アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105065713

作品紹介・あらすじ

世界14か国で刊行開始! 生き残るのは1社のみ、苛烈なドッグファイトの全貌。この闘いはスマートフォンのシェア競争などにとどまらない。勝者はIT業界のみならずメディア、さらには生活のすべてを支配することになる。次世代の覇権を賭け、2社合計2000億ドルもの資金を誇る巨人同士が激突。両社のキーパーソンの証言をもとに、食うか食われるかの死闘をリアルに描いたインサイド・ドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • iPhoneとandroidの開発競争を描いた力作。ビジネス書として購入したが、想像よりもずっと読み応えのあるルポだった。最初からずっと面白いが、Apple製品の中でiPodやiPhoneよりもiPadが「コンバージェンス」(ITとマスメディアの融合)を実現したという点で最も大きなイノベーションだったと評価している点が面白かった。個人的にタブレット端末の面白さに気づいたのが最近だったのでなおさら説得力を感じた。

  • 積読シリーズ。
    
    アップルのiPhone、グーグルのアンドロイドをめぐる両社の対立を描く。
    
    グーグルのAndroidについてはよく覚えていて、グーグルが携帯電話を作っているという噂はずっとあったものの、調べて出てくるのはChromeをベースにグーグルマップとYouTubeアプリを搭載しただけの「グーグルフォン」という具合で、なかなか実体がつかめなかった時期がありました。やっと出てきた実機もイマイチだったり。GALAXYあたりからiPhoneと比べても遜色ない使い勝手になった気がします。
    
    そして初期iPhoneには搭載されていたグーグルマップやYouTubeアプリがなくなって、ひどい出来のマップが出回ったり、Gmail との連携が悪くなってしまったのもこの対立によるもの。今思えばアップルとグーグルの二大巨頭が提携していたことが驚きです。
    
    本書ではiPhoneとアンドロイドの対立からiPadが登場し、結果的にタブレットがITとメディアの融合「コンバージェンス」を推し進め、音楽、映像、書籍、雑誌、新聞などのコンテンツの新しい形をつくった、となっているのですが、現在のタブレットがそこまでの力をもっているかどうか。
    
    2013年の出版なのですが、それほど状況は変わっておらず(最終章で注目されているインターネットTV「アエレオ」はその後裁判に負けて経営破綻しています)。
    というか、ジョブズばかりを神格化する気はないのですが、iPhoneやiPadほど「世界を変える」ものがその後出てきていないので、なんとなく停滞している気もします。
    
    (文庫版の表紙がジョブズVSシュミットになってるのはちょっと違うと思う。)
    
    以下、引用。
    
    シリコンバレーの用語で言えば、これは「プラットフォーム戦争」だ。マイクロソフトのウィンドウズとオフィス、イーベイのオークション、アップルのiPod、アマゾンの書籍、グーグルの検索、フェイスブックのソーシャルメディアーどれをとっても、歴史はこの種の闘いの勝者が75パーセント以上の市場シェアを獲得することを物語っている。敗者はその分野に残ることすらままならない。
    
    メディアと通信業界の大物は皆、テレビ番組を提供する機器、たとえばセットトップボックスが最終的にはPCの機能を吸収すると考えていた。これに対して、ソフトウェア業界の大物ーおもにマイクロソフトとビル・ゲイツーは、PCのほうがテレビを吸収するだろうと考えた。ところが、いまあらゆる変化の原動力になっているのは、タッチスクリーン式のスマートフォンだ。
    
    iPhoneの問題は深刻だった。歌か動画の一部を再生することはできるが、途中でかならず動かなくなる。メールを送ったあとウェブを見ることはできたが、順序を逆にするとだめだった。iPhoneチームは何時間も試行錯誤を重ね、エンジニアが言うところの「黄金の道」を見つけた。あるやり方と、ある順序で、一連の操作をすると、iPhoneがちゃんとした完成品に見えるのだ。
    
    筐体はすべてブラッシュ仕上げのアルミニウムだった。ジョブズとアイブはこれがたいそう気に入っていたが、ふたりとも電波技術の専門家ではないので、美しい「煉瓦」を作ったことに気がついていなかった。電波は金属をうまく通過しない。
    「説得するのはむずかしかった。たいていのデザイナーは芸術家で、最後に科学の授業を受けたのは八学年のときだ。でも、アップルでは大きな力を持っている。だから、〝ごく小さい隙間を作ったら、電波はそこを通るんじゃないの?〟と訊く。それに対して、なぜ通らないのかを説明しなきゃならない」
    
