インテリジェンス人間論

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104752034

感想・レビュー・書評

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  • 首相をしていた小渕さん、森さん、橋本さんのテレビとは違う一面を見られて面白かった。
    この手のノンフィクションで気をつけたいのは「国家の罠」「自壊する帝国」と同様に、その行動が作者によって否定的に見られている人については読んでいるうちに同調してしまいそうになるところ。この本のみで判断しては不公平だろう。

    ユダの裏切りはキリストからの指示だったという「ユダの福音書」問題もよかった。
    金日成とかトルクメニスタンあたりは正直あまり惹きつけられず頭にすっと入ってこなかったのが残念。自分の興味関心のアンテナにも因る。

    作者の佐藤さんはもう外交官としてではなく物書きとして生きていくつもりのようだが、政界での実体験に基づいて生身の人間を描くことが大きな魅力だっただけに残念に思う。
    キリスト教関係の本なら読んでみたいかな。

  • 佐藤優による政治家や歴史上の人物の人間面を描いた秀作。もともとが宗教学者的な傾向があるので、そのへんの記述にはまったく興味を持てなかったものの、政治家については報道を通じて知っている人間像とはだいぶ違いがあるなということがよくわかるわけで。特にプーチンに関する部分は流石ですな。

  • 実に面白い。鈴木宗男の話、小渕恵三の招き猫、マフィアの技法etc。
    『週16回』の処で、頭がクラクラして参りました。
    日本人もこのくらいやらないと露西亜人や支那人にやられっぱなしになるなと
    妙に納得した次第である。
    筆者佐藤優氏の処世論はどれを読んでも氏の体験に裏打ちされて勉強になる。
    「技法」「文法」と言ふ言葉使ひも新鮮な響きを持ち、面白い。

  • 信仰心を持ちつつ、キャリアではない外交官として厳しい局面を乗り越えてきた著者の目から見た描写は、ものごとを多面的に見ることに多いに役立つ。

  • 知っている政治家の裏の顔がわかる!?鈴木宗男のあの感じはそのまんまなんだけど、小渕恵三はイメージと違う。おもってたよりずっと荒々しくて牽引力があってバランス感覚に優れたひとだったんだな。

    改めて政治家と官僚の結びつきって強いんだな。それから官僚の権力も凄いんだな。政治主導なんて無理なんじゃないかと思ってしまった。

  • 図書館

    この人の本を読むと賢くなった気がしてよい
    そして面白い
    でも神学の話はわからないなぁ

  • インテリジェンスに携わっていた者から見た人間論。
    まず鈴木宗男の哀しみを説く。絶頂期に鈴木に従った人間が、騒動を期に手を返したように離れていく。それでも、選挙で返り咲き、信念に従い戦っている。著者は哀しみの部分にポイントを絞って書いている。
    橋本龍太郎についても書いている。記録力がいい。エリツィンから頭のいい奴と言われている。そのエリツィンとの首脳会談前の打ち合わせ等、交渉の裏面を面白くよむ。ただ、米原万里氏は、仕事にかこつけて迫ってきた橋本を人間として信頼できないと佐藤に話している。橋本のキャラクターは、剣道に通じている。親しいと思ったら親しくない。友達ををあえて作らない感覚であったという。橋本がやっていた剣道と何らかの関係があるのかもしれない。
    インテリジェンス能力で佐藤が高く評価しているのが小渕恵三。自分が納得するまで質問し理解するという基本を実践している。また、「情勢に変化がないというのも立派な情報だ」と情報感覚に優れていた。小渕の叔父が陸軍中野学校出身と言うからうなずける。彼が首相を続けていたら、日本の進路も少し変わっていたかも知れない。
    森喜朗についても書いている。あまり良いイメージを持たれていないが、外交に関しては、国益を優先する政治家として当然の姿勢を貫いている。加藤紘一の妨害を恨みとせず、佐藤に協力を依頼する森野良心が印象的だ。
    プーチンについても書かれている。もともとKGB出身ということもあり、自分の感情を表面に出さない。ただ、かれは、一官僚に過ぎなかった自分がロシアの大統領になったことで、神霊的なものを感じているのだという。そして、プーチン20年帝国を気づき、新たなロシアイデオロギーを立ち上げようとしているのだという。ただ、そうした彼にも人間的な部分があることを、佐藤の回想によって知った。
    蓑田胸喜という思想家についても触れられている。戦前戦中に活躍した、国家主義思想家。次々と的を論破したが、敗戦とともに自死した。国家機関説を排撃し、大川周明も攻撃している。極端な主義思想の持ち主。
    ラスプーチンについても書かれている。巨大ないちもつを持つとかについても、真実を書いている。
    スパイゾルゲについても書いている。スパイとして、真実を誰にも打ち明けられない孤独を知った。愛人に対してその心情を吐露し、甘える、そうした心境を知った。
    金日成の食通ぶりにも興味がある。かれは、部下に対して外貨を得るために食事をしっかりしなければならないとして、細かな指示を与える。そうしたところを読み解き、北朝鮮へのシグナルとして活用すべきだととく。息子の金正日はそんなに食事にこだわらないらしく、食事よりも話に夢中になるという。
    陸軍軍人で情報のプロ有末精三についても書かれている。GHQを迎え入れるときの数々の対応ぶりに驚く。少しでも米軍の心証を良くしようとしたり、日本にまだ余力があるように見せかけ、あまり乱暴な軍政を行うとテロが起こるよとさりげなく脅すテクニックは興味深い。きわめて現実的な対応ができる軍人がいたのかと感慨深い。
    トルクメニスタンについても書かれている。衛生中立国となっているが、資源があるのに人工が少なく、周辺の大国の影響を受けやすい国で、如何に生き延びていくのかの政治が書かれている。
    ポロニウムで殺害されたリトビネンコ事件に関しての著者の推理。ロシアにより暗殺を否定している。
    神学を学んできた著者として、イエスキリストについても書かれている。ユダについては、裏切り者というイメージしかないが、それを覆す文書が出てきたという。それが反映され、キリスト教に変化を及ぼすのは時間が掛かるとのこと。
    神学の話は正直難しい。再読が必要だ。

  • 面白かったので☆5つ。国同士の外交とはこういうものだったのか、と初めて知ることが多かった。また、政治の世界の権力争いや政策の進め方などを垣間見ることができた。なによりもこの著者のスキルや知能の高さに驚かされる。スキルや知能をつけるための具体的な方法がところどころに盛り込まれているので、学ばさせて頂こうと思う。

  •  この人の本面白いっす。

  • 2008年114冊目です。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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