- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104628049
感想・レビュー・書評
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20131118
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べったりとはりついたミソジニー。
その事件に関して、また彼女に関わる男たちへの憎しみは感じるが、それはおいておいて。
歪んではいるし幸せではないのかもしれないが、確実な愛情がそこにはあったのだと思う。明るく未来のあるものではない、過去の忘れられない汚らしい恐怖に満ちた事件の共有、それを共有してくれる誰かに愛情を持つということはあるのではないか、そんなふうに感じる。良い小説だと感じたけれど、映像では見る気がしない。小説だから、ファンタジーと感じられるのだから。 -
恋愛は他人にはわかりません
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決して消えることのない罪の意識と、逃れられない大きな傷を負った二人。幸せになどなってはいけない男の中に芽生える幸せへの葛藤が切ない。
モヤモヤとして決して晴れない心理状態を、暑い夏の季節で描く描写がうまい。肌をつたう汗とその臭い、そしてまとわりつく衣服が、拭っても拭い切れない不快感をいつまでも感じさせる。
この二人の心理が理解できる日がはたして自分にも来るのだろうか。 -
悪人を思い出しながら読んだ
罪を背負いながら生きるもの
平凡な人生を望みながら、人を愛して
もがきながら生きている
最後に、男と女の愛みたいなものを深く感じた -
過去の忌まわしい記憶と、どこまでも付き纏う、歪んだ情念。本作の舞台である夏の季節がもたらす、皮膚にへばりついて剥がれない腐臭のように立ち昇る怨恨の帳。鬼畜の所業によって奈落へと突き落とされる者と、その業に囚われる者。許される事の無い罪が執り成す異常と言える愛の形。理解するには、余りにも常軌を逸している。しかし、その愛は紛いものであるのだろうが、罪の鋼殻を突き抜けた先にある、お互いの魂が求め合った本物の愛なのだと思いたい