セックスボランティア

  • 新潮社 (2004年6月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784104690015

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

性に関する個人的な体験やコミュニケーションの重要性を探求する内容が描かれています。著者の人柄やコミュニケーション力の高さが光り、読者に深い理解を促す一冊です。特に、健常者とされる人々が「そうでない」人...

感想・レビュー・書評

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  • 残念ながら日本ではまだまだ障害者に対する認識や共存に対して知識や社会環境は遅れているのだろう。

    そんな中で多くの日本人が表立って語る事のないテーマの一つが「性」。

    健常者は当たり前に恋をし、セックスもし、結婚もし、子供ももうける。

    同じ人なのに、じゃあ障害者は?

    確かにそうだ。

    恥ずかしながら自分自身が現在五体満足に生活をしている中で、向き合ってこなかったテーマ。

    しかし、考えればすぐにわかる。

    人として、障害者にも健常者と同じ欲はある。

    どうすれば解決するのか?

    私には答えられないが、健常者であるが故に目を背けてはいけない問題なのだと思う。

    全ての人にとって平等に人として生きる為の権利をいかにして確立していくか。

    非常に大きなテーマであるが、著者と同じ年に生まれた一人として、同い年の女性がこのテーマに真正面から対峙した事に尊敬の念と拍手を贈りたい。

    説明
    内容紹介
    障害者だってやっぱり、恋愛したい。性欲もある。
    ──その思いを満たすための「性の介助」の現実とは?
    彼らの愛と性に迫るノンフィクションの意欲作。
    内容(「BOOK」データベースより)
    障害者だってやっぱり、恋愛したい。性欲もある。その思いを満たすための「性の介助」の現実とは?彼らの愛と性に迫るノンフィクションの意欲作。
    内容(「MARC」データベースより)
    障害者だってやっぱり、恋愛したい。性欲もある。その思いを満たすための「性の介助」の現実とは? 彼らの愛と性に迫るノンフィクションの意欲作。『週刊朝日』連載「週刊ノンフィクション劇場」をベースに追加取材、加筆。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    河合/香織
    1974年岐阜県生まれ。フリーランスのライター。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒業。セクシュアリティや児童問題などのノンフィクションを執筆。『セックスボランティア』がはじめての単行本(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  •  障害者の性について取材したルポルタージュ。かなり衝撃的な題材と言える。が、正直なところ、著者の力量が題材に比して不足してたと感じた。

     著者の力不足を感じた一番の理由は、著者の性(特に男性の性や性欲)に対する理解が表層的だということにある。どうも著者は、性についてはお互いの愛情に基づくセックスという唯一の正解があり、他は全て擬似・代替行為と考えているようなのだ。が、男性にとっての自慰行為は、単なるセックスの代替行為ではない。自慰行為そのものを究極まで突き詰めたものの一つにTENGAがあると言えるが(『TENGA論』http://booklog.jp/users/tomiyadaisuke/archives/1/4812439051参照)、そういう同じ食べ物でもラーメンと寿司くらい違うオナニーとセックスを、「性行為」というカテゴリで均一化してしまっているため、インタビューを重ねても著者の考察が積み重なっていかず、結局何が言いたいのかよくわからないまま終わっている。

     書き手の力量には問題があるが、インタビュー内容については色々考えさせられることがあって面白かった。
     著者は「障害者と性」という問題枠組みで取材を重ねているが、そこで立ち現れる問題は、障害者・健常者に関係なく存在する一般的な性の問題だったりする。
     例えば、第3章では、障害者専門のデリヘル嬢をする聴覚障害を持った女子大生が取材対象である。が、彼女は彼氏に内緒でデリヘル嬢をやっており、そのことについて彼氏に対してあまり後ろめたさを感じていないようなのである。著者はその感覚に戸惑っているようだが、こういう戸惑いを覚える話は、援助交際をしている女子校生たちのインタビューなんかでよく遭遇するものである。
     また、性欲があるからといって、じゃあ性的サービスを…という訳にはいかない。性的サービスを受ける障害者だって人間なんだから、こと性のことにおいて誰でも良いなんてことはない。ある組織に登録されているセックスボランティアは40代から60代なので利用していない、というのは、熟女好きでない限り、まぁわかる話である。更に、障害者同士のカップルは性行為をするに際して介助が必要なケースもあるが、介助してくれる人が男性だと「妻の裸を見られたくない」と夫が思ったり、女性でも妻が嫌がったりすることがあるが、これも理解に苦しむ話ではない。裸や性行為前後の姿を見られたくないのは、障害の有無には関係ない。
     あと、性的サービスをしている内に、性的サービスをする側・される側に感情的な問題が発生することもあるという。これも当たり前と言えば当たり前の話で、セックスから始まる恋愛もあるように、セフレに情が移るみたいなことだって、考えれば十分にあり得ることである(むしろお金で割り切った方が心理的に後腐れが無いという場合もあるだろう)。

