白バラ四姉妹殺人事件

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104695010

作品紹介・あらすじ

あの人が私を殺す。家族だからという理由で-。27歳、文学の鬼才、優美ど残酷な異色作。三島由紀夫賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • これはもう脳トレの1つかと思います。

    母、娘、息子の3人家族が一応メインなんだけど、
    近所で起きた四姉妹殺人事件の虜になってるのよね。
    でもって、自分たち家族の話といつの間にか事件の家族の話とがごっちゃになってて、
    今誰のセリフ?って感じになる。
    頭の中で整理したくても、もうそんな事はしても関係ないんだなって感じ。

    鹿島田さんの文章は、独特だわ~

  • 私は私が誰なのかわからない。
    だから誰かに支配されると安心する。
    女は男に支配され、婦人は女に支配され、男は婦人に支配される。またそれは常に簡単に逆転する。
    母と娘の共依存と、そこにいる異物である男の存在。
    だからこそ婦人から依存される女を嫉妬し支配しながら、婦人への愛憎が募る。
    婦人なのか、女なのか、末っ子なのか自分が誰なのかわからなくなるし、
    男なのか、娘の愛人なのか、女の婚約者なのかわからなくなる。
    自分のことも相手のことも、自分が誰でで誰と向き合っているのかさえもわからない。
    匿名になった途端にわからなくなるくらい、アイデンティティなんてそれくらい曖昧なものなのかもしれない。

  • 文学系の新書で勧められていたもの。詳細は忘れた。書評家の方々から高評価されがちな、現実と空想の垣根が曖昧な、そして人物像もちょっと曖昧な物語。単純なミステリ作品のはずはないと思っていたけど、タイトルからはちょっと内容の推測は難しいと思われる。ま、タイトルまんまの作品を書こうとしたら、単行本150ページくらいで収まる訳もなく、きっと上下巻くらいのボリュームにはなるしね。そういう意味では、殺人事件の扱い方が独特で、なるほどって感じではありました。

  • ほうほうほう、と読んでいたけれど、最後にスッキリしかけて出来なくて、なんかモヤモヤが残った。結局誰が誰なの?

  • 資料番号:010853059
    請求記号:F/カシマ

  • 独特の世界観があるけど

    いまいち良くわからなかった

  • 何故鹿島田真希の小説に惹かれるのか、説明するのは難しい。読む人が読めば意味不明で何を言ってるのか分からなくなる様な話だし(自分自身も理解できてるとは言いがたい)、こういった、特に女性が書く文体に固執した小説というものは好きでないはずなのに、どうしてだろう。
    多分、鹿島田氏からは女性作家の書く文体にあるあの一種のナルシスティックな感じというか、特有のにおいというものが余りしないからなのでは無いかと思う。いや、違うか。においは確かにしているんだけれども、それよりももっと個人の、特有のにおいが強すぎてそれが霞んでいる、といった方が正確かもしれない。

    今回の話は、婦人、男(婦人の息子)、女(婦人の娘)を中心に、近場で発生した殺人事件(と言っても自殺なのだけれど)を絡めて話が進んでいく。事件の内容は四姉妹の長女と婚約していた男性が、実はその末っ子と付き合っていて、それが露見しその母親に半殺しにされ、末っ子は自殺、ということなのだけれど、女はその事件に惹かれ、地域新聞を毎日見ることが趣味になっている。男は音大の受験を控えて、婦人は毎日家でこっそりとその話を酌み交わす男と女が、姉弟以上の関係になっているのでは無いかと邪推する。
    と、あらすじを軽くまとめて見たけれど、実際こんなあらすじはほとんどあてにならない。この小説は、そのあらすじの周辺にある細かなエピソードの集約で成立しているからだ。
    そのエピソードに翻弄される内に、一体誰が誰なのか、何が本当に起きたことで何が妄想なのか、事件とこの家族の間にどんな関聯があるのか、ということがどろどろに溶け合っていく。
    この感覚は、小説でなければ味わえない。

  • 固有名詞が出てこない小説。登場人物は婦人とその娘と息子。視点も母から娘、娘から母と移動するかと思えば、いつの間にか二人の人物は重なりあってどちらがどちらだか区別がつかなくなっている。

  • 幻惑的なのを耽美だと思っているんだけど違うんだろうか。
    殺人事件はメインではない。
    メインは婦人(精神疾患あり)と
    婦人そっくりな女(婦人の娘)と
    精神的にまともな(会社を辞めて音大受験準備中)男(婦人の息子)。
    べとべとする依存関係と姉弟間の恋愛関係。

  • 人物名が一人も出てこない。
    会話も若干曖昧。

    誰が誰なのかわからなくなりそうなギリギリのライン。

    それでも完全に見失うことなく最後まで読める。

    家族を極端にしたもの、と思うか、
    気持ち悪い家族、と思うか・・。

    ああ、タイトルからイメージした内容とは全然違いました。

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著者プロフィール

1976年生まれ。1999年、「二匹」で第35回文藝賞を受賞しデビュー。2004年、『白バラ四姉妹殺人事件』で第17回三島由紀夫賞候補、2005年『六〇〇〇度の愛』で三島由紀夫賞受賞。2006年「ナンバーワン・コンストラクション」で第135回芥川賞候補。2007年『ピカルディーの三度』で野間文芸新人賞受賞。2009年「女の庭」で第140回芥川賞候補、『ゼロの王国』で第5回絲山賞を受賞。2010年『その暁のぬるさ』で第143回芥川賞候補。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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