ノースライト

著者 :
  • 新潮社
4.09
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本棚登録 : 602
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104654024

作品紹介・あらすじ

横山ミステリー史上、最も美しい謎。熱く心揺さぶる結末。『64』から六年。平成最後を飾る長編、遂に登場。一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 後半、ぐいぐい読ませる一冊。

    警察ものでない横山作品、しっとりとしたオトナのミステリ。自分にとってはものすごく読みやすかった。

    警察ものは人物多さが苦手。でもこちらはシンプル、登場人物が混乱しないのもポイント。

    主人公は一級建築士の青瀬。クライアントに望まれ設計した新築の家。なのにクライアント一家は失踪していた。ただ一脚の椅子だけ残して…。

    失踪の謎をさぐる青瀬。タウトの椅子、それだけがクライアント吉野との接点。

    人物描写、丁寧な心情描写はやっぱり横山作品らしく惹きつけられ、建築という未知の世界にもかかわらずどのシーンもその世界にぐっと入り込める感覚。

    後半は特にぐいぐい読ませ、親子、家族、伝えるべき想いと遺す想い、それらがじんわり心に染み渡り二度読みしたほど。


    ノースライトのタイトルが秀逸。たしかに主張し過ぎることのない、でもしっかりと包み込むような北の柔らかな光こそこの読後感に相応しい。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      警察物は人が多いし、無駄ないがみ合いが多いよね(^_^;) そこが苦手。
      警察物でない横山さん、読み応え...
      こんばんは(^-^)/

      警察物は人が多いし、無駄ないがみ合いが多いよね(^_^;) そこが苦手。
      警察物でない横山さん、読み応えありそう!
      うちにも横山作品眠っているわ(笑)
      2019/03/04
    • くるたんさん
      けいたん♪

      おはよう(⁎˃ᴗ˂⁎)

      そうなのよー!警察モノは警察の所属とか対立とか立場とか微妙な関係とかややこしくて…
      特に64はそこが...
      けいたん♪

      おはよう(⁎˃ᴗ˂⁎)

      そうなのよー!警察モノは警察の所属とか対立とか立場とか微妙な関係とかややこしくて…
      特に64はそこが苦労した思い出が(*vωv) 

      こちらはシンプルで良かった作品(*^^*)♪

      横山作品、「出口のない海」はもう読んでる⁇

      評判良いみたいだけど、私、未だ読めてないんだ〜〜( ˃ ˂ഃ )
      2019/03/05
  • 私にとって未知の分野である建築の世界に引き込まれました。Y邸をそしてそのノースライトを見てみたいと思いました。登場人物それぞれが、順風満帆な人生でなく(勿論そんな人はごく少数でしょうが)、それ故に他人には触れられたくない傷を持ち、悩み苦しみどこかでバランスを取っている登場人物たち。また建築界の巨匠タウトにも重要な役割を持たせ、ストーリーに時間的な拡がりを感じます。主人公が「自分が住みたい家」として設計し建てたY邸が、施主の吉野が理由を語った時の真実に心が動かさせました。

  • いや、もう面白いの面白くないのってめちゃくちゃ面白いですよ、さすがとしか言いようのない。
    完全なる正三角形(完全じゃない正三角形があるのかどうか知らないけど)のミステリ。
    謎解きも面白さも、ストーリーも、そして美しさも兼ね備えた最高の一冊。そう、美しいんだよね、美しいミステリ。
    そして建築に関して詳しくなっちゃうおまけつき。
    これはもう売れる気しかしない。

  • 久々の横山先生降臨で発売日当日に即買いしました。小説ではそんなことしたのグインサーガ以来数十年ぶりでした。大体本が分厚いとぐったりしますが、持った重さすら愛おしい。ほっぺすりすりするくらいテンションマックスになりました。

    全く予備知識無しで読んだので途中から刑事とか出てくるんではないかと思っていましたが、今回は伝統の刑事物から離れて、設計士業界を舞台に色々な人間関係が入り乱れておりますが、そこはさすが御大。軽薄になる事無く人間ドラマを積み重ねでいます。致し方無い事なのですが、重厚さと引き換えにリーダビリティーが落ちる事がありますが、昔から横山作品は重厚な上に手が止まらず読み続けられるのが不思議。本作もまた重厚さと読みやすさが共存しています。

