その名を暴け: #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い

  • 新潮社
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105071714

作品紹介・あらすじ

ピュリッツァー賞受賞! 「ハリウッドの絶対権力者」の大罪を暴いた調査報道の軌跡。標的は成功を夢見る女性たち――映画界で「神」とも呼ばれた有名プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインは、長年、女優や女性スタッフに権力を振りかざし、性的暴行を重ねてきた。自身の未来を人質にされ、秘密保持契約と巨額の示談金で口を封じられる被害者たち。沈黙の壁で閉ざされていた実態を、2人の女性記者が炙り出す!

感想・レビュー・書評

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  • 「その名を暴け」ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー著 古屋美登里訳|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/279272

    Jodi Kantor - The New York Times
    https://www.nytimes.com/by/jodi-kantor

    Megan Twohey - The New York Times
    https://www.nytimes.com/by/megan-twohey

    ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー、古屋美登里/訳 『その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/507171/

  • ハリウッドの有力プロデューサーのセクハラを告発しようとすると、示談金とNDAつきの示談書で黙らされる。原題は「She Said」。
    NYタイムスの女性記者が被害者に話してもらうまでの証拠証言集め、信頼獲得、示談弁護士との戦い。そして#metoo運動へ。
    セクハラにあった時どういう態度を取るべきか、証拠はどうするかなど、防御策も欲しい。
    日本のジャーナリストも頑張れよなぁ。

  • 2020/08/29〜2020/09/20
    TBSラジオ『アフター6ジャンクション』に訳者の古屋美登里さんが出演し、紹介されていた本。

    ハーヴェイ・ワインスタイン、そしてドナルド・トランプの女性蔑視の姿勢に男性の自分でも大層嫌気がさした。

    女性はこんなにも社会の中で不均衡を課せられながら暮らしているのかと衝撃を受けた。
    男性こそ読まなければならない一冊。
    僕らの次の世代にこの不均衡を持ち越さないために、今、この瞬間から不正に目を向け、戦わなければならないと思う。


    「ミーガンは、十年以上、性犯罪と性的違法行為を暴く記事を書いてきた。シカゴでは、その地区の警官と検察官がレイプ・キット〔レイプ被害者の体に付着した犯人の体液や毛髪など、逮捕の手がかりとなる残留物を採取保存する器具、それによって採取した証拠物件〕を握りつぶしたり、公正な裁判を受ける被害者の権利を奪ったりしていることや、性的暴行をおこなった医師がいまだ診察を続けていることなどを暴いた。(P44)

    「ミーガンは被害者たちに、「過去にあなたに起きたことを変えることはわたしにはできない。でもね、わたしたちが力を合わせれば、あなたの体験をほかの人を守るために使うことができるかもしれない」と語ったのだ。」(P60)

    (マリサ・トメイは)「男女間の救いようがないほどの報酬格差と闘い、男性俳優の役を中心に回っている場面で、自分の役がただのアクセサリーに過ぎないことを何度も経験してきた。「演技というのが、男たちがやっていることに反応するだけっていうこともしょっちゅうですよ」と彼女は言った。(P65〜66)

    「トメイはある仮説を教えてくれた。女優と世間は双方の誤解による循環から逃れられない。とても幼い頃から女の子たちは、映画に登場する魅力的な女性を素晴らしいと思い、そういう女性になりたいと思うように仕向けられている。そうやって大勢の女の子が女優になりたいと思う。運よく女優になった娘は、嫌がらせや厳しい体型維持のことなどを口に出すことができない。話せば自滅が待っている。それでその悪循環は続き、次の世代の女の子たちもハリウッドの夢を見ながら成長し、映画界が娘たちをひどい目に遭わせていることはだれにも知られずに来たのだ。」(P66)

    (アシュレイ・ジャッド)「日本でモデルの仕事をしていたとき、ボスに性的暴行を受け、知り合いにレイプされた。」(P73)

    「ハリウッドの気風というのは、不満を呑み込んで、性的嫌がらせをに耐えることだった、とパルトローは述べている。」(P81)

