阿部謹也自伝

  • 新潮社 (2005年5月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784104759019

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  • 阿部謹也(1935-2006)の自伝。季刊「考える人」、2002年夏号~04年夏号に連載された。単行本が05年刊、翌年逝去。写真、33葉を収める。
    時系列的に全9章。2章と3章は、一橋の大学・大学院時代。どう生きるべきか、一生の仕事としてなにを研究すべきか、迷い悩む日々。
    4章は小樽商大での夢のような学究生活、本書の読みどころ。この時にはドイツに2年間の研究留学もした。文書館でのハーメルンの笛吹き男との出会いが感動的。
    6章から8章までは、一橋の教員時代。学長に選出され、一橋だけでなく、国大協の会長として国立大学の独立法人化問題にも奔走した。文科省との確執も書かれている。
    意外なことに、最終章(9章)に登場するのは堀口大学、高村光太郎、金子光晴など、西洋にあって、日本人である自分を見つめ直さざるをえなかった詩人たちのこと。そこに西洋史の研究者としての自分を重ねている。
    (蛇足。読みながら気がついた。阿部先生は博士の学位を持っていなかった。アカデミックな権威を嫌っていたので、思うところがあってのことかもしれない。)

  • どうしても読みたくて入手した本です。

  • 今年記念すべき1冊目の本。また1月1冊目の本。阿部謹也という1人の歴史家の自伝。新年を迎えるにあたって、このような歴史家の考えと人生を読んで、良かったと思った。幼少時代・ドイツ留学時代・学長時代と主に分けられる。特に学長時代では、国公立大学の独立行政法人化などの問題や、教養とは何か、といった問題に対して阿部氏の言葉は今でも影響力を持つのではないかと私は考える。

  • 阿部さんの本は『ハーメルンの笛吹き男』を読んだだけで、とりわけファンというわけでもなかったが、なんとなく気になって読んだ。自伝は本人しか書けない興味深い部分もあるが、本人がはばかって書けない部分もある。時代背景とか阿部さんの学会での客観的位置とか評価も今一伝わってこない。この点では海老坂武の未完の自伝が出色のできだ。
     ヨーロッパ中世史というのは、ぴんとこない分野だが、阿部さんはそれを自分の行き方とのかかわりでやってきたようで、ここでは引用されていないが、石母田正が『歴史と民族の発見』の中でそんなことを言っていたのを思い出した。本人はさらりと書いているが、時折学会や交友関係での軋轢、生臭さも伝わってくる。それにしても、阿部さんが学長を勤めた一橋大というのは、増淵達夫や亀井孝といった錚々たるメンバーがいたが、内部での抗争のようなものもあったようで、一見ノンポリに見える阿部さんがよくそんな大学の学長を2期も勤めたものだと感心する。この人の人格なのか、あるいは意外に行政能力に長けていたのか。こんな評価も本人にはできまい。阿部さんが留学したゲッティンゲンはぼくも少しいたことがあるので、懐かしく感じた。

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著者プロフィール

1935年生まれ。共立女子大学学長。専攻は西洋中世史。著書に『阿部謹也著作集』(筑摩書房)、『学問と「世間」』『ヨーロッパを見る視角』(ともに岩波書店)、『「世間」とは何か』『「教養」とは何か』(講談社)。

「2002年 『世間学への招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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