ロリヰタ。

著者 :
  • 新潮社
3.36
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本棚登録 : 1147
感想 : 152
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104660018

作品紹介・あらすじ

ゆるされぬ僕達の想いをつないでくれるのは携帯メールだけだった。スキャンダラスな純愛小説。表題作と「ハネ」、全2篇。

感想・レビュー・書評

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  • ファッション用語が多く、ロリータファッションにも疎かったので、想像が大変な部分がありましたが、知らなかった世界をのぞかせてもらった感覚です。
    ロリータとロリコンを混同されるとか、着ているだけで軽蔑的に見てくる人がいるとか、目立つ人や偏見を持たれやすい人共通の大変さがここにもあるのかと思いました。
    2篇とも軸は恋愛小説で、スキャンダラスな状況下の純愛がドラマチックでした。
    設定もさることながら、展開もインパクト大です。
    特に表題作の方は、2人の関係性が報じられたところで、状況が状況なだけに、周囲としては冷静な視点で反応するのはとても難しいだろうなと思います。
    この本はYouTubeチャンネルの「ほんタメ」で、MCのあかりさんが紹介されていたのを見て気になり読んでみたのですが、あかりさんのお好きな「恋愛×地獄」とはこのことか!と分かった気がします。ちょっとハマりそうです。

  • 純潔、ミシンに続き、野ばら氏3作品目。内容は異なれど、野ばら氏の「私」から「あなた」に語りかけているような文調は心地よかった。

  • ロリータも最近では大分認知されてはきたけれど、実際にそういう系統のお洋服を着ている人がいると目立つし好奇の目で見る人も多い。
    特に田舎では非常に目立つ。自分の友人にもロリータだけでなくゴスロリ、パンク系統の服も着る子がいるけれど、物珍しさのせいか盗撮されてしまうことも少なくないらしい。

    ファッションに限らず、流行から外れていたり、自分に理解できないものを受け入れられず批判してしまう人は多いし、マスコミもそういう風に報道する。
    自分とは異なる価値観をどう受け入れるか、はネットの普及で様々な価値観と触れ合うことが容易になった現在では非常に重要な問題であると思う。
    その為にもまずは自分自身を確立させるところから始めたい。

  • 一方はロリータファッション愛好の小説家、もう一方はロリータをしながら自作の羽を売る女子高生…が主役というまさにロリータづくしの二作品。

    『ロリヰタ』は作者がモデルの実話なのではと物議を醸した話。
    わたしは『ハネ』のほうが好きだったけど二作に共通しているのは『伝わらない、けれど突き通す』ということだと思う。
    誤解や偏見、手のひらを返す世間。理不尽な糾弾。
    言葉を違う意味でとられ、経緯や想いは無視される。
    作者自身が経験してきた想いが詰まった作品。

    人を間接的な情報だけで判断しないこと、誰にもそれぞれの想いが存在することを忘れないことが大切だと思った。

    突き通せるほど強い想いを持てるのはそれだけですごいことだと思う。

  • 好きすぎた。
    なんで君なんだろうってずっと疑問に思ってて私が読み飛ばしたり理解出来てないだけかなって思って戻ったりもしたけどそういうことなのね( ; ; )
    報われない恋愛好きよ…

  • 嶽本野ばら先生の「私」と「あなた」で紡がれていくお話は先生という人物像がハッキリしているからこそ映える限定的な美しさだけど、だからこそ読みやすくて愛しやすいお話だと感じた。
    落伍者や不適合者に向けられる悪意が伝わってきてとても切なく悲しいがそれらが悲劇のヒロインを照らし出すような暗闇でもあるのだなと感動した。

  • すごく懐かしい感じがした。ガラケーとかブランド名とか。

  • なかなか良かった
    お洒落な文だなと思う

  • 4/10.
    美意識と主人公たちの境遇には親近感を感じながら、おこがましいところや被害者意識があるとも感じました。

  • 好き勝手書きます。ネタバレ注意です!


