ポロック生命体

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  • 新潮社 (2020年2月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784104778027

作品紹介・あらすじ

シンギュラリティに備えよ! VS将棋、VS小説、VS絵画――。人工知能は、芸術家の夢を見るか? 人工知能が、将棋の永世名人を破るときが来た。映画や小説の面白さを分析、数値化し、それに基づいて魅力的な物語が生まれるようになった。では、AIが制作した作品は「芸術」と呼べるのか? そして、次にAIが目指す世界とは? 最先端の科学知識を背景に、明日にでも訪れるであろうAIと人間の姿を、リアルに描き出す。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人間の創造性とAIの進化をテーマにした短編集で、近未来における人工知能の進展と人間のアイデンティティの葛藤を描いています。将棋や文学、絵画といった分野でのAIの台頭を通じて、人間が果たしてどのようにA...

感想・レビュー・書評

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  • 人間の能力に迫るAIの進歩を題材にした4作が収録されるSF短編集です。
    人間が創造し進化させてきた盤ゲームや文学・芸術において、近い将来に起こり得る人工知能による敗北を描き出しています。
    自分達にしか出来ないと思われていたことやアイデンティティを喪失した時、AIとどう折り合いをつければ良いのでしょうか。
    人類より有能な知性に負けることは、自分より有能な他人に負けることとはスケールが違います。
    新たな機械を作るのか、新たな生命を創るのか、我々が岐路に立たされるのは遠くありません。

  • 圧巻で、難解で、なによりもとても美しい作品

    ChatGPTが日常生活に紛れ込んできたのが2023年。本作は2020年。原型は2013年から続いている。

    将棋の「負ける」、人間?ロボット?の「144C」、これってパスティーシュ?って思う「きみに読む物語」、ラストの超大作「ポロック生命体」。

    後半2作が鳥肌ものだった。

    ヒトには小説を理解、共感するスコアがある。スコアが低いやつにはスコアが高い小説が理解できない。語弊あるけどこんな感じ? 私はスコア低いのかな?と真剣に思ったよ。IQならぬSQって発想に感服。共感指数、シンパシー・クォーシェント。まいった!

    ラストの表題作は、さらに驚愕。AIが絵を、小説を書く。それを世の中は受け入れるのか?将棋等のゲームではすでにヒトを超えているAIの侵略が侵攻する?いや、そうじゃない。共存なのだ。

    ChatGPTについて、ビジネスでは駆逐みたいな表現が通ってる。使い方次第ってのが今の着地点かな。でも、まだ共存という概念は無い。これ再読必須だな。

  • 読書備忘録588号。
    ★★★☆。
    久しぶりの瀬名さん。パラサイト・イブが最後だったかな?テーマはAI。AIは人間を超えることが出来るのか?
    AI対将棋、AI対小説、AI対書評、そして作品に宿る生命。
    独立した4篇から成りますが、流れがあるのである意味連作短編と言っても良いかもしれません。
    [負ける]AIと人間の将棋の戦い。将棋や囲碁は、この先自分に勝機は無いと判断すると"参りました"とか"負けました"と投了する。AIは王を取られるまで負けない。負けを認めるAIは成立するのか?
    [144C]編集者の会話だけの短編。哲学か?AIは小説を書けるのか?将棋もそうだが、AIを成長させるのは学習。機械学習と呼ばれている。多くの過去の事例を覚えさせることで、ある状況において正しい選択肢を選ぶという単純なもの。人間にはできない。では小説とは?過去の作品を覚え込ませて、そのエッセンスから新しい小説を書けるのか?それは人の心を打つのか?
    [きみに読む物語]感動する小説とは?多くの人間が感動するレベルを数値化。人間が感動する平均的なレベルを超える傑作はいくら傑作でも人を感動させることはできない。人間の平均レベルに合わせて傑作だと評論する。そのレベルに合わせた小説をAIが執筆すれば人々が感動する傑作になる。
    [ポロック生命体]先の3編の集大成。人は老いる。画家でも作家でも全盛期から老いるに従い、作品のレベルは落ちる。AIはレベルを落とさず永遠に成長させることが出来る。既に故人となった小説家の新作を発表する。その本の表紙画も個人の画家のもの。まさに最高傑作であるとブームになる。しかし、人々は最終的にそれを無視し始める。無かったものとして。
    まあ、そんなもんなんだろう。
    ちょっと読むのがシンドイ小説でした。

