不明解日本語辞典

著者 :
  • 新潮社
3.21
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本棚登録 : 111
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104738052

作品紹介・あらすじ

読めば読むほど、日本語がわからなくなるんですけど。「普通」って何?「ちょっと」って何? 「っていうか」って何? ……。毎日何気なく使っている言葉の意味を、みなさんは本当に理解していらっしゃいますか? あまたの辞典類の頁をめくり、日本語の持つあいまいさ、難解さに正面から立ち向かい、時に茫然とたたずむ。小林秀雄賞作家によるユニークな辞典風エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • ことば

  • 「あ、それは」の「あ」や、「ちがう」や「っていうか」の語源やその意味などが集められている。
    たぶん種類でいうと論文に近いんだと思うんだけど、こういう文章と思考を読み慣れていないと1/3くらい読んだところで「この人めんどくさっ」「それはちょっとこじつけじゃないの」となる(私だ)。
    でも、ちょっとずつ読み進めれば一単語については短いので何回か読み直す必要もあるけど面白く読めるし、なんとなく口に出していたり、言いながらも気になっていた言葉についてなるほどと思うことは間違いない。

    なにごともはっきり言わず、曖昧にするという特徴がある日本語だけど、もし人に向けて明確に言葉を発した時、それが相手にどういう心象で届くか、ということにも絡んでいるので「ものの言い方」「話し方」についてもなるほど、と思う。

    日本をにっぽん、と読むか、にほん、と読むかについては私自身も気になっていたのでそのあたりもすっきり。
    それにいま書いた「私自身も」の「私」をあえていうことについても、日本語は述語に主語が内包されているので文頭に主語がいらないのでは、これは文頭に「私は」をおく、外国語の影響というところも面白かった。

    最後にある、愛はあるなし、ではなくて、「なす」(未来に向かう)もの。「ある」は過去になされた意味のひとつで、「なす」は無限大に開かれている。

    なしてこその「愛」で、なさなければ「愛」ではありません
    という最後の一文が結構グッときた。

  • 大学新入生が最初に読む言語学の本として最良の書ではなかろうか。ここから丸山圭三郎・ソシュールに進むもよし、国語学に進むもまたよし。いや、別に進まず『船を編む』とこの本読んだだけで終えても全然構わんですけど。
    言語という最も長らく定義されているものが、そもそも定義されようが無いという無常感を一人でも多くの人が味わってくれれば祝着です。

  • 「たましいのふたりごと」に続き、今回は言葉についてひとりごとに近い本でした。「いま」を「とりあえず」に置き換える説明に納得しました。いま、やる=とりあえず、やる。映画のタイトルもいまを生きる=とりあえず、生きる。

  •  良く口にする「ちょっと」「えー」「っていうか」や、分かったようで分からない「リスク」「適当」「すみません」など、辞書をひいてもおそらく「スッキリ」しないであろう32の言葉を、作者ならではの考察により解き明かす本である。
     気取らない書き方は、そうそうと同意する個所もあれば、まわりくどく感じるところもあるのは仕方ない。古書や辞典を引用しての解説など本格的な部分も多くあり、その解釈が正しいかどうかは分からないけど、なるほどと感心する場面も多い。
     異能の筆者の魅力が表れている本である。

  • 日常的に使われている言葉を分解・解読し、日本語の源流を紐解き、
    日本語の本質と日本人の特性を浮き出させようと試みる。

    「はじめに-言えば言われる-」(p.7)を読み始めると、
    「あ、この人メンドくさい人だな」とすぐに理解できる。
    とてもリーダーフレンドリーなつくり。
    まず最初に踏み絵を試されているような気分になった。

    『適当』の解説が特に秀逸だと思った。
    「ふさわしい、適切な」と「いいかげんな、思いつきの」は
    意味として反対にもかかわらず、日常で使われ続けているのは何故か。
    著者の「表裏一体説」はとても面白かった。

    自分が今思いついた限りでも、
    「妙齢」の意味が「若い女性」から「年増の女性」に変化してきたり、
    「ニラレバ」と「レバニラ」の違いだったり、
    「了解しました」「承知しました」の使い分けだったり。
    日本語の良さは「あいまいさ」にあるとつくづく感じる。

  • うーん。「はじめに」に書いてあるとおり、「言葉で言葉を考えるのでは対象と手段が同じになってしまい、いきなりつんのめる感じ」。(本書にはないのだが)文法的な考察というのは、こうした状態を防ぐための道具なのだなぁとあらためて発見することになった。

  • 「あ」「いま」「社会」「適当」「つまらない」「すみません」など、32語の見出し語を通して、日本語の不明解さをぐるぐると悩み考える一冊。
    ことばというものについて、誰もが一度はこの…堂々巡り感というか、「よく考えるとこれどういうことだ…?」と悩んだことがあるのではないか、と思います。私も子どものころなんかは特に、無駄に考えたりしていましたが、大体面倒になったり、他の雑事にまぎれてしまって、まあいいか、と思考停止していたものです。
    なので、この本を読んだときは一種の感動を覚えました。…あ、あのいつも途中で放り出していた、あの悩みが、本になっている!…どんなものであっても、どこかにはきちんとやってくれる誰かがいるものなのだなあ、世界は広い、大丈夫だ…という、謎の感慨が得られた一冊でした。

  • 堂々と間違った使い方をしているのを再確認する事になりそう、、、

    新潮社
    http://www.shinchosha.co.jp/book/473805/

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1961年、横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家に。開成高校野球部の奮闘を描いた近著『弱くても勝てます』がベストセラーに。
『ご先祖様はどちら様』で小林秀雄賞受賞。

「2015年 『損したくないニッポン人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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