太陽と乙女

著者 :
  • 新潮社
3.45
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本棚登録 : 680
レビュー : 79
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104645053

作品紹介・あらすじ

デビューから14年、全エッセイを網羅した決定版! 登美彦氏はかくもぐるぐるし続けてきた! 影響を受けた本・映画から、京都や奈良のお気に入りスポット、まさかの富士登山体験談、小説の創作裏話まで、大ボリュームの全90篇。台湾の雑誌で連載された「空転小説家」や、門外不出( !?)の秘蔵日記を公開した特別書下ろしも収録。寝る前のお供にも最適な、ファン必携の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「太陽の塔」と「夜は短し歩けよ乙女」の二作で心をわしづかみにされたモリミー。最近はちょっと関係が冷えてたけど(当然ながら一方的に)、初のエッセイ集とあらば読まずばなるまい。しかもこれ、小説以外はデビュー以降書いたものがほぼすべて載っているとのこと。期待に違わぬみっちり詰まった内容で、いやあ堪能しました。

    同じ京都で学生生活を送ったとは言え、二十年ほど時を隔てているのに、モリミーの書くヘタレ学生話にどうしてこうも共感してしまうのか、前々から不思議で仕方がなかった。これを読んで、そうかそういうことかと腑に落ちた。著者も京都の出身ではなくて、学生時代の限られた特別な時間を、京都ですごしたのだ。

    二十歳前後の頃、絵に描いたようなキラキラした青春を送った人って、どれくらいいるのだろうか。大なり小なりふくれあがる自意識をもてあまし、「あるべき青春」と現実との落差に煩悶する日々を過ごした人も多いのではないだろうか(…と、思いたい)。そういう毎日の背景が「京都」なのである。何を見てもどこに行っても歴史の重みだらけ。大学に通う通りにも、銭湯に行く道にも、いわくがあり物語がある。その濃密な街に住んでいられるのは数年間限定。これが心にしみないわけがない。その気持ちを思い出させるからモリミーの書く京都に心ひかれるのだな。

    ファンというわけではないので、デビュー以降のあれこれはほとんど知らなかった。国会図書館に勤めてたとか、一時煮詰まって全連載を降りちゃったとか、へえそうだったのかと驚いた。結婚もしてたのね。身辺のことをいろいろ書いているのに、この結婚に至るまでのことについてはまったくふれてなくて、そこがいかにも著者らしい。そのくせ、「今日は妻と○○へ行った」とか「妻が○○と言った」とか結構頻繁に出てきて、もうモリミーったら~という感じであった。

  • 森見流「眠る前に読むべき本」。

    何度も出てくる奥様とのほのぼのとしたエピソードにニヤリとなる。
    奥様はあの「黒髪の乙女」のモデルだったりして…。
    森見さんが小説を書くために日記を書いたりメモしたりと意外とマメで感心した(しかも最初にメモに書いた言葉は「パンツ番長」…)。
    森見さんお得意の「四畳半」に対するアツい想いにも感涙(全てはアパートでの独り暮らしをさせてくれたお父様のお陰)。

    奈良の静寂な環境でスランプから見事に脱した森見さん。
    これからも机上での冒険を繰り広げてワクワクする小説を世に出していって欲しい。
    妄想に妄想を重ねた森見流「もう一つの京都」を楽しみに待ちたい。

  • 森見氏、楽しい。
    しかし、要所要所に頭の良さが垣間見れ
    恐れ多くなってしまうのである。

    それは至極当然。
    それだけではないものがあるのだ!と私は思っている。
    こんな、摩訶不思議な小説書ける人、なかなかいないよぉ。
    と思う。
    奥深く、無限大の異次元を持った四畳半とか。

    いわゆるファンタジーより身近。
    森見氏は女子たちに「モリミー」と言わせるものがあるのだな。
    絶対乱暴なふるまいとかしなさそうだ。

    森見氏の話は楽しい。
    寄り道しつつ妄想に励む真面目な森見氏。
    妄想ブラボー!