    「示談は弁護士にとっても、とりわけ経済的な意味で好都合だ。弁護士の仕事は一般的に、「依頼人が金を得たときにのみ報酬を得られる」という偶然性に頼っている。(略)裁判で負ければ報酬はゼロになる。したがって性的嫌がらせの示談合意は弁護士にとっては結構な商売になる。」(P100)

    「この27年間、玄関扉を叩く人が現れるのをずっと待っていました」と女性は言った。「わたしがいま言えるのは、ミラマックスと労働紛争があり、その争いは和やかにかいけつしたので、それについては今後一切議論をしない、という合意に達したということです」(P105)

    「私達はどうして声を上げないの?」(P111)

    「彼と出張から戻ってくると、うまく切り抜けたという安堵感と、罪を犯して堕落したような奇妙な感情を味わった」(P112)

    (フェミニストの弁護士、オールレッド。「トランプへ訴えを起こした女性達の代理人」(P131)の意外な行動)「オールレッドの法律事務所はワインスタインに対する別の告発の記録を、政府や世間から注目されないように、非公開にしていたのである。
     オールレッドは被害女性に声を上げさせるということで評判が高かったが、その一方で、被害女性を黙らせ、性的嫌がらせや虐待の訴えを退けるためにひそかに示談に持ち込むこともしていて、それが彼女の収入源になっていた。」(P132)

    「オールレッドは共同経営者のジョン・ウェストにマッソーの件を任せた。ウェストは訴訟に頼らず、ひそかに示談にするほうがいいと言った。ワインスタインとその権力に公の場で楯突くことを恐れたマッソーは、すぐに十二万五千ドルを受け取り、その代わりに二度と告発をしないという法的拘束力のある約束をした。(略)「彼はわたしに、金をもらって前に進んで心を癒やせばいいと言ったのよ」。オールレッドの法律事務所は、この示談の成立で、示談金の40パーセントを報酬として得た。」(P134)

    オールレッドの横暴、P135ラスト

    「驚くことに、ボイーズの法律事務所は、ある訴訟事件で「タイムズ」の代理人を務めていたにもかかわらず、その裏ではワインスタインに手を貸し、「タイムズ」の調査を妨害するという契約を履行していた」(P161)

    「(略)私がアメリカにいて思うのは、アジア人は模範的なマイノリティであれ、という文化的な了解がある。大騒ぎをしない、声を上げない、頭を低くして、ひたすら必至に働き、波風を立たせない、と言うような不文律があるの」(P386)

    「ワインスタインの不適切な行為が公になってから、ワインスタインのさが彼女を、つまり彼女の名声、アカデミー賞受賞歴、成功を、ほかのか弱い女性たちを騙す手段として利用していたことがわかったという。(略)女性たちは、ワインスタインが自分たちに最適暴行を加えているあいだ、パルトローのことや、人が羨むほどの成功をおさめた彼女の仕事のことを決まって引き合いに出し
    それはパルトローがワインスタインに身を委ねたからだとほのめかした、と打ち明けたという。「あいつはわたしのキャリアのことで、こう言ったそうよ。『彼女みたいになりたくないのか』って」
    (略)
    「この出来事のなかでもっとも辛かったのは、レイプを強要するための道具ときて私が使われてたと知ったことね」パルトローは涙を流しながら言った。「たとえ筋違いな考え方だとしても、ある意味ではこれは私のせいだと思った」」(P388,389)

    「(トランプを告発したレイチェル・クルークスは民主党から立候補した)選挙キャンペーンで明らかになったことは、人々は“トランプの話”を通してしか彼女の存在を認識していない、ということだった。それでいまもそのレッテルと戦っていた。テレビに彼女が登場すると、その画面下に「トランプの告発者」とだけ記されることがあった。(略)「それがあなたのアイデンティティになったんだ」と男性の友人が最近彼女に言った。
    「扉が開いて新しい道が用意されたけど、わたしはあの嫌な奴との関係を断ち切れないでいる」と彼女は語った。」(P392)