     障害者の性事情を読み進めていると、どんどん人間の尊厳の本質に迫っていくようなことを考えさせられていた自分に気がついた。性欲の処理だけを考えるやり方は、そのサービスを受ける障害者の人格や尊厳のことをちゃんと考えてる? と思う一方で、尊厳を重視する余りに障害者の性欲を軽視ないし無視するようなのも違うし…おそらく、もっと選択肢を増やす中で答えが見えてくるのだと思うところである。

     著者は、障害者の既婚率が思っている以上に高いことや、性風俗に関する一般的知識など、もう少し基礎知識を押さえた上で取材に当たるべきだったと思うが、扱ったテーマとインタビューについては色々考えさせられるものが多かった。ちょっと内容的にはハードだが、少しでもこの問題に興味があれば一読を勧める。

  • これだけの内容が書けるのは、著者の人柄とコミュニケーション力の高さだと思う。

  • 高校3年生の時に読みました。当時としては男女の関係に5体満足の状況に置ける情報しかなかったのでかなり戸惑った記憶があります。「健常者」とされる僕らから見たら「そうでない」人に対する性的支援の機関(というのか?)の存在があるということが一番の驚きで(それもおかしな話ですが)した。

  • 性とは、本来大変個人的な体験であり、自分が生まれてきた意味を確認する作業である。

  • 気になっていた本だったので借りてみた。
    こういうことがあるなんて考えたこともなかったし、想像したことさえなかった。無知な自分が恥ずかしい。

    第八章の205ページ。
    「障害者について、世間全般がもっと自分のこととして切実に感じてくれないと変わるのは難しいでしょう。障害者に自分はならないだろうってそう思っている限り、障害者が抱えている問題は自身のこととしては感じられない。せめて想像はして欲しいのです。」

    ここがすごかった。
    震えた。
    この一文に尽きる。
    今まで考えたことさえなかった…。

    想像できないし両者ともに隔てられている、壁がある。触れてはいけないと思っていたし、日常では見ることのない見えない部分。

    普通校、特別支援校とかに分けないで一緒に助け合いながら教室で過ごす…っていうのが、いちばん大事なんじゃないかな…と思った。性教育も後進国だし障害者に対する偏見だって未だ根強く残っている。(それでも最近NHKで番組がチラホラとあって、光が当たり始めてきているけど…。まだまだ足りない。)
    障害者と性という二つが置かれているこの場所がいちばん誰にも知られていない部分なんじゃないか。

    あと198ページの「両親の不仲のしわ寄せが子どもにいかないようにしよう、と結婚する際に、心に誓いました」ってところも衝撃的だった。

    弱者にしわ寄せがいかないようにすれば少しは生きやすくなるのかもしれない。とても考えさせられたし、知らないことが多く書かれていて忘れられない内容だった。

    ☆「怒ったほうが負け」という言葉に心を打たれた。212ページ(本当に強い人だと思った)

  • 衝撃的な題材だったので読んでみた。(大学の図書館)

    障碍者の性についての話。誰にだって性欲はある。しかし、障害を持っているとなかなかその発散がしにくい。そのたまに今は障碍者専用のデリヘルやソープが存在するらしい。

    私も先日、出会い系に登録してたら障碍者の方からメールが来た。「挿入はなしでいいから、触らせてください。私は車いす生活です。」という感じのメールだった。少しびっくりした。結局、家から遠いところの人だったからメールは無視してしまった。この本を読んでいたら自分の行動も少し違っていたかもしれない。。。まあ、売春はいけないことだけどね。

    性欲って誰にでもあるし、だれかと肌と肌を重ねたいというのは、ご飯を食べたり息するのと同じ生理現象だと思う。だから私は援助交際自体を悪だとは思わない。彼氏が風俗言っても嫉妬はしないだろうな。(援助交際はやっぱりいやだけどwww)

    障碍者専用のデリヘルも、障碍者を食い物にしているという批判はあるけれども、必要としている人がいるならは必要悪なのではないか。お金を払い満足しているならそれでいいと思う。また、無償で行為を行う団体もあるそうだがそれはちょっと違うんじゃないか。そこは健常者と同じ対応で良くないか?

    うーん。考えがまとまらない。もっと考えてみよう。

  • 障害者相手であれば性的サービスを提供することは誉められるべき行為?ボランティアならよいのか?思うように性交渉できない障害者のためのセックスボランティアが賞賛されるべきなら、色んな事情で性交渉の相手を求めている健常者に性的サービスを提供する一般的な性風俗も、どう違うのか。そもそも性交渉が「ボランティア」って?性欲の解消のためだけの商業的売春、社会性が加わった社会的売春、代理恋人療法だなんて区分けはホントに可能なのか…。
    オランダでは、障害者に性交渉のための助成金を出す役所がいくつかあるらしい。