    しかし、時々、高尚すぎてついていけなくなる。
    私みたいなバカは何度も読み返さねば理解できない。
    ヨーロッパ企画の上田氏のことを書いたものは
    えー、もう一回噛み砕いて言うてくださいとお願いしたくなる。
    どうか、ここまで降りてきてはくれませんかと。

    あんなに「かしこ」だから(関西弁で賢い人のことをかしこと言います)
    四畳半の大きなワールドを描けるのだろう。
    何じゃこりゃと最初思ったけれどねぇ
    クセになりますな。

  • 登美彦氏曰く、「眠る前に読むべき本」。
    どこから読んでもいいし、読みたいものだけ読めばいいという気楽なエッセイ集。
    内容も、読書について、散歩について、自著についてとさまざま多岐に渡ります。
    どれも味のある森見節が楽しめますが、今回特に良かったのは、「書けなかった時期」についてのエッセイが読めたこと。
    呑気な文体ながら日々試行錯誤し続ける姿が垣間見え、思わずグッときました。
    あとがきにて「一気に読むべきでない」と書いてあったのですが、私は一気に読んでしまいました。眠る前でなくても楽しめる本だと思います。

  • 図書館で借りたもの。
    森見さんのエッセイをまとめたもの。
    『眠る前に読むべき本』を作りたかったそう(笑)
    表紙イラストが可愛い。

    お気に入りを語る章で、森見さんもモレスキンを使っててなんだか嬉しい。
    記念すべき1ページ目に書かれたアイデアは「パンツ番長」。森見さんらしい(笑)

    『カレーの魔物』
    『歩いても歩いても廃駅』
    『記念館と走馬燈』
    が特に好き、
    森見登美彦記念館、行ってみたいなぁ。
    四畳半を再現した部屋とか。

    『「森見登美彦日記」を読む』も良かった!
    書き下ろし+大学院生時代の日記公開。
    「日記魔」な森見さん。私も一緒!
    日記面白かった!ずっと読みたかった!
    カウントダウンTVスペシャルを見た森見さんが「ここ十年のKinKi Kidsの凄さに気づいたりした」と書いてあってびっくりやら嬉しいやら。

  • コンセプトとは小説の土台。家でたとえれば区画の境界を決めるのがコンセプト。すなわちコンセプトとは境界を定め制限するということ。無数にちらばるアイデアや書きたいことをピックアップする。アイデアが多くても整理がなければアイデアがないのと同じこと。何の方針もなくアイデアを組み合わせても混乱するだけで結局何も伝わらない。コンセプトがあることで無数のアイデアから有用なものを選び、組み立てていく。極端で異様で逆説的で阿呆なものであればあるほど物語は面白くなる。正鵠射る名言に豁然開朗、目の前の靄がさっと開けた感を満腔で味わった。2011年、精神的緊張から体調を崩し全ての雑誌連載を中断した森見智彦氏。毎日山を眺めながらの隠遁生活を送っている。失魂落魄の2年間。氏は何を考え何を感じて生き抜いたのか。スランプの中だからこそ見えてくるものがあるのかもしれない。

  • やっぱり森見さんの書く世界が凄い好き。自分の中の子供がコロコロ笑うのがわかる。
    久しぶりにまた小説読みたくなった。次は何を読もうか、読み返すのもいいし、読んでない新しいワールドもいいなぁ。

    2019.7.25

  • 森見登美彦の描く京都は妄想の世界の偽京都だそうです。
    さて、ホントウの京都は物理的には確かに存在しているけども、そのすべてを把握することは現実的には不可能だから、わたしたちも「ホントウの京都」のごく一部を知っているにすぎません。断片的な情報だけで知ったつもりになっている京都は「ホントウの京都」ではないし、おのおの勝手な「京都」のイメージを頭の中に描いているのです。そういう意味において、結局のところわたしたちの頭の中にある京都だって偽京都と言えるかもしれません。
    すべてを知りえないからこそ、森見登美彦の描く京都をみて「もしかしたらそんな世界がすぐそばにあるのかも」と感じることができるのでしょう。

  • かなり前にKindleで購入して気になるところからちょっとずつ読みました。いつも持ち歩けるのがうれしい!
    読み終わるのが名残惜しいと思うくらい、ステキでした。
    森見さんの小説の書き方が興味深かったです。

  • 見よ、登美彦氏は、かくもぐるぐるし続けてきた! デビュー以来、約14年間にわたって新聞や雑誌等さまざまな媒体に発表してきた文章を集約。特別書き下ろし「「森見登美彦日記」を読む」、本邦初公開「空転小説家」も収録。

    あとがきにあったとおり,すごい時間をかけて読みました。
    本当に読み進まなかった・・・。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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