ハリネズミの願い

制作 : Toon Tellegen  長山 さき 
  • 新潮社
2.88
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本棚登録 : 1582
レビュー : 189
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105069919

作品紹介・あらすじ

親愛なるどうぶつたちへ。きみたちみんなをぼくの家に招待します。……でも、誰も来なくてもだいじょうぶです。ある日、自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたつ。さっそく招待状を書き始めるが、手紙を送る勇気が出ない。もしクマがきたら? カエルがきたら? フクロウがきたら? ――臆病で気難しいハリネズミに友だちはできるのか? オランダで最も敬愛される作家による大人のための物語。

感想・レビュー・書評

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  • 自分に自信がないハリネズミ。突然みんなを自宅に招待しようと思い立つ。せっかく書いた招待状を出さないまま、もしみんなが訪問してきたら…妄想と不安は広がっていく……。

    久しぶりに苦戦した読書だった。
    人を招待するのって難しい。部屋を綺麗にするのはもちろん、お菓子の用意から食器を選び、座ってもらう位置、会話の内容、考えただけで緊張する…だから訪問を不安に思うハリネズミくんの気持ちよくわかる。だけど、ちょっと妄想が長いよ。1章が短いとはいえ、59章…。

    カメさんとカタツムリさんの章はよかった。そこが1番言いたかった事なんだろうな。訪問するとかしないとかじゃなくて気の合う友達がひとりでもいればいい。私の友達ならスイートポテトとポテトチップスがあればそれだけで1日楽しく過ごせる(*≧艸≦)

    ハリネズミのただ可愛い話ではない。内容はちょっと哲学っぽいところがある。とにかく長い。それを踏まえた上で読んだら楽しく読めると思います。

  • 作者はオランダの国民的作家。
    本屋大賞の翻訳小説部門で1位ということで、読んでみました。

    森の中に住む一匹のハリネズミ。
    自分の針が大嫌いで、自信がなく、友達がいません。
    ある日、森のみんなを招待しようと思い付きますが‥
    「‥だれも来なくてもだいじょうぶです」という招待状が傑作。
    しかし、それを出すことも出来ない?
    もしも誰かが来たら。
    クマが? フクロウが? ゾウが‥?
    えんえんと取り越し苦労で悩み続けるハリネズミくん。
    そういう気持ちは、わからないでもないですよ。

    想像がおかしくて、けっこうありえそう。
    前もって考えておくのも、必ずしも悪いことじゃないでしょう。
    ただ、長すぎる‥
    カタツムリとカメが面白いんだけど~え、これもまだハリネズミが妄想しただけ、実際には起きていないの?と思うとシュゥ~‥と、しまいには気持ちがしぼんじゃう。
    カタツムリとカメは、他の話にも登場している人気キャラクターだそうです。

    元々は子供向けに、ひとつずつ話して聞かせたものらしく、子供にとっては、こんなふうに長く続くお話って面白いのかも。
    大人が一気に読むには‥と気づいて、ちょっと一息入れつつ読みました。

    リス君と会えて、良かったねえ‥
    でも、この下りが短すぎるわ! なので星一つ減らしました(笑)
    わざとそうした意図はわかりますけどね☆

  • オランダ人作家による、大人向けの絵本小説。
    とある一匹のハリネズミが自宅に森の動物たちを招待しようと手紙をしたためる。

    どうか遊びに来てください。ーーでもやっぱり、だれも来なくても大丈夫です。

    矛盾しているようだが、私にはまさにこのハリネズミのジレンマというやつが分かってしまった。
    かまって欲しいけど、かまわれると嫌になる。
    愛して欲しいけど、愛されると重く感じる。
    卑屈で、自意識過剰で、被害妄想のはげしいハリネズミの脳内では次から次へと動物たちが彼の元に訪問してくるが、そっけなくあしらってしまったり、しどもどともれなく気まずい雰囲気になってしまう。
    仲良くなりたいのに、なれない。
    自分以外の者を追い出し、自分の殻に閉じこもり、ひとりぼっちになることは、とても安全なことだ。
    孤独と絶望は、とても心地いいのだ。
    でもそれじゃいけないことは分かっているけれど……というネガティブループが延々と繰り返されています。
    ちょっと長すぎでは?さすがにいい加減イライラしてきた、なんて思ってしまったけれど、だからこそ最後の章のあっけないほどの端的な希望には驚かされたし救われた。
    そうだ、こんな簡単なことなんだ。ただ、ほんのわずかの勇気があればいい。
    コンプレックスはコンプレックスであると同時に、個性でも誇りでもある。
    どれだけ優柔不断に迷い迷っても、自信がなくても、それだけは確かなこと。
    自分の子供にも、そういう風に人間関係について教えていけたら素敵だなと思えました。