    えー、苦言というほどではないのですが、前作64でも感じておりましたが、横山作品は下調べ、取材を相当して隙がないのですが、その取材を生かした部分が少々冗長に感じる部分がありました。結局人間を書くのが異常に上手い人なので、感情のまま書いても名作を書けるはずなので、出来ればもう少し早めの次回作を期待したいです。

  • 『64(ロクヨン)』から六年ぶりの長編は、警察ミステリではなく、建築士が主人公のゆるーいハードボイルド。

    消えた施主一家を探すというスタートから徐々にストーリーが拡がり始める。手掛かりを追ったその先に、建築家や画家の足跡があり、さらにそんなサイドストーリーにぶら下がるようにして、夫婦、親子、同僚とのドラマが絡みついている。多くのサイドストーリーを取り込んでそのたびに物語が膨れていくので、全体にゆっくり進み、そのせいか謎解きとしての鋭さがまるでない。絡み合ってるドラマをほどいたら、良質の短編が三、四編書けそうに思う。

    いつものシンプルな筆致と絶妙な行間のみで、読者を作中に引きずり込む手腕は巧いと思うが、今回は凝りすぎた分、全体に間延びしてバランスが崩れたような気がする。膨れ上がった挙句に、何かが押し潰されてしまったとでも言うのかな。

    謎解きも難しくなく、さり気に巻かれたヒントから全体の構図を読み解くのに時間はかからない。終盤にお仕事モノとしての山場を見せられ若干辟易した後に明かされる真相は予想通りだが、点が線に繋がる種明かしはやっぱり巧いと、最後で救われた気になった。

    ストーリーを構成する要素が多岐に渡っているので、仕事人として、家庭人として、主人公の境遇に共感できる読者は多いんだろうなー。静かなる熱い再生の物語です。

  • 待ちに待った「64」以来の横山先生の小説。今までとは少し違った系統かなと感じましたが、警察物ではなく横山先生の新たな世界を感じられた気がします。

    内容としては、建築関係の話が主であり今まで、そういった知識がなかったので新鮮に感じました。タウト作の作品をネットで調べながら読み進めていく事をお勧めします。

    「自分が住みたい家を建てて下さい」この言葉の意味、自身の生い立ち、家庭問題、建築士としての仕事、全てが絡み合って素晴らしいストーリーになっています。後半になるにつれて真相に迫っていく感じ、主人公の仕事への熱量は今までの作品と同じく一旦読み出すと止まらなくなってしまう怒涛の展開は秀逸です。

    また、「ノースライト」という題名がとても綺麗で好きになりました。

  •  前作『64』も約7年ぶりの新作長編だった。今回は約6年ぶり。初出時期は2004年~2006年となっている。全面改稿の上、刊行に至ったが、どういう経緯があったのか。

     警察小説を中心に執筆してきた横山さんだが、本作はかなり毛色が異なると言える。主人公の青瀬の職業は、一級建築士。かつてはバブルを謳歌したが、現在は小規模な設計事務所に籍を置いている。そんな青瀬が久々に情熱を注いで完成させた、Y邸。

     ところが、そのY邸に、依頼人一家が住んでいないらしいと知った。代金は支払い済で、実害はないが、割り切れない青瀬。現地を訪ねると、確かに住んでおらず、1つの椅子があるだけ。依頼人一家はどこに消えたのか? それが本作のメインの謎である。

     もちろん青瀬には本来の業務もあり、謎だけ追っているわけにはいかない。建築士としての日常を描きつつ、彼の生い立ちや、バブル期から現在に至る人間関係、別れた家族との関係などが、徐々に明らかになっていく。家庭人としては挫折した青瀬。だからこそ、Y邸に情熱を注いだのか。家への家族への渇望を駆り立てられたのか。

