ、ミステリとしての芯が薄くてもこの小説を味わえるのだと思う。
    今ではあれもこれも名作と読まれる伊坂さんだが、魔王が出る前の初期の中では一番の傑作と云える作品だと思う。

  • 久々に伊坂 幸太郎さんの本を読みました。
    私の伊坂さんデビューは【オーデュボンの祈り】だったのですが・・・
    この本は私には難解で・・・
    伊坂さんの本は私には無理かも・・・と思っていました。
    でも【重力ピエロ】はとても評判が良いのでチャレンジ。
    今回は難解ではなかったけれど・・・☆☆☆でした。

  • それでも春は罰せられるべきなのでは?

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