  • 私は悩む人間だ。
    「考えないで」と言われる。
    考えすぎて不安で動けなくなる。
    同じことをぐるぐる考えて
    苦しんでいると自分でもわかっている。
    考えてはいけないのか。
    考えているだけになるからだめなのか。
    私がいけないのか。でも
    考えるのが私だとも感じるのだ。


    『ハリネズミのねがい』の主人公のハリネズミは
    家に誰かを招待したいと願う。
    けれども「もしも○○が訪ねてきたら、
    こうなるかもああなるかも何を話せばいいか。
    どうもてなしたらいいか」と、考えはじめて
    不安にかられて、招待状を出せない。

    私とよく似ている。

    ハリネズミは、
    自分の「ハリ」のことで悩み、嫌いになる。
    でも「ハリ」なしでは自分ではないのもよくわかっている。
    「ハリ」を含めて自分を受け入れてもらいたい。
    自分を好きになりたい。

    人と関わるには、
    傷ついたり傷つけたり、
    疲れたり疲れさせたりする。
    「ひとり」いいやと思いたくなるけれど、
    さみしい。

    いつか自然に「友人」が訪ねてきてくれたら、
    いつか自然に「友人」を訪ねていけたら、
    そんな思いにさせてくれる大人の童話。

    この本がよく売れているということは、
    世の中にはこんなに考えすぎて、
    悩んでしまう人が多いということか。
    そう考えると少し心が軽くなる。

    考えるのをやめようと思うけど、
    やっぱり考えてしまう。

  • 【親愛なるどうぶつたちへ。きみたちみんなを僕の家に招待します。……でも誰も来なくてもだいじょうぶです。
    ある日、自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたつ。さっそく招待状を書き始めるが、手紙を送る勇気が出ない。もしクマがきたら? カエルがきたら? フクロウがきたら? ――臆病で気難しいハリネズミに友だちはできるのか? オランダで最も敬愛される作家による大人のための物語。】

    寓話、なのだけど、道徳的教訓のようなものはなく、ただただハリネズミの妄想がグルグルと描かれている。

    ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう、そしたらああなって、こうなって、ああなるかもしれないし、こうなるかもしれないし…、ああ、それはイヤだなあ、それは困るなあ、じゃあやっぱりやめよう、とか。みんなは僕のハリのことをどう思うかな、ああ思ってるんだろうな、こう思ってるんだろうな、とか。
    そうして手紙は何度も書き直されたり、なにか付け加えられたりして、引き出しにしまわれたまま、けして出されることはない。ハリネズミも結局また毛布をかぶってベッドの下に隠れる。だけど最後には何か大切なことがわかったような、わからないような…。

    ハリネズミがネガティヴすぎて可笑しい。あまりにネガティヴで呆れてしまうんだけど、わかるなぁって、全面的に共感。ハリネズミは私だ!私はハリネズミだ!
    途中途中に登場するカメとカタツムリも忘れてはいけない。彼らのエンドレスな言争い(?というかカタツムリが一方的に怒って言いがかりをつけてるんだけど)は、もはや出口のない共依存関係。まるでベケット演劇のよう。完全にブラックユーモアなんだけど、いやになるくらいリアルで笑っちゃう。

    出版社ホームページによると、「いかにも内気そうな、ちょっと上目使いでこちらをじっと見ているハリネズミは、祖敷大輔さんが描いてくださった日本版オリジナル」とのこと。このイラストがなんとも可愛らしい。この子じゃなかったら、ハリネズミのことをもっと「ウザい」と思ってしまいそう。挿絵はぜんぶで12枚で、個人的にはいちばん最後のリスといっしょのハリネズミがベスト。もう、この子たちときたら!