  • 角川春樹事務所ランティエ2017年2月号:負ける、中央公論新社2017年7月BOC2号:144C、S-Fマガジン 2012年 04月号:きみに読む物語、週刊新潮2019年12月12日号〜2020年1月30日号:ポロック生命体、の4つの短編に若干の加筆修正を加え、2020年2月25日新潮社から刊行。帯にシンギュラリティ(技術的特異点)というフレーズが書いてあり、期待して読み進めました。負ける、は再読です。駒を指すアームの対戦者への礼という出来事の理由がはじめて理解できました。わかりにくい書き方になっているのがちょっと不満です。他のお話は、それほどシステムには触れない展開ですが、シンギュラリティを語る視点としては、世界観に不足な要素が多いように感じました。

  • AIの将来像の事例を示した短編が4つ.「負ける」では将棋プログラム≪舵星≫を使った対戦につかうアームロボット≪片腕≫を開発する久保田の話が展開するが、人間の棋士が"負けました"と頭を下げる行為はAIにはできないとの件が印象的だった.表題作を読んでジャクソン・ポロックの抽象画をネットで見てみたが、AIでも書けそうなものだった.本の装画と小説をAIに作らせた石崎博史と研究者の水戸絵里のやり取りは部外者が入り込めない感じだった.AIの不気味さを感じた.

  • 瀬名秀明の本を初めて読む。薬学博士というから、人工知能の技術に関して、かなり核心をつかみ出す能力がある。人工知能をテーマにして「負ける」「144C」「きみに読む物語」「ポロック生命体」の4短編。人工知能が人間らしく将棋を指すとはどういうことか?人工知能が小説を書くことによって、小説の本質とは何か?本の感動度を人工知能が評価できるのか?アメリカのアーティストのポラックの絵を人工知能が描いたときに、創作と言えるのか?とテーマのフォーカスがうまい。
    「負ける」
    「負ける」を読みながら、あることを考えた。藤井聡太棋士が快進撃することで、子供達に将棋ブームが起こっているという。しかし、藤井聡太棋士と人工知能と戦い、人工知能が勝った場合に、子供達は人工知能の技術者になろうとするのか?そして、人工知能は嬉しいのか?ということだった。残酷な将棋の未来がある。
    ロボットに詳しい著者は、人工知能と棋士との戦いを、ロボットアームの仕草から人間らしさを表現しようとする。人工知能は投了できないということから始まるが、なるほど、そうやって、棋士に対して敬意を払うのかと思った。
    何れにしても、盤上ゲームは、もはや人間は勝てなくなっている。人工知能は膨大な計算の上に最適な指し方を疲れも知らずに、指し続けることができる。では、負けるとわかっていて、将棋はどうなるのか?廃れるのか?存続するのか?少なくとも、将棋は人工知能に勝てないという「一つの壁」がどんとできた制約の中で、人間は棋力を競い合うしかないのかもしれない。
    人間が負けないようなゲームそのものを、デザインすることは、できるのだろうか。未来の盤上ゲームの風景はどのような姿になるのだろうか。
    「144C」
    小説の編集者と新人の編集者との会話。人工知能が、小説を書いたら、人間の創造的分野を侵害し、尊厳を脅かすことになるか?そして、小説の本質とは何か?小説の本質が人間を描くことだとするならば、人工知能は人間の心の機微をかけるのか?
    小説を小説らしさを獲得するためには何が必要なのか?作家は、発想を基礎としてストーリーを作る。確かに、ハリウッド映画などは、ストーリー作成指南書があり、ストーリーの構造を作り上げることもできる。
    自分の知ったことにしか関心を示さない読者と自分の知らないことを読みたい読者。自分のみじかな物語なら読める。そのような読者を相手にして、売れる小説とは?「一言で表現できない小説は売れない。」と編集者はいう。読者のシンパシーとエンパシーにフィットする作品を人工知能が作れるかもしれない。人工知能の小説作成の進出によって、小説の本質とは何かを問いかけることができている。
    「きみに読む物語」
    本を読んで、感動するのはなぜか?その謎を解き明かしたい。本を読むことで、人間の共感や感情移入はなぜ起こるのか?
    シンパシー;かわいそうと感じている気持ち、理解し気遣おうとする様。シンパシーとは、感情の状態。自然に心の中で発生する気持ち。
    コンパッション;苦しみに見舞われている人に対して、助けたいと強く願うシンパシーの気持ち。コンパッションとは、行動への欲求が募ってきた状態。
    エンパシー;他者の気持ち、体験などを理解しようとする能力。エンパシーは、能動的に相手の気持ちを忖度し、理解しようとする能力。
    読み手は、シンパサイズし、エンパサイズする。
    本が、シンパシーを感じたり、エンパシーを感じたりする指数を明らかにすることができる。
    そのことによって、本の評価が決まる。
    「私がきみに読む物語は、その未来への可能性だ。きみが変わることで、いくつ化の物語が未来に運命を変えるかもしれない。」本のランキングが出来上がり、読者の感受性にあった本を選ぶことができる。
    「ポロック生命体」
    DVDで「ポロック 2人だけのアトリエ」を見た。ジャクソンポロックの絵を見て、絵だろうかと思った。
    アメリカの画家 ポロック。カンバスの上にペンキを撒き散らすドリッピング(ドリップペインティング)の手法。絵の具や塗料を筆から床の上のカンバスに垂らして運動の軌跡をとどめる。流すーポーリングの手法。筆を持った腕をダイナミックに動かす。それを何色にもわたって重ねていくと、立体感のある線と飛沫のリズムが立ち上がる。アクションペインティングで一世を風靡し、ビートニク世代を代表する画家へと上り詰める。
    ジャクソンポロックの画風を人工知能に学習させて、人工知能によるジャクソンポロックの創作ができる。人間らしい創作という行為を真似るだけで、新しい絵が生まれる。感性の世界に人工知能は、どこまで迫れるのか?それが人間らしさの本質を見極めることになる。果たして、それはニセ物なのか?そこに必要なのは、作品自体が持つ生命力の爆発にある。
    絵は躍動していた。鮮やかで踊るような原色のリズム。色はどれも鮮烈だった。どの色彩も跳ね上がり、弾け散って、重なり合いながら決して濁ることなく、互いに声をあげて歌いあっているようだ。
    人工知能が、死んだポロックの絵を疲れも知らずに描き続けることができる。
    人間にできていることは、人工知能にも必ずできるというホラーSF。

