ホワイトラビット

著者 :
  • 新潮社
3.77
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本棚登録 : 2200
レビュー : 313
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104596072

作品紹介・あらすじ

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。「白兎事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ! 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。

感想・レビュー・書評

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  • 人知れず起きた立てこもり事件を軽やかに面白おかしく。
    伊坂ワールド全開です。
    黒澤が出てくるのが嬉しいですね。

    誘拐をビジネスとして、無理がない程度に行っている犯罪組織のメンバー、兎田。
    若い起業家によるベンチャー企業のようなものだという。
    ところが、経理の折尾が資金を持ち逃げ、若い兎田は最愛の妻・綿子ちゃんを誘拐されてしまいます。
    めぐりめぐって不本意ながら、立てこもり事件に発展‥?
    たまたま空き巣に入った泥棒や、いろいろな人物が絡み、え~っと誰が誰なんだっけ‥
    一つ一つ、楽しみましょう。

    オリオン座について蘊蓄を傾けるのが大好きというモチーフや、「レ・ミゼラブル」の小説を読み切った人物がいて、作者が「レ・ミゼラブル」風に介入してきたりと、一癖あるスパイス付き。

    「レ・ミゼラブル」は19世紀の長い小説で、貧しさや制度の重圧などに苦しむ人々を描いた文豪ユーゴーの重厚な作品だけれど、娯楽の少なかった当時の人気連載でもあります。ミュージカルや映画になっているように、ドラマチックで面白いんですよ。
    私はたまたま岩波文庫全巻読みました! そういう人、どれぐらいいるんでしょうかね(笑)
    軽妙なこの作品とはある意味では正反対ですが、面白いという点では通じるものが?
    文化が爛熟した上での軽みとでもいいましょうか。時代は変わりましたね~☆

  • 誘拐組織の一員だった兎田だが、なんと妻が誘拐されてしまう。身代金ならぬ身代人は組織の資金を持ち出した男。兎田は男を探しているうちに、仙台で籠城事件を引き起こしてしまう。妻は取り返せるのか。。。
    時間軸や場面が変わるものの、視点を変えているのでテンポ良く読める。犯罪者ばかりの登場人物の掛け合いも良かった。いつもながら、胡散臭い人間がなんとなく正論を言っているような気にさせるのがうまい。

  • 『いや、面白かった〜』ともう一度
    最初から読み始める。
    きっとそれは、全く違う小説になっているはずだ。

    これこそ小説の醍醐味だと思う。
    小説が持つ可能性というフィールドを
    縦横無尽に軽やかにストーリーは駆け回る。
    それが心地いい。

    そして、語り口!
    (彼)に言わせると古い手法らしいが、
    その語り口は、独特のユーモアとリズムを
    この本に与えている。

    面白い小説を読んだという充実感がすごい。

  • 最初から最後まで伊坂ワールドですな。
    登場する悪人がちょっとお茶目で抜けていて、一般人の方が訳ありだったりする。その匙加減が伊坂さんの作品の良いところだと思います。
    それに今回はト書きらしきもので物語の時間軸を動かしたり、説明を加えたりと面白い趣向になっています。これはこれで良いかもと思えます。
    仙台で発生した白兎事件。一般には知られていない籠城事件の一夜の物語をお楽しみください。だから英語のタイトルがa nightなのか。
    お勧めの本です。

  • 黒澤が出ている作品には妙な安心感がある。なので今作もとても面白かった!最後まで読んでからもう一度読み直すと、気付かなかった伏線が鮮やかに浮き出て来て見事な手法だなぁと惚れ惚れする。
    レミゼラブルは映画でしか見たことないけど、この作品に散りばめられている言葉がとても魅力的だったのでぜひ読んでみたくなった。

  • 黒沢さん、やってくれたなあ、素敵だ。伊坂さんは、泥棒とか殺し屋とか素敵に書きますねえ。語りも絶妙。今回はよく考えていますね、パズルのよう。面白かったです。一回読んだ上で、もう一度楽しみたいな〜。
    それにしても、今後、夜空の星を見上げると、このお話を思い出してしまいそうだ。

  • 仕掛けが二つも3つもあり、そうだったのか!の連続だった。

    籠城事件、通称白兎事件

    ある親子の自宅に立てこもり犯が入っことから始まるこの事件。一つの事件だけかと思えば、自分の妻をさらわれた男、父親に暴力を振るわれる親子、大金を盗まれた犯罪グループ、たまたま入ってしまった空き巣グループ、妻と娘を事故で亡くした刑事、などありとあらゆる登場人物がこの事件には関わっていた
    鍵となるオリオン座を巡って事件が動く出す。

    登場人物の視点から文書が書かれたり、作者の視点が入ったり、今まで読んだことのない語り口調の入る作品だった
    伊坂節の最期の謎解きは、またやられた!っと思わされた。
    初めから出来上がったシナリオに載せているかと思いきや、別のシナリオに載せられている。
    面白かった!

  • 読み終わったあと、すぐに読み返したくなる本があるけれど
    この物語は、もう一度読み返してみると
    一度崩したジグゾーパズルを、高速でピタリピタリと元に戻していくような楽しさが味わえました♪
    特に、一度目が『え?どういうこと?!』
    『ってことは、あれは誰なの?』・・・と
    なかなか頭の中で物語と人物が時系列で整理できなかったため
    余計に再読を楽しめたのかも。
    どこもかしこも悪人だらけの物語なのに
    楽しく人情味溢れる物語なのでした。

  • 「AX」から2ヶ月くらいしか経っていないのに、もう新作!
    伊坂幸太郎の新刊は、なんと“籠城ミステリー”。この段
    でもう胸がときめいちゃう人、やたら多い気がする(^^;)。

    伊坂幸太郎の籠城モノと言えば、「チルドレン」や「陽気
    なギャング」シリーズで何度か目撃したことがあるのだが、
    今回のは完全に一線を画す内容。籠城モノなのに登場人物
    はやたら多く、ともすれば話がこんがらがってしまいそう
    なのだけど、絶対にそういう展開に持って行かないのが
    伊坂幸太郎の凄いところ。終わってみれば全キャラが皆
    重要な役回りを最低一つは担っており、結果的に“無駄な
    人物”が一人も居ない。加えて、章全てに用意されたどん
    でん返しは感嘆に値するくらいレベルが高く、随所で爆笑
    しつつも唸る。奇跡のような作品だ・・・。

    そして嬉しいことに、今回のキーマンは「泥棒」と「探偵」
    の両極端を生業とするあの男。彼のキャラがここまで立つ
    のはかなり久しぶりで、それだけでもう嬉しい。さらに、
    「レ・ミゼラブル」にインスパイアされた狂言回し的な表
    現があまりに小憎らしい上に「あそこからこの話を思いつ
    くのか!」という天才ぶりも遺憾なく発揮されているのだ
    から、もう脱帽するしか無い。

    ユーモアに富んだジェットコースターミステリー。しかし
    このカッコ良さ。伊坂幸太郎のエッセンスが存分に詰まっ
    た作品、ぜひお試しを!

  • 誘拐ビジネスグループの経理の女が組織の金を持ち逃げした。金の在処を知る男「オリオオリオ」を探すことになった兎田は立てこもり事件を起こすが…。
    個人的に大好きな探偵兼空き巣の黒澤が大活躍する回。すごい頭の回転。黒澤と兎田が話をするあたりから物語が激しく動き出す感じが気持ちよかった。レ・ミゼラブルとオリオン座の認知度の高さに作者の都合をほんのり感じた。今作では地の文に性格をずいぶん付けたなという印象。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。
上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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