  • なかなか苦戦しながら読みました。
    臆病なハリネズミ。誰かを家に招待したいけど、来てほしくない。
    そして、いろんな動物たちがやってくる妄想が続く。

    なんとなく理解できる部分もあるかな。

    カメとカタツムリのコンビの妄想が面白かった。

  • 自分のハリが大嫌いなハリネズミ。‘臆病で気難しいあなたのための物語’に興味を持ちました。

    いくら手紙を書いてもそれを出さなければ相手には何も伝わりません。出せない臆病な気持ちはわかり過ぎるほどわかりますが、自分から何もしなければ周りが変わる事もないと。気難しいという事も他人からはわがままにしか見えないかもしれませんし。

    最後の最後にリスはなぜ訪ねて来てくれたのでしょう?リスはただなんとなく、だれか訪ねて来たらハリネズミが喜ぶかと思ったからと言っていましたが。
    リスと過ごした‘時間が止まればいいのに’と思えるほどの気持ちや、リスからの手紙の「また会おうね!」の言葉を忘れずに。二人はいつか親友になれるといいですね。
    たくさんいる友達も大切だけれど一人の親友も大切。煩わしさを我慢してまで社交的になるのも辛いですが、ずっと孤独でいるのも寂しいです。ハリネズミのジレンマですね。

  • 自分のハリが大嫌いでコンプレックスに思っている
    ハリネズミが、動物たちへ招待状を送ろうとする。

    物事が始まる前から、悪い事が次々と
    頭の中で浮かんでは消える。
    「また、会おう」って約束して、会うのが楽しみになる
    相手が一番の友だちなのかもしれない。

    途中出てくるカタツムリとカメ
    ぶつぶつ文句を言うカタツムリと、怒りもせず
    そんなカタツムリと気長に付き合うカメの
    関係も友達なんだろう。

  •  寓話と言うか、哲学書とでも言おうか。
     引っ込み思案なハリネズミ。彼が頭の中で想像した動物たちの訪問が、59の短い章でつぎつぎと語られてゆく。

     著者は医師でもあり、これまでも動物をモチーフにした著作をものしている、一定の地位も名声も得ている。けっして、このハリネズミような、引きこもりでもなく、社交性を欠いた人物ではない。それでも、訳者との対話で、これは自分のことを描いたものかと問われると、

    ”「そうかもしれないね」と拍子抜けするくらいあっさりと答えがかえってきた。”

     ハリネズミの不安、自信のなさは誰でも持っているし、著者は”真面目な顔で”こう答えるのだった。

    ”「それは名声によってなくなるものではないんだよ」と”

     つまり、59のストーリーのどれかは、あるいはいくつかは思い当たる物語。誰にも起こり得るお話ということなんだね。次々と動物たちの訪問を受ける様子を想像するくらいなら、実際に訪問してきた話にしてもいいのでは?と読みながら思ったけど、そうじゃないんだね。実際に訪問を受けたエピソードではなく、この訪問は、心のドアを開けて入ってくる他者との、気持ちというか感情というか、心の持ちようのお話。実際の訪問のエピソードにしてしまうと彼(ハリネズミ)の本当の気持ちは分からない。気に入らない相手であっても帰り際には、自分をいい人に見せようと、「また、お越しください」なんて言ってしまうから。なので、どこまでもどこまでもハリネズミの妄想は続く。

     人は誰しも社会とつながっていたいと思う。でも、一人でいることも、実は、嫌いじゃない。でも、一時賑やかな”訪問”を受けたあとは、一抹の寂しさを感じるもの。

    ”お客は黙ったまま立ち去るだろう。そして<孤独>が残るのだ。”

     なるほどなと思う、上手い表現がちりばめられている。

    ”ぼくがほしいのはドアだ。
    だれかに訪ねてほしくないときには開ける必要のないドア、だれも衝突して穴をあけて入ってこない頑丈なドアがほしい。”

     こんな気持ちのときもある。それでも、誰かと会って、心を通わせたいもの。最後の訪問者リスの章は、こう結ばれる。

    ”また会おうね・・・ それはハリネズミの知るもっともすてきな言葉だった。”

     社交辞令ではない、本心からの「またお会おうね」だ。

  • 臆病が度を超えてちょっと笑えてきたけど、こういうことあるよなあと思った。前評判がめちゃめちゃ良かったので最初のハードルが高すぎたみたいで思ったよりは普通かもと思ってしまった…
    友人に誘われてないから自分も誘わないんだ、みたいな描写があったけどこれって自分にも言えるなあと思いました。人と会いたいなら受け身じゃなくて自分から誘わないと進展はないんだと思いました。

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著者プロフィール

1941年生まれ。作家、詩人、医師。1984年に幼い娘のために書いた動物たちの物語『一日もかかさずに』を刊行後、動物を主人公とした物語を50作以上発表し、文学賞を多数受賞。2016年には、邦訳刊行された『ハリネズミの願い』(新潮社)で本屋大賞翻訳小説部門を受賞した。その他の邦訳作品に『きげんのいいリス』『おじいさんに聞いた話』(新潮社)や、絵本『小さな小さな魔女ピッキ』(徳間書店)などがある。

「2018年 『リスのたんじょうび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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