功利主義者の読書術

  • 新潮社 (2009年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784104752041

感想・レビュー・書評

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  • だらだら時間つぶし読書派の私にとっては、このような読書方法もあるのか!とまさに目からウロコ。
    世界文学の名作、哲学書、宗教書をはじめ、タレント本や漫画まで縦横無尽にとりあげて、テーマごとに分類し、どのように「役に立てるか」という視点が興味深かった。
    とはいえ、石原真理子(『ふぞろいの秘密』)が論戦に勝つテクニックを念頭において書いた?綿矢りさ(『夢を与える』)が資本主義の本質を我々に示したかったのか?なんて考えると疑問ではあるけれど、あながち的外れな感じはしない。

    とにかく、佐藤優の膨大な読書数からセレクトされ、提示された本は、非常に新鮮であり、ぜひ読んでみたいと思い、せっかくなので、全て記しておこう。
    (☆付は今後読みたい本および漫画)

    資本主義の本質とは何か
     『資本論』カール・マルクス
     『うずまき』1~3巻 伊藤潤二 ☆(脱出不能なのろわれた町の話)
     『夢を与える』綿矢りさ
     『資本論に学ぶ』宇野弘蔵

    論戦に勝つテクニック
     『山椒魚戦争』カレル・チャペック ☆
     『ふぞろいな秘密』石原真理子
     『負け犬の遠吠え』酒井順子

    実践的恋愛術を伝授してくれる本
     『孤独の賭け』五味川純平
     『わが心は石にあらず』高橋和巳

    交渉の達人になるための参考書
     『北方領土交渉秘録』
     『カラマーゾフ兄弟』
     『カクテル・パーティ』大城立裕 ☆

    大不況時代を生き抜く智慧
     『恐慌論』宇野弘蔵
     『恐慌前夜』副島隆彦
     『経済学の国民的体系』
     『蟹工船』

    世直しの罠に嵌らないために
     『邪宗門』
     『歌集 常しへの道』
     『レッド』 ☆

    人間の本性を見抜くテクニック
     『長いお別れ』清水俊二訳/村上春樹訳
     『死と生きる 獄中哲学対話』

    沖縄問題の本質を知るための参考書
     『琉球王国』
     『テンペスト』

    再び超大国化を目論むロシアの行方
     『ソビエト帝国の最期』
     『イワン・デニーソヴィチの一日』
     『他者の受容』

    日本の閉塞状況を打破するための視点
     『はじめての唯識』多川俊映(春秋社) ☆
     『公共性の構造転換』
     『共同幻想論』
     『新訳聖書』

  • f.2009/10/4
    p.2009/7/23

  • 【芝蘭友のトップストーリーニュース】vol.39で紹介。http://www.shirayu.com/letter/2009/000084.html

  • 読書とはかくも深いものか。見えざるもの、真実を見えるようにするためものが読書なのだと著者は書く。石原真理子、綿矢りさから新約聖書まで、功利主義とあるがいわゆるビジネス書、マニュアル本の類は含まれていない。紹介された本を読んでみようと思う。

  • さすがは知の巨人。書評部分もあるがわかりやすい。

  • 読書を仕事にできる人って
    こういう人か
    と感心しつづけることになる

  • 相変わらずいかがわしく、ある意味変態的な知性を披露。何だろうか、、強度の高いものを求めて止まないこの性癖は。確かにこの著者、そういう意味で極めてネット社会的、つまり、ロシア的、中国的?

  • 佐藤優、尊敬。
    この人くらい読み込めるようになりたい…

    まずは、ここで勧められていた唯識の本から読んでみようかな。

  • タイトルに「功利主義者の」と掲げた理由について、佐藤氏はまえがきで「ビジネスパーソンや学生の役に立つということを第一義的に考えたから」と書いている。よって、初めから役に立つことを前提に作られているビジネス書や実用書は取り上げられておらず、どのような視点から読書をすれば、読書から得られた知識を自分の血肉とし、考えるための観点を鍛えることができるか、ということに重点が置かれている。

    その前提を踏み外すと、そもそもこの本自体が読めなくなる。その上で、取り上げた本をネタにして、随所に氏が他の著作でも触れているマルクス主義に関する立ち位置、日本の貧困社会に対する提言、国防に関する視座が含まれており、いわば書評の体裁を取った氏の「所信表明」と読める部分もあるので、気合を入れて向き合わないと、氏の見解に「飲み込まれる」可能性もある。
    その意味では、タイトルの「功利主義者の」はこのままでも妥当だが、後半は「解読法」と読み変えても良いのかもしれない。

    本来は娯楽の対象であるはずの小説からでさえ、氏は沖縄と日本政府の間の衝突や、人間に対する鋭いアンチテーゼを見出している(実際、取り上げられている小説はそういったテーマを表面からは分からない程度に内包している訳だが)。小説ぐらいはもう少し肩の力を抜いて読みたいな、と思う気持ちが自分にはあるので、その点を踏まえて☆は1つ減らしたが、読書から何を学ぶかを考えるための一つのアイデアとして、読むべき価値はあると思う。

