- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104649013
感想・レビュー・書評
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著者は,連赤事件に深くかかわった加藤三兄弟の真ん中で,当時19歳の少年。兄は山岳ベースで「敗北死」している。生い立ち,政治運動との出会い,山岳ベース事件,あさま山荘事件,出所後の環境運動など。
著者が初めて政治と関わったのは高二の春。そのとき初めてデモに参加したそうだ。それから三年に満たない間に,兄を含む十人以上の同志の死を目の当たりにし,あさま山荘で警察と銃撃戦を演じることになるとは…。何とも凄まじい。
事件の推移についての事実の記載が多いが,並行してところどころに当時の心境も書かれている。ただ,これは回顧による記憶の修正が大きそう。執筆時には五十を超えているのだから無理もない。一応自分たちは間違っていたと今では考えているようだ。若く無謀で,正しい情勢分析ができなかった。
しかし革命闘志としての矜持も失っていない。正義を実現する社会を夢見たことには誇りをもっている。オウム事件で連赤事件が引き合いに出された時,かなりの反撥を覚えたようだ。現実から逃避し,自らの欲望を充足するために反社会的な行動に走った彼らを,著者は軽蔑している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
筆者の生い立ちから学生運動へ参加した経緯
そして被指導者層として見てきた連合赤軍について淡々と記述することで
「山岳ベース事件」「あさま山荘事件」等の事件を客観的にまとめている。
筆者の記憶に基づいた文章であるから山岳ベース事件に関する記述が中心となっており
あさま山荘事件に関する情報は少ない。
新左翼について軽くまとめられていた部分もあり、学生運動の知識が少ない私でも
読み進めることができたので、とっかかりとしては良い本だと感じた。
一連の事件を犯してしまったことが消えるわけではないが
社会に出て家族もいる中で、このような本を書いた筆者の勇気には感嘆する。