  • これまで読んで来た本のなかで、なかなか忘れられない本。
    これからも忘れたくないので、登録しました。

  •  障害者の恋愛観、セックス観に迫るノンフィクション。
     ハズレ知らずの多彩なインタビューが本書の見どころ。命がけでソープランドに通う高齢者や、出張ホストを利用する女性障害者、障害者の性処理を手伝う健常者の女性、障害者専門の風俗店の経営者に、自身も障害を持つデリヘル嬢など、関連プレイヤーの取材は多岐にわたる。
     全体的に重苦しい空気が漂う中、障害者夫婦の語る結婚生活がいい感じに抜けていて、アンバランスでおもしろい。
     しかし、どのような事例紹介よりも、冒頭に男性の社会福祉士が、手足が不自由な男性障害者のマスターベーションの介助をすることを、「おおっぴらに語られていないだけ(中略)別に珍しいことではありません」と語るのがいちばん印象に残った。
     タブー視されてきたテーマに向き合った本書の吸引力は凄まじい。時間が経つのを忘れて読みふけってしまった。絶対的な解は読後も得られない。深く考え込んでしまうことうけあい。

  • 障害者にも性欲はある。
    考えてみれば当たり前のことであるが、今まで考えたこともなかった。
    日本ではタブー視されているが、それを処理する人間は表舞台に上がらないだけで必ずいる。
    恋愛や性、これらは健常者障害者関係ない。

  • 興味深かった
    日本は全く変わっていない。と思う

  • ★森に分け入れない★丁寧に取材をしているし、取材をするにつれて本人に問いかけが跳ね返ってくるのは誠実だと思う。ただ、こういう悩みを抱えて苦労している人はいるだろうし対応も整っていないだろうとは、出版から15年たつと感じてしまう。それだけ本書が問題啓発の嚆矢になったということかもしれないが。性に対する一人一人の背景や思いが千差万別すぎて、なかなか一般論になりにくい。題材の衝撃度が先行し、どこか表面をなぞった感じになってしまう。

  • 2004年刊行。自然な意味で性欲を持つ障害者。人間として、その点は健常者と異なるところはない。しかし、綺麗に言えば、愛情を育みながら、その相手との仲で性欲を満たすという道を閉ざされている。この見たくない現実を本書が活写するが、その提起する問題は決して軽いものではないはず。

  • 障害者の方が求めても手に入れられない性について、ボランティアを含めて提供している現状のルポルタージュ。身体障害や脳障害をお持ちの方々が登場する。健常者と同様の性欲を持つのは当たり前のようにも感じた。意識は健常者と変わらない中で、性に対するハンディキャップをどのように埋めていくのか?大きな課題に感じた。

  • ボランティアの本質といいますか、ボランティアの限界を垣間見た感じがしました。セックスボランティア・・・、男性障害者への女性、あるいは男性ボランティア、女性障害者への男性ボランティア。。。無償の愛なきボランティアとはいかなるものか、また、お金の世界に愛は介在するのか。。。人間とは、健常者、障害者にかかわらず、いつの世も、いくつになっても、悩みかつ夢を見るものなんですね。坂口安吾の「堕落論」、太宰治の「人間失格」再読の時期でしょうか・・・。ノンフィクションライター、河合香織さんの作品です。

  • 難しい問題は置いておいて、
    私はこの著者が好きだなと思います。


    性がどうして必要なのか
    なにが正しい性の在り方か

    なんて、誰が答えられるのか…


    性について悩んでいる問題は誰にでもあって、
    問題の内容は人によって違うから、
    理解しあえたらいいなと思いました。

    自分勝手だけど、
    私も大好きな人と幸せなセックスがしたいです。

  • 図書館から。

  • 障碍者の性、という扱いにくいタブーについてのノンフィクション。とにかく考えさせられた。
    クオリティオブライフに、食事や排泄はあるが、性はないのではないか。頼みたくても頼めない。
    性は生きる根本、という。

  • 初版は2004年。その当時に、このような問題を世に問うって凄いと思う。わたしは当時中学生かそこらで、社会問題にあまり関心がなかったから、その頃世の中がどうだったかってわからないんだけど。

    生活保護や、障害者雇用の問題について考える上で参考になるかと手にとった本で、思いのほかいろいろなことを考えるさせられ、まだどう消化すればよいかわからない。
    関係者の人の語りや描写が中心で、筆者のこの問題に対するあるべき論の議論がある訳ではなく、筆者自身もこの問題に対してどう考えていけばよいのか、自身や読者に問うているというか。

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著者プロフィール

河合 香織(かわい・かおり):1974年生まれ。ノンフィクション作家。2004年、障害者の性と愛の問題を取り上げた『セックスボランティア』が話題を呼ぶ。09年、『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞、19年に『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅壮一賞および新潮ドキュメント賞をW受賞。ほか著書に『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『帰りたくない 少女沖縄連れ去り事件』(『誘拐逃避行――少女沖縄「連れ去り」事件』改題)、『絶望に効くブックカフェ』がある。

「2023年 『母は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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