    「しかし、この部屋にいるひとりひとりが、そしてもっと大勢の人々が、分かっているのだ。「話を公表しなければなにも変わりはしない」ということを。(略)
     私たちの報道の世界では、記事を書けばそこで仕事は終わる。それが結果であり、最終的な成果だ。しかひより広い世界では、新しい情報を発表することは、始まりだ。議論の始まり、行動の始まり、変化の始まりなのだ。」(P396〜397)

  • ジャーナリズムの真髄と嘘みたいな本当のストーリー。
    #metooとワインスタインの裏側にはこんなことがあったのかあ。
    ワインスタインのことをよく知らなかったけど、見てみたら自分が過去見ていた映画とかも手掛けててびっくり。#metooも日本ではこんなに大きく広がることはなくて、日本でも女性が団結して強くなるっていう流れができるといいなと思う。日本は被害者叩きすぎ。。
    かなり読み応えありました。

  • MeToo運動以後、様々なメディアで描かれてきた現代社会における女性の生きづらさ。その本家本元・真打ちと言うべき一冊。特に第4〜7章はイスラエルのスパイ組織まで登場する緊迫の情報戦。内容が内容だけにエンタメとして楽しんではいけないのだが、TBS日曜劇場ドラマのような息もつかせぬ展開で一気に読んでしまった。

  • ジャーナリズムが権力側からの圧力に屈せずに事実を伝える事に感動。ってかこれって普通の事じゃない?
    それなのになぜ事実を事実として伝える事にこんなに心が震えるのだろうか?

    Netflixのリミテッドシリーズ『ジェフリー・エプスタイン 権力と背徳の億万』でもエプスタインは女性にマッサージを要求(←ワインスタインもいつもこのパターン)していた。そして売春/接待も行っていた。そしてその現アメリカ大統領トランプもその接待を受けたと言われている

  • #MeToo 運動を爆発的なものとしたニューヨーク・タイムズのハーヴェイ・ワインスタインに関する報道の全容を明かしたノンフィクション。この報道は2018年のピュリッツァー賞を受賞した。さらに後半(第8章以降)には、連邦最高裁判事ブレット・カバノーを告発したクリスティーン・ブラゼイ・フォードとその弁護団の闘いが書かれる。
    はじめに、私は調査報道を舐めていた。こんなにも過酷でかつ繊細だとは想像もしなかった。しかし、もし誤った報道をしてしまえば、その報道で誰かの人生が破滅するのだ。報道は対象の人生を揺るがす。
    ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイー、ふたりの記者は、まず証言者を探し、その証言の裏を取る。地道であり、果てしない作業だ。
    ハーヴェイ・ワインスタインは「神」である。ミラマックスとワインスタイン・カンパニーが手掛けた作品は映画好きなら皆知っている。アカデミー賞の為のキャンペーンに莫大な金をかけたり、買い付けた作品を散々再編集させたりという(性犯罪以外の)悪評もあったけれど、やはり彼は凄腕プロデューサーであり「神」であり、そして経営者である。
    声を上げられない女性の葛藤は非常に生々しい。そして彼女たちは秘密保持条項を含む示談に縛られている。「女性の味方」を標榜する女性弁護士がこの示談に関与しているくだりは、正直なところぞっとする。
    縛られる女性たち。探偵やイスラエルの諜報会社まで使って報道を阻止せんとするワインスタイン側。告発者を守りながらオンレコで語ってもらうには。
    調査報道の困難さが実感できる。2名の記者の粘り強さと礼儀正しさ。彼女たちを支え、助言するタイムズのメンバー。
    タイムズ側に対するワインスタイン側の対応は、贔屓目に見ても妥当に見えない。本当に地道な調査の積み重ねと、記者たちの真摯な姿勢が、理不尽な社会を斬った。
    ...だが、斬っても、社会の根本が変わっていないと思わされるのが第8章以降である。
    日本でもそうだが、世の中の一部は女性の感情を本当に見ていないと感じることがある。自分勝手な欲望を相手に与えてもそれを罪と思わない。いや、たとえ思ったとしてもそれを重大なこととは思わない。女性が長い間、その傷を抱えてついに告発しても「なぜその時言わなかったのか」と言う。立場の高い者は「女性が誘惑してきた」とも言う。恐ろしい程重い蓋だ。
    重い蓋を課せられながら、公聴会で告発したクリスティーン・ブラゼイ・フォード。結局、結果は変えられなかったが、この頑迷な世界に楔を打ち込むことはできたのだろうか?できたと信じたい。
    終章で、この本に登場した告発者の女性たちは集まり、語り合う。語り、先を見る。「語り合うこと」には強烈な意味があると感じた。孤独ではないということ。立場が異なっても闘う土壌は変わらないこと。声を上げ続けることの意味。
    最後に。この調査報道で様々なことが浮き彫りになったが、やはり女性を口止めする手段としての「示談」は卑劣だと感じてしまう。そしてそれがまかり通っていること。本当はそんなことが起こらない社会が最良なのだが、私たちは問題に直面したとき、誰を信じれば良いのか...。

