オー!ファーザー

著者 :
  • 新潮社
3.88
  • (807)
  • (1416)
  • (833)
  • (131)
  • (29)
本棚登録 : 8563
感想 : 1184
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104596041

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 由紀夫は知代母さんのひとり息子。

    父さんは四人。母さんはギャンブル好き、女好き、格闘技好き、勉強好きと、個性あふれる父親たちと四股交際をし、四人と事実婚をした。

    またこの父親たちがいかしていて、それぞれの得意ジャンルを由紀夫に教え込んだため、由紀夫はあらゆる方面に秀でている。

    もう、この設定だけで面白いのにさらに事件に巻き込まれたりするから面白くない訳がない。

    また伊坂作品特有の押しが強く自分本位で揺るがない女たちがまたいい。
    伊坂さんらしいユーモアとあったかさがあってすごく好き。

    ギャンブラーじゃないが、格好良くはないし、スポーツ万能でも、大学教授でもないけれど、大きく優しくあったかい我が父に改めて尊敬と感謝を。

    伊坂氏がエッセイ集で「登場人物に文豪の名前を付けた作品」と紹介していたのを読み終えてから思い出した。

  • すごく好きな作品。
    伊坂さんの初期の頃のテイスト。

    どの父親も魅力的。
    笑えるしほろっとくる。
    由紀夫のスタンスがまたよい。

    いくつか印象に残る言葉も。

    ストーリーの展開は、伊坂ファンにとってはわかりやすい。

  • 「ゴールデンスランバー」以前の作品なんですね。
    恐らく多くの方が「伊坂幸太郎」という作家に求めて
    いる部分の大多数が詰まっている優れた作品だと思います。
    自分にとっても掛け値なしに全ページが面白かったです。
    エンターテイメント小説としては完璧かもです。
    いや、ホント、厭味でもなんでもなくw。

    軽妙かつニンマリの会話、散りばめた伏線とその
    一気に回収する痛快な爽快感、スピード感、キャラ造形
    伊坂作品の上手さ、面白さの肝が詰まってます。
    詰まっているのにもたれずに食傷気味にならない味付けの
    バランスも流石っす。あれ。ここはサラっと流すんだw
    みたいなさじ加減。いいなー。


    その「ゴールデンスランバー」以降、特に近々の2作品の
    評価の落ちっぷりが(個人的には全く評価は下がってませんが。
    むしろ『SOSの猿』はかなり好き!)囁かれ始める中で
    今作が発売された事に...他意はないと思いたいですね。

  • 色んな伏線が最後にびしっと決まるのが伊坂ワールド。夢中になって読めました。
    この作品は、性格が異なる4人の父親を持つ高校生が主人公。子は親に似るというけれど、これだけ色んな父親がいると様々な影響をうけるから、若くして世の中達観しちゃうんだろうなって。高2にして、冷静すぎでしょ。ただやり過ぎてないから、そこも丁度いいんだよね。最後の最後でやっと出てくる母親がどんな人なのかそしてその母親からはどういう面で影響受けているのか知りたいので続編期待。

  • 個性豊かな父親4人と真面目で愛想がない息子のお話です。後半は前半の伏線が回収され、盛り上がるので、是非読んでみてください。

  • 再読

    家族の定義は広くてよし。
    大切にされている由紀夫がほほえましい。

  • 「俺も、俺が大事だから」

    哀しいかな当然のこと。
    違ったら違ったで別の問題もある。

    だからせめて1つでも、
    忘れないでいたい。
    『俺が、おまえを助けてやる』

  • 映画化記念で再読。
    母ひとり子ひとり、そして父は4人。
    そんな高校生由紀夫の複雑で楽しいミステリな日常。

    こんなお父さんたちだったら4人いるのもいいかなぁ。
    それに何よりこの男達を惹きつけている母知代さんがすごい。
    物語の中には殆ど出て来ないけど同じ女として尊敬しちゃうわー