  • 人工知能をテーマに収録された中短編集。人間らしいAIを追究する「負ける」。AIと人間らしさを考察する「144C」。本の評価が数値化される世界を描く「きみに読む物語」(この作品だけ毛色が異なる)。AIと人間の位置づけを再構築する表題作の「ポロック生命体」。もっとも考えさせらたのは「ポロック生命体」だ。創作ができるAIが登場すると、人間の方が逆に機械にしか見えなくなる様が、真実をついていそうで、人間が小さく見えてくる。

  • AIと人間社会との関係をテーマに書かれた小説。

    SFといえばSFかもしれないが、より哲学的な考察が印象に残る。

    「きみに読む物語」などは興味深い思考実験だ。

  • AIをテーマにした、4作が収録されていました。
    4作ごとに状況は異なりますが、どの作品を読んでも人より優れた知性をAIが持つようになった時、人はそれとどう向き合うべきなのか、共存することができるのかを考えさせられる内容でした。

  • AIと人間の関わりを書いた4つの短編集である。
    SFチックなAIを期待して読んだが現実的に起こり得る内容の小説だった。

  • 随分前にチェス名人がコンピューターに負け、続いて将棋名人がAIに敗れ、遂には囲碁名人もAIの軍門に下ったことは、まだ記憶に新しい。この傾向の行き着く先は、所謂シンギュラリティである。この本ではまず将棋、次に文学、更には絵画という芸術の世界のAIによる浸透を、恰も人間との戦いの如く描く。それぞれに於いて、遂にはAIの絶対的優位が示唆され、文中でも「既にシンギュラリティが到来している」との発言もあるが、文意からすれば、AIと人間の共存の可能性にも若干の含みを持たせているとも取れる。

  • 瀬名秀明の最新作。
    AIと人間の関係性が主軸になってはいるが、基本的にはオーソドックスな人間ドラマだった。ふと思ったが、『パラサイト・イヴ』で鮮烈なデビューを飾った作家が、こういう作風に変貌を遂げたというのはけっこう不思議だ。『BRAIN VALLEY』とか好きだったんだけどなぁ。

  • この人の作品はあまり読んでいない。
    理由は、筆名が気に食わない、ということなのだけど。
    (その自意識がSF作家らしくないんじゃないの、と)

    「虚無回廊」のスピンオフはそれなりに評価できたけど、その後、衛星放送の「日本沈没」の番組での滑り方を観て、なんだかなぁ、と思ったものである。

    で、本作。
    まぁ、仏の恰好はしているんだろうけど、魂が宿ってるのか、ってぇと、ちょっと疑問な感あり、かな。

  • 三章の途中で挫折。難しい。
    難しいけど少し面白い。今の自分には合っていない、でも理解したい。テーマはすごく好き。いつかもう一度挑戦する

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著者プロフィール

1968年、静岡県生まれ。東北大学大学院薬学研究科(博士課程)在学中の95年『パラサイト・イヴ』で日本ホラー小説大賞を受賞し、作家デビュー。
小説の著作に、第19回日本SF大賞受賞作『BRAIN VALLEY』、『八月の博物館』『デカルトの密室』などがある。
他の著書に『大空の夢と大地の旅』、『パンデミックとたたかう』(押谷仁との共著)、『インフルエンザ21世紀』(鈴木康夫監修)など多数ある。

「2010年 『未来への周遊券』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀬名秀明の作品

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