首折り男のための協奏曲

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4371
レビュー : 538
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104596065

作品紹介・あらすじ

首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 一見、短編集のようで、はたまた連作短編集のようで、実は長編小説でした!みたいな。

    元気がなかった時、「伊坂が新作でも出してたら、元気になれるのにな」と思いながら本屋さんを歩いていて、新作の棚で見つけた作品でした。

    首折り男と、黒澤と、クワガタと。

    短い作品の中に、いつものように、張り巡らされた伏線。いつも感じる、ちょっとした違和感。わたしが馬鹿で作品を理解していないわけではなかったのだ、と、最後に実感させられて、それがなんだか嬉しくて。なんだそういうことか!と、ページを戻って、確認する瞬間が、大好きです。

  • 7編の不思議につながる物語たち。
    あとがき(?)を読んで納得。元々は独立したお話ばかりだったとか。

    首折り男から黒澤さん、そしてまた首折り男へ。
    楽章が変わりながらも、奏でられるのはひとつの曲。

    最後の「合コンの話」の実験的な作風に気を取られていると、忘れていた主旋律がまた現れ、第一楽章にゆるくつながってゆく。
    どこをどういうふうに加筆して、このつながりが生まれたのだろう。

    印象に残った台詞。
    ゛「神様は時々、見ているわけか」
     「天網恢恢疎にして、そこそこ漏らす、ってところですかね」”(177ページ)
    「神も仏もいやしない」という台詞も度々出てくるのだけど、逆に神様っているのかもしれないと思わせてくれる。
    ただし、時々しか見ていない神様。そこそこ漏らす神様。
    そう考えると、不公平だと思うことが減るような気がする。だって神様、そこそこ漏らすんだもん、とか、あー、神様また見てなかったね、とか。
    これはこれで優しい社会になるのかもしれない(笑)

    「死神」以外ではしばらく離れていたけれど、伊坂さんらしい時系列の妙もあり、文体や空気も変わらず楽しめたのがうれしい。
    またぼちぼち未読作を読んでみよう。

  • 何で私ばかり…
    毎日のように理不尽の渦に巻き込まれている…気がする。

    たぶん、他の人よりも平等とかバランスとか
    そういったことに拘りが強いからなのかも。

    とはいえ、測るのは自分のものさし。
    理に適う適わないは自分勝手に作り上げたもの。

    そんなこんなで身動きが取れなくなると
    伊坂さんの一風変わった角度のものさしで、
    ザザッと理不尽をかき混ぜてもらいたくなる。

    首折り男と、黒澤さんがゆる~くつながる短編集。

    『人間らしく』に出てくる神様の在り方。
    深く、納得しました。
    神も仏も…という場面はそんなことになってるんだ。
    なるほど。そうなら仕方ない。

    伊坂作品4冊目の超初心者の私は
    黒澤さんがわかりません。
    死神の千葉さんほどではありませんが、
    黒澤さんも気になるキャラです。

    今度黒澤さんを掘り下げてみようと思う一冊です。

    何だかちょっぴりスッキリしました。
    これだから伊坂さんを読むのをやめられないんでしょうね。

  • 協奏曲というほど、首折り男的なまとまり感や統一感はないけど、なんとなくオーバーラップしてる感じの連作短編集になっています。
    そのへんは、あとがきで伊坂氏も言い訳(?)しているので、ふうんといった感じですがそれぞれの話が面白かったので、満足です。


    たとえば、「僕の舟」の

    ケーキだったら生クリームとモンブランを迷っても、一緒にいる人が別のを頼んだら一口くらい味見させてもらえるかもしれない。
    ただ人生の分岐においては無理だ。誰かに、そっちはどうだった?とは訊けない。

    ってとことか、
    「人間らしく」の右か左か、戦争や愛国心について語るところとか
    神様は隣の部屋で仕事をしていて、気が向けば覗いて、気づけば助けてくれるとか