    嶽本野ばらさん四作目読了しました。この小説は表題通り『ロリータ』的要素が多く、またそれに対する入門的な解説が丁寧にされていたり、ロリータであるが故の苦悩、弊害について、巧みな文章によって悲痛に、けれどもたくましく美しく、表現されていました。

    どちらかと言うと私は今まで『ロリータ』に対してバイアスを抱いているタイプの人間でした。しかし、嶽本野ばらさんの作品を読むようになって、その『ロリータ』や『乙女』を貫く少女たちを見ていくにつれ、自分が今まで目を逸らしていた、ともすれば嘲っていた少女たちに深く感情移入し、我を貫く苛烈なその姿のように、本当に好きなものと向き合う勇気を与えてくれたのでした。「敵」とか「味方」とかいう言葉を使うのは違うと思うので使いませんが、私は現在、ロリータなものに魅了され、憧れています(因みに男です)。

    もっと『ロリータ』を理解したい、『ロリータ』になってみたい――この小説はそんな自分にとても大きな影響を与えてくれました。野ばらさんが書く「気持ちを伝える文章」は、本当にすごいと思います。以下、拙い感想になります。


    『ロリヰタ。』
    これはどこまでが小説? 私小説なの? と若干混乱しました。発表当時も同じような混乱があったようですが、紹介文を見ると「『純愛小説』の進化系」と書いてあるのでまあ、事実寄りの小説かな・・・と。

    前述しましたが、この作品には、主人公「僕」の思うロリータについて、とても詳しく書いてあります。野ばらさんの、作中にハンス・ベルメールを入れてくるあたりとかすごい好きなので(語彙力)、自分にとってはとても説得力のあるものでしたし、やはり私生活を透かしたような「僕」の思考には驚きました。

    「君」が小学四年生であることには突っ込みを禁じ得なかったですが、「ロリータとロリコンは違う」中でのこの恋愛というのが、凄く魅力的に映えました。解説で高橋さんが言ってますが、この二人は「ファッション」で恋をしたと言っても過言ではありません。「僕」は「この服はロリータじゃない」と自分なりの観念を持っている「君」に最初惹かれたことからも、この考えはよく分かります。野ばらさんの別の著書『鱗姫』で、主人公が「人は外面じゃなくて内面だと言うけれど、外面を決めているのは内面でしょう?」――などと言いますが、この『ロリヰタ。』での二人の恋からも、こうした「ファッション」と恋慕が結びついたようにも思える箇所が多く存在します。(私の稚拙な説明よりも、作中で実際に「恋愛変更線」について語っているページ(108ページ)を参考にした方がはやいかもしれませんね。)

    ラストは結末とは言い難く曖昧としたものではありますが、世間からの非難の目の中で、「気持ちを伝える小説家」になると再確認した「僕」の心情の変化には感動しました。また、その中で得たものが、なんと美しく眩しい結晶であることか! これは「開き直り」では決してありません。「僕」の、そして野ばらさんの真意が、ありありと胸に衝くような作品でした。


    『ハネ』
    『ロリヰタ。』と比べると短くすぐ読めたからかもしれませんが、深い余韻を与えてくれた作品です。

    こちらの作品の方が、『ロリータ』に対する人々の好奇の目がハッキリと書かれていて、胸が苦しくなることも多々ありましたが、前述したとおり、私はどちらかと言うと『ロリータ』を好奇の目で見ていた側だったので、「イタイといわれる度に、痛むのは私の心です」といった「私」の言葉や、羽を警官に踏みつけられた時の心の叫びなどには、心を揺さぶられ、そんな視線の中で自分を貫く「私」に感動し、見方が変わったのは確かです。

    『エミリー』での感想にもありましたが、「我が乙女を貫け!」 その言葉に尽きます。『ロリータ』を理解するとかしないとか以前に、私はこの小説に出てくる少女たちの、このような部分をしっかりと理解していくべきだし、尊敬していくべきだと思いました。


    長い文章になってしまいました。嶽本野ばら先生にはいつも大切なことを気づかされてばかりです。もっと自分を貫いて、「私は私」であることを貫いて、たくましく生きたいです!

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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