    さてさてこの複雑なお話をどう映像化しているのか不安と同時に楽しみだ。

  • 面白いのひとこと。あり得ない話なんだけど一人ひとりの言葉や場面場面の繋がりがよく練られていて、特に四人の父親の会話には妙に説得力があったり単なるコメディ小説ではないところが伊坂さんらしい。

  • なにかの本で読んだのだけれども、本を読む前と読んだ後で、読者になにかしらの影響を与えることができることが、本当の本みたいなことがあった。
    この本は、まさにそんな本の一冊で、読むたびに登場人物たちの思いが深く理解できる。その理由は、登場人物たちのの設定にブレがなく、行き方をつらぬいているからなのだと思う。
    4人の父親達を通して、様々な角度から人生の教訓を学び、家族の深い愛を知る。4人のうち、1人しか血が繋がっていない、もしくは4人とも血が繋がっていないかもしれないのに、絆は強く、深い。一人の女を愛した男達と一人の子供を育てるための結束力。自分の出来ることを知り、自分でなくては出来ないことを教えるその姿は、アイデンティティが確立しているからだ。
    世の中、全てのことを出来る人は少なく、皆、何も出来なくて、ちょっと自分に向いていることを選んで、それを仕事に出来る人は少なくて、その生き方をつらぬける人たちはもっと少ない。ブレずに生きる人たちから学ぶものは多く、そして貴重であるからこそ、その喪失感は残された人たちにとっては大きなものだ。家族じゃなくても、他の人から学ぶ、受け渡す、受け取る、感謝するという連鎖が続けば、いつかは苛めや戦争は無くなるかもしれないけど、他人に頭を下げることが苦手で、自分の知識を手放さず、与えらたことは恵まれたものと思い、感謝は負けであるという人がいる限り、残念ながら、この負の上下関係はなくならない。
    それでも、毎日生きるために、こんな人たちに囲まれて生きることが出来たらきっと人の4倍は力強くなれるんじゃないかと思う。純潔よりもミックスのほうが強い。それが生物だし、自然の法則だと思う。
    既に存在している設定だとしても、この本が紡ぐことは、一冊の本で学ぶより深く、身にしみて入ってくる。
    子は親の背中を見て育つというけれど、親はやっぱり木の上に立って子供のことを高いところから見守っている存在なのだろうと思う。

    • libraさん
      そうですね、読み手側も自己の学びや価値観の変化などを期待して読むことも多いと思います。伊坂氏の面白いところの一つは、学びとエンターテインメン...
      そうですね、読み手側も自己の学びや価値観の変化などを期待して読むことも多いと思います。伊坂氏の面白いところの一つは、学びとエンターテインメントをクロスさせるところだと思います。
      手法だけにとらわれず、大きな分かりやすいテーマに向き合っているところが好きです。
      他の作家さんでも驚きや感動が自分にダイレクトにあるとやっぱり感激します。映像ではなく自分で想像するところに、読書の醍醐味というものが一つ存在すると思います。だから色んな本を読むと思うのですが、どれだけそんな本に出会えるかは楽しみですよね。人やジャケ買いしたCDとかも似たようなつながりですが。
      2013/11/04
    • だいさん
      libraさん
      こんにちは

      なるほど、です。
      今後も、いい「期待はずれ」に出会えますように。
      libraさん
      こんにちは

      なるほど、です。
      今後も、いい「期待はずれ」に出会えますように。
      2013/11/04
    • libraさん
      だいさん
      ちょうどいつも散髪してもらっている美容師さん(男・本好き)と同じ話をしていました。そのときはCDだったですが、もうデータで購入前...
      だいさん
      ちょうどいつも散髪してもらっている美容師さん(男・本好き)と同じ話をしていました。そのときはCDだったですが、もうデータで購入前提の時代なんですね。ジャケ買いって死語になるかも…。
      といいつつ僕は、この件に関しては場所をとろうがアナログ派なのですが。
      だいさんにも素敵な出会いがありますように。
      2013/11/07

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

伊坂幸太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×