- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104741014
作品紹介・あらすじ
「わたし」の部屋には、配りきれなかったチラシが溜まっていく。チラシに書かれた文字が勝手に増殖して…。「『四十日と四十夜のメルヘン』を読みながら私は現実が異なる空間に変容する体験をした」と保坂和志氏が表した新潮新人賞受賞の表題作。そして保坂氏のほか、島田正彦氏や鹿島茂氏の讃辞も集めた第二作「クレーターのほとりで」。
感想・レビュー・書評
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青木淳悟さんはモデルをつくるのがとても上手い作家だ。「最近の若者」だとか「核家族」だとか「事業団体」だとかいったモデルを精緻に組み立て、それを使って遊ぶ。遊びかたは自由だ。読者は、だから、ミニチュア世界を俯瞰する巨人にもなるし、リカちゃんの家族の一員にもなるし、あやつり人形にもなる。
『四十日と四十夜のメルヘン』の「わたし」は、現代の若者としての「わたし」だ。共感するところが多かった。
作品の構造が凝っていたのも面白かった。日記が何度も書き直されていることから、その日があらゆる方向から解釈される多面性を浮かばせる点。創作していた童話<メルヘン>が、いつのまにか現実世界とシンクロして、現実に収束してしまう点。とても新鮮だ。
『クレーターのほとりで』も面白い。SFのようでもあり、風刺小説のようでもある。日本SF界の重鎮が書きそうな作風だと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
評判どおりの意味ナシ、筋ナシ、落ちナシ。でも読み応えみたいなものを感じる。
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借り物。
今まで読んだ本の中で最も私の理解及ばない本だった…。ものすごく簡単にまとめると「チラシのことで頭がいっぱいの話し」ってことになるのか。
ちゃんと主人公もいるし、そう難しい部分があるわけではなく、ごく短い部分だけ切り取って読めば普通っぽいのだが…
後半に進むに従っておよそ不明度が増し、連続して読むとサッパリ筋が通らず摩訶不思議。
いかに繋がらないように書くか、という試みをした作品、なのでしょうか。書いているうちにある程度はストーリーとか流れって出来てしまうものだと思うので、ここまでするのは書くのがとても大変なように思う。
貸してくれた主も読み終わったことが無いらしい(笑)
現代アートっぽ過ぎて個人的には好きになれないけれど、前衛的ってことで評価されてるのかなぁ。
二編目の「クレーターのほとりで」の方がまだ分かるかなと思ったのですが、終盤でぶっ壊されました。笑 -
解説に「わけがわからないのが魅力だ」的なことが書いてありましたが、本当にわけがわからないだけで魅力は感じませんでした。こういうのはアリなのでしょうか。よくわかりません。
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わあ意味分かんないなんだこれ気持ち悪いな
と思いながら読んでいると
不意にじわっと込み上げる笑いに襲われたりして、
ますます青木淳悟が好きになった。
(ト) -
すごい!どうやったら、こんな物語が書けるの!?そして思い付くの!?早く読みたい、でも読み終わりたくない!そんな気持ちで読みました。
表題作はタイトルからすると簡単に読めそうなのに、展開がとても難解。「何これ?何かのメタファー?」と色々考えて読み進めると「何だ、素直に、普通に読んでいいのか」と安心できる。しかも知らない間に、今までの伏線が綺麗に繋がってそうなるのか!とラストにビックリしました。
クレーターのほとりで、も面白い。青木さんは、このお話をすごく楽しんで書いたんじゃないかな。と勝手に想像。
何度も読み返して、味わって、青木ワールドにつかって堪能したい。 -
「裸足の僧侶たち」、架空の話とは重々承知だが、ぜひ読んでみたいものである。
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自分にはないものを持っているからとても惹かれる、しかしまったく足元にも及ばないようわたしの頭では。読み難いし、ページを簡単にめくれない、たくさんの画数の多い漢字がたくさんあって紙面は黒っぽい、専門用語やカッコイイカタカナのイメージが脳内刺激する!ううう。まったく足元にも及ばない整然として器用に仕組まれた頭よさそーな世界。「わたしのいない高校」よみたい。