首折り男のための協奏曲

著者 :
  • 新潮社
3.51
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本棚登録 : 4095
レビュー : 524
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104596065

作品紹介・あらすじ

首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 7編の不思議につながる物語たち。
    あとがき(?)を読んで納得。元々は独立したお話ばかりだったとか。

    首折り男から黒澤さん、そしてまた首折り男へ。
    楽章が変わりながらも、奏でられるのはひとつの曲。

    最後の「合コンの話」の実験的な作風に気を取られていると、忘れていた主旋律がまた現れ、第一楽章にゆるくつながってゆく。
    どこをどういうふうに加筆して、このつながりが生まれたのだろう。

    印象に残った台詞。
    ゛「神様は時々、見ているわけか」
     「天網恢恢疎にして、そこそこ漏らす、ってところですかね」”(177ページ)
    「神も仏もいやしない」という台詞も度々出てくるのだけど、逆に神様っているのかもしれないと思わせてくれる。
    ただし、時々しか見ていない神様。そこそこ漏らす神様。
    そう考えると、不公平だと思うことが減るような気がする。だって神様、そこそこ漏らすんだもん、とか、あー、神様また見てなかったね、とか。
    これはこれで優しい社会になるのかもしれない(笑)

    「死神」以外ではしばらく離れていたけれど、伊坂さんらしい時系列の妙もあり、文体や空気も変わらず楽しめたのがうれしい。
    またぼちぼち未読作を読んでみよう。

  • 何で私ばかり…
    毎日のように理不尽の渦に巻き込まれている…気がする。

    たぶん、他の人よりも平等とかバランスとか
    そういったことに拘りが強いからなのかも。

    とはいえ、測るのは自分のものさし。
    理に適う適わないは自分勝手に作り上げたもの。

    そんなこんなで身動きが取れなくなると
    伊坂さんの一風変わった角度のものさしで、
    ザザッと理不尽をかき混ぜてもらいたくなる。

    首折り男と、黒澤さんがゆる~くつながる短編集。

    『人間らしく』に出てくる神様の在り方。
    深く、納得しました。
    神も仏も…という場面はそんなことになってるんだ。
    なるほど。そうなら仕方ない。

    伊坂作品4冊目の超初心者の私は
    黒澤さんがわかりません。
    死神の千葉さんほどではありませんが、
    黒澤さんも気になるキャラです。

    今度黒澤さんを掘り下げてみようと思う一冊です。

    何だかちょっぴりスッキリしました。
    これだから伊坂さんを読むのをやめられないんでしょうね。

  • 協奏曲というほど、首折り男的なまとまり感や統一感はないけど、なんとなくオーバーラップしてる感じの連作短編集になっています。
    そのへんは、あとがきで伊坂氏も言い訳(?)しているので、ふうんといった感じですがそれぞれの話が面白かったので、満足です。


    たとえば、「僕の舟」の

    ケーキだったら生クリームとモンブランを迷っても、一緒にいる人が別のを頼んだら一口くらい味見させてもらえるかもしれない。
    ただ人生の分岐においては無理だ。誰かに、そっちはどうだった?とは訊けない。

    ってとことか、
    「人間らしく」の右か左か、戦争や愛国心について語るところとか
    神様は隣の部屋で仕事をしていて、気が向けば覗いて、気づけば助けてくれるとか

    他にもあったけど、結構好きなところがありました。黒澤さんいいよね。

    でも結局、最後の「合コンの話」が一番おもしろかったなぁ。

  • 神様としての伊坂。
    という印象をもった短篇集だった。まず、首折り~の大藪は、他人が怒るであろう場面で先に怒って他人の不満を解消するという話がある。
    伊坂作品を読んだ時に言えるのは大体が勧善懲悪であり、他人の生活を台無しにしても気にしないやつがたくさん出てくる。現実の社会にはどうしたってそういうやつがいて、未成年だったり力を持っていたりでしっぺ返しを受けない怒りを感じる。
    世の中のバランスとして納得いかないというものだ。
    伊坂幸太郎は、その怒りや不満を解消してくれる。
    「人間らしく」で、神様はいつもこっちを見ているわけではないが見ている時はルールを適用するという発言がある。
    それは現実の世の中でバランスとして納得いかない人に対して救いの言葉になるのとプラス、伊坂幸太郎は物語上でもそういうやつには指で叩きますってことだ。毎度スカッとしますね。