    他にもあったけど、結構好きなところがありました。黒澤さんいいよね。

    でも結局、最後の「合コンの話」が一番おもしろかったなぁ。

  • ●『首折り男の周辺』
    首を折る手口の連続殺人鬼
    真面目で平凡な生活を送っている老夫婦、若林順一と絵美は隣のアパートに
    住んでいる体の大きな男をその犯人ではないかと疑う。
    体格こそ立派だが精神的に弱く、闘争心の欠片もない小笠原稔はある日大藪という男と人違いされる
    大藪は首を折って人を殺すような仕事をしている為、バランスを取る為時々持病が出る。
    「誰かの役に立ちたい病」また、「時空のねじれ」を信じている。
    小笠原も誰かの為に何かが出来るのではないかと思い始める…。
    中学二年の中島翔はいじめを受けていた。
    「首折り男」の保護を受け大人になれば気楽になよと教わる。
    大藪は寝顔と間違うほど静かな顔で死んでいた……。

    ●『濡れ衣の話』
    妻に逃げられ、大切に育てていた子供を事故で亡くした丸岡直樹
    偶然にも会ってしまった、呪っていた加害者の女は事故前の高級マンションに変わらす住み、
    恋人もいて、免許も取り消しになっているのに新車を運転するという
    我を忘れそして、殺してしまう。
    そこに現れた刑事の車に乗せられ告白するが、その刑事こそが首折り男だった。
    自分の人生は自分でしか背負えないものと諭しながら「時空のねじれ」即ち過去を変える事で
    自分の今の人生が変えれば大逆転になると提案する。
    しかし、過去を変えたら未来も変わり帳尻が合わない……。

    ●『僕の舟』
    末期がんで入院中の夫を介護している妻若林絵美
    老女が胸に秘めていた50年前20歳の時銀座でたった4日間会っただけの医学生と名乗った
    思い出の男性を捜して欲しいと、探偵兼空き巣の黒澤に依頼
    調査結果は……その男の名前は若林順一
    60年前の思い出、小学生の時遊園地で迷子の少年と出会った。初恋だった。
    まだ残っている管理棟の壁に二人で刻んだ相合傘が描かれていた。
    絵美の横に並んだ順一……。ずっと、この男の舟に乗っていたんだ。
    それを知った絵美は「嬉しいような、がっかりしたような、何とも言えない気分ね。
    私の大事な思い出が、夫に崩されたような」……。

    ●『人間らしく』
    ある主婦から妹に義父母を介護させた挙句に不倫をして離婚を言い渡した男
    財産の分与も無し、神も仏もいやしない…。
    妹の人生をそのように利用した男を許せず一矢報いてやりたいと思った彼女は
    黒澤にその男の不倫の調査を依頼。
    黒澤の友人である小説家はクワガタを飼うブリーダー
    彼は二匹を同じ部屋に飼って縄張り争いをしないか実験をしている。
    負けてひっくり返っているクワガタを見付けると、そっと元に戻してあげる
    「もしかして、神様はこんなものかもしれない
    神様はいつもこっちを見ている訳では無い
    見ている時にはルールを適用してくれる
    ルール違反があれば、不公平や理不尽な偏りがあればそれを直してくれる。
    悪人には天罰を与え、善人には……」
    神様は時々、見ている
    「天網恢恢疎にして、そこそこ漏らす」……。

    ●『月曜日から逃げろ』
    黒澤は久喜山という性悪なテレビ放送ドキュメンタリー番組のプロデューサーに翻弄されながらも、
    逆に仲間と共にトリックを使って立ち向かっていく。
    読んでいて???最後に判明時系列が逆になっている……。

    ●『相談役の話』

    ●『合コンの話』


    最初は首折り男の話
    彼の「誰かを助けたい病」これまで、どの様な事をしたのか?
    「時空のねじれ」は起こったのか?
    何故、彼は眠るように亡くなっていたのか?