     謎に迫る鍵となるのが、Y邸に残された椅子。作中に出てきたブルーノ・タウトという建築家は、実在の人物である。本来の目的を隠し、タウトを取材する記者に同行する青瀬だったが、タウトが残した仕事に感銘を受け、圧倒される様子が伝わってくる。ナチス体制下のドイツから日本に来たというタウト。そんな時代でなければよかったのに。

     一方、青瀬の事務所は大きなコンペに向けて動いていたが、問題が発生する。公共施設だけに、色々な勢力が蠢く。雇用主に対して複雑な感情を抱いていた青瀬だったが、建築士として後世に残る仕事をしたい気持ちはわかる。タウトに触れてきただけに。彼の行動を、笑う人間は笑うだろう。実際、読者の僕は苦笑した。しかし、その姿は眩しくもあった。

     終盤に至り、いよいよ謎が明かされると、そんなところが伏線になっていたのかと驚かされる。再起の物語であり、家族の物語であり、様々な読み方ができるが、根底にはミステリーの精神が貫かれていた。過去に発表した数々の警察小説と同じく。

     もしかして筆を折ったのかと思っていたので、こうして手に取れたことを嬉しく思う。待つのは慣れている。ご自身のペースで、納得できる作品を書いてほしい。青瀬のように。

  • 待望久しい新作は、まずタイトルに惹かれた。警察小説中心の過去の作品群とは一線を画し、家族をテーマにした“旅情ミステリー”といった趣。「64」のような激しい対立の構図や、怒涛の展開はなくても、作者が登場人物に込めた“熱量”は変わらない。全体に薄くかかっていた霧が徐々に晴れていき、タイトル通り柔らかな光に包まれるラストにホッとする。傑作ではないが、佳作とは言える。

  • 横山作品には珍しいラストに希望が持てるミステリー。一休建築士の主人公、青瀬が設計し作った家。しかしその家に住むはずの家族は消えた。事件に巻き込まれたのか?その家族を追う中で「タウトの椅子」の謎や、主人公の離婚した妻も何か関わっていることがわかってくる。ラストは心温まりました。

  • 建築士青瀬が自由に設計してくれと依頼され作った信濃追分のY邸は評判で雑誌にも取り上げられた。しかし田端に住む施主はそこに引越ししてないと分かった。なぜ?そしてY邸にはブルーノ・タウトが設計したかも知れない椅子が残されていた・・・所員5名だけの弱小設計事務所に大きな仕事が舞い込んで来た。コンペに勝てるのか・・・

    うーん。

    横山秀夫が書いたというのでなければ途中で読むのをやめていただろう。先を読み進もうという推進力に乏しい。

    最大の難点は、忙しいはずの青瀬がなぜ施主の吉野の行方をそんなに懸命に探すのか分からない。だから先を読む楽しみが湧いてこない。(良いミステリーからは、先を読む楽しみがコンコンと湧き出る。)最終的な謎解きはキレイなものだったけれど、そのオチのために逆算して無理矢理にストーリーが造られた感じがする。

    画家の記念館の設計コンペの話は割と面白い。しかし主題とは関係がない。

    ブルーノ・タウト(何年か前に熱海のタウトが設計した旧日向邸を見てきた。建物そのものより、ガイドのおじさんがひたすら自慢話ばかりするのが記憶に残った)に関する蘊蓄に溢れているけれど、それも主題(なぜ自分が設計した家の施主を探すのか)とは関係がなく、取ってつけた感は否めない。

    横山秀夫の作品は、これ以外は全て面白かったのだけれど。

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著者プロフィール

横山 秀夫(よこやま ひでお)
1957年東京都生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業。1979年に上毛新聞に記者として勤務。『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞したのをきっかけに退社。以後フリーランスライターとして活動。
1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞し小説家デビュー。2000年『動機』で第53回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。2002年『半落ち』が「このミステリーがすごい!」1位となり、第128回直木賞候補作となるが、そこで起きた様々な論議から、直木賞決別宣言を出すに至る。『半落ち』は2004年に映画化されて高い評価を得ている。
その後、2004年『クライマーズ・ハイ』で第1回本屋大賞第2位、映画化されヒット。2013年刊行の『64(ロクヨン)』で第10回本屋大賞第2位、「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」各1位を勝ち取り、大ヒットとなった。

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