    短編をまとめたものに加筆をしたためいくつか違和感は出てくるが、タイトルは首折り男の「ための」協奏曲である。どこで失敗したのか、もしあそこで違う人とやりなおしていたら、顔と体格が似ている人に病が移ったように変わったかも知れないし矛盾が起きて変わらないかもしれないなと思った。

    月曜日から逃げろは、時系列じゃないという設定を使って面白かったが合コンの話ではしっかり設定が示されているの中で手法が面白かった

  • 誰かがしている誰かの話をいろんな風に集めてみたら、こんな都市伝説になりました、というような伊坂的NAVERまとめ、のような一冊。
    その時著者が書きたいものをうまく並べて、バラバラのことがひとつの串でつながっているような面白い本だった。この著者の良い所の一つは、書き手側からみた構成の妙と、編集側からみた構成の妙がうまくハマっている時だと思う。一冊の本を作るように別々のテーマの短篇が焼き鳥のように並んだ時、そこにはまた一つの世界が生まれる。全部食べた時の美味しさと、素材一つ一つの美味しさ。
    首折り男から空き巣の石澤、石澤の丁々発止のずれたやりとり、そしてちょっとした首折り男の話。物語自体の遊び(オマージュ)や、ちょっとした怪談、哲学、舞台脚本のようなタッチなど、とても筆者が楽しんで、それぞれの楽章を書いたことがよくわかる一冊です。
    僕はやっぱり「僕の舟」が好き。第1楽章「首折り男」から第2楽章「石澤」へのブリッジが秀逸。
    はっ!NAVERって協奏曲だったんだ…!

  • 神は試練をお与えになったと考えるよりも
    今はちょっと別の部屋にいるので気づかなかったんだ
    と考える方がすごく健全だ。

    そう、この本は健全な本だ。
    登場人物の精神性が健全だし、
    地の文もさっぱりしている。

    読み終わった後、
    ずいぶんと気分が良くなる本だった。

  • 一見、短編集のようで、はたまた連作短編集のようで、実は長編小説でした!みたいな。

    元気がなかった時、「伊坂が新作でも出してたら、元気になれるのにな」と思いながら本屋さんを歩いていて、新作の棚で見つけた作品でした。

    首折り男と、黒澤と、クワガタと。

    短い作品の中に、いつものように、張り巡らされた伏線。いつも感じる、ちょっとした違和感。わたしが馬鹿で作品を理解していないわけではなかったのだ、と、最後に実感させられて、それがなんだか嬉しくて。なんだそういうことか!と、ページを戻って、確認する瞬間が、大好きです。

  • いくつかの雑誌のために書いた短編に、少し手を加えて、緩やかに繋がりを付けてまとめた本。
    繋がりのキーワードは「首折り男なる人物」と「黒澤という泥棒」。

    元々が関連した話ではないので、1話完結していて、ちょっとのスキマ時間に少しずつ読んで楽しめる。
    小気味よいセリフの応酬や、時間軸のトリックなど、伊坂ワールドを片手間に楽しむのにはもってこいの作品集。

  • 『首折り男』というタイトルから『マリアビートル』の彼再びかと思いきや、違う首折り男らしい。
    ユーモア、SF、ホラー、とある仕掛けなど、様々なテイストで楽しませてくれる短編集。
    あとがきにある通り、首折り男から次第に黒澤なる泥棒兼探偵にシフトし、再び首折り男に戻っていく構成も楽しいし、『時空のねじれ』や『神も仏もいやしない』というキーワードがあちこちにあったり。
    単なるSF、単なるホラーではなくちょっとスカした、上手くかわされた感のある楽しさがあった。
    合コンの話もなかなか面白かった。

  • 短編集。
    登場人物が各編なんとなくつながっているようでそうでもないような・・・?
    どれもおもしろかった。
    タイトルほど恐ろしい内容ではない。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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