いま生きる「資本論」

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  • 新潮社
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レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104752072

作品紹介・あらすじ

「革命」は関係ナシ。いまのすべてが分かる、私たちが楽に生きるための『資本論』。私たちの社会はどんなカラクリで動いているのか。自分の立っている場所はどこなのか。それさえ分れば、無駄な努力をせず楽しい人生を送ることも可能だ。アベノミクス、ビットコイン、佐村河内騒動、など現在のトピックも、すべてこの一冊で読み解ける。知の技法を知り尽くした佐藤優が贈る抱腹と興奮の白熱講座。紙上完全再現!

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優氏が、「資本論」について講義した内容を本にしたもの。「資本論」は既に読んだことがあったが、本書を読み進めることによって、理解が大いに深まった。すべてがわかったわけではないが、興味深い内容であった。佐藤氏の分析の深さに感銘を受けた。
    「この本で、私は「資本論」を資本主義社会の内在的論理を解明した書として読むことにした。それだから、過去に大学のマルクス主義経済学の授業で「資本論」を読んだことがある人は、怒って、この本を机に叩きつけるかもしれない」p6
    「ギャラリーに一定数の人がいる本で300年読み継がれている古典は、これから300年後でも読まれているのです。1000年読み継がれている古典は、おそらく1000年後にも読み継がれています」p16
    「マルクスは「社会主義」という言葉をほとんど使っていません。「社会主義」という言葉を使う時は、だいたいネガティブなコンテキストです。マルクスが言うところの社会主義のイメージは、ナチスみたいな国家社会主義です。あるいは北朝鮮のような体制を指すときに、「社会主義」という言葉を使います」p30
    「経済学というのは、資本主義時代にしか通用しないものです。なぜならば、経済を基準に社会全体が動くようになったのは資本主義になってからですから。その歴史的に特殊な資本主義時代というものの論理を、実証的かつ客観的に明らかにしていくのが経済学です」p32
    「(資本家は搾取率を強化するもの)搾取自体は不正なことではなく、労働者はイヤであれば契約しなければいいのだから、搾取は収奪ではありません」p61
    「「型破りの見解」とか「独創的な論文」という言葉は悪い意味で使われます。我々にまず必要なのは、型を覚えることです。型破りというのは、まず型を覚えて、それからその型を崩していく行為です。最初から独自主張をしていく、最初から独自説を唱えていくというのは、これはもう、ただのでたらめです。型を押さえていないと、何の説得力もない」p66
    「「資本論」を読むと共産党を支持しにくくなるというのが、マルクス主義の最大のジレンマですね」p69
    「税金泥棒という言葉があるように、国民はみんな潜在的に官僚階級を嫌っています。資本家も労働者も地主も、官僚が嫌いです」p87
    「官僚なんてなくしちまった方がいいかというと、そうもいかない。国家がなくなって、日本がフラットな社会だけになったとすると、どうなるか? 日本の周辺には国家があります。その国家が自分たちの暴力装置を持って現れるでしょう。どこかの国家に我々は併合されて、終わりになるだけです。ですから、他の国家がある限り、我々も国家を維持しないといけない。ならば官僚もなくせない」p88
    「国家は社会の外側にあり、本質において暴力的であり、やはり本質において官僚階級が恣意的に運営している。こういうシステムだということも「資本論」から読み込んでいけるのです」p88
    「1992年1月、ロシアは物価統制を、基礎食料品のいくつかを除いて、撤廃しました。そうしたら、ものの1週間で、闇にしかなかったモノが商店にあふれるようになりました。その代わりロシア人が経験したことのない大インフレーションが起きました(年2500%)」p105
    「ソ連時代、一番安い肉が牛肉。次が豚肉で、一番高いのが鶏肉でした。ブロイラーがなかったからですね。だからソ連からお客さんが来ると、焼き鳥とか鶏の唐揚げとか、そういう安い鶏を山ほど食わせて、あとはバナナをデザートにすれば「私をこんなに歓待してくれるんだ」と大喜びしてくれた」p106
    「貨幣が財だとしたら、1万円あったら10万円もいらないやとなるはずなのに、人間は満足せずにいくらでも欲しがっていくのだから「限界効用の逓減」が起きない」p119
    「大使館には裏金(X基金)があります。そこから3000ドルをその先生に渡したら、先生はそこから300ドルを抜いて、私に渡すのです。「はい、利子」どうもその世界では、お金を借りた時は先に利子を払う習慣があるらしい」p123
    「(小説を読む大切さ)新自由主義、新帝国主義などと呼ばれる時代において、小説を読むことで鍛えられ、磨かれ、身についていく想像力や感受性、知性や品性は極めて大切になっていくと思います」p165
    「競争がない社会を作り出すことはできないとマルクスは見ています。競争はある程度抑制することはできるかもしれないけど、資本主義は競争を過度に煽ってきます」p186
    「(資本主義)過剰に欲望を刺激する形で商品をどんどん購入させないと、この社会は成り立たない」p188
    「収奪の過程は「椅子取りゲーム」」p220
    「低所得者層の子女の教育水準が衰えてくると、労働力商品の質は必ず劣化してきます。労働力商品の質が劣化することは、日本の資本主義が弱くなることと一緒です。この記事は、客観的な構造からみても、日本の資本主義を生き残らせるためには、行き過ぎた新自由主義的な流れに対して何らかの対策をとる必要がある、という「資本論」からのメッセージです」p222
    「どこの会社でも、世のため人のために仕事をしていると言いますよ。それは建前です。資本は本質的に資本を生産する。剰余価値の生産のために仕事をしている。つまりカネ儲けのためにやっているんです。資本主義社会に生きている以上、カネ儲けを否定する論理は必ず負けます」p228
    「われわれの社会は、資本家と労働者と地主だけいれば動くのです。しかし、そのうち価値を生産するのは労働者だけ。あとはその上前をハネて、搾取しています。しかし、搾取は合意の上でやっているのだから、これは合法的で、倫理的に非難されることではない」p237
    「競争に勝つためには、何か自分の専門分野を作って、勝間和代さん流に言うならコモディティにならないようにする。単純な代替可能労働力商品として使われないようにする。熟練労働者として生きる。これが一つの処世術としてのカギでしょう」p242