    ウィークスは、1960年代に戦闘機のコクピット向けに開発したガラスについて話した。〈ゴリラガラス〉と呼ばれたその素材を国防総省は結局使わず、市場が生まれなかったので、社として数十年前に製造を中止している、と。それを聞いたジョブズは、いますぐ製造に取りかかってくれとウィークスに言い、半年でそのガラスを提供することを約束させた。
    
    「iPhoneプロジェクトの建物の入口に〈ファイト・クラブ〉と表示していました。ファイト・クラブについて口外しないのが、第一のルールだったからです」
    
    ルービンは車で通勤することすらできなかった。グーグルの駐車場に停めるには高級すぎたのだ。グーグルにはすでに2004年の新規株式公開で億万長者になった社員が大勢いたが、反マイクロソフトの革命的な会社というブランドを維持するために、BMWの3シリーズより高級な車での通勤が禁じられていた。この時期、ブリンとペイジーひとりあたり50億ドル以上の資産家ーはプリウスに乗っていることで知られていた。つまり、ルービンのフェラーリは認められないということだ。
    
    「ルービンは頭に血がのぼって、ジョブズに、あなたの態度は反イノベーションだと言ったのだそうだ。すかさずスティーブは反撃して、ルービンに恥をかかせたーきみは僕をまねようとしている、見た目も、髪型も、眼鏡も、スタイルも、とね」
    
    「次世代をものにできるかどうかだ。アップルも、グーグルも、アマゾンも、マイクロソフトも、誰もが庭を囲いこんで、コンテンツへのアクセスをコントロールしたがっている。本物の大勝負だよ」。言い換えれば、アップルにとっても、グーグルにとっても、「まちがった」ですまされる話ではないということだ。
    
    特許権をめぐる争いは通常数年に及び、ようやく決着がついたとき、勝つのは本来の発明者でないこともけっこうある。訴訟費用をより多く捻出できたほうが勝者となるのだ。
    
    アレクサンダー・グラハム・ベルとイライシャ・グレイは、「電話の発明者」と呼ばれる権利をめぐって10年以上も争った。その称号をどちらに与えるべきかは、電話史マニアのあいだでいまだに論争の的だ。ベルとグレイは同じ日に特許商標庁に出願書を提出したーしかし、ベルはその日の5番目、グレイは39番目だった。グレイの出願内容を調べれば、双方を比較するまでベルへの特許交付は保留すべきだとわかったはずだが、特許商標庁は無視した。
    
    コンピュータ創世記のころの答えは簡単だったーソフトウェアに「特許」は認められなかったのだ。ソフトウェアは、コンピュータ本体と別個の製品ではなく、せいぜい数学的な計算を速めるぐらいの役割しかないと見なされた。数学は自然法則の一部だから、特許にはできなかった。
    
    ロータス側は、メニュー階層は著作権法で保護されていると主張して提訴した。ところが、シリコンバレーの誰もが驚いたことに、ロータス側が敗訴した。「ロータスのメニュー階層は、ビデオカセットレコーダーを操作するボタンのようなものである」1995年、ニューハンプシャー州第一巡回区連邦控訴裁判所で、ノーマン・シャタール判事はそう述べた。
    
    当時、フラッシュはインターネット上のリッチメディア(動画)をすべて動かしていた。フラッシュ(現在はアドビ社が所有)の自然な進化として、モバイル機器、セットトップボックス、ゲームのコンソールなどへの搭載が考えられたから、開発に取りかかった。暗号名は〈コロンブス〉。わかるだろう?「新世界」だからね。コロンブスは、携帯電話を含めてあらゆる機器にフラッシュを導入するプロジェクトだった。
    
    何話分も話が続く長いドラマを、なかなか作れない時期があった。一話ごとにきちんと結末をつけなければいけなかったーいくら途中を飛ばしても、どういう内容かわかるようにね。
    すると視聴者は「二、三回見逃した。まあ、わざわざ見るような番組でもないか」と言う。
    やがてビデオデッキが登場し、ネットフリックスも生まれた。すると今度はこう言う。「一話か二話、見逃しても大丈夫。あとで追いつけるから」
    
