- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104749027
作品紹介・あらすじ
映画監督デビューは1984年、51歳のときだった。デザイナー、俳優、エッセイスト…様々な分野で超一流の仕事を残してきた才能を惜しみなく注ぎ込み完成したのが10本の映画だった。それらは、観客動員を誇るエンターテインメントであり、同時に卓越した日本人論でもあった。1997年に世を去って10年。伊丹映画を支えた役者やスタッフが熱い思いで初めて明かす、映画監督伊丹十三の真実。
感想・レビュー・書評
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ノーベル賞受賞者である大江健三郎が亡くなり、その大江さんの松山東高校時代の友人でかつ義理の兄でもある伊丹十三が、亡くなって四半世紀(25年)が経過していることに気づかされました。面白かった伊丹映画の数々の記憶が、徐々に薄れつつある中で、読み返す、伊丹十三の映画のあれやこれや、であります。★四つです。
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膨大な関係者の証言によって、伊丹十三の人となりやこだわりが浮かび上がる。企まずしてポリフォニックな構造になっている。
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俳優やスタッフたちのインタビューを通して、伊丹監督がどのようにして映画を作ったのかが浮かび上がってくる。こんなところにまで目を配っていたのかと感心する。かなり読み応えのある本です。
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当然ながら、黒沢清の文章は収録されていません。「スウィートホーム」裁判についての判決は全文東京地方裁判所のホームページにアップされていて読むことができます。事実関係の記述も詳しいので、一読をお勧めします。
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12月20日は伊丹十三の命日。
生きていれば76歳。何か書こうと思って、何気なくDVDを手に取って『お葬式』を見始めたら、止まらなくなってしまっています。
お弔いに彼の映画をすべて見るというのも悪くないかもしれませんが、そうすると肝心の何か書くことがおろそかになってしまいます。
ということで、今回は以前に書いたもので勘弁していただこうと思います。
★【以下は2007年6月17日付の文章です】★
本名:池内岳彦(義弘)1933年5月15日生まれ1997年12月20日没。自殺とされているけれども、暴力団か右翼団体による殺人かも知れないとも噂されている。享年64歳。あれからもう10年が過ぎたのですね。
思い起こせば、はるか彼方・ずいぶん・長い・お付き合いになりますね。
きっかけは、古い映画好きの中学生の私が、お父様の伊丹万作の著作と映画に浸りだした時からでした。
ある時、あなたが彼の子息であることを、父から聞いて初めて知りました。
そして、あなたが私の前に始めて現れたのはエッセイストとしてでした。
『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』『自分たちよ!』『日本世間噺大系』『小説より奇なり』などなど、どの本もわくわくして読んだものです。
今まで誰も書いたことがない視点から、深く幅広い知性に裏打ちされた諧謔的な文章に、イチコロ=いたいけな少女は、今までの弱小なる教養を打ち砕かれて、もう、たじたじに魅了されたものでした。
今から考えると、笑っちゃいます。十四歳の少女の部屋に、あなたのポスターが張ってあって、伊丹十三命なんてアール・デコ調に書かれていたりしていましたからね。
そして、それから、俳優としては、一味も二味も違う名バイプレイヤーとして、様々な作品で、時には主役を食ってしまうほどの存在感を示す人でした。
大島渚の「日本春歌考」(1967)や森田芳光の「家族ゲーム」(1983)は鮮烈に記憶しています。
そして・そして、例の、80年代に父が隠し撮りした渋谷PARCO劇場での寺山修司の「中国の不思議な役人」での演技は、それまで伊藤雄之助・勝新太郎を怪優として愛好してきましたが、堂々の三人目に登録、その狂気な演技に驚喜しました。
それから、いよいよ監督として登場された時は、その感激のあまり我が家で祝賀パーティーを開いたほどでした。といっても、親しい映画好き仲間を集めて「お葬式」をみんなで見て、伊丹万作との関連性を類推し今後の方向性とかを好き勝手に予想したり、それより何より、伊丹十三がいかにして映画監督になる必然性があったのかなどということを、その著作から強引に導き出したりして祝ったものです。
「お葬式」「タンポポ」「マルサの女」「マルサの女2」「あげまん」「ミンボーの女」「大病人」「静かな生活」「スーパーの女」「マルタイの女」
・・・この、たった10作だけを残して、あなたは私の前から、いなくなってしまったのですね。
その溢れる才能から考えると、日本映画の、否、世界映画の損失は、とてつもなく計り知れないものがあると思います。
いずれ作られる伊丹十三全集は、世界で初めて、デザインの実作者とエッセイストと俳優と監督とを併せ持つ、総合芸術家としての彼の全貌を明らかにしてくれるでしょう。
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私は「マルサの女」二作、「あげまん」「ミンボーの女」「スーパーの女」の5本だけ見ています。一番好きなのは「マルサの女」でした。キャストとスタッフのコメントがとにかく読ませます。