    首折り男の話だったのが、いつの間にか黒澤という探偵兼空き巣の話に変化している。
    そして、最後に首折り男に繋がる。
    不思議な本でした。
    登場人物も違った7編の短編集が緩やかに繋がっている
    恋愛ものだったり、怪談話であったり、短編ごとに趣向が異なっているから
    緩やかに繋がっている……無理矢理繋げているのか……。

  • 首折り男や、それに関わる人間たちの不思議な連作短編集。それぞれの物語は独立しており、全く異なる趣を見せているが、どこか世界観が繋がっているスモールワールドの中にある。主人公たちは他の物語の登場人物たちの行動によって、バタフライエフェクトのように影響されて、物語が変容していく。時空や運命みたいなものがねじ曲がって物語の世界を包み込んでいる感覚を覚えた。

  • いくつかの雑誌のために書いた短編に、少し手を加えて、緩やかに繋がりを付けてまとめた本。
    繋がりのキーワードは「首折り男なる人物」と「黒澤という泥棒」。

    元々が関連した話ではないので、1話完結していて、ちょっとのスキマ時間に少しずつ読んで楽しめる。
    小気味よいセリフの応酬や、時間軸のトリックなど、伊坂ワールドを片手間に楽しむのにはもってこいの作品集。

  • 『首折り男』というタイトルから『マリアビートル』の彼再びかと思いきや、違う首折り男らしい。
    ユーモア、SF、ホラー、とある仕掛けなど、様々なテイストで楽しませてくれる短編集。
    あとがきにある通り、首折り男から次第に黒澤なる泥棒兼探偵にシフトし、再び首折り男に戻っていく構成も楽しいし、『時空のねじれ』や『神も仏もいやしない』というキーワードがあちこちにあったり。
    単なるSF、単なるホラーではなくちょっとスカした、上手くかわされた感のある楽しさがあった。
    合コンの話もなかなか面白かった。

  • 神様としての伊坂。
    という印象をもった短篇集だった。まず、首折り~の大藪は、他人が怒るであろう場面で先に怒って他人の不満を解消するという話がある。
    伊坂作品を読んだ時に言えるのは大体が勧善懲悪であり、他人の生活を台無しにしても気にしないやつがたくさん出てくる。現実の社会にはどうしたってそういうやつがいて、未成年だったり力を持っていたりでしっぺ返しを受けない怒りを感じる。
    世の中のバランスとして納得いかないというものだ。
    伊坂幸太郎は、その怒りや不満を解消してくれる。
    「人間らしく」で、神様はいつもこっちを見ているわけではないが見ている時はルールを適用するという発言がある。
    それは現実の世の中でバランスとして納得いかない人に対して救いの言葉になるのとプラス、伊坂幸太郎は物語上でもそういうやつには指で叩きますってことだ。毎度スカッとしますね。

    短編をまとめたものに加筆をしたためいくつか違和感は出てくるが、タイトルは首折り男の「ための」協奏曲である。どこで失敗したのか、もしあそこで違う人とやりなおしていたら、顔と体格が似ている人に病が移ったように変わったかも知れないし矛盾が起きて変わらないかもしれないなと思った。

    月曜日から逃げろは、時系列じゃないという設定を使って面白かったが合コンの話ではしっかり設定が示されているの中で手法が面白かった

  • 誰かがしている誰かの話をいろんな風に集めてみたら、こんな都市伝説になりました、というような伊坂的NAVERまとめ、のような一冊。
    その時著者が書きたいものをうまく並べて、バラバラのことがひとつの串でつながっているような面白い本だった。この著者の良い所の一つは、書き手側からみた構成の妙と、編集側からみた構成の妙がうまくハマっている時だと思う。一冊の本を作るように別々のテーマの短篇が焼き鳥のように並んだ時、そこにはまた一つの世界が生まれる。全部食べた時の美味しさと、素材一つ一つの美味しさ。
    首折り男から空き巣の石澤、石澤の丁々発止のずれたやりとり、そしてちょっとした首折り男の話。物語自体の遊び(オマージュ)や、ちょっとした怪談、哲学、舞台脚本のようなタッチなど、とても筆者が楽しんで、それぞれの楽章を書いたことがよくわかる一冊です。
    僕はやっぱり「僕の舟」が好き。第1楽章「首折り男」から第2楽章「石澤」へのブリッジが秀逸。
    はっ!NAVERって協奏曲だったんだ…!

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で日本推理作家協会賞短編部門、08年『ゴールデンスランバー』で山本周五郎賞と本屋大賞を、2014年『マリアビートル』が2014大学読書人大賞を受賞。

「2020年 『AX アックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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