べんけい飛脚

  • 新潮社 (2014年10月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784104606078

みんなの感想まとめ

忠誠心と誇りを胸に、江戸時代の加賀藩の飛脚たちが命がけで大切な書状を届ける姿を描いた物語です。若き戯作者が抱える難題を通じて、藩と幕府老中の緊張関係を解消するために奔走する飛脚たちの奮闘が描かれ、彼ら...

感想・レビュー・書評

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  • べんけい飛脚

    徳川吉宗の時代。吉宗と親交があった加賀藩主の物語を書くことによって、時の老中松平定信に加賀藩に二心なしということを知らしめようとするお話。
    なんで飛脚が登場するかというと、大量の鉄砲を持ち帰ろうとした際に、その許可証を命がけで運んだというところだけ。前振りにある、公儀隠密と加賀藩の御用飛脚との間であった争いに関しては、詳細が書かれていないところがちょっとがっかり。
    話の筋立てにちょっと無理があったかな?という感じでした。
    竹蔵もたまに飲む日本酒「加賀鳶」って、加賀藩雇用の火消の名前だったんですね。

    竹蔵

  • 松平定信は加賀前田家を「大藩ゆえの潜在的な脅威」と見なし、改革派の老中として積極的に弱体化を狙う、前作『かんじき飛脚』では、定信が前田家の内情を探り、宴を強要して藩の体面を崩そうとするなど、明確な敵対姿勢を示し、今作も監視が続く緊張状態であります
    加賀藩の「百万石の力」が幕府転覆の野心を抱いているのではないかという疑念がどうしても払しょくできない、ここで加賀前田家と入魂の関係である専属飛脚の浅田屋が一計を案じます・・・70年も前であるが吉宗公と前田綱紀公の信頼関係「前田家に二心なし」と言える強固なものであったという事を知らしむる読み物を定信に読ませられれば解決する、設定だから読者も「解決する」事に疑いを持ってはいけない
    直接的に「我々は忠誠を誓います」と主張しても、定信のような猜疑心の強い人物には通用しないから、過去のエピソードを「娯楽性のある読物」として提供し、定信が自発的に「前田家は昔から幕府に二心がない」と納得させる、飛脚たちの奮闘を描くことで「忠義の行動」を強調し、定信の持つ警戒心を「事実ベースの信頼回復」に転換させればいいだけだもん、簡単さw

    導入に1~153ページ、「綱紀道中記」に154〜393ページと詳細な描写に費やされ、ラストわずか2ページで「成功確信」で締めくくられるという山本一力の剛腕ぶりたるや素晴らしいではないか(少しおかしくなってきた)

  •  山本一力の描く芯のある登場人物は胸が熱くなる。本作は、若干その辺が弱い。細かいエピソードは面白いが、骨っぽさが足りないように思う。浅田屋や三度飛脚をもっともっと前面に出した方がよかったのではないか。
     それにしても、本作の大枠である松平定信との関係改善のために物語を描くという策の有効性が今一つ納得ができない。そんなに簡単な話じゃないのでは。すこしご都合主義。
     

  • 前作「かんじき飛脚」の続編と言うか、外伝と言うか、今風に言うとスピンオフなんだろうけど。
    本作は前作で大活躍した、加賀藩御用達の三度飛脚がちょっと奥に引っ込み(それでも重要な活躍場面はあるんだけど)、若き戯作者の書く入れ子構造の劇内劇がもっぱらの焦点。

    入れ子にしたこと自体、構成を楽しむ妙味はあるんだけど、物語の焦点がややぼやけてしまったのは残念。伏線とその回収が分かりやすく書かれているのに、肝心の「じゃ当面さしあたっての問題はどうなったの?」のがクライマックスでボヤける。

    こっから、ぶっちゃけ大ネタバレかくけど…

    松平定信の気持ちは収まったのか?大店商人伊兵衛の回顧だけでは済まないとこじゃないのかなぁ…そこ暗示するにしても、もっとすっきり書いて欲しかった。性善説な小説を書いてる一力作品なら、ここをボヤかすと読者としては煮え切らないぞ。

  • 江戸時代、前田藩の窮地を救うために藩御用の飛脚たちが中山道を走りぬきます。飛脚だけではありません。
    前田藩の殿様綱紀は、江戸でも国許でも、また参勤交代の時も、屋敷を抜け出して町民の姿に身をやつし、市中を歩き、民の姿を自ら見て歩きます。若い将軍吉宗のために誠心誠意尽くします。吉宗もまた綱紀を心から尊敬し、みずからの後見人であるとまで考えます。
    綱紀は、将軍吉宗を源義経にそして自分自身を武蔵坊弁慶になぞらえます。
    中山道をひたすら走り抜いて、命がけで大切な書状を届けてくれた飛脚たちに感謝を惜しみません。ひとりひとりが自分自身の源義経のために武蔵坊弁慶となって自らの命をかけて支え合います。この小説の中で描かれているのは、自分に与えられた仕事を忠実にしかも誇りを持ってやり遂げる男たち女たちの姿です。このような人々によって、この国は昔から支えられているのです。

  • 「かんじき飛脚」の続編だと言うことを知らずに読んだのですが、そんなハンデをものともしない、相変わらずレベルの高いお江戸人情物語。唯一の欠点は、「かんじき飛脚」を読む楽しみがなくなったって事かな?。もちろん俺のせいなのですが。

  • 参覲交代の実情を楽しく学べる本でした。

  • 百万石の加賀藩の参勤交代は、四千人の規模に達する。その大名行列で起こる宿場の運営状況等々の凄まじさは十分伝わってきたが、飛脚たちが任務を遂行する奮闘ぶりは、盛り上がりに欠ける印象が拭えなかった。加賀藩前田家の当主も老中水野忠之も八代将軍吉宗公を「義経」とするならば、どちらも「弁慶」であるという立場に違いはない。前田藩御用商の浅田屋を「べんけい飛脚」と位置付けることで、それに気づかせようとする展開は面白かった。

  • 加賀百万石の前田家当主、綱紀を書くため、売れない戯作者雪の丞が大抜擢された。
    仕事をする雪の丞の仕事っぷりと、大名行列を支える重鎮や飛脚たち、そして綱紀や将軍吉宗の人柄を垣間見ることができる、一冊で2倍おいしい話。

  • 2014年10月刊。小説新潮2010年7月号〜2013年9月号連載。飛脚シリーズ2巻め。加賀藩を擁護するための戯作を作ろうとする話が前半で、後半はその戯作の内容が語られる。正味のずぬけた一力節のお話。しかし、「べんけい」のくだりは唐突で、もう少し丁寧に語って欲しかった。まるで、落語「青菜」のオチです。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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