    『マッドメン』にしろ、『ブレイキング・バッド』や『ハウス・オブ・カーズ』、『ジャスティファイド』、『サンズ・オブ・アナーキー』にしろ、クリエイティブなドラマが次々と生まれている理由のひとつは、13話作れるからだね。
    
    

  • 今までの両社の、モバイル端末での歴史を振り返る一冊。
    iPhone登場時は、あれほど蜜月でもいろんな要因で敵対する
    関係になるIT業界の怖さを知る内容です。
    さて、このあとの戦いはどうなるかまだまだ目が離せない。

  • アップルとグーグルという対立軸を使って、技術開発特に携帯電話の発展を綴った書。iPhone発表秘話や、グーグルのアドロイド開発秘話的な話しが面白い。

  • 【由来】
    ・どこだったっけ?図書館からの入荷アラート?

    【期待したもの】
    ・どんな闘いをしてるのか、サラッと概要を掴めれば。きっと読むのにそんなに時間もかからないだろうし。

    【要約】


    【ノート】
    ・読み始めると面白かった。関係者へのインタビューをベースにしているためか、臨場感があって引き込まれた。伝説的なiPhone発表のプレゼンが、いかに薄氷を踏むような危ういものだったのか、その舞台裏が分かるのは面白い。また、Google陣営のAndroid開発の軌跡が当事者によって語られているのも面白かった。

    ・ジョブズほどの人が、仲の悪い幹部の仲裁をしていたというのは意外。不和を作るのは自分じゃなかったのか?

    ・Apple≒ジョブズはいつも怖れていた。iPodの優位性すら

  • Googleの成功の原動力は一流大学から雇い入れるエンジニアの質の高さ。
    Googleは技術主導の企業文化。
    アメリカのテレビ業界にモバイル革命のインパクトは大きかった。

  • かなり読みにくいが、アップルvsグーグルの史実を知りたい人にオススメだと思います。

  • AppleとGoogle、この2社の裏側のゾクゾクするような熱さと厳しさが面白い。
    そして、他社の考えや動向もとても丁寧に描かれていて、すごくわかりやすい。そして、開発側の当事者たちが、どんなビジョンを持ちながらそれぞれプロジェクトを進めていたのかもとても参考になります。

    今、あたり前のようにスマホを手に入れているような人にこそ読んでみてほしい一冊。
    分厚くて、読むの大変ですが、各所にそれを忘れるほど濃い内容が詰まっていますね。

    著者は最初のほうで、「これを読み終わるころにはどちらが勝者となるかが見えてくるのでは」と語っています。
    確かに、お互いの性格の違いからどちらかというと有利な方は浮かんできますが、もう一方の側にも楽しませて欲しいというのが本音ですね。
    ライバルがいるからこそ、面白いってことありますよね。

  • iPhoneが2007年に世に出て”ゲームのルール”が変わり、その対抗馬としてグーグルのAndroidが存在感を高め、以降5年にわたるモバイルOSの覇権争いが、時系列でよくまとまっている。ジョブズの『伝記』と『グーグル ネット覇者の真実』と合わせて読めばより包括的。もっと良いのは、結局双方の最新機種2台持ちかもしれない。

  • アップルとグーグルの競争を、リアルに描いている。
    それはつまり、iPhoneとアンドロイドの戦いともいえそうだけど。
    当時、タッチスクリーン(というか仮想キーボード?)のことを聞いて、「それは無理だろう」と思った記憶がある。
    だけど、その後、自分でも使ってみて、全く違和感がないことに驚いた。それは、iPhoneではなく、iPod Touchだったのだけれど。

    ぼくはiPhoneではなくアンドロイドを選んだ。確か、HTC製だったと思う。

    そんな経験と、本書の内容がリンクしていて、リアリティを感じながら読み続けた。

    読み終えて、何か教訓があるかといえば、ない。

    あまりにも、情熱的な、変人たちの、生きざまは、真似ができるわけがないから。

    だけど、ひとつだけ。

    CEOは細部をおろそかにしてはならない。たとえ黄色の色合いだろうと、日曜だろうと。

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