黒い看護婦

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 89
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104721016

作品紹介・あらすじ

平凡な女たちを冷血な「悪女」に変貌させたものとは何だったのか。著者を取材に駆り立て、終始、支配していた思いはそこにあった。福岡県久留米市の看護婦四人組が惹き起こした保険金連続殺人事件の全容を浮び上がらせる緻密な取材。著者の執念は、一審で死刑を宣告された主犯・吉田純子を中心とする堤美由紀、池上和子(故人)、石井ヒト美たちの、医療知識を駆使した犯行の根幹に迫る。事件の背後に横たわる驚くべき愛憎関係と恐怖を描いて余すところのない本格犯罪ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • まるで小説のような話。
    夢中になって一気読み。

    こーゆー複数人での殺人事件って、支配して洗脳的な事をして操っていくパターンが多いんやなって思った。

    純子が嘘をついたり騙したりする内容があまりにも有り得ない。視野が狭くなってるのも嘘を見抜けない理由の一つのように思う。堤、池上、石井の3人は相談出来る友達とかいなかったのだろうか?

  • ふむ

  • かなり興味深い内容だった。
    それにしても博多弁強すぎてついつい博多弁になりそうだな。

  • 読了。看護師四名による保険金詐取目的の連続殺人事件をルポしたもの。主犯の女性には詐欺師特有の自己陶酔癖、高い自己暗示性を伺わせるものがある。が、これほどの金銭を必要とした動機が不分明、不可思議であり、他方、その動機と実行行為の重大性との乖離が著しく、どうにも理解しがたい。

  • 度々テレビで話題になる事件。
    大竹しのぶさんでドラマ化されたのも見たことがあります。

    何とも気持ちの悪い事件。
    なんでそんなことになるんだ……と純子以外の3人に苛立ちすら感じますが、悪い人間に目をつけられてしまうと、あの手この手で言いくるめられて、意外と犯罪に手を染めるのはあっという間なのかな、とも思ったり。

    これが小説だったら「こんなに簡単に騙されるかよ! つまんない話だ!」と怒りを覚えるかもしれないような稚拙な嘘。
    だけどそれがリアルだから怖い。

  • 怖くて面白かった!オセロの黒の話みたいと思った。人心掌握に長けていてマメなんだろうな。
    ミキプルーンが痩身に効果あったところ、純子が毎晩美由紀に迫っていて美由紀は飲酒してことに臨んでいたところに笑ってしまった

  • 「現実は小説よりも奇なり」
    まさにこの言葉が当てはまる一連の事件。
    相手に近づき、親しさを染み込ませてそこから一気に心へ容赦なく入る。
    なぜこんな簡単な嘘(それも後半から更に単純かつ強引な嘘)を、たとえ渋々であれ信じ、受け入れるのか?
    もし同じ様な状況であれば、知られたくない弱みを握られ、
    それを防げるのなら、、の一心が強ければ確かに言い包められ易いのかもしれない、というのが正直な感想だった。

    この一連から少なくとも学んだ事は、
    どんな時でも自己を冷静且つ客観的な立場で一度見る事が重要だという事。
    ありふれたとは言えないが、弱みを握られた3人の"弱点"は決して稀なものでもない。
    離婚が怖い、異性問題、夫の浮気疑惑、、、
    一般の女性であれば誰しも一度は経験する可能性が少なくない心配事である。
    しかし、それを一度主観から外し、客観的に、冷静に見る事で今回の様な残酷な結果にならずに冷静に対処出来たのかもしれない。


    逮捕されるまでの"召使い"の3人の中では、吉田純子の作り上げた数名の架空の人物はずっと心を持った人間として生きていた。
    その、騙す側と騙される側の間だけで生きている人間が確実に存在していたという感触が何とも言えず、摩訶不思議で、薄気味悪い。

    犯罪の境界線に沿って人を疑うという機会がほぼ無いからこそ、
    そして「私は大丈夫」という、ある意味皆持っているこの意識が常に根付いていたからこそ、現代の誰でも陥り易い、身近にあってもおかしくない洗脳の一連なのかもしれない。

    今回は吉田純子のしたたかさと3人の洗脳具合というよりも、
    吉田純子と彼女達、騙す側と騙される側の間にしか存在し得なかった異質な世界が、逮捕直前まで意識と規則を持って生きていたという事実に注目しつつ読了した。


    しかし最後まで分からなかった事がある。
    なぜ吉田純子は死刑の処分が下った後、著者の居る距離でもわかるくらい、はっきりと笑ったのだろうか?

  • TVで放送されたと聞き、TVは見逃したけど読んでみたいと思って、読みました。
    主犯格の人の行動も、他のまどわされて人生を狂わされた友人達の行動も、信じられなくて、一瞬フィクションなんじゃないかと思いました。
    人間の人生ってどこで狂うのか、わからないものですね。

  • 世の中には個人の感覚ではさっぱり理解できない事件が起こる。事件当時、ワイドショーで見てもわからなくて、何年もたった後にこのルポを読んでも、ますますわからない。が、わからない事が現実にはあるのだ、ということを心にとめておくことは、意味があることなんだと思う。彼ら彼女たちは隣人であるかもしれないのだから。

  • そんな馬鹿な!と思う事がまかり通っての大事件。女の欲望はパネー。

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著者プロフィール

森 功(もり・いさお) 
1961年、福岡県生まれ。ノンフィクション作家。岡山大学文学部卒業後、伊勢新聞社、「週刊新潮」編集部などを経て、2003年に独立。2008年、2009年に2年連続で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を受賞。2018年には『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』『官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪』『ならずもの 井上雅博伝――ヤフーを作った男』『鬼才 伝説の編集人 齋藤十一』など著書多数。


「2022年 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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