  • む難しい・・・

  • 自分が本屋で見かけたら買いそうにもない書籍群でも佐藤先生の文書を見ていくと読んでみたくなります。
    翻訳ひとつで本に対する奥行きが変わることを教えてくれます。

  • 佐藤優氏がこれまでに読んできた本の中から、「役に立つ」という観点でいくつか紹介する本。突拍子もない主張により、トンデモ経済学者扱いを受けがちな副島隆彦氏のことを、「高度なインテリジェンスを駆使し、最悪情勢分析を行っている」と説明した部分は、著者ならではの慧眼だと思う。

  • もちろん糞尿は貨幣ではないが、貨幣は糞尿であることもある。カール・マルクス『資本論』

    資本は実体ではなく、人間と人間の関係が構築した出来事なのだ。

    資本主義がなぜ強いのかという内在的論理を掴んだ上で、資本主義の害毒を極力抑える混合経済とかケインズ経済政策に立ち返る。

  • 10/24朝活@栄の課題本でした。

    印象に残ったフレーズ
    ⇒人間の認識は、どうしても自分に都合がよくなるようにできている。こちら側が、50%譲ったつもりでいても、相手からすれば、49%の譲歩にとどまっているようにみえる。51%譲る腹を括ったところで、初めて相手もこちらが本気で譲歩していると認識する。ここから、交渉をまとめ上げようとする信頼と意欲が湧いてくるのだ。(p118)
    ⇒私たちが、ふつう、心の外に厳然として在るものを直接に知覚し認識していると思っている場合も、実はそれは自分の心の中に変貌した相分、つまり、心上に生じたそのものに似た影像にすぎないもので、それを、私たちは認識の対象としているというわけです。
    (p286)
    ⇒現在、自分が置かれている境遇は過去の様々な因縁から生じているので、いまどうあがいてもどうしようもない。この側面だけだけを強調することは諦めの勧めになる。しかしいまの行為を自分が改めるならば、現在とは異質な未来を作ることもできる。唯識には「希望の原理」が含まれている。(p291)
    ⇒見えないものを見えるようにする―言葉を紙に定着させることによって、おぼろげな形であっても、われわれは真実に触れることができる。真実について何らかの形で知る人の方が、知らない人よりも人生の選択が豊かになるというのが、功利主義者の発想である。

    本のタイトルから最初はノウハウ本かと思いきや、著者が取り上げていた本、漫画は一度も読んだことのない、難解なものばかりで、読了するのに挫折しそうでしたが、、、読み終わってみると、「蟹工船」や「死と共に生きる」など興味深く、読みたい本の一つとなりました。
    交渉術や閉塞感を打破する視点は、実際のビジネスにも転用できる要素が多く、なかなか入り込まなかったものも、人生のステージで自分にリンクした時に入ってくるのかなと思います。

  • 201110/

  • 小説から学ぶ。

  • インテリとはポジション確認できる人間であり、読書はその重要なツールとなる。が、社会科学系のそれと、小説系のそれとではアプローチが異なる。ここに偏りがあっては駄目で、科学と心情の両輪による視点が必要であるという事だろう。が、ポジション確認だけは不十分で、自分の言葉による表現・説明が必要であると。著者のポジションは明確なので、多彩で多様な本を選び、著者ならではの表現・説明がなされるが、切り口は一貫しているように思う。もちろんベースになっているのはキリスト教だ。そういう著者の背景がわかっていないと、「下らん本も入っているなあ」と自称読書家のインテリ人は感じるのかもしれない。

  • 筆者独自の視点からのブックガイド。読みたい、と思った本がいくつもあった。

  • 欧米社会と違って、ソ連社会においては西ヨーロッパ式自由はまだイデオロギー的基礎を得ていない。古典丸く沈むにおいて、自由は重要な概念であるが、それはソ連マルクシズムにおいて、ドクマ(教養)の位置をしめていない。
    国際法はローマ法が変形したものである。そもそも西ヨーロッパは一神教(ユダヤ、キリスト)の伝統、ギリシャ古典哲学の伝統、ローマ法の伝統によって形成された文化総合体である。
    イエスの教えをユダヤ教とは別のキリスト教であると定式化したのはパウロ。だからキリスト教の教祖はイエス・キリストであるが、開祖はパウロ。

    読書には大きな罠がある。読書はいわば他人の頭で考えることであって、従ってたくさんの本を読むうちに自分の頭で考えなくなってしまう危険性がある。

    ロシアの政治家には知識人が多い。東郷氏はプラトンをよく読みこんで、ギリシア古典を引用しながら話ができたそうだ。

    交渉がぎりぎりの辞典に来た時に、自分の立場だけでなく、相手がどういう立場に立っているかを理解する意志と能力の問題である。

  • 1冊の本から何を取り出すことが出来るか?それは読む者の技量により決まる。
    そのことを強く認識させられた。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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