  • 宮川マサルさんのラジオでオススメされて読んだ。

    やっぱり翻訳なので、なかなかテンポが合わず、中盤は長くてダラけてしまったが、、、訴訟、示談社会のアメリカで、凄腕の弁護士を抱える富豪を追い込むのがどれだけ大変か、よく分かった。

    示談するとその件についての発言は一切出来ないとか、ホントに、お金で何でも買える国、アメリカ、、、そんなのアリか??

  •  "She Said"という原題が素晴らしいと思う。それだけで一連の運動について想起させるし、それだけ大きな影響を与えたということを感じる。

     嘘みたいな実話だと思った。これが実際に起きたと思えないくらいだった。
     一人ひとりが意を決して告発する過程も知って、全員が戦ってたんだなとわかった。

     本当としか思えない事柄について、事実だと言い切れない限り世に出さないという姿勢が、どれだけ徹底されているかがわかった。本当に本当に徹底されていた。

     あとがきにある家族へのメッセージも心あたたまった。

  • 『その名を暴け』を読みました。

    ハーヴェイ・ワインスタインという実力のある映画プロデューサーがいて、そりゃぁもうとてつもない影響力と権力をハリウッドに持っていて、残念ながら変態性欲者で自制の効かない人間のクズだったもので、その優越的地位を利用して女性に性犯罪を繰り返していた。

    それを暴いたニューヨーク・タイムズ女性記者二人の調査報道ドキュメンタリー。

    教会の児童性虐待を暴いたボストン・グローブ紙の実話ベース映画『スポットライト 世紀のスクープ』が凄く好きなのでかなり興味深く読めました。

    残念ながら日本ではあまり「調査報道」が盛んではありません。欧米では権威のある賞は「特ダネ」ではなく「調査報道」に与えられます。そんな背景もあって、日本人が調査報道というジャーナリズムを詳しく知る機会はなかなかなく、その点でもとても貴重な翻訳モノでしょう。報道を目指す学生さんなんかは絶対読むべき。

    私にとっては以下の3点が描かれていてでたまらなく面白い本でした。不謹慎ながらエンターテイメントとして読んでいました。
    ①ジャーナリストというプロフェッショナルの仕事風景
    ②告発報道対秘密保持契約・恫喝・金満弁護士の諜報戦
    ③個々の勇気の連帯、団結、社会現象化へのうねり

    それと、ハーヴェイ・ワインスタンに加えてドナルド・トランプによる性被害についても書かれていて、ピューリッツァー賞獲った調査報道でなかなかの人間のクズっぷりを書かれている人が大統領なんだな、この国・・・と感慨深いものがありました。

    ◆実刑判決を喰らっているワインスタインのプロデュース作品で僕が好きな映画がこんなにあったという残念なリスト。
    『トゥルー・ロマンス』『ブルー・イン・ザ・フェイス』『クロッシング・ガード』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『恋におちたシェイクスピア』『ロード・オブ・ザ・リング1・2・3』『リベリオン』『シン・シティ』『イングロリアス・バスターズ』『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』『英国王のスピーチ』『ジャンゴ 繋がれざる者』『はじまりのうた』

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