オー!ファーザー

著者 : 伊坂幸太郎

• 新潮社 (2010年3月1日発売)

作品紹介・あらすじ

みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。そして、今回、変な事件に巻き込まれて-。

感想・レビュー・書評

[シュンさんの感想 · 2024年8月26日]

文句なし！！めちゃくちゃ面白かった！
登場人物が素敵すぎ！！1人の息子に4人の父親。
彼らの織りなす、ちょっと過激なあったかコメディという感じ。

4人の父親だなんて一見すると、ただれた関係をイメージし、あらやだ奥様って言いたくなる様な設定だが、この4人の父親、素敵すぎる。全員が血のつながっているかも分からない主人公由紀夫を溺愛し、それぞれに違った魅力がある。シンプルに4倍の愛情を受けている。（しかし、悲しみも倍になると作中でも言及されてる）

しかし、現実的に考えても意外に上手く行けそうな気がしないでもない。TVドラマのカルテットがそうだったかの様に、友達同士だが家族の様な生活。
よく考えたら、フルハウスとかそのものじゃないか。

4人の父親もいいのだが、この作品で1番好きになったのは、由紀夫に好意を抱いている多惠子ちゃん。
彼女の由紀夫とのやり取りがらたまらない。

「由紀夫の彼女？」
「そうかもしれませんよ。」のくだりが好きすぎる。

こんな女の子が彼女だったら、絶対楽しいと思う。

[溢れ出る涙さんの感想 · 2022年2月24日]

後書きにあったが伊坂幸太郎作品の第一期の最後の作品になるそうだ。さすがのセリフが盛りだくさんで良かった。

[ナミさんの感想 · 2024年2月24日]

こんな4人のお父さんがいたら、どんなに心強いことだろう。ユーモアたっぷりで先が気になる展開で最後まで楽しめる作品だった。　

[hetarebooksさんの感想 · 2012年10月17日]

由紀夫は知代母さんのひとり息子。

父さんは四人。母さんはギャンブル好き、女好き、格闘技好き、勉強好きと、個性あふれる父親たちと四股交際をし、四人と事実婚をした。

またこの父親たちがいかしていて、それぞれの得意ジャンルを由紀夫に教え込んだため、由紀夫はあらゆる方面に秀でている。

もう、この設定だけで面白いのにさらに事件に巻き込まれたりするから面白くない訳がない。

また伊坂作品特有の押しが強く自分本位で揺るがない女たちがまたいい。
伊坂さんらしいユーモアとあったかさがあってすごく好き。

ギャンブラーじゃないが、格好良くはないし、スポーツ万能でも、大学教授でもないけれど、大きく優しくあったかい我が父に改めて尊敬と感謝を。

伊坂氏がエッセイ集で「登場人物に文豪の名前を付けた作品」と紹介していたのを読み終えてから思い出した。

[kamitakoさんの感想 · 2021年8月30日]

どれだけクスクスさせるんですか？　クスクスメーターを記録しておけば良かった。
ラスト数十頁の伏線回収でスッキリ！　こんな魅力的な父親４人と共にいれば、由紀夫のように成長するだろう。ほっこりとする読後感でした。やっぱり初期作が好きだなぁ。

[たるしんさんの感想 · 2022年3月28日]

最初はあまり入り込めず、ぼんやり読んでたけど、さすがの伊坂幸太郎ワールド。
後半につれて伏線がどんどん回収され、のめり込まされた。
これ伏線っぽいなーと思うけど、ストンと飲み込まされた。
やっぱりすごいな。伊坂幸太郎。

[えなぞうさんの感想 · 2022年1月30日]

個性豊かなお父さん達で読んでてクスクスさせてもらいました。
殺人事件だけど重くなく気軽に読めました。

[fukayanegiさんの感想 · 2011年1月28日]

伊坂幸太郎復活か、と思いきや、時期的には『ゴールデンスランバー』の前に書かれた作品だったのね。自身も得意分野と称するように、ばりばりの伊坂節で『陽気なギャング・・・』と何か（『アヒルと鴨の・・・』あたりかな）を足して２で割ったような物語と感じた。

確かに新境地の要素は一切なかったが、『あるキング』のような作品を読まされるよりよっぽどいい。似たような物語でもこういうのを求めている。
父親４人の家庭をこうも楽しく描いてくれると心地よい。

『バイバイ、ブラックバード』とか評判いいみたいなのでそこで本当の復活が待っているのかな。

[takaikishioさんの感想 · 2010年3月29日]

すごく好きな作品。
伊坂さんの初期の頃のテイスト。

どの父親も魅力的。
笑えるしほろっとくる。
由紀夫のスタンスがまたよい。

いくつか印象に残る言葉も。

ストーリーの展開は、伊坂ファンにとってはわかりやすい。

[neon_booksさんの感想 · 2010年3月26日]

「ゴールデンスランバー」以前の作品なんですね。
恐らく多くの方が「伊坂幸太郎」という作家に求めて
いる部分の大多数が詰まっている優れた作品だと思います。
自分にとっても掛け値なしに全ページが面白かったです。
エンターテイメント小説としては完璧かもです。
いや、ホント、厭味でもなんでもなくw。

軽妙かつニンマリの会話、散りばめた伏線とその
一気に回収する痛快な爽快感、スピード感、キャラ造形
伊坂作品の上手さ、面白さの肝が詰まってます。
詰まっているのにもたれずに食傷気味にならない味付けの
バランスも流石っす。あれ。ここはサラっと流すんだw
みたいなさじ加減。いいなー。


その「ゴールデンスランバー」以降、特に近々の2作品の
評価の落ちっぷりが（個人的には全く評価は下がってませんが。
むしろ『SOSの猿』はかなり好き!）囁かれ始める中で
今作が発売された事に...他意はないと思いたいですね。

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。