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  • いま生きる「資本論」

    そのうちブックオフオンラインで安くなったらね。

  • マルクスは 資本主義が巨大独占を生み、労働者が革命を起こして、共産主義となる と考えたが、宇野氏は 恐慌が起こり、資本主義は 生き延びる と考えた

  • 乏しい知識しか有していない私には敷居が高く、
    完全に理解できたと言い難い、というのが正直なところ。
    しかし、いわゆる共産党視点ではない視座から資本論を見つめることで見える景色であるとか
    随所に挿入される現代社会での身近な例などは興味深く、かつ頭に入ってきやすかった。

  • 『いま生きることは、楽ではありませんよね。その楽ではない状況を、どうやったらわれわれは生き抜くことができるのかと言えば、明らかに病んでいるこの社会の構造をまず、きちんと見極めることです。

    病んでいる社会の構造はどこから来ているのかと言えば、労働力が商品化されることによって、すべてが商品となった。われわれの欲望というのは充たされることがない。過剰に欲望を刺激する形で商品をどんどん購入させないと、この社会は成り立たないのだから。こういう仕組みから来ているのです。』

    「資本論」は途中で挫折したけど、これは面白い。ただ、「資本論」の引用の部分はやはり難解。

  • かなり難しい。

  • 佐藤優さんの博識が随所に出て頭良すぎと感じた一書。資本論自体の解説よりも、資本論を研究する学者の話や講座を受ける人が書いたレポートから派生した話がとても面白かった。ここまで頭がいいとかっこいい。
    競争にとりあえず買っておくこと。身近な人を大事にしておくこと。理論から資本主義を抑えておくと、時代がどんなに変化をしても軸のある人になるのかなと思った。

  • 「文体は思想だ」って佐藤さんが文中で言ってるんですが、資本論の話より合間に出てくる雑談やその語り口の方が面白かったですね。著者の本を読むのはこれが初めてだったので、特に新鮮でした。ロシアや拘置所の実体験に基づく話ってのはやっぱり説得力があります。

    いま生きるために…
    コモディティにならないようにする。単純な代替可能労働力商品として使われないように、熟練労働者として生きる。

    そしてもう一つが、自分の周りで、直接的人間関係の領域、商品経済とは違う領域を作る。

    僕の場合、後者が今の課題です。

  • なぜいま「資本論」なのか?共産主義が崩壊したから?いや違う。資本主義の枠組みの中で生きている我々にいま、いったい何が起き、これからどう生きていけばいいかを考えるためだから。少なくとも自分はそう理解した。資本論の本質と間違いを正しく理解し、またそれを研究している著書も合わせ読みして考察することも大事。さっそく実践。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、専門職員として外務省に入省。英国の陸軍語学学校でロシア語を学び、在ロシア日本大使館に勤務。
帰国後、外務省国際情報局で主任分析官として活躍。
2013年、『国家の罠』で毎日出版文化賞を受賞。

「2019年 『